小鼠或大鼠_1

iamk 日本恐怖故事 2024-04-20 00:00:01 280 0

“哦,我不再喜欢它了。

最近阁楼里有一只老鼠。

我听到嘎嘎声、嘎吱声、塔塔声。 .< /p>

嘿,听着!你能听到,对吧?''

我确信是我突然开始这么说的。我想[文]是的那是我小学四年级的时候。

当时,因病失去了与祖父相伴多年的[章]祖母,彻底郁闷了,在大儿子父亲的[来]推荐下,来到了我家与祖父一起生活[自]。我们在我们家。

与我祖父母在农村的房子不同,它已[i]经有十年的历史了,我们住的房子是[a]在城里新建的。

所以,不可能有老鼠。

“奶奶,我确定这只是我的想象。

我从来没有听说过这里出现过老鼠,[m]是吗?”

起初,我的祖母作为孙女勉强接受了[k]我的话,但最终老鼠的存在开始在她[.]体内成长。

``笔筒里的铅笔上有一个老鼠咬过[c]的痕迹。''

``上面有一个黑色的小物体。地板[n]。但这是老鼠的粪便。”

“有时,在我的视野边缘,我会看到[恐]一些黑色的东西。

一只老鼠从天花板上下来,在周围爬[怖]行房间里。他们在跑来跑去...''

如果除了我祖母之外的任何人都看到[鬼]了,铅笔很旧并且有轻微的划痕,而[故]且上面的铅笔地板很旧,是一块黑色[事]的羊毛垃圾。

即使我仔细听,也听不到天花板传来[文]任何声音,甚至看不到房间里跑来跑[章]去的老鼠影子。

但是对于我的祖母来说,这些肯定是[来]每天都会发生的事情。

``半夜的时候,我听到了脚步声阁[自]楼上有只老鼠在跑,太吵了,我睡不[i]好。”

我渐渐开始感到紧张。

我父亲对我谈到我的祖母,

“不知道你母亲在她父亲去世后是否开始感到无聊?”< /p >

当我听到这句话时,我记得作为祖母的孩子感到非常孤独。

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有一天...是。

我正在奶奶的房间里和她一起做包子[a]

饺子不是我们吃的东西。

硼酸灭鼠饺子——也就是毒饺子。

将硼酸、面粉、洋葱、糖和少许水混[m]合,搅拌均匀,包成饺子。

挂在阳光下晒干,表面出现白色粉末[k]时,硼酸饺子就做好了。

“奶奶,我要揉这么多吗?”

我手上戴着薄薄的乙烯基手套,问奶[.]奶。

“快到了,应该和小光香的耳垂一样[c]硬吧。”

奶奶用温柔的声音告诉我。

我的祖母对老鼠非常紧张,但除此之[n]外,她能够每天与它们互动,没有任[恐]何特殊问题。

于是我一边包饺子,一边和奶奶聊着[怖]各种各样的事情。

“奶奶,老鼠固然恶心,但它们到底[鬼]干啥坏事呢?”

“那是

首先,它们的身体很脏。它们身上有[故]跳蚤、蜱虫和坏细菌,它们会传播疾[事]病。

而且,它们什么东西都会咬。

p>

我经常听到人们在房屋墙壁上打洞、咀嚼电线、产生火花导致房屋着火的故事。这是一种浪费。”

原来如此,老鼠造成的损害比我想象[文]的还要严重。

然而,从祖母当时的态度中,我感受[章]到的不仅仅是谨慎,我感受到的是恐[来]惧和仇恨。

当我用小孩子的口吻告诉她这件事时[自],奶奶沉默了一会儿,然后慢慢地开[i]了口。

``--我奶奶小时候,隔壁住着一[a]位年轻的女士,她是一个善良的人。[m]我非常爱你。

有一天,姐姐生下了一个孩子。她是[k]个婴儿,有着一张美丽的脸,就像她[.]的姐姐一样。

奶奶,以前我去她家的时候,她都会[c]让我摸宝宝。

她的眼神很遥远。我的奶奶会说话以[n]缓慢的语气。

故事突然开始,我一度怀疑奶奶的神[恐]智是否正常,但我感觉她的眼里闪现[怖]出明显的恐惧,所以我不再说话,而[鬼]是没有打断地听着。

“一天晚上,我突然听到姐姐家里传[故]来一声尖叫。

这是我以前从未听过的可怕尖叫声。[事]”听起来有人疯了。

奶奶的父亲惊慌失措地跑到她姐姐家[文]。奶奶还是个孩子,被她妈妈拦住了[章],但是……,我担心我的孩子。姐姐[来],我就赶紧追爸爸。

到姐姐家的时候,附近已经聚集了很[自]多大人,不知道为什么都站在了门前[i]。我只是茫然地站在那里。

从人群的另一边,我能听到有人大喊[a]大叫,还有同样疯狂的尖叫声。”

看起来我的祖母不知怎么地穿过大人[m]的围墙,设法偷看房子里的情况。

这就是我年轻的祖母所看到的。

那是……,

``——那是地狱。

一个抱着婴儿的姐姐做了奇怪的声音[k]。当她举起它时,它像陀螺一样旋转[.]

姐姐的丈夫大喊大叫并试图阻止她。[c]

仍然,姐姐继续旋转,旋转,旋转,[n]旋转。

就好像她在参加城堡舞会。

姐姐每次旋转,都会溅出一些红色的[恐]东西。周围都是血。

当我仔细观察时,我看到姐姐的手臂[怖]上有红色的东西。我怀里的婴儿——[鬼]那个漂亮的婴儿——有一个小鼻子,[故]没有耳朵...''

我咽了口口水。我做到了。

这就是我祖母对老鼠异常痴迷的原因[事]。这就是原因。

``...正如我之前所说,他们会[文]咀嚼任何东西。

牙齿锋利。刮擦,刮擦,刮擦。< /p>

房子的墙壁、电线,甚至人。

可怜的婴儿被老鼠咬伤,很快就因感[章]染细菌而死亡。

看来姐姐彻底疯了,没过多久就被送[来]回家了。

后来,我从父母和亲戚那里听说……''

< p>

之后,满屋子都放了毒饺子。

祖母的房间在阁楼上。

入口、浴室、厨房。

厕所、边缘下方、花园灌木丛后面等[自]

这就是为什么我的祖母把那些白饺子[i]到处放。

我和父母感到有点恼火,但我们什么[a]也没说,希望能让奶奶好受一些。

事实上,在那之后,我的祖母说:

“我再也听不到天花板后面传来老鼠[m]的脚步声了。”

饺子我和 Mitsuka-chan 一起做的。谢谢你。”

他甚至开始微笑。

摆脱了被幽灵老鼠惊吓的日子,家里[k]终于恢复了平静。

但是...

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“那个……佐藤君今天休息。”

早上的班主任课上,年轻的班主任女[.]老师说道。

教室里有点吵。

佐藤君一直是足球俱乐部里充满活力[c]的一员,他很少缺席。

“老师,他感冒了吗?”

佐藤班一位关系亲近的男生问道。

不知道为什么,听到这个问题,老师[n]的表情变得严肃起来。

然后,

``佐藤君……我因伤下班了……”[恐]

我就这么说了,他就匆匆开始了第一[怖]节课。

该休息一下了。

当我坐在座位上看书时,我最好的朋[鬼]友娜娜走过来对我低声说话。

“喂,美伊。我知道佐藤君请假的原[故]因了。”

菜奈酱压低了声音。我说。

“佐藤君,好像在医院。”

佐藤君家和菜奈酱家是邻居,他们的[事]家是邻居。父母关系亲密,他说很好[文]

而今天早上,当娜娜的妈妈去倒垃圾[章]时,她显然在屋前遇到了从出租车里[来]下来的佐藤妈妈。

当我问他此事时,他告诉我他刚刚从[自]医院回来拿他需要的东西。

“顺便说一下,昨晚深夜,我听到附[i]近有救护车的警报声。”

娜娜就是这么想的当佐藤妈妈问他发[a]生了什么事时,佐藤妈妈神色憔悴,[m]开始说话,也许是因为她想有人问清[k]楚。

“昨晚深夜,佐藤君的父母正在睡觉时,听到二楼孩子的房间里传来一声尖叫。

他们冲进房间。当我走进房间时,我发现佐藤君蹲在床上哭。”

当我打开灯时在房间里仔细一看,我[.]看到佐藤穿着睡衣,紧紧地捂着右耳[c]

鲜血从他的手指缝里滴下来,将他的[n]衣服和床单染成了暗红色。

“那么你受伤了……?但是你为什么[恐]有耳朵……?”

当我说出接下来的问题时我的脑海中[怖],娜娜突然张开了嘴,指着自己的门[鬼]牙说道:

“——他被咬掉了。”

我吓坏了。

我最近听说过这样的事情.....[故].

``不管怎样,他们立即叫了救护车[事],把他送到了医院。

看来伤口处理得不错,不过佐藤君现[文]在发着高烧,已经入院了。”

“嗯……” “……这就是你所做的……”

我问道,含糊其词地表达了我的暴力[章]言论。

``呃,房间的窗户锁得很好,所以他不像是一个喜欢吃孩子耳朵的可疑人物......对。

...也许吧,不过好像是那个东西干的,不是吗?

就是这样,就是这样。即使在这样的城市里也是如此。”

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老鼠。

不知道为什么,从娜娜嘴里说出来的[来]话,我听上去有一种奇怪的扭曲感。[自]

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随后,一年级班和六年级班也发生了[i]类似事件。

学校还向家长分发了讲义,以警告他[a]们。

然而奇怪的是,尽管损失不断增加,[m]却没有看到老鼠的报告。

老鼠有多谨慎和敏捷?

小鼠或大鼠_1

在我家,我决定对祖母保守这个秘密[k]

我担心我的祖母对老鼠很敏感,如果[.]她发现这种损害实际上很普遍,她可[c]能会惊慌失措。

当然,除了自制的硼酸饺子外,你还[n]可以购买很多市售的灭鼠工具和药物[恐],并将它们放置在你的房子、花园等[怖]各处,以确保得到彻底的保护。我们[鬼]已采取措施。

反正我不会再担心奶奶了。这是最重[故]要的事情。

然而,这个故事——我和奶奶的回忆[事],将在这之后戛然而止。

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``我不喜欢它。我不喜欢它。

从阁楼上我听到有人说话。

他们在低声说话,窃窃私语,说着什[文]么。

有时他们会叫我的名字。

嘿,听着。什么?你能听到,对吧?”

我奶奶突然说了这样的话。

当时,小镇上的老鼠越来越多。

然而,我的祖母并不知道这个事实。[章]

事实上,也许是因为我们采取了过度[来]的预防措施,我们家里并没有看到老[自]鼠。

除了我的祖母之外,没有人听到天花[i]板上传来任何声音,更不用说老鼠的[a]脚步声了。

“你终于厌倦了吗?”

说着,父亲的肩膀垂了下来。

几天后的深夜。

突然,奶奶的房间里响起了一阵恐怖[m]的尖叫声。

我是一楼离奶奶房间最近的,所以我[k]从床上跳起来,跑向她。

“奶奶!?”

奶奶漆黑的房间。

从走廊进来的电灯发出的光显示,我[.]的祖母仰面躺在榻榻米垫上的蒲团上[c]

奶奶的眼睛睁得大大的,嘴巴还和尖[n]叫时一样,但还是一动不动。

他的脸上写满了恐惧。

我祖母的脸上没有鼻子或耳朵。

身后传来爸爸妈妈急促的脚步声从二[恐]楼下来。

我只是傻眼地站着,看着奶奶空荡荡[怖]的躯壳。

是时候了。

有一个小东西从房间角落的黑暗中跳[鬼]了出来。

它的身体覆盖着短而蓬松的皮毛和一[故]条又长又细的尾巴。

――老鼠?

然而,它却灵巧地用两条腿站了起来[事]

然后,当我看到他的脸,他的嘴又红[文]又湿,咀嚼着什么东西时,我听到了[章]一声尖叫。

我花了几秒钟才意识到那高亢的声音[来]是从我自己的嘴里发出的。

有着老鼠身体的“Soitsu”的[自]脸是我的祖母很清楚——我也很清楚[i]——它属于我已故的祖父。

狰狞的人面鼠看上去有些困扰,低声[a]嘀咕了一句什么,然后消失在房间角[m]落的黑暗中。

〈完〉


作者:綿貫一
原文:ネズミ

「ああもう、嫌だわぁ。

近頃、天井裏にネズミがいるのよ。[k]

ガタゴト、カリカリ、タタタ――っ[.]て、音がするの。

ねぇほら、聞いて? 聞こえるでしょ?」

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祖母が、急にそんなことを言い出し[c]たのは、たしか、私が小学4年生の[n]頃のことだったかと思います。

当時、長年連れ添った祖父を病気で[恐]亡くし、すっかり気落ちしてしまっ[怖]た祖母は、長男である父の薦めで、[鬼]私たちの家に同居していたのでした[故]

田舎の、築云十年だった祖父母の家[事]とは違い、私たちの住む家は、都会[文]の新築でした。

なので、ネズミなんか出るわけがあ[章]りませんでした。

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「おばあちゃん、きっと気のせいだ[来]よ。

この辺でネズミが出たなんて話、私[自]、聞いたことないよ?」

孫娘である私の言葉に、初めこそ不[i]承不承納得してくれていた祖母でし[a]たが、そのうち、ネズミの存在感は[m]、彼女の中で膨らんでいきました。[k]

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「ペン立ての鉛筆に、ネズミが噛じ[.]った跡があったの」

「床に小さな黒いものが落ちていた[c]けど、これはネズミのフンよ」

「視界の端に、たまに黒いものが横[n]切るの。

ネズミが天井裏から降りてきて、部[恐]屋の中を走り回ってるんだわ――」[怖]

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祖母以外の人間が見れば、鉛筆は古[鬼]びてちょっと傷がついていただけ、[故]床に落ちていたものは、ただの黒い[事]毛糸のゴミでした。

耳をすませても天井裏から音なんか[文]聞こえませんでしたし、ましてや、[章]部屋の中を走り回るネズミの影なん[来]か見えませんでした。

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しかし、祖母にとっては、それらは[自]日々間違いなく起こっていたことで[i]

「夜中、天井裏を走り回るネズミの[a]足音がうるさくて、よく眠れないの[m]

と、次第にノイローゼ気味になって[k]いきました。

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そんな祖母のことを父親が、

「かあさんも、親父が死んで、ボケ[.]が始まっちまったかなぁ?」

と言うのを聞いて、おばあちゃん子[c]だった私は、とてもさびしい気持ち[n]になったのを覚えています。

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そんな、ある日のことです。

私は祖母の部屋で、祖母とふたり、[恐]お団子を作っていました。

お団子と言っても、私たちが食べる[怖]ものではありません。

ネズミ駆除のためのホウ酸団子――[鬼]つまり、毒団子です。

ホウ酸と小麦粉、玉ねぎ、砂糖、そ[故]れに少しの水を混ぜ合わせ、よく練[事]ったものをお団子の形にします。

それを天日干しして十分に乾かし、[文] 表面に白い粉が浮いてきたら、ホウ[章]酸団子の出来上がりです。

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「おばあちゃん。このくらい練れば[来]いい?」

私は手に薄いビニール手袋をはめた[自]まま、祖母に尋ねました。

「もう少しだね。みつかちゃんの耳[i]たぶくらいの固さになったらいいよ[a]

祖母は、優しい声で私に教えてくれ[m]ました。

ネズミに関しては非常に神経質にな[k]っていた祖母でしたが、それ以外の[.]日常的なやりとりは、特に問題なく[c]できました。

なので、私は団子を作りながら、祖[n]母と色々な話をしていました。

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「おばあちゃん。ネズミって確かに[恐]気持ち悪いけどさ、具体的にどんな[怖]悪さをするの?」

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「そうだねぇ。

まず、アイツらの体は汚いからね。[鬼]ノミやダニ、悪い菌なんかがついて[故]いて、病気をまき散らすんだよ。

それに、何にでも噛みつく。

家の壁に穴を開けるし、電気のコー[事]ドを齧られて、そこから火花が出て[文]、家が火事になったなんて話を、よ[章]く聞いたもんだよ」

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なるほど、ネズミのもたらす被害は[来]、思ったより深刻なようでした。

しかし私は、当時の祖母の態度から[自]、「警戒」以上の「恐れ」や「憎し[i]み」の色を感じていました。

そんなことを、子供の言葉でたどた[a]どしく伝えると、祖母はしばらく黙[m]ったあとで、おもむろに口を開きま[k]した。

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「――ばあちゃんがまだ子供だった[.]頃、近所に若いお姉さんが住んでい[c]た。優しい人でね。ばあちゃん、大[n]好きだった。

そのお姉さんが、ある時、子供を産[恐]んだ。お姉さんに似て、綺麗な顔を[怖]した赤ん坊だった。

ばあちゃん、よく家に遊びに行って[鬼]は、その赤ん坊を触らせてもらった[故]もんだよ――」

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遠い目をしながら、ゆっくりした口[事]調で語る祖母。

私は、唐突に始まった昔ばなしに、[文]一瞬、祖母の正気を疑いかけました[章]が、その瞳の奥にハッキリとした「[来]恐怖」が映っている気がして、口を[自]挟まずに耳を傾けました。

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「ある夜、お姉さんの家から突然、[i]悲鳴が聞こえた。

それまで聞いたことのない、ゾッと[a]するような、気が狂ったような、誰[m]かの声だった。

ばあちゃんの父親が、慌ててお姉さ[k]んの家に駆け出していった。子供だ[.]ったばあちゃんは、母親に止められ[c]たけど、お姉さんが心配で心配で、[n]すぐに父親の後を走って追いかけた[恐]

お姉さんの家に着くと、近所の大人[怖]が大勢集まって、なぜか皆、玄関の[鬼]前でぼんやり突っ立っていた。

人垣の向こうからは、誰かの怒鳴り[故]声と、そしてあいかわらず、狂った[事]ような叫び声が聞こえていた」

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祖母は、大人たちの壁をかき分けて[文]、なんとか家の中を覗き込んだのだ[章]そうです。

そこで、幼い祖母が目にしたもの。[来]

それは――、

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「――地獄だったよ。

赤ん坊を抱えたお姉さんが、奇声を[自]上げながら、クルクル、クルクル、[i]独楽(こま)みたいに回ってた。

そんなお姉さんを、お姉さんの旦那[a]さんが、怒鳴り声を上げて、なんと[m]か押し留めようとしていたんだ。

それでもお姉さんは、クルクル、ク[k]ルクル、クルクル。

まるで、お城の舞踏会みたいにフラ[.]フラ回り続けていた。

お姉さんが回る度、ピッ、ピッ、と[c]何か赤いものが周囲に飛び散った。[n]

そいつはね、血ぃだった。

よく見ると、お姉さんの腕に抱かれ[恐]た赤ん坊――あの綺麗な顔した赤ん[怖]坊――の、小さな鼻と、耳が無かっ[鬼]た――」

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私は、ゴクリと息を飲みました。

これが、祖母がネズミに対して異常[故]な程執着する理由だったのです。

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「……さっきも言ったけどね、アイ[事]ツらは何でも齧る。

鋭い歯でね。ガリガリ、ガリガリ、[文]ガリガリ、って。

家の壁だって、電気のコードだって[章]、それに、人だってね。

かわいそうに、その赤ん坊は、ネズ[来]ミに噛じられた怪我と、傷口から入[自]った菌がもとで、そのあとすぐに亡[i]くなってしまった。

お姉さんは、すっかりおかしくなっ[a]て、しばらくして実家に帰されたそ[m]うだよ。

後になって、親や親戚から聞いた話[k]だけどね――」

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その後、家のあちこちに毒団子が置[.]かれました。

天井裏に祖母の部屋。

玄関、風呂場、台所。

トイレ、縁の下、庭の植え込みの陰[c]など。

それこそ至る所に、祖母はその白い[n]団子を置いたのです。

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私や両親は、少々うっとおしくも感[恐]じましたが、それで祖母の気が済む[怖]ならと、何も言いませんでした。

実際、その後、祖母は、

「天井裏からネズミの足音が聞こえ[鬼]なくなったよ。

みつかちゃんと一緒に作った、団子[故]のおかげだね」

と、笑みさえ浮かべるようになった[事]のです。

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幻のネズミに怯える日々から開放さ[文]れ、ようやく、家の中に平和が戻っ[章]てきました。

ところが――。

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「ええと……今日は佐藤くんはお休[来]みです」

朝のホームルームで、クラス担任の[自]若い女の先生が言いました。

教室が少しざわめきました。

佐藤くんは、いつも元気いっぱいな[i]サッカー部の男子で、欠席すること[a]なんか、まずなかったからです。

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「先生ー、アイツ風邪ですか?」

佐藤くんと仲の良いクラスの男子が[m]尋ねました。

先生は、その問いになぜか表情を強[k]張らせました。

そして、

「佐藤くんは、その……、怪我でお[.]休みです……」

とだけ言うと、いそいそと1時間目[c]の授業を始めてしまいました。

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休み時間になりました。

私が自分の席で本を読んでいると、[n]親友のナナちゃんがやって来て、そ[恐]っと私に耳打ちしました。

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「ねぇ、ミィ。佐藤くんが休んだ理[怖]由(わけ)、私知ってるよ」

ナナちゃんは、そこでさらに声を落[鬼]として言いました。

「佐藤くんね、入院してるらしいよ[故]ーー」

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佐藤くんの家とナナちゃんの家はご[事]近所で、親同士仲がいい、とのこと[文]

そして今朝、ナナちゃんの母親がゴ[章]ミ出しに行った時、ちょうど家の前[来]でタクシーから降りてくる、佐藤く[自]んのママに会ったのだそうです。

聞けば、たった今、必要なものを取[i]りに病院から戻ってきたところ、と[a]のことでした。

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『そういえば、昨夜遅くに、近所で[m]救急車のサイレンの音がしていたよ[k]うな』

そう思ったナナちゃんの母親が、何[.]があったのかを尋ねたると、憔悴し[c]た様子の佐藤くんの母親は、それで[n]も誰かに聞いてほしかったのか、話[恐]し出したそうです。

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「昨日の深夜、佐藤くんの親が寝て[怖]たら、二階の子供部屋から悲鳴が聞[鬼]こえたんだって。

慌てて部屋に行ってみると、ベッド[故]の上で佐藤くんが、うずくまって泣[事]いてたんだって」

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部屋の電気を点けてよく見れば、パ[文]ジャマ姿の佐藤くんは、右の耳を強[章]く押さえていました。

その指の隙間からは血が滴り落ちて[来]、着ているものとベッドのシーツを[自]、赤黒く濡らしていたそうです。

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「それで怪我……? でも、なんで耳なんか……?」

私が頭に浮かんだ疑問をそのまま口[i]にすると、ナナちゃんは不意に口を[a]開けて、自分の前歯を指さしてから[m]言いました。

「――噛みちぎられてたんだって」[k]

ゾッとしました。

ごく最近、そんな話を聞いたような[.]……。

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「とにかくすぐに救急車を呼んで、[c]病院に連れて行ったんだって。

傷の処置自体はちゃんとできたらし[n]いんだけど、佐藤くん、今高熱を出[恐]してて、それで入院してるって話」[怖]

「その……佐藤の耳を……、アレし[鬼]たのって……」

私は暴力的な言葉を濁しつつ、訊き[故]ました。

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「まあ、部屋の窓にはきちんと鍵が[事]かかってたっていうし、子供の耳を[文]食べるのが大好きな不審者……って[章]わけじゃないよね。

……たぶんだけど、アレの仕業らし[来]いよ?

アレ、アレ。こんな都会にもいるん[自]だねー」

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ネズミ。

ナナちゃんの口から出たその言葉が[i]、なぜか奇妙に歪んで私には聴こえ[a]ました。

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その後、同様の事件が1年生のクラ[m]スでも、6年生のクラスでも起きま[k]した。

学校側も、保護者に対して注意を促[.]すプリントを配布しました。

ただ、不思議だったのは、被害は確[c]実に増えているのに、肝心のネズミ[n]の目撃情報がないことでした。

どれほど用心深くて、すばしっこい[恐]ネズミたちなのでしょうか。

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私の家では、このことを祖母には黙[怖]っていることにしました。

ただでさえ、ネズミに対して過敏に[鬼]反応する祖母のこと、現実に被害が[故]広がっていると知ったら、パニック[事]を起こしかねないと考えたからでし[文]た。

もちろん、手作りのホウ酸団子以外[章]にも、市販のネズミ対策の道具や薬[来]やらをたくさん購入して、家の中や[自]庭など、あらゆる場所にそれらを設[i]置して、万全の対策を取りました。[a]

とにかく、祖母に余計な心配はかけ[m]ない。それが大事なことでした。

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ただ、このお話ーー私の、祖母との[k]思い出は、この後、唐突に終止符を[.]打つことになります。

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「嫌だわぁ。嫌だわぁ。

天井裏から話し声が聞こえるの。

ボソボソ、ヒソヒソ、何か言ってる[c]の。

たまに、私の名前を呼んでるの。

ねぇほら、聞いて? 聞こえるでしょ?」

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祖母が、急にそんなことを言い出し[n]ました。

町では、ますますネズミ被害が増え[恐]ていた、そんな時です。

ただ、祖母はその事実を知りません[怖]

また実際、過剰に対策をしているお[鬼]かげか、我が家にネズミの影は見え[故]ませんでした。

祖母以外の人間には、天井裏から話[事]し声はおろか、ネズミの足音らしき[文]物音だって、聞いていないのです。[章]

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「いよいよボケちまったか」

そう言って、父親は肩を落としまし[来]た。

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その何日後かの深夜のことです。

祖母の部屋から突如、恐ろしい絶叫[自]が響きました。

同じ一階で、祖母の部屋に一番近か[i]った私は、ベッドから飛び起きると[a]祖母の下へと走りました。

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「おばあちゃん!?」

真っ暗な祖母の部屋。

廊下から差し込んだ電灯の光が、畳[m]に敷いた布団の上に仰向けに倒れる[k]祖母の姿を浮かび上がらせました。[.]

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目を見開き、口は絶叫した時のまま[c]で、それでもピクリとも動かない祖[n]母。

その顔には、恐怖が張り付いていま[恐]した。

そして祖母の顔には、鼻と、耳があ[怖]りませんでした。

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背後に、父と母が2階から降りてく[鬼]る、慌ただしい足音が近づいていま[故]した。

私はただ、呆然と立ち尽くして、祖[事]母の抜け殻を眺めていました。

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その時です。

部屋の隅の暗がりから、何か、小さ[文]なものが飛び出しました。

それは、短いフサフサとした毛に覆[章]われた体と、細く長い尻尾を持って[来]いました。

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――ネズミ?

しかし、ソイツは器用に二本足で立[自]っていました。

そして、口元を真っ赤に濡らし、何[i]かをモグモグと咀嚼している、「ソ[a]イツ」の顔を見た瞬間、私の耳に絶[m]叫が聞こえました。

甲高いその声が、私自身の口から漏[k]れているのに気がつくまでに、数秒[.]を要しました。

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ネズミの体を持つ「ソイツ」の顔は[c]、祖母がよく知るーーそして、私も[n]よく知るーー亡くなった、祖父のも[恐]のだったのです。

その忌まわしい人面ネズミは、ちょ[怖]っと困ったような顔をして、ボソボ[鬼]ソと小さな声で何かをつぶやいたあ[故]と、部屋の隅の暗がりの中に消えて[事]いったのでした。

〈了〉

日本日文kowabana
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