掌上鬼故事第20集

iamk 日本恐怖故事 2024-04-28 12:00:01 315 0

“回家”

今年我将庆祝我的 60 岁生日。他的两个孩子已经独立,他现在和妻子住在东京的一套公寓里。

在外人看来,我的家庭似乎是幸福的完美画面,但我却隐藏着一个“秘密”。

我没有地方可以称之为家。

某个时候,它突然消失了。

从昭和中期开始,人口不断减少,最终成为了“废弃的村庄”。

我在这个边缘村庄出生和长大,但直到二十多岁,年号从昭和改为平成,我经历过。

198☓(旧)盂兰盆节8月13日。

当我收到妈妈的消息“我爷爷突然去世了,请你尽快回家。”我跳上了火车,但说实话,我很沮丧。我父母的家位于通常所说的边缘村庄。

特别是,由于某种原因,我的家人在其他家庭中脱颖而出。

没有明显的排挤、欺凌等骚扰行为,但不知为何,所有村里的居民都对我们家表现出冷漠的态度。

布告板没有传阅,我也没有被叫去参加强制性的村民会议。

有一天,一场台风导致连接村庄的河堤决堤,淹没了整个村庄。

虽然许多居民根据疏散命令迅速转移并逃离了灾难,但我们甚至没有被告知我们处于危险之中。Ta。

我们比邻近的居民迟到了一个多小时。由于持续的大雨和狂风的袭击,我们一家人感到有些异常,于是我们自行赶往疏散中心。

虽然他们的生命被保住了,但疏散中心的生活却变得异常艰难,因为他们只穿着衣服被疏散。

我为什么不建议他们撤离?我找到了担任灾害对策委员会主席的村委会成员。周围人类只是在一旁观看,没有人加入我的行列。

相反,即使是平日只打个招呼的当地居民,也会被视为“外地漂流者”。但不要自私像这样的紧急情况。”

作为回报,他受到了训斥。

我被嘲笑,被称为“外地移民”,我有生以来第一次震惊地发现我的家人不是本地人。

-是因为我们是外人吗?

我的父母和爷爷只是保持沉默,别说反对我,甚至在我表现出情绪时很照顾我,感到愤怒和无助。我不能做吧,所以我只是保持沉默。

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这就是为什么它更令人讨厌的原因。

他们会取笑你,取笑你。

我对我的家人感到失望。

这太可悲了。

这些为了我们的生命而跑进疏散中心的家伙在我们面前做什么?

你这个乡巴佬。

我心里咒骂了很多。

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我不明白为什么只有我家人受到这样的对待,所以我多次问过我的父母和爷爷,但是

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“耐心点。”

“对不起。”

“耐心点。这是你的下辈子。”

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他只是无缘无故地重复道歉。

故障根本不清楚。

尽管我因为成绩好而恳求他去隔壁镇的县立高中,但他父亲却说当地的分校就够了。我希望我能以初中毕业生的身份工作。他说。

我没有任何朋友。

或者更确切地说,我做不到。

尽管我很想,但我从来没有机会与同龄的孩子互动。

我每天步行去高中分校,距离这里大约3公里。我上过学,但高中是最无聊的地方。课堂上我能猜到的东西很少,即使我比班上其他人更快地得出正确答案,即使我能够完美地进行指数计算,即使我在日语上获得了满分汉字考试,即使我的班主任也没有人表扬她,就连她的科老师、她的同学也没有。

- 无论你如何努力,如果环境或位置不好,你都无能为力。

每天都很无聊。

我总是用目光追随飘过的云彩,与眼前展开的大海交谈。

一个夏日,当我像往常一样看着大海时,祖父给了我一杯冰镇的汽水。

我讽刺地说是店员卖给我的。

``那些家伙...哈,只要有钱就够了,你这个无聊的生物。”

他苦着脸嘀咕道。

喝完所有弹珠汽水后,我很想从瓶子里取出弹珠,但他说:“别这么做。那个瓶子是个陷阱。我可以”拿不到弹珠。让我们完成吧。”“这是我做的。”然后看。他就像是在叫我再喝一瓶一样,将汽水按进了我的胸口。

“倒满吧,爷爷不喝酒。”

爷爷摇摇头,把空汽水倒了出来。当她接起的时候瓶子,她说,“有些东西即使你想要也得不到,比如kondama。”

我轻轻地闭上了眼睛。

“嘿,爷爷。我要离开这个村庄,去东京。”

他说。

“嗯?东京很大,你今年几岁?”

“我今年高中毕业了,19岁了。”

“呵呵,原来如此,如果我没记错的话,你是早生的。”

爷爷眯起了眼睛。

“我真的要看看我是否能得到我想要的东西。”

“随我的意。你可以这么做。但是不要告诉任何人你要离开这里。安静地离开即可。”

“甚至对你的父母?”

”啊,要是被他们发现的话,我就寸步难行了。 ”

从那天起,我的生活彻底改变了。

我从早到晚不知疲倦地工作,拼命攒钱去东京的交通费和眼前的生活费,在3月20日,立春的第一天,我回到了那个丑陋的村庄。我说再见。

喝汽水的那天。

当我看着飘过的云彩,回想起与祖父的谈话时,我听到车内销售人员的声音。

“你想要一些冷弹汽水吗?”

“哦,拜托。一,不,两。”

指尖感受到一股清凉的感觉。

我手里的汽水和爷爷那天给我的一模一样。

“盂兰盆节期间你回家乡吗?”

“呃,好吧。”

“有多远?”

“在Y镇附近。”

“我明白了。那个地区已经改变了很多, ”

“是的。”

“自平成时代以来,其中一些地区已经成为废弃的村庄。”

“我想是的。 ”

我说话含糊不清。

“对了,◯☓村现在怎么样了?”

时隔10多年第一次回家乡准确地说是12年。他说出了村名。

推销员愣了一下,然后说道:“从昭和末期到平成时代之前,就没有人住过这里了。”

说道。

“啊,对了,是我大意了。”

“国道正在穿过,附近还有个水坝,现在那公共汽车已经建成了,看起来公共汽车每天运行几次。''

-公共汽车运行吗?如果是这样,我就可以回家了。

当我到达父母家时,太阳已经落山,周围一片寂静,追悼会灯笼的光照亮了门口。

-我想无论如何都不会有哀悼者来。

虽然是葬礼,但屋内只有昏暗的灯光,爸爸妈妈的脸色毫无生气。

当我被带到里屋,看到祖父的尸体躺在那里时,我惊呆了。

祖父的头颅失踪了。

也就是说,它没有脸。

哇啊啊啊啊啊啊啊啊你也变得像他们一样了吗?”

我的父亲,站在旁边。对我,愤怒地喊道。

“你瞒着爸爸妈妈去了东京。之前你爷爷有让你喝过什么吗?”

“什么?全部都是突然?我不知道。我刚买了两瓶冷弹汽水。”

父亲困惑地蹲下身子,双手抱头。

一边敲着门,一边敲着门。榻榻米,

``为什么?

妈妈走到爸爸身后,揉着他的背,说:

“没办法了,这孩子会成为真正的孩子”人类。就是这样。我应该放弃。”

我嘀咕道。

然后,妈妈慢慢地转向我说:

“抱歉,我到现在都保持沉默。”

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“别忘了我们,你不再是漂流者,不用担心。”

“照顾好你的手脚和身体。是的,你是活着,你什么都不用担心。”

“好吧,我会在爷爷的尸体上过夜,我会坐第一趟公交车回家明天早上。”

Ryo默默地点点头。

“我们也是一样,但是这里的每个人......都没有什么可做的。别担心,没有什么你可以的。你毕竟是一个漂流者。记住这一点,尽力而为,直到早上。”

“嘿,该走了。没关系。你是我们的孩子。”

父母离开了这个地方,好像他们对告别感到遗憾。

那一刻,客厅,厨房,玄关前方的灯笼发出的微弱光芒消失了,周围陷入了漆黑的黑暗之中。

一阵沙沙声

有什么东西在蠕动,听着这里发生了什么。

含糊不清

趴着时在地上刮擦的声音

含糊不清

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拖东西的声音?

挤压

吸液体的声音

伴随着刺痛我鼻子的浓重血腥铁味,耳边充斥着死人吞噬祖父尸体的声音。

尽管我五种高度磨练的感官让我多次重复呕吐反射,但我还是忍不住注意到眼前发生的不合理和荒谬的事情。此时此刻的我,决定尽我所能地度过难关。

蠕动的黑影最终变成了一大团,开始漂浮在我的头顶上。

数十个人,甚至更多人,从墙壁、走廊和天花板上盯着我。

我的脊背一阵颤抖,牙齿打战。

直到早上我的头脑才清醒,但正如我的父母告诉我的那样,没有发生任何其他事情。

很久以前,我想起了祖父读给我听的《雨月物语》中的《浅矢宿》和《青头罩》。 《蓝头罩》是一个非常恐怖的鬼故事,但它却让你思考人类的忧郁本性。

想着这些,我不知不觉间似乎就睡着了。

当我注意到它时,太阳已经很高了。

我在沾满晨露的废弃房屋里凉了凉眼睛,在附近的公交车站等当地的公交车。

在一个我从来没有见过有人上下车的公交车站,一个带着盂兰盆归来游客的司机睁大眼睛对我说话。Ta。

“客人。昨晚你住在哪里?”

“我父母的房子。”

「・・・・・・」

“那个地区30多年前就变成了一个废弃的村庄。我认为没有人住在那里。”

“是这样吗?.嗯,是的虽然有点简陋,但我还是能呆在那里。”

我对司机微笑,他一脸疑惑地看着我,然后就坐了下来。

我的家乡已不复存在。

但是,我有一个不可替代的家人,我必须保护。

我活在当下。

只要还有生命。永远。


作者:あんみつ姫
原文:手のひら怪談 「第20話」

「帰省」

掌上鬼故事第20集

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俺は、今年還暦を迎える。子ども二人は、既に独立し、今は、都内のマンションに妻と二人暮らだ。

傍目には、幸せを絵に描いたような家庭だと思われているらしいのだが、俺には、隠された「秘密」があった。

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俺には、故郷と呼べる場所がない。

いつの間にか、忽然と消失してしまった。

昭和の中頃から、人口が現象し続け、遂に「廃村」となってしまったのだった。

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この限界集落に、生まれ育った俺は、年号が昭和から平成に変わる20代後半まで、自分の特殊な出生の秘密を知ることなく過ごしてきた。

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198☓年 (旧)盆の入 8月13日。

母から「祖父が急逝した、至急帰省してくれ。」との報を受け、電車に飛び乗ったものの正直気が滅入っていた。俺の実家は、俗に言う限界集落の中にあった。

とりわけ、俺の家族は、何故か周囲から浮いていた。

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排除や虐めといった あからさまなハラスメント行為はなかったが、何故か村落の住民たちは、皆 俺たち家族に対し、よそよそしかった。

回覧板は、回ってこなかったし、強制的に召集される「村落会議」に呼ばれることは一度もなかった。

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ある日、村と隣村を結ぶ河川の堤防が、台風の影響により決壊し、村落一帯が浸水するといった災害が発生した。

多くの住民たちが、避難指示に基づき、速やかに移動し、難を逃れたのに対し、俺たちには、危険な状態にあることすら一切知らされることはなかった。

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近隣の住民から遅れること一時間余り。降り続ける豪雨と叩きつけるような強風に、ただならぬものを感じた俺たち家族は、自力で避難所に駆け込んだのだった。

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命だけは、助かったものの、着の身着のままで避難したため、避難所生活は、極めて困難なものとなった。

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俺は、なぜ自分たちには避難勧告をしなかったのか。と、災害対策委員長を務める村会議員に詰め寄ったが。周囲の人間たちは、ただ傍観するだけで、誰一人として俺に加勢するものはいなかった。

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それどころか、日頃、挨拶だけはしてくれる近場の住民たちですら、

「他所からの漂流者(ながれもの)のくせに、こんな非常時にわがままを言うな。」

と、逆に叱責された。

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「他所からの流れ者」と罵倒され、俺は、生まれて初めて、自分たち家族は、地元の人間ではないことを知り、愕然とした。

ーよそよそしいのは、俺たちが、余所者だからなのか。

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両親も祖父も、ただ押し黙っているだけで、反論はおろか、憤懣やるかたない思いで、感情をあらわにする俺を養護することも出来ないで、ただただ押し黙っているだけだった。

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こんなだから、余計忌み嫌われるんだ。

舐められて、馬鹿にされるんだ。

俺は、俺の家族に、失望した。

ただただ、情けなかった。

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命からがら、避難所に飛び込んだ俺たちを前に、こいつらは、何をしているのだ。

田舎者め。

心の中で悪態をつきまくった。

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なぜ自分たち家族だけが、こんな扱いを受けるのか理解できなかった俺は、何度も両親や祖父に尋ねてみたが、

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「堪忍なあ。」

「申し訳ない。」

「ここでは、忍耐しておくれ。後生だから。」

ただただ、意味もなく謝罪を繰り返すばかり。

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全く、埒が明かなかった。

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学業成績だけは良かったから、隣町の県立高校へ進学したいと懇願しても、父は、高校なら地元の分校で十分だ。中卒で働いてほしいくらいだ。と曰わった。

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友達は、ひとりもいなかった。

というより、出来なかった。

作りたくとも、そもそも 同年代の子どもたちと接する機会すらなかった。

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ここから3キロほど離れた高校の分校へ、毎日徒歩で通学していたが、高校は、最高につまらない場所だった。授業で当てられることはほとんどなかったし、クラスの誰よりも早く、正確な解答を導き出したとしても、指数計算が完璧に出来ても、国語の漢字テストで満点をとったとしても、担任も教科担当教師も、同級生ですら誰も褒めてはくれなかった。

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ーどんなに頑張っても 置かれている環境や、場所が悪ければ、どうしようもねえんだな。

毎日が、つまらなかった。

俺はいつも、流れる雲を目で追い、眼の前に広がる海に語りかけながら過ごしていた。

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ある夏の日、いつものように海を眺めていると、祖父が冷たいラムネをくれた。

よく店の人が売ってくれたな

と皮肉を込めて話すと、

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「あいつらは、金さえあればそれで十分なんだよ。つまらねぇ生き物さ。」

苦々しい顔で呟いた。

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ラムネを飲み干したあとで、瓶の中のビー玉を取ろう躍起になる俺に、「やめとけ。その瓶わな。玉が取れね終えように作られてっから。」と言って、ほら。もう一本飲めといわんばかりに、俺の胸にラムネを押し付けた。

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「つめてぇ。爺ちゃんは、飲まないの。」

祖父は、首を縦にふると、空になったラムネの瓶を拾い上げると、

「こん玉のように、望んでも手に入らないものもあるんだわ。」

そっと目を閉じた。

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「なぁ、爺ちゃん。俺、この村を出て、東京へ行くわ。」

と言った。

「ほう。東京とは、でっかくでたな。おまえ、今年でいくつになる。」

「今年高校を卒業したから、19だ。」

「ほほう。そうか。たしか、おまえは、早生まれだったな。」

祖父は、目を細めた。

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「ほんとうに、望むものが手に入らないのか試しに行く。」

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「好きにしたらいい。だが、ここを出ることは、誰にも言うな。ひっそりと出ていけ。」

「父さんや母さんにも?」

「あぁ、気づかれたら最後、もうここからは一歩も出られなくなるからな。」

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俺は、その日を境に生活を一変させた。

朝から晩まで、遮二無二働き、上京する交通費と、当面の生活費を必死で貯め、年を越した3月20日、春彼岸の日に、あの忌まわしい村落に別れを告げた。

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ラムネを飲んだあの日。

祖父との会話を思い出しながら、流れる雲を眺めていると、車内販売の声が聞こえてきた。

「冷たいラムネはいかがですか。」

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「あ、ください。一本、いや二本。」

ひんやりとした感触が指先に伝わる。

手にしたラムネは、あの日祖父がくれたものと瓜二つだった。

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「お盆休みに、帰省するんですか?」

「えぇ、まぁ。」

「どちらまで。」

「Y町のあたりです。」

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「そうですか。あのへんも、随分変わりましたね。」

「そうですね。」

「平成になってからは、あのあたりは、廃村になったところもありますから。」

「みたいですね。」

俺は、言葉を濁した。

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「ちなみに、◯☓集落は、今、どんな感じなんでしょう。」

10年いや正確には12年ぶりに訪れる生まれ故郷の村の名を口にした。

売り子の男性は、一瞬ぽかんとしていたが、

「あそこは、平成になる前、もう昭和の後半から誰も住んでいませんよ。」

と言った。

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「あぁ、そうでしたね。うっかりしていました。」

「一応、国道は通っているし、近くにダムが出来たので、バスは、一日数本走っているみたいですが。」

ーバスは通っているのか。なら、帰省できるわけだ。

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実家につく頃には、とっぷりと日が暮れて、辺りは静寂に包まれ、供養提灯のあかりが、玄関先を寂しく照らしていた。

ーどうせ、弔問客など来ないんだろうな。

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家の中は、葬式だというのに、ぼんやりとした明かりしかなく、父と母の顔も心なしか生気がなかった。

奥の間に通され、横たわる祖父の亡骸を目にし、俺はゾッとした。

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祖父の首から上がなかった。

つまり、顔がない。

うわぁぁぁ

大声を陰て叫び続ける俺の横で、

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「なんかぁ、お前もあいつらと同じになったんか。」

傍らに立つ父が、怒号を浴びせた。

「お前、父ちゃんと母ちゃんに黙って東京に行ったよな。まさか、その前に、爺ちゃんから何か飲まされたか。」

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「なんだよ。急に。知らねぇよ。冷えたラムネを二本もらっただけじゃ。」

困惑した父は、頭を抱えたまま、へたへたとしゃがみこみ、

畳を叩きながら、

「なんでだ。なんでだ。ひでぇじゃねえか。」

号泣しながら叫び続けた。

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母は、父の背後にまわると、背中を擦りながら、

「仕方ないよう。この子は、本物の人間になってしもた。もう・・・諦めよ。」

と呟いた。

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それから、徐ろに俺の方に向き直り、母は、

「今まで黙っていてすまなかったね。」

「私達のことは忘れてな。もう、あんたは、漂流者(ながれもの)ではないから。安心してな。」

「ちゃんと、手も足も身体もある。おまえは、生きている。何も心配しなくていい。」

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「わかった。俺は、今夜一晩、爺ちゃんの亡骸と一緒に寝る。明日朝一番のバスに乗って帰るから。」

両は、静かに頷き、

「私達もそうやけど、ここにいる人達は全員、もう何もせん。何もできんひんから安心してな。所詮、漂流者や。そう心を強く持って、朝まで頑張ってな。」

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「ほな。時間が来たから行くで。大丈夫だ。おまえは、俺たちの子やさかい。」

両親は、別れを惜しむかのように、その場を立ち去った。

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その刹那、居間、台所、玄関先の提灯の微かな明かりが消え、辺りは、漆黒の闇に閉ざされた。

ざわざわざわ

何かが蠢きながら こちらの様子を伺っている。

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ズリズリズリ

腹ばいになりながら、地面を摺る音

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ズズズズズズズ

何かを引きずる音?

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びちゃびちゃびちゃ

液体を啜(すす)りあげる音

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鼻をつくような 血なまぐさい強烈な鉄の匂いとともに、祖父の遺体を貪り、食い尽くす亡者たちの音が、俺の耳に飛び込んでくる。

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研ぎ澄まされた五感のせいで、数回嘔吐反射を繰り返すも、俺は、今、この瞬間自分の目の前で起きている理不尽かつ不条理な状況を必死で耐抜くことを決意した。

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蠢く黒い影は、やがて大きな塊となって、俺の頭上に漂い始めた。

壁、廊下、天井から、数十人、いやそれ以上の視線が 俺ひとりに注がれている。

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背筋がゾクゾクとし、歯がガチガチと音を立てている。

朝までまんじりとも出来なかったが、父と母が話してくれたように、それ以上のことは何もおこらなかった。

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その昔、祖父が読んでくれた『雨月物語』の中の『浅茅が宿』と『青頭巾』を思い起こしていた。青頭巾は、たいそう恐ろしい怪談ではあるが、どこか物悲しい人間の性(さが)のような思いに至らせてくれる。

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そんなことを思いながら、俺は、いつの間にか、寝入っていたらしい。

気がつくと、陽は、かなり高くなっていた。

俺は、朝露に濡れた廃屋で目を冷まし、近くのバス停で路線バスを待った。

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降りる人も乗る人も見たことがないバス停から、盆の帰省客と思しき客を乗せた運転手が目を丸くしたまま、話しかけてきた。

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「お客さん。昨夜は、どちらにお泊りになられました?」

「俺の実家です。」

「・・・・・・」

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「あの辺りは、もう30年以上前に、廃村になりましたよ。どなたも、住んでいないはずですが。」

「そうですか。まぁ、多少あばら家ではありましたが、泊まれましたよ。」

俺は、怪訝な顔で俺を見つめる運転手に、笑みを浮かべ、席についた。

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俺のふるさとは、もう、どこにもない。

だが、俺には、守るべき かけがえのないか家族がいる。

俺は、今を生きる。

命ある限り。ずっと。

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