[夏日风声]荷西与汤立

iamk 日本恐怖故事 2023-07-24 08:30:01 387 0

∀我能听到蝉鸣。

‖与办公室的安静相反,外面还是很吵。即使我隔着玻璃呆呆地看着外面,也没有一个人经过。被阳光加热的混凝土像某人的记忆一样摇晃。那天和今天一样,是一个盛夏的日子,热气腾腾。红着眼睛的女孩背着一个红色的书包独自走着。我叫她,走近她,抚摸她的头。她看到我,淡淡地笑了笑。我对她说了什么记不清了,好像是遥远的夏天。从微微打开的记忆抽屉里出来的话语,如热雾般摇曳。

“雏是人类。那种能力就是她的个性。”

自从我的妹妹雏被杀后,我改变了吗?我现在是谁?我……

』突然,我看着坐在沙发上看书的女孩。她似乎也注意到了我的目光,我们对视了一眼。

“什么?”

“不是,我在想你在看什么”

‖女孩笑着在书上签了个书签,我翻[文]了翻盖在这边

“这是萨根的小说,我是从哥哥那里[章]借来的。”

“哦,想起来了,我也看过零。” /p>

「是啊。爱……当我听到萨根时,我想到了这个词。我爱你吗关于她,关于铃奈。

正想着,办公室的门开了。

“我到家了~。琴叶,志咕同学,谢[来]谢你的答录机。”

“欢迎回来,零”

“欢迎回来回来了。”

< 两人迎接回到家中的事务所长神原零。然后,我的智能手机突然震动了。看了一下画面,是铃菜发来的。当您打开对话屏幕时,会出现一条消息,上面写着“我们去约会吧”。没有理由不这样做。我太忙了,没空。

〉○

〉奇怪。虽然这么热,但车站附近的[自]小镇上人还是很多的。不,我只是因[i]为我们住在乡下而有这种感觉。真正[a]的城市不会是这个样子。

「喂喂喂,我们去吃冰激凌吧」

〉走在我身边的铃菜走到我面前说道[m]

“好的,但是在哪里?”

“就是这里!”

她指了指百货公司。当我将视线转向[k]那个方向时,我看到视线的边缘有什[.]么东西在移动。那是一条鱼

“咦,有条鱼。”

我看着在空中优雅游动的红色鱼儿,[c]对铃奈说道。

“哦,是啊!不过好像比以前少了。[n]

“是这样吗?”

“是啊,有些东西,之前我们出生了[恐],好像见的比较多,最近很少见了。[怖]雏子酱说:“为什么?”

〉只有我们才能看到这只做不到的美[鬼]丽的鱼.自从我在夏日祭典上见到你[故]?就在这时,我听到了铃奈的消息。[事]这条鱼是死者伪装的灵魂。

“死者的灵魂……好奇怪啊。”

“好神奇。

“呵呵,速食冰激凌~”

“啊哦,原来如此”

∀店内很酷。在百货公司二楼的咖啡厅里,我们一边闲聊一边放松。铃菜开心地吃着加了冰淇淋的夏日芭菲。至于我,我还没有饿到吃冰咖啡或冻糕的地步。

‖突然,我的视线落到了铃菜的左手腕上。隐形怪物的事情发生后,我开始有些担心了。铃菜察觉到我的视线,露出了些许不安的表情。

“果然是好奇……”

她苦笑着说道。他左手腕上的伤疤,[文]想必是受苦的结果。

“……嗯,自残是因为受到了伤害。[章]既然如此,那铃菜的心也受了那么大[来]的伤。所以没关系。那些伤疤已经是[自]一部分了你的。我认为无论发生什么[i]事,铃菜都会一直这样。” 但她的痛苦属于她,我无法触及她。[a]相反,我想无论如何我都会接受她。[m]稻田。

“是啊……我还是第一次被人这样说[k],哈哈哈哈,手势真有意思。” 怎么看都觉得很好玩。与往常谈论那[.]个怪物时的讽刺表情不同,她似乎很[c]享受。

“哦,有意思吗?嗯,这之后你打算[n]怎么办?”

“嗯。说吧!”

〉我也同意。今天不知何故是和平的[恐]。不,我想知道这个夏天是不是不忙[怖]

〉○

〉到达保月堂的时候,天空下起了雨[鬼]。这是淋浴。当我匆匆走进店内时,[故]除了十六夜先生之外,还有一个面孔[事]很熟悉的人。

“哦,来吧,你们两个。正在下雨。[文]

十六夜日菜子先生。在光线昏暗的小[章]巷里经营着名为 Hozukido 的糖果店的女孩的妖怪。

“你好。长坂同学!?你怎么来了?[来]

“哦,志流香。我刚刚和日菜子说起[自]你了。

还有一个中年男人叫长坂先生,他是[i]我的熟人,是神道教的牧师。

“啊!请问是长坂先生吗?很高兴认[a]识你,铃奈!”

『铃奈说着举起了右臂。

“是吗?小铃菜是你玩的女朋友,我[m]听日菜子说的。”

〉长坂先生笑着说道。

“我的意思是,你们两个有什么样的[k]关系……?”。

“嗯,是很久以前的小熟人了。”>

『长坂先生看着我们。对于这个问题,铃菜像是想起了什么似的回答道。

“啊,对了,雏子酱!我刚刚看到了[.]一条鱼!我在百货公司门前在空中游[c]泳!”

∀淡淡的微笑。

“对啊~,你还在啊……呜呼呼,有[n]点怀旧啊。”

『十六夜先生这么说着,看着长坂先[恐]生。长坂先生也说:“啊啊。”一边[怖]说着一边对着十六夜同学的视线弯下[鬼]腰,在一张圆椅上坐下。

“对啊,正好是20年前的事了,日[故]菜子,这是个好机会,你要不要跟这[事]些孩子说说呢?”

“是啊,那个我

〉十六夜先生苦笑着说道。

「诶,什么?你们在说什么?」

铃菜饶有兴致地向两人问道。十六夜[文]小姐听了哈哈大笑,开始和长坂先生[章]怀旧地聊起了那个古老的故事。

〉○

〉从十六夜先生那里听来的故事。

〉强烈的阳光照射下来。蝉鸣的声音不能说是美妙的。与此同时,我一个人走在和往常一样的路上。这是一个下午的散步。

‖继续住在同一个城镇。或许正因为如此,小镇的地图大部分时间都在脑海里,不知不觉间,我就站在了一个人类的特定位置上。我一开始就不是人。还有其他以人类形态生活的妖怪。做坏事的妖怪也是如此。但是对于我来说……我的心,或许已经变成了接近人类的东西了。

他总是很健谈,也很聪明。我也完全[来]知道我是一个高尚的人。尽管如此,[自]他从未表现出恐吓行为。不是因为有[i]人告诉我这样做。这么想是很自然的[a]。因为我不想成为坏人。这可能是最[m]好的理由。

“你今天出去散步吗?”

〉一个男人的声音突然从身后传来。我转身,看到一张熟悉的面孔。

“怎么,你又来欺负我了?”说着笑道。这个名叫长坂的人是当地神社的神道教牧师。那是因为,从表面上看,他实际上是一个有点危险的人。

“萝莉控这么执着我要报警了。”

[夏日风声]荷西与汤立 日本恐怖故事

我被他的话吓了一跳,想动手打他,[k]但是我不喜欢伤害人。

“这就是我不喜欢人的原因”

∀我差点吐不出来。我能感觉到有什[.]么东西从我的眼睑流下我的脸颊。

“喂,你说多了,对不起,别报警了[c]。”

“你把一个女孩子都弄哭了。”

「你是女生……・不好意思,说多了[n]。要吃糖吗?」

他从和服的袖子里拿出一颗糖。

“……哇”

“什么叫哇!糖抓不到鱼也没办法……”

吵着吵着,不知不觉,我们两个坐在了河边的长椅上。

‖大约两年前,我认识了他。那时我一定出去散步了。刚好看到一个人神色可疑,便顺势追查,原来是在松林里捉杀一只猫。我实在看不下去了,就喊那人,让他把猫放了。男人似乎看穿了我恶魔的真实身份,放走了猫之后,又用魔法想要抓住我。当时,我立马跑了,但从那以后,这个男人就一直执着于我。

“喂,你不讨厌人吗?”

“人们……也许我喜欢他们。但我讨[恐]厌你。”

“嗯,说完你就会和我在一起。”

>

‖说这话的时候,他斜眼看了我一眼。

“是因为你太执着了吧?或者说,你在改变策略?你用魔法抓不住我,所以要我给你起名字?”< /p>

“和你一样,我讨厌直觉好的孩子。”

“我不是孩子。”

∀我现在还后悔为什么要追这个家伙[怖]那时。真是个令人毛骨悚然、令人作[鬼]呕的家伙。

“喂”

说着,我抬头看了他一眼。

“什么?”

“你为什么对我着迷?”

‖他想了想才回答。

“不知道,挺有意思的,好像和我完[故]全相反,但还是有一些相似的地方,[事]我就是这么觉得的。”

“多么相似啊

『当我勉强说的时候,他苦笑了一下。

“很痛。你是妖怪,但你很有趣,因为你是人类。

‖当他这么说的时候,我看着他的脸,我可以看到他脸上有一种悲伤的表情。

“神父在说什么?你看,你是与神有[文]关的人,要坚强。”

“哈哈哈,没错,我是神父

他苦笑了一下。

‖忽然,我的视线边缘看到有什么东[章]西在动。

“这是一条鱼”

‖说这话的人就是他。我也看了鱼。[来]给在空中优雅游动的鱼儿。

“那边有一条”

‖二、三、四……无数美丽的鱼儿在[自]空中游来游去。我感到有什么东西落[i]在我的脸颊上。下雨了。

“冲个澡?”

‖他小声说。我们在附近的一座桥下[a]避难。从此,我们看着无数的鱼儿在[m]淋浴间优雅地游动,一言不发地等着[k]雨停。

〉○

〉听到下雨的声音。雨滴落在柏油地[.]上的声音,雨滴落在屋顶上的声音,[c]雨水浸湿街道的声音……当你听到那[n]些声音时,似乎过往的记忆神秘地苏[恐]醒了。十六夜同学告诉我的故事,是[怖]关于过去这个小镇发生的一件小事。[鬼]在我们出生之前,十六夜先生和长坂[故]先生在这个小镇上一点点地互相敞开[事]心扉的那一刻的故事。

“日菜子酱,你现在和过去都很可爱[文]~”

『铃奈边说边抚摸着十六夜同学的头[章]

“伊言,铃酱~”

“长坂先生,您当了很久的神道教僧人对吧?我听说过不好的传言,但我不知道这是真的.. 。

“嗯,你知道传闻吗?嗯,不用再隐瞒了。”

长坂先生看了我一眼,继续说道。不,这是潜伏在我眼睛后面的东西。您可能会预料到这一点。

“我可是巫师联盟的关注对象,御影[来]这个名字好耳熟啊。”

〉影子……这个名字我听过很多次了[自]。不会吧……我想当我猜到那个的时[i]候,我脸上的笑容消失了。

“我就是那个御影”

〉一直以来信任的人的突然告白。我[a]该如何接受呢?起初我就是这么想的[m]。但是……

“是这样吗?但是对我来说,长坂先[k]生就是长坂先生。”

“谢谢。

我没有只能这么想。再说了,如果这个人是御影的话,我还有很多事情想问。

“长坂先生,能问你一件事吗?”

〉长坂先生默默点头。

``你是那个诅咒莫拉暴走并在龙河岛放出食灵怪物的人吗?''我想在这里说清楚它可能。及其目的。

“T支部一定有一个叫北上昴的青年[.],他曾经伪装成警卫的间谍来到我家[c]。”

『昴是御影的,我有从零开始听说他[n]要去那里当间谍。

“你是怎么伪装成某人的?”

当我问到时,长坂先生微笑着回答。

“那是一种灵魂出窍的体验。它劫持了警卫的思想。”长坂先生继续说道。

“天赋不错,看样子是看守,不过也会使用星术,嗯,没关系,我都跟他说了,听说他会,我还挺意外的。”< /p>

“你的意思是……”

“诅咒莫伊拉的不是我。之后,昴直[恐]接来找我,问我他对虫子做了什么.[怖]他说连魔法都跟我一样。”

‖听说。我确实记得。在夜祭之后举[鬼]行的封印仪式之后,昴说这可能是御[故]影所为。

“但我不记得对莫伊拉做过那样的事[事]。之后,昴几次来我家,谈了很多事[文]情,包括龙岛。”

‖他继续说道喝了一口茶后的谈话。[章]

“我确实卷入了龙岛事件。它是只在黄昏才会出现的妖怪。公园关闭后,我认为没有人。我把它放出来吃烈酒,但我后悔这是浪费钱,因为它出奇的小。龙岛,恶灵的数量一定是异常了。”

``是的。长坂同学点了点头。铃奈突然插话。

“喂,长坂同学,你知道志古的双重[来]人格吗?”

〉长坂先生含糊地点点头。

“你现在一定醒了,出来一下”

〉他这么一说,我身体的主动性就变了。

“你是说我?”

“哦,你马上就来了,看来你的状态[自]已经不错了。”

“多亏了你。>长坂先生和咲希开始亲密交谈.这是什么意思?你们认识吗?铃奈也被这一幕惊呆了。

“暂时来说,你过得好就好,这么快就出来了,很抱歉,不过转身你会接手吗?”

『听到咲希这么说,我的意识恢复了自由。

“长坂先生,您这是什么意思?”

“我之前跟咲希谈过,还是问问比较[i]好,这样你就知道多了关于你妹妹的[a]事。”

“咲希知道雏的事吗!?”

我不自觉地提高了声音。

“啊,冷静点,志咕,你说的,最近[m]怪事多,有事,我也在调查。”

“是不是有什么我们可以做的吗?”[k]我要去见支部长。到时候我会谈各种[.]事情。”

“零的父亲?”>

正人魔导联合会T分会长神原是零的父亲。很多事情在我不知道的地方兜兜转转。显然我在那个漩涡中不知不觉看来他和我们家有关系。

“谢谢你,长坂先生”

〉这句话自然而然的从我嘴里说了出[c]来。

“哦?那个,你突然怎么了?”

“不,长坂同学是个好人。啊,我应[n]该叫你御影同学吗?” ”

‖当我开玩笑地问长坂先生时,他苦[恐]笑了一下。

“一如既往的好,御影是临时起的名[怖]字。”

“明白了,长坂先生!”

〉雨停了我在听。从保月堂可见的黑[鬼]暗小巷变得更加黑暗。

“诗谷,我们早点回家吧”

〉铃菜看着我说道。脸上带着笑意。[故]

“就是这样”

‖什么是对的,什么是错的,都无所[事]谓。不管长坂先生在幕后做什么,对[文]我来说,他就像是一个守护者,一个[章]导师。所以我只是跟着我的心走。怀[来]着这样的心情,我离开了保月堂。

‖○

‖雨后的星空下,我们两人并肩前行[自]

直到现在,我都在想着要向杀了雏的人报仇。 > 铃菜凝视着我的脸。一个温柔的微笑。

“某事……不知何故。因为我是这么认为的。”

〉这确实是唯一的方法。没有别的原因。

“呵呵,原来如此,我觉得还不错![i]

‖她在笑。那笑容肯定了我的回答。[a]

“铃菜!”

“咦!?”

・・・

∀看不清脸。我不知道你长什么样但她的唇很软。

“……对不起铃菜,我太高兴了。”

“谢谢你的手势”

‖看她的脸。她的脸上带着温柔的微[m]笑。

“Suzuna,这是给你的”

‖我想不出一个严肃的词,可能是因[k]为我害羞。尽管如此,铃奈还是笑了[.]。我想这是我第一次看到她这样笑。[c]看起来像那样是因为我比平时更紧张[n]我想知道?仍然……如果是这样,我[恐]很高兴。

「我们回家吧~」

〉铃菜向前迈出一步,如此说道。

“我们回家吧”

我也跟着她走。明天会发生什么一边将这种夹杂着期待和不安的心情转化为前进的动力。


作者:mahiro
原文:【夏風ノイズ】ジョゼと夕立

 蝉の声が聞こえる。

 静まり返った事務所に反して、相変[怖]わらず外は騒がしい。硝子越しにぼ[鬼]ーっと外を眺めていても、人っ子一[故]人通らない。太陽に熱されたコンク[事]リートは、誰かとの思い出のように[文]揺らいでいる。あの日も、今日と同[章]じように陽炎の立ち揺らめく真夏日[来]だった。赤い目の少女は、赤いラン[自]ドセルを背負いながらたった一人で[i]歩いていた。俺は彼女に声を掛けて[a]近寄り、頭を撫でる。彼女は俺を見[m]ると、儚げに微笑んだ。俺は、彼女[k]に何と言ったのだったか。遠い夏の[.]ことのように、はっきりと思い出せ[c]ない。僅かに開いた記憶の引き出し[n]から出てきたその言葉は、陽炎のよ[恐]うに揺れていた。

「ひなは人間だよ。その能力は、ひ[怖]なの個性だから」

 妹のひなが殺されてから、俺は変わ[鬼]ってしまったのだろうか。今の俺は[故]、誰なのだろうか。俺は・・・

 ふと、ソファに座り本を読んでいる[事]少女の方に目をやる。彼女も俺の視[文]線に気が付いたようで互いに目が合[章]った。

「何か?」

「いや、何読んでるのかなと思って[来]

 少女は微笑みを浮かべながら本に栞[自]を挟み、表紙をこちらに向けた。

「サガンの小説です。兄から借りて[i]て」

「そっか、そういえばゼロも読んで[a]たなぁ。琴羽ちゃんもそういうの読[m]むんだ」

「はい。私、けっこう好きなんです[k]

 中学二年生でサガンを読むとは、な[.]かなかいいセンスかもしれない。愛[c]・・・サガンと聞いてその言葉が脳[n]裏に浮かんだ。俺は、愛せているの[恐]だろうか。彼女を、鈴那のことを。[怖]

 そんなことを考えていると、事務所[鬼]の戸が開く音がした。

「ただいま~。琴羽、しぐるさん、[故]留守番ありがとうございます」

「おかえり、ゼロ」

「おかえりなさい」

帰宅した事務所の所長、神原零を二[事]人で迎える。と、不意に俺のスマホ[文]が振動した。画面を見ると、鈴那か[章]らだ。トーク画面を開くと「デート[来]しよー」と書かれたメッセージがあ[自]る。断る理由などない。暇すぎて干[i]からびそうだ。

   ○

 不思議なことだ。これほど暑いとい[a]うのに、駅近くの街には人が多い。[m]いや、俺達の住んでいる場所が田舎[k]だから、そう感じるだけか。本当の[.]都会は、こんなものではないだろう[c]

「ねぇねぇ、アイス食べにいこーよ[n]ー」

 隣を歩いていた鈴那が俺の一歩前に[恐]出て言った。

「いいけど、どこにする?」

「ここだっ!」

彼女はそう言ってデパートを指さし[怖]た。そちらに目を向けると、視界の[鬼]端に何かが動いているのが見えた。[故]魚だった。

「なぁ、魚がいる」

俺は宙を優雅に泳ぐ赤い魚を見なが[事]ら鈴那に言った。

「あ、ほんとだ!でも、昔に比べて[文]少なくなっちゃったみたいね」

「そうなのか?」

「うん、なんか、あたしらが生まれ[章]る前はもっと頻繁に見られたらしい[来]んだけど、最近はこうして稀に見る[自]程度でしょ。なんでかな~って、日[i]向子ちゃんが言ってた」

 俺達にしか見ることの出来ないこの[a]美しい魚。夏祭りの時に見た以来か[m]。ちょうどその時に鈴那から聞いた[k]のだ。この魚は死者の霊魂が姿を変[.]えたものなのだと。

「死者の魂がなぁ・・・不思議だ」[c]

「不思議だらけよ。ほんと・・・ね[n]

彼女はそう言うと俺の手を取った。[恐]

「へへっ、はやくアイス~」

「あ、おぉ、そうだな」

   ○

 店内は涼しい。俺達はデパートの二[怖]階にあるカフェで取り留めのない会[鬼]話をしながら涼んでいた。鈴那はア[故]イスが乗っかった夏限定のパフェを[事]嬉しそうに食べている。俺はという[文]とアイスコーヒー、パフェを食べら[章]れるほど腹は減ってない。

 ふと、俺の視線は鈴那の左手首へい[来]った。見えない怪物の一件があって[自]から、少し気にしてしまう。鈴那は[i]俺の目線に気付くと、僅かに困った[a]ような表情を浮かべた。

「やっぱり、気になるよね~・・・[m]

そう言って彼女は苦笑した。左手首[k]の傷痕は、苦しみから生まれたもの[.]なのだろう。

「・・・いや、自傷ってさ、心に傷[c]を負ったからするものだろう。なら[n]、鈴那の心はそれだけ傷ついてるっ[恐]てことだ。だからいいんだ。その傷[怖]は、もうお前の一部なんだから。鈴[鬼]那は何があっても鈴那、そういうも[故]のだと思うんだ」

 途中から何を言っているのか自分で[事]もよくわからないが、彼女の痛みは[文]彼女のものであって、俺が下手に触[章]れることはできない。その代わりに[来]、彼女に何があっても受け入れよう[自]と、そう思った。

「うん・・・なんか、そんなこと言[i]われたの初めてだ。ヒャハハッ、や[a]っぱりしぐは面白いなぁ」

 そう言って照れ臭そうに笑う彼女は[m]、どこか楽しそうだった。いつもの[k]、あの怪異を語るときの皮肉めいた[.]表情とは程遠い、楽しそうな彼女。[c]

「お、面白いか?まぁいいや。なぁ[n]、この後どうする?」

「う~ん。あ、鬼灯堂行こうよ!日[恐]向子ちゃんに魚見たこと言おう!」[怖]

 俺もそれに賛成した。なんだか今日[鬼]は平和だ。いや、今年の夏が忙しな[故]いだけだろうか。

   ○

 鬼灯堂に着く頃、空からは雨が降っ[事]てきた。夕立だ。急いで店内へ入る[文]と、十六夜さんの他に俺の見知った[章]顔の人物がもう一人いた。

「あら、二人ともいらっしゃい。雨[来]降ってきたわね」

 十六夜日向子さん。薄暗い路地で鬼[自]灯堂という駄菓子屋を営んでいる見[i]た目少女の妖怪だ。

「こんにちは。で、長坂さん!?な[a]んで居るんですか?」

「おお、しぐるか。ちょうど日向子[m]とお前の話をしていたところだ。噂[k]をすれば影というものだな」

 もう一人居たのは、俺の知り合いで[.]神主をやっている長坂さんという中[c]年の男性だった。

「あっ!この人が長坂さん?初めま[n]して鈴那でーす!」

 鈴那はそう言って右腕を挙げた。

「そうか~君がしぐるの彼女の鈴那[恐]ちゃんか。日向子から聞いてるぞ」[怖]

 長坂さんは笑顔で言った。

「というか、お二人はどういったご[鬼]関係で・・・?」

俺がそう訊くと、十六夜さんはニコ[故]ニコと笑いながら答えた。

「なぁに、昔からのちょっとした知[事]り合いよ~。ね~」

「うむ、そんなもんだ。ところで二[文]人とも、何の用だ?」

 そう言って長坂さんが俺達を見やっ[章]た。その問いに、鈴那が思い出した[来]かのように身を乗りでして答える。[自]

「あっ、そうそう日向子ちゃん!さ[i]っきね、魚見たんだよ!デパートの[a]前の宙を泳いでた!」

 すると十六夜さんは「あら~」と言[m]ってにこやかな笑みを浮かべた。

「そうなのね~、まだいたのね・・[k]・ウフフ、なーんか懐かしいわねぇ[.]

 十六夜さんはそう言って長坂さんを[c]見た。長坂さんも「ああ」と言いな[n]がら十六夜さんに目線を合わせるよ[恐]うに腰を屈ませ、丸椅子に腰かけた[怖]

「そうだなぁ。今から、ちょうど2[鬼]0年くらい前だったか。日向子、い[故]い機会だから、この子達に話してみ[事]ないか?」

「ええ、そのつもりだったわ」

 十六夜さんは少し苦笑しながら言っ[文]た。

「え、なに?何のこと?」

 鈴那が興味深そうに二人へ訊いた。[章]十六夜さんはそれにウフフと笑いな[来]がら、長坂さんとの昔話を、懐かし[自]そうに語り出したのだった。

   ○

 十六夜さんから聞いた話。

 強い日差しが照り付ける。蝉たちの[i]奏でる音色は、お世辞にも綺麗だと[a]は言えない。そんな中、一人ぼっち[m]の私はいつもと同じ道を歩いていた[k]。昼下がりの散歩だ。

 相変わらずの町に、ずっと住み続け[.]ている。そのせいか、町の地図はほ[c]ぼ頭の中に入っているし、気付けば[n]、人間としてそれなりの地位にも立[恐]っていた。元々、人ではないのに。[怖]こうして人の姿をして生活している[鬼]妖怪は他にもいる。それで、悪さを[故]している妖怪も。けれど私は・・・[事]私の心は、もう人に近いものになっ[文]てしまっているのかもしれない。

饒舌なのは昔からで、頭もよかった[章]。私は高貴な存在だということもし[来]っかり自覚していた。それでも、決[自]して威張るようなことはしなかった[i]。誰かに言われたからではない。自[a]然とそんな考え方になっていたのだ[m]。悪者になりたくないから。それが[k]一番の理由かもしれない。

「今日も散歩か?」

 不意に背後から男の声がした。振り[.]向くと、見知った顔がある。

「なによ、またいじめに来たの?」[c]

「滅相もない。たまたま見かけたか[n]ら声を掛けただけだ」

 男はそう言って微笑を浮かべた。こ[恐]の長坂という男は、地元の神社で神[怖]主をしている。というのは表の顔で[鬼]、本性はちょっと危ない人間だ。

「あんまりしつこいと警察呼ぶわよ[故]このロリコン」

「おいおい、お前自分の外見がそれ[事]だからって調子に乗るなよ。中身は[文]バケモンじゃないか」

 彼の言葉に少しカチンときた私は攻[章]撃をしようとも考えたが、人を傷付[来]けるのは好きではない。

「これだから人は好かないの」

 そう吐き捨てるのがやっとだった。[自]瞼から何かが頬を伝ってくるのがわ[i]かる。

「お、おい。ちょっと言い過ぎた。[a]悪かったよ。警察は呼ぶな」

「女の子泣かせた」

「女の子ってお前・・・まぁ、言い[m]過ぎたことは謝罪しよう。飴ちゃん[k]食べるか?」

彼はそう言って着物の袖から飴を取[.]り出した。

「・・・うわ」

「うわとは何だ!飴で釣れんのでは[c]仕方ないなぁ・・・」

 何だかんだ言い合いながらも、気が[n]付けば二人で河川沿いのベンチに腰[恐]かけていた。

 彼と出会ったのは、この時から二年[怖]ほど前のこと。確かその時も散歩中[鬼]だった。たまたま怪しい気を放つ男[故]を見かけて追跡してみると、松林の[事]中で猫を捕えて殺そうとしていたの[文]だ。見ていられなくなった私は男に[章]声を掛け、猫を逃がすように言った[来]。男は私の正体が妖だと見抜いたよ[自]うで、猫を逃がすと次は私を捕えよ[i]うと術を使ってきた。その時はすぐ[a]逃げたが、それからというものの、[m]兎に角この男は私にしつこいのだ。[k]

「なぁ、お前は人が嫌いでは無いの[.]か?」

 河の流れをぼーっと見つめながら飴[c]玉を食べる私に、隣の男はそう問い[n]かけた。

「人は・・・好きなのかも。でも、[恐]アンタは嫌いよ」

「ふん、そんなこと言って結局は俺[怖]と居るではないか」

 彼はそう言うとこちらを横目で見た[鬼]

「アンタがしつこいからでしょ!と[故]いうか、作戦変更ってわけ?術で捕[事]まえられないから手名づけようって[文]の?」

「全く、お前のような勘のいいガキ[章]は嫌いだ」

「ガキじゃないわよ」

 なぜあの時、この男を追ってしまっ[来]たのかを今でも後悔している。本当[自]に気味の悪い、嫌な男だ。

「ねぇ」

 そう言って私は彼を見上げた。

「なんだ」

「どうして、私に執着するのよ」

 彼は少し考えてから答えた。

「なんだろうな、面白いんだ。俺と[i]は真逆のようで、それでもどこか似[a]ている。そんな気がするんだよ」

「どこが似てるのよ」

 私が嫌そうに言うと、彼は苦笑した[m]

「傷つくなぁ。お前は、妖怪のくせ[k]に人間みたいなやつで面白いんだ。[.]でも俺は・・・人のくせに、闇を深[c]く覗きすぎてしまった」

 そう言った彼の顔を覗き込むと、ど[n]こか悲壮感に苛まれているような表[恐]情を浮かべているのが見受けられた[怖]

「神主さんが何を言ってるのよ。も[鬼]っとほら、神様と関わる人なんだか[故]らしっかりしなさいよ」

「ハハハ、そうだなぁ。俺は神主だ[事]った」

 彼は苦笑した。

 不意に、視界の端に何かが動いてい[文]るのが見えた。

「魚だな」

 そう言ったのは彼だった。私もその[章]魚に目をやった。宙を優雅に泳いで[来]いる魚に。

「あっちにもいるわ」

 二匹、三匹、四匹・・・と、無数の[自]美しい魚たちが宙を踊るように遊泳[i]していた。ポツリと、何かが頬に落[a]ちてきたような感覚があった。雨だ[m]

「夕立か」

 彼がボソリと呟く。私たちは近くの[k]橋の下へと避難した。それからはず[.]っと、夕立雨の中を優雅に泳ぐ無数[c]の魚たちを眺めながら、何を話すで[n]もなく、二人で雨が止むのを待って[恐]いた。

   ○

 雨の音が聞こえている。雨がアスフ[怖]ァルトの地面に落ちる音、雨が屋根[鬼]に落ちる音、雨が街を濡らす音・・[故]・その音を聞いていると、不思議と[事]過去の記憶が蘇ってしまうようだ。[文]十六夜さんが聞かせてくれた話は、[章]この街で過去にあった小さな出来事[来]。俺達が生まれる前、この街で十六[自]夜さんと長坂さんが互いにほんの少[i]しだけ心を許した瞬間の物語。

「日向子ちゃん、今も昔も可愛いね[a]ぇ~」

 鈴那がそう言いながら十六夜さんの[m]頭を撫でる。

「イヤン、すずちゃんったらもう~[k]

 満更でもなさそうな十六夜さん、確[.]かに可愛らしい。

「長坂さんって、長いこと神職をさ[c]れてるんですね。それに、良くない[n]噂があるとは聞いたことがありまし[恐]たけど、まさか本当だったとは・・[怖]・」

 俺が苦笑しながら言うと、長坂さん[鬼]は少し真面目な表情になった。

「ほう、噂程度はお前にも知られて[故]おったか。まあ、もう隠す必要も無[事]いだろう」

 長坂さんは俺の目をじっと見つめて[文]から話を続けた。いや、俺の目の奥[章]に潜むもの。それを見据えているの[来]かもしれない。

「俺はなぁ、お前たち呪術師連盟が[自]要注意人物としている者だよ。御影[i]という名に聞き覚えがあるだろう」[a]

 御影・・・その名前なら何度も聞い[m]た。まさか・・・それを察した俺の[k]顔から笑顔は消えていたのだと思う[.]

「俺がその御影だ」

 今まで信頼していた人の、突然の告[c]白。それを、俺はどう受け止めれば[n]いいのだろう。と、初めはそう思っ[恐]た。だけど・・・

「そうだったんですか。でも、俺に[怖]とって長坂さんは長坂さんですよ」[鬼]

「ありがとう。お前ならそう言って[故]くれると思っていた」

 そう思うしかなかった。それに、こ[事]の人が御影なら訊きたいことが山ほ[文]どある。

「長坂さん、訊いてもいいですか?[章]

 長坂さんは無言で頷いた。

「蛛螺を呪詛で暴走させたのも、龍[来]臥島に霊を喰う怪物を放ったのも、[自]貴方なんですか?」

 今まで御影という男が関連してきた[i]かもしれないことを、ここではっき[a]りさせておきたい。そして、その目[m]的も。

「T支部に北上昴という青年が居る[k]だろう。彼がスパイとして俺の家の[.]守衛に成りすまして来たことがある[c]よ」

 昴が御影のところにスパイとして行[n]っていたのはゼロから聞いていた。[恐]

「成りすますって、どうやってです[怖]か?」

俺が訊くと長坂さんは少し笑みを浮[鬼]かべながら答えた。

「あれは幽体離脱だな。守衛の男の[故]精神を乗っ取っていた」

 幽体離脱、昴はそんなこともできた[事]のか。長坂さんは話を続けた。

「彼は有能だ。結界師が本職らしい[文]が、幽体術も使えるとは。まぁそれ[章]はそれでいい。彼には全て話した。[来]だから、蛛螺が彼を襲おうとしたと[自]聞いて驚いたのだ」

「と言うことは・・・」

「蛛螺に呪詛をかけたのは俺ではな[i]い。あの後、昴が直接俺の所へ来て[a]訊いてきたのだ。蛛螺に何かしたの[m]かと。呪術まで俺のモノそっくりだ[k]ったと言っていた。」

 聞いた。確かに覚えている。夜祭後[.]に行われた封じの儀式、それを終え[c]た後、昴は御影がしたことかもしれ[n]ないと言っていた。

「だが、俺は蛛螺にそんなことをし[恐]た覚えは無い。昴はその後も何度か[怖]家に来て、色々話をしたよ。龍臥島[鬼]のこともな」

 彼は湯呑のお茶を一口飲むと話を続[故]けた。

「確かに龍臥島の件は俺が関わった[事]。黄昏時以外は姿を現さない妖怪だ[文]。閉園後なら、人は居らんと思って[章]なぁ。霊を喰わせるために放ったん[来]だが、ヤツは意外と小食で無駄なこ[自]とをしたと後悔しておる。龍臥島、[i]悪霊の数が異常だっただろう」

「はい。あれだけじゃなくて、ここ[a]最近色々起こりすぎじゃないですか[m]?」

 俺の問いに長坂さんが頷く。と、不[k]意に鈴那が話に入ってきた。

「ねえ長坂さん、しぐの二重人格に[.]ついて何か知らないの?」

 長坂さんは曖昧に頷いた。

「もう目覚めておるだろう。ちょっ[c]と出てこい」

 彼がそう言うと、俺の身体の主導権[n]が切り替わった。

「俺様のことか?」

 俺・・・いや、俺の中に憑依してい[恐]るサキという蛇のバケモノがそう言[怖]った。

「おお、早速ご登場か。もう調子は[鬼]良いみたいだな」

「おかげさんでなぁ。憑依先がこい[故]つでよかったぜ」

 長坂さんとサキは親しく話し始めた[事]。どういうことだ?知り合いだった[文]のだろうか。鈴那もそれに唖然とし[章]ている。

「とりあえず、元気そうで何よりだ[来]。出てきてもらって直ぐで悪いが、[自]もうしぐると代わってくれるか?」[i]

「おい早いなぁ、まあいいや。じゃ[a]あな」

 サキがそう言うと俺の意識は自由を[m]取り戻した。

「長坂さん、どういうことですか?[k]

「サキとは、前に少し話したことが[.]あってな。まぁ、詳しい話は俺が話[c]すよりそいつから聞いた方がいいだ[n]ろう。その方がお前の妹さんのこと[恐]もわかるだろう」

「サキがひなのことを知ってるんで[怖]すか!?」

俺は思わず大声を上げてしまった。[鬼]

「ああ、まぁ落ち着け。しぐる、さ[故]っきお前が言った通り、ここ最近は[事]異常な怪異が多い。何かが起こって[文]いるんだ。俺もそれについて調べて[章]いる」

「俺達にも何か出来ないんですか?[来]

「お前たちは呪術師連盟の人間とし[自]て動け。昴が仲介してくれたおかげ[i]で、今度T支部の支部長と面会する[a]ことになっている。その時に色々と[m]話すつもりだ」

「ゼロの親父さんとですか」

「うむ」

呪術師連盟T支部の支部長、神原雅[k]人さんはゼロの父親だ。俺の知らな[.]いところで、色々なことがぐるぐる[c]と回っている。どうやら俺はその渦[n]の中に、知らず知らずのうちに巻き[恐]込まれていたらしい。

「長坂さん、ありがとう」

 その言葉は、俺の口から自然と発せ[怖]られた。

「お?うむ、どうした急に」

「いいえ、やっぱり長坂さんはいい[鬼]人だ。あ、御影さんと呼んだ方がい[故]いですか?」

 俺が冗談交じりに訊くと長坂さんは[事]苦笑した。

「今までどおりでいい。御影という[文]のは仮の名だからな」

「了解、長坂さん!」

 気付けば雨は止んでいた。鬼灯堂か[章]ら見える薄暗い路地は更に暗さを増[来]している。

「しぐ、そろそろ帰ろっか」

 鈴那が俺を見て言う。その顔は笑っ[自]ていた。

「そうだな」

 何が正解でどれが間違いかなんて、[i]そんなことはどうだっていい。長坂[a]さんが裏でどんなことをしていよう[m]と、俺にとっては保護者とか師匠の[k]ような存在だ。だから、俺は俺の心[.]のままに先へ進めばいい。その気持[c]ちを心の中でそっと抱きながら、鬼[n]灯堂を後にした。

   ○

 雨上がりの星空、その下を二人並ん[恐]で歩く俺達。

「俺さ、今まではひなを殺した犯人[怖]に復讐してやろうと思ってたんだ。[鬼]でも、もうやめた」

「どうして?」

 鈴那が俺の顔を覗き込む。優しい笑[故]顔だ。

「なんか・・・なんとなくかな。俺[事]がそう思ったから」

 本当にそれしかない。他に理由なん[文]て、何も無い。

「フフッ、そっか。いいと思う!」[章]

 彼女は笑っていた。その笑顔は俺の[来]答えを肯定してくれていた。

「鈴那!」

「ふぁっ!?」

・・・

 彼女の顔は見えない。どんな顔をし[自]ているのかわからない。でも、彼女[i]の唇は柔らかかった。

「・・・ごめん鈴那、嬉しかったか[a]ら」

 自分からしておいて恥ずかしがって[m]いるなんて、俺もまだまだ小さい男[k]だ。

「しぐ、ありがと」

 彼女の顔を見る。優しい笑みを浮か[.]べた彼女の顔を。

「鈴那、こちらこそだよ」

 照れているせいか、真面な言葉が浮[c]かばない。それでも、鈴那は微笑ん[n]でいた。彼女のこんな笑顔は初めて[恐]見た気がする。俺がいつもより緊張[怖]しているからそう見えるだけなのだ[鬼]ろうか?それでも・・・もしそうだ[故]としても、俺は嬉しかった。

「さ、帰ろ~」

 鈴那は一歩踏み出してそう言った。[事]

「ああ、帰ろう」

 俺も彼女に並んで歩いた。明日は何が起こるのだろう。そんな期待と不安の入り混じる感情も、前に進むための動力へと変えながら。

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