“人类0”

iamk 日本恐怖故事 2023-11-09 08:30:02 433 0

“你从东京远道而来,是吗?祝你好运。这是一个幸运苹果。”

“哦,伙计们。”

它太大了,我的手掌都装不下,而且[文]感觉意外地沉重。

我想尽量轻一点,就塞进羽绒服右边[章]的口袋里,然后赶往最近的车站。

20年前,给全日本造成巨大破坏的19号超强台风,无情地袭击了这座省城。

据说,这种苹果是“不落苹果”的后代,它经受住了50米以上的大风,克服了逆境,出色地上市了。

他一定很体谅我这个应试生。

3月下旬二次招聘。

我别无选择,因为我已经身处两波之中。

老板娘的善意,不敢触及话题,果农的智慧和内在的力量,试图从困境中恢复过来,似乎把我推回去了。我感到遗憾为了他。

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远处的山峰依旧被洁白的雪覆盖着。[来]

尽管晴空万里,但气温却在冰点以下[自]

即使戴着口罩,我的脸颊和鼻尖也冻[i]得发麻。

即使在脚后跟上加了一层抓绒,外面[a]再套上一件羽绒服,似乎也抵挡不住[m]从脚底升起的寒冷。

- 你他妈的穿靴子了。

我下了每小时只有几班的火车,步行了 15 分钟。

当我开始满头大汗,有些疲倦时,一栋典雅的西式建筑出现在茫茫雪原上。

我寄托着最后一丝希望,走进了大学校园。

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不知是准备不充分,还是出现意外问[k]题,接待晚了大约10分钟才开始。[.]

在雪国,这种程度的延迟可能是常有[c]的事。

多亏如此,我冰冷的身体才恢复了温暖。

考场里静得像过节一样,包括我在内只有大约30到40名考生。

-这对我来说是新的。招聘人数为2[n]0人。

当然,有一半是注定要“堕落”的。[恐]

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考试只包括作文和面试。

时间表是在早上完成。

考试前,空中播放了一位名叫校长的[怖]人的问候语和短信。

我认为总统是外国人。

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不知道是不是年龄的关系,对于日语[鬼]流利的人来说,牙齿发出的吱吱声和[故]假牙不太合适. 话筒里时不时传来噼里啪啦的声音,[事]我的耳朵很烦,虽然我不是特别紧张[文],但我也想不起来自己在说什么。

-嗯,我想这就是农村大学的样子。[章]

别拿史蒂夫·乔布斯在斯坦福大学毕[来]业典礼上的演讲来比。

我苦笑着低下了头。

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你以为史蒂夫·乔布斯会傻,会饿吗?

突然,我听到头顶传来小学生的声音。

我环顾四周,但我找不到任何看起来[自]像它的东西。

那是什么?

你听说了吗?

在我迷茫的耳边,我听到了第一节课的报时声。

调整好自己,挺直背部。

一次就是一篇作文。

一张上下写满方格的A3纸缓缓放在[i]我面前。

开始打开有图的作文试卷。

“以下摘自阿德勒的《快乐的勇气》[a]。说出你的想法。 (限时60分钟。””

- 妈的。阿德勒心理学。至于对策。

如果按照理论,应该用一个三段论:[m]一个介绍,一个正文,一个结论。

设置三个支柱。

支柱。

我想起了漫画中爆炸的角色

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(stupid!)

Oh, what is it?

(He said stupid.)

又是那个孩子的声音。

(如果我有时间读书,我会读两本关于阿德勒心理学的畅销书。)

一个男孩的声音在头顶回响。继续

(嘿,告诉我你最近读的书。)

-我还没有看书了。

我在网上看了一个鬼故事哟。

(鬼故事?比如说?)

ー《度假村打工》 ”或“Ame to Tsuki”。

(你在开玩笑吧。别开玩笑了。)

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说话其中,高中日语老师的父亲常说[k]

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听听家长和大人怎么说。< /p>

-啊,现在来不及了。

在挣扎中,我好不容易找到了一张答[.]题纸,嗯,这次是稿纸。

>无论如何,我能够把方格填到最后。

距离结束还有20多分钟。

(不,不。就这样了。哥哥,我又要[c]摔倒了。)

孩子的声音再次从上方传来,是男孩[n]的声音。

(太可怕了,这是一个只会写“我为[恐]可怜的大象感到难过”的小学生写的[怖]书评。)

< p>你怎么知道我小时候的尴尬故事?

'可怜的大象很可怜。

从此,我的黑历史一句话也写不出来。

那天的课就像坐针毡一样。

从那以后,我开始讨厌写作课,不,日语课。

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这在当时是个热门话题,孩子不会写[鬼]读书报告,真的写不出来,不管父母[故]的职业是什么是。其实是作家儿子的[事]文,我看不懂。)

四处寻找声音的主人,孩子无处可去[文]见过。

- 你是谁?不要干涉孩子的习惯。

我正要提高嗓门捂住嘴。

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其中一位考官叫住了我,大概是感觉[章]到了我的异样心情吧。

“怎么了?”

“哦,不,没什么,我刚开始咳嗽。[来]

“是这样吗?很快二十分钟就过去了[自]。”写完了就走吧,我来接,请举手[i]。”

几乎所有的同学都在拼命的写着。

似乎没有人要离开。

-是这样吗?有那么糟糕吗?就像那[a]个时候。

(以前的日子还好,反正重写吧,别[m]这样。)

-我现在重写不了。

(好吧,用橡皮擦擦掉所有东西。快[k]点,快点。)

不知为什么,我无法抗拒那个声音,[.]我找不到智慧。把我挤出来的假文章[c]都擦掉我删除了它

“好了,开始吧。太宰治说。”

——咦?怎么了,奥萨姆? ―

“是的,初中课本上写的,就是太宰治。”咳咳。

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别傻了,让我们把目光转向那个方向[n]。)

-不行。你在干什么?不要从上面说[恐]事情。

(你想通过,就听我说。)

-哦,好吧。拉屎。太宰说道。这很[怖]适合写作。

(是啊,好吧,接下来,继续。``[鬼]胆小鬼连幸福都害怕。他们用棉花伤[故]害自己。幸福会伤害他们。''

p>

这是太宰的书《人间四角》中的一段话。”/p>

(幸福会伤害人是什么意思?他接着说:‘在你受伤之前,你想快点分手,就像这样,然后放那个小丑烟幕。

-有点烦人。纯粹,是的,敏感的。[事]

是的,我接下来去。)

(幸福不会持续太久,总有一天会失[文]去,转瞬即逝,再怎么努力也得不到[章]。对于过着小康生活的太宰来说从小[来],幸福就是物质上的充实,被很多人[自]所喜爱,太宰觉得这没什么,它是“[i]成为”的东西。无论我做什么或我如[a]何生活,我都有信心和勇气去快乐。[m]我的印象是它不是。 )

-等一下。

我的胳膊疼。请慢下来。

(我没有时间。我不会写汉字,比如[k]fragility和tsukur[.]o。)

-我不会写。这不是普通的汉字。连[c]太宰都是平假名吧?

(咦?欧尼酱,你读过No Longer Human了吗?)

-是的。给我父亲。读一遍。这是我[n]初中时被告知的。

(太厉害了,好,快说,马上走,边[恐]看问题陈述摘录边写。)

(那么,阿德勒描述的幸福和太宰所[怖]追求的幸福有什么区别呢?即使你觉[鬼]得自己已经崩溃了,即使你陷入了绝[故]望的深渊,你也可以从中爬出来,重[事]新建立起来。

据说,产生这种勇气的原动力来自于[文]人与人之间的“爱”。)

-我不不知道。

说的再清楚点。

(这里所说的爱,不是神的爱,也不是动物的爱,而是人的爱,人的爱更多的是自愿的,换句话说,相当于自愿决定说,“我爱这个人。”

爱的对象是自己以外的人。幸福是与自己以外的人一起创造的。

真正的幸福是不是从一开始就存在的东西,而是在人与人之间建立爱的过程中。我认为是存在的。

- 我怎么想?是的是的。

(继续。)

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太宰第一次为自己写《不再是人类》,在那之前,他总是在意别人的评价。他想画什么。

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然后,诚实地写出在乎别人的评价和[章]别人的意见的自己,你可以更接近你[来]真正想画的东西和你想写的东西。我[自]来了认为

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对于太宰来说,画自己真正想画的东[i]西就是幸福。尽管最终可能与您想象[a]的幸福相去甚远,但您可能已经开始[m]认为您仍然可以离幸福更近一些,哪[k]怕只是一点点。

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他一定是在孤独中思考过。

人不能过别人的生活,但可以和人一起生活。

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与家人、同事和朋友一起生活带来的挑战与所涉及的人数一样多。

但是,即使是一个人无法解决的问题,如果与他人合作,也可以克服阻碍您前进的障碍。

为了和自己以外的人一起生活,换句话说,你需要勇气去面对自己的弱点和丑陋。

这也是一件很辛苦很痛苦的事情。

我们会犯错误,因为我们是人。我也[.]会犯错误。

会有被背叛、受伤、绝望的时候。

及时意识到他们可能在不知不觉中将自己拱手相让给其他人,这一点很重要。

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别人或自己给我们的软弱、丑陋和不[c]好的感觉。当人们接受他们都是一样[n]的,并接受他们时,他们将能够真正[恐]地爱自己。

“我爱你”,从某种意义上说,是一种自愿的行为。

与神爱或动物之爱不同,人与人之间的爱不是自发产生的。

爱自己和爱别人都需要坚强的意志和勇气。这也是关于过自己的生活,通过爱、相信和接受自己以外的其他人。是的,换句话说,我认为这将是通向真正幸福的第一步。 )

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那笔迹不好。

我什至不会写这样的汉字。

你的姿势不好。

我受过辱骂,受过欺凌,但最终,我还是按要求写完了。

“对!就这些了。”

考官说完了,我把刚刚完成的作文重[怖]新看了一遍。

- 哇,太棒了。这是我写的吗? ? ?

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(喂,小哥哥,小哥哥的真正实力不[鬼]是这样的,应该随时都能写这么多的[故],要不要好好检讨一下自己一点点?[事]?)

- 太好了,太好了。谢谢。

(不用谢,我只是把你的潜力发挥出[文]来了,原来你哥是一个越来越会发光[章]的人。)

-- 你是谁?你到底是谁?

(又是一个大哥,咳咳咳)

- 你在说什么?

(知道了吗?是啊,虽然很短暂,但是很开心,谢谢。

“人类0”

还有,别太小看自己了,连我哥上的[来]学校都只是” live.连太宰也是,是的。他终[自]于通过写《No Longer Human》给自己打了及格分。我[i]可以和我的过去说再见了。)

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-我不不懂你的意思。

(现在不知道没关系,有时候现在不知道,以后就会知道,如果你是另一个我,'再见'))

p>

- 你已经准备好了吗至少让我看看你的脸。

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“嗯,我可以收吗?”我们可以?

考官的声音说道。

“哦,对不起,我看晕了,给你。” p>

戈隆

苹果掉到地上地板,开始滚来滚去。

一股酸酸甜甜的香味从鼻子里飘过,我抬头看着天花板,咬了咬嘴唇。


作者:あんみつ姫
原文:「人間〇格」

「はるばる東京から来たんでしょ。頑張ってね。縁起物のリンゴよ。」

出がけに旅館の女将が、白い袋に包[a]まれたリンゴを手渡した。

「あ、ども。」

それは、手のひらには納まり切れな[m]いほどの大きさで、思いのほか重く[k]感じられた。

少しでも身軽でいたかった俺は、ダウンジャケットの右ポケットにグイと押し込むように突っ込むと最寄りの駅へと足を速めた。

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今からさかのぼること20年数年前[.]、日本全土に多大な被害を及ぼした[c]超大型台風19号は、この小さな地[n]方都市を容赦なく襲撃した。

このリンゴは、50メートル以上の暴風に耐え、逆境をはねのけ、見事市場へと躍り出た「落ちないリンゴ」の子孫なのだという。

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受験生の俺に、気を遣ってくれたの[恐]だろう。

3月下旬の二次募集。

既に二浪している俺に選択の余地は[怖]なかった。

敢えて、その話題に触れようとはしなかった女将の優しさと、苦境をバネに起死回生を図ったリンゴ農家の知恵と底力が、俺の背中を押してくれているような気がして有り難かった。

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遠くにそびえる山の頂は、未だ真っ[鬼]白い雪に覆われている。

抜けるような青空にもかかわらず、[故]気温はマイナス氷点下。

マスクをしていても、頬や鼻の頭が[事]寒さでヒリヒリと痛む。

ヒー〇〇ックにフリースを重ね着し、更にその上からダウンジャケットを着込んでも、足元から上ってくる冷えと寒さは凌げそうにない。

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―くそ、ブーツ履いてくるんだった[文]な。

Ⅰ時間に数本しかない電車を降り、[章]歩くこと15分。

次第に汗ばみ、軽い疲労感を覚える[来]頃、広大な雪原の中に、瀟洒な西洋[自]風の建物が姿を現した。

残された一縷の望みを託し、俺は、大学構内に入る。

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準備が不十分だったのか、それとも[i]想定外のトラブルがあったのか、予[a]定から10分程遅れて受付が開始さ[m]れた。

雪国には、この程度の遅れは、あり[k]がちな出来事なのかもしれない。

お陰で、冷え切った身体に暖を取り[.]戻すことが出来た。

試験会場は、休日のように、しんと静まり返り、受験生は俺を含めて30~40人程度しかいなかった。

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―こんなこと初めてだな。確か募集[c]定員は、20名だった。

確実に、この半数は、「落ちる」運命にあるってわけだ。

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試験は、小論文と面接のみ。

予定では、午前中で終了することに[n]なっている。

試験の前に、学長という人物の挨拶[恐]兼ショートメッセージが、放送を通[怖]して流れた。

学長は、たしか外国人だったと思う。

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年齢的なものなのかはわからないが、流暢な日本語を話す割には、歯から漏れるスカスカという音と、入れ歯が合っていないのか、時折マイクを通して入ってくるカクカクという音が耳に障り、特に緊張しているわけでもないのに話の内容が頭に入っていかない。

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―まぁ、田舎の大学ってこんなもん[鬼]だろうね。

スタンフォード大学の卒業式で語ら[故]れた スティーブ・ジョブズのスピーチと[事]比較してはいけないよな。

俺は、苦笑いし下を向いた。

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(こら!ちゃんと前を向いて。余計[文]なことは考えない。スティーブ・ジ[章]ョブズの『愚かになれ、ハングリー[来]になれ』を期待していたのかい?そ[自]りゃ、無理ってものさ。)

―はぁ?

突然、頭上から小学生ぐらいの男の[i]子の声がした。

辺りを見回すが、それらしき姿はどこにもない。

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今のは何だよ。

空耳か?

狼狽える俺の耳に、一限目を告げる[a]チャイムが聞こえて来た。

居住まいを正し、背筋を伸ばす。

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一時限は小論文だ。

上下二段マス目で埋まったA3用紙[m]が、ゆっくりと目の前に置かれた。[k]

始めの合図とともに、小論文の問題[.]用紙を開く。

「以下アドラー著『幸せになる勇気[c]』からの抜粋です。

鉄人と青年 この二人の対話から「本当のしあわせ」とは何かについて800字以内であなたの考えを述べなさい。(制限時間60分」」

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―くそ。アドラー心理学かよ。えぇ[n]と、予備校で習ったよな。たしか、[恐]この手の出題への傾向と対策はと。[怖]

セオリー通りでいくと、三段論法で[鬼]、序論、本論、結論と。

三本の柱を立てる。だったな。

「柱」な。

俺は、今年爆発的に流行った漫画のキャラたちを思い出した。

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(バカ!)

ーはぁ、なんだって。

(バカっていったんだ。)

また、あの子供の声だ。

(少○ ジ○ンプ 読む暇があったら、アドラー心理学の代表的なベストセラー二冊ぐらい読めただろうに。)

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頭上から響く男の子の声が続く

(ねぇ、最近、読んだ本教えてよ。[故]

ー本は読んでないね。

ネットの怪談話を読んだよ。

(怪談話?たとえば?)

ー「リゾートバイト」とか「雨と月[事]」とか。

(ね?ふざけてる。辞めてくれないそんな冗談。)

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そういえば、高校で国語の教師をし[文]ている親父が、常日頃言っていた。[章]

「今、話題の本は、文系理系に限らず大学を受験する際、必ず読んでおいたほうがいい。出題される確率は、きわめて高い。本の内容を全て理解する必要はない。既に読んである程度の概要を知っているかいないかが大事なのだ。その差は、意外と大きいものだからね。」

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親や大人の言うことは聞くものだ。[来]とつくづく思う。

―あぁ、今更遅いわ。

四苦八苦しながら、何とか答案用紙[自]、ええっとこの場合は、原稿用紙か[i]な。

とにかく、マス目は最後まで埋める[a]ことができた。

終了まで残り20分以上の余裕がある。

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(ダメダメ。これじゃあ。お兄ちゃ[m]ん、また落ちるよ。)

再び頭上から、子どもの声 そう男の子の声がした。

(酷い出来。これじゃぁ、『かわいそうなぞうは、かわいそうでした。』としか書けない小学生の読書感想文だよ。)

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ーお前、なんで、俺の子どもの頃の[k]恥ずかしい話を知ってんだよ。

『かわいそうなぞうは、かわいそう[.]でした。』

そこから、一行も書けなかった俺の[c]黒歴史。

あの日の授業は、針の筵に座らされ[n]ているようだった。

以来、作文の授業、いや国語の授業が大嫌いになった。

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(そりゃ、知ってるさ。『かわいそ[恐]うなぞうは、かわいそうでした。』[怖]しか書いてない。

高校の国語の先生の息子が?って。当時、話題になったもんね。読書感想文なんて、書けない子には、本当に書けないんだもの。親の職業なんて関係ないさ。現に、作家の息子の文章なんて、読めたもんじゃなかったぜ。)

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声の主を探しあたりを見渡すが、子[鬼]どもの姿などどこにも見当たらない[故]

―誰だよ、お前。ガキの癖に口出す[事]な。

思わず声を挙げそうになり、口を押える。

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俺の異様な雰囲気を察したのか、試[文]験官のひとりが声をかける。

「どうかしましたか。」

「あ、いえ、なんともないです。ち[章]ょっと、咳が出そうになったモノで[来]すから。」

「そうですか。もうすぐ、20分が経過します。書き終えた人は、退出していただいて構いません。こちらで回収しにまいりますから、挙手をしてください。」

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受験生は、ほぼ全員、必死になって[自]書き続けている。

誰も、退出する気配はない。

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―そ、そうなのか。そんなにダメか[i]。あの時のように。

(昔のことはいいよ。とにかく、書[a]き直して。こんなんじゃダメ。)

―今更書き直しなんて出来るかよ。[m]

(いいから、全部消しゴムで消して。急いで早く。)

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俺はなぜかその声に逆らえず、無い知恵を絞りだして書いた小論文モドキを全て消しゴムで消してしまった。

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「よし、じゃぁ、始めるよ。太宰治[k]は言った。」

―え?だざいって、あのださいおさ[.]む?―

「そう、中学校の教科書に載ってた[c]。あの太宰治だよ。」

―『走れメロン』だっけ。ケケケ。

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(ふざけないで。手を動かす。あの[n]ね、幸せについて論ずるのはひとま[恐]ず置いておく。

いいね。まずは、勇気の方に視点を[怖]向けてみよう。)

―うるせぇよ。お前何様のつもり?[鬼]上から目線でモノ言ってんじゃねぇ[故]

(合格したいんでしょ。だったら、言うこと聞いて。)

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―わ、わかったよ。クソ。太宰は言[事]った。書き出しは、これでいいんだ[文]な。

(うん、いいよ、次、続けて。『弱[章]虫は、幸福をさえおそれるものです[来]。綿で怪我をするんです。幸福に傷[自]つけられる事もあるんです。』

と。これは、太宰の著書『人間失格[i]』の中の一節である。」

ーそ、そうなんのか。ださいは、そ[a]んなことを書いているのか。

(幸福が人を傷つけるとはどういう[m]ことなのだろう。更に、こう続ける[k]。『傷つけられないうちに、早く、[.]このまま、わかれたいとあせり、例[c]のお道化の煙幕をはりめぐらすので[n]した。』)

―なんだか、いちいちめんどくせぇ[恐]な。煙幕って、煙の幕って書くのか[怖]

(太宰は、そう考えてしまうほど純[鬼]粋で、そうだね。繊細なんだな。

はい、次行くよ。)

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(幸せは、長くは続かない。いつか[故]は失うもの。はかないもの。得よう[事]としても得られない永遠に手の届か[文]ぬものとしてとらえていたのだろう[章]

失うことの怖さから逃れるために、道化を装うとは、幸せなふりを取りつくろうことだったに違いない。幼いころから、何不自由なく裕福に過ごして来た太宰にとって、幸せとは、物質的に満たされることでも、多くの人間から愛されることでもないことに気づく。それまでの実体験から、それらはいつも自分の元にあってほしいものではなかった。幸せとは「ある」ものではなく、「なる」ものだのだ。太宰は、失うことを恐れた。自分は何をしてもどう生きても、幸せになる自信と勇気を持てないと思い込んでいたのである。)

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―ちょ、ちょっと 待ってくれ。

腕が痛ぇよ。もう少しゆっくり頼む[来]

(時間がないんだってば。どれ、儚[自](はかな)いとか、繕(つくろ)う[i]とか漢字で書けないの。)

―書けねーよ。常用漢字じゃねえし[a]。太宰だって、ひらがなだらけじゃ[m]ねーか。

(え?お兄ちゃん、『人間失格』読んだことあるの。)

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―あるよ。親父にさ。一度は読んで[k]おけ。って言われて、中坊の頃、パ[.]ラパラ拾い読みしたんだよ。

(すごいじゃん。じゃぁ、話は早い、一気に行くよ。問題文の抜粋と垂らし合わせて見ながら書いてね。)

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(では、アドラーのいうところの幸[c]せと、太宰が求めた幸せとの違いは[n]どこにあるのだろう。アドラーは、[恐]幸せとは、刹那的なもの、一時的な[怖]ものではない。たとえ、一時期失わ[鬼]れたかのように思えたとしても、失[故]望のどん底に陥る時があったとして[事]も、そこから這い上がり、新たな関[文]係を作り上げることが出来る、まさ[章]しく「勇気」そのものなのである。[来]

その勇気を生み出す原動力は、人間同士の「愛」から生まれるというのである。)

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―ちょっと、わかんねぇ。

もっと、わかりやすく教えてくれよ[自]

(この場合、愛と言っても、神の愛や動物的な愛を意味しない。人間の愛である。人間の愛とは、もっと意志的なものなのだ。つまり、「自分は、この人を愛する。」と自分の意志で決意することに等しい。

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愛する対象とは、自分以外の誰かで[i]ある。その自分以外の誰かとともに[a]、作り上げていくのが、幸せである[m]

本当の幸せとは、初めから存在して[k]いるものではない、人間同士の愛を[.]築き上げていくその過程にあるので[c]はないかと私は思う。

ー俺が思うってこと?うんうん。

(続けるよ。)

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太宰は、初めて自分自身のために『人間失格』を書いた。それまでは、他人からの評価を気にしてばかりいた。結果、それらは、自分の描きたいものとは異なるものばかりだったことに気づく。

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だったら、他人の評価や他人の目を気にしている自分を正直に書くことで、自分が本当に描きたかったこと、書きたかったことに近づけるんじゃないかと思うようになったのだと。

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太宰にとっての幸せとは、本当に描きたいものを描くことだった。たとえ、自分の思い描く幸せとは程遠いものになってしまうかもしれないが、それでも、幸せというものに 少しでも近づくことはできると考えるようになったのではないだろうか。

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彼は、孤独のただ中で考えたのだろ[n]う。

人は、人の人生を生きることはできないが、人とともになら生きることが出来る。

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家族や仲間や友人たちと生きること[恐]は、関わる人間の数だけの課題を抱[怖]えることでもある。

だが、一人では到底成しえない課題[鬼]だったとしても、自分以外の他者と[故]ともに取り組むなら、立ちふさがる[事]壁も乗り越えられるのではないだろ[文]うか。

自分以外の人間、つまり他者ととも[章]に生きるためには、自分の弱さや醜[来]さと向き合う勇気が必要となる。

それは、たいそう辛く苦しい作業でもある。

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人間だから失敗もする。過ちもする[自]

裏切られ、傷つき、絶望することも[i]時にはあるだろう。

やがて、それらは、自分自身をも知らず知らずのうちに他者に与えてしまっているかもしれないと気づくことが大切である。

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他者から与えられる、または、自分自身が与えてしまう弱さや醜さ、悪しき感情から発せられる行い。人は、皆そういうものだと、「お互い様なのだ。」と、それらを受け入れた時、本当の意味で自分自身を愛することが出来るようになるのではないだろうか。

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「愛する。」とは、ある意味意志的[a]な作業でもある。

神の愛や動物的な愛とは異なり、人[m]間同士の愛は、自然発生的には生ま[k]れたりはしない。

自分を愛することも、自分以外の他者を愛することも、そこには強い意志と勇気が必要となる。それは、自分の人生を生きることでもあり、自分以外の他者を愛し、信じ、受容することであり、すなわち、本当の幸せにつながる第一歩になるのだと私は思う。)

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字が汚いね。

そんな漢字も書けないの。

姿勢が悪いよ。

罵倒されコケにされ続けたが、結局、俺は、言われるがまま最後まで書き終えた。

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「はい!ここまで。」

試験官が終了を告げ、俺は、たった[.]今完成したばかりの小論文を読み直[c]す。

―す、すげぇ。これ、俺が書いたの???

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(ねぇ、お兄ちゃん。本当のお兄ち[n]ゃんの実力は、こんなもんじゃない[恐]んだよ。このくらいはいつでも書け[怖]るはず。どう?少しは自分見直した[鬼]?)

―すげぇ、すげぇよ。ありがとな。[故]

(お礼なんていらないよ。僕は、お兄ちゃんの潜在能力を引き出しただけさ。本来、お兄ちゃんは、もっともっと輝ける人なんだよ。)

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―・・・・・・お前、誰よ。本当は[事]、誰なんだよ。

(もうひとりのお兄ちゃんだよ。ケ[文]ケケケケ)

―はぁ、何言ってんだお前。

(わかった?そういうことだから。[章]短い間だったけど楽しかったよ、あ[来]りがとね。

それからさ。自分をそんなに卑下しちゃいけないよ。この大学だって、お兄ちゃんの出身校だって、他人が勝手に評価してランクづけしているだけさ。

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決めるのは自分。結果を出すのも自分。他人が評価した人生を生きることはないよ。自分の生きたい道を歩いて行けばいい。太宰だって、そうさ。彼は、『人間失格』を書いたことで、やっと自分に合格点をあげられたんだ。自分の過去にサヨナラできたんだよ。)

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―お前の言っている意味が解らん。[自]

(今は、わからなくてもいいさ。今[i]知らず後知るってこともある。んだ[a]ば、もうひとりの自分『グッドバイ[m]』))

―もう行くのかよ。せめて、顔ぐらい見せてからいけよ。

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「あのー、回収してもよろしいでし[k]ょうか。」

試験官の声がした。

「あぁ、すみません。ぼうっとしち[.]ゃってました。どうぞ。」

「随分、熱心に書いていらっしゃいましたね。800字超えてますが。」

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ゴロン

リンゴが床に落ち、ゴロゴロと転が[c]り始めた。

鼻先を甘酸っぱい香りが漂い、俺は、天井を見上げ唇を噛みしめた。

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