＊HANA＊～Nigella～

...

Isa 说她和 Fatima 会睡在同一张床上。

……

还有几位阿拉伯客人。

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在大家都睡着的时候，守谷用USB[m]把相机里的影像保存到床上随身携带[k]的平板媒体播放器上。它到我在日本[.]的家用电脑。

...

然后，我突然查了一下刚才伊莎说的[c]【Nigella】的种子。

毛茛科黑种草属植物，又名【臭尼日[n]尔】、【黑孜然】、【罗马香菜】、[恐]【黑种草]。

在日本被称为【黑种子】宇田

wallpaper:4041

功效...

◎镇痛

◎抗菌

◎抗炎

◎抗溃疡

◎抗真菌

◎抗贵剂

◎抗氧化

◎抗痉挛（抑制痉挛）

◎抗病毒

◎支气管扩张剂

◎抗糖尿病

◎降血压

◎改善胰岛素抵抗

◎干扰素诱导剂

◎保护肾脏

p>

◎肿瘤坏死因子α抑制剂

…

不仅如此…

癌症、糖尿病、肝活化, 饮食，从毛发生长...

有效抑制引起黑斑的黑色素形成，甚[怖]至预防MRSA感染...

当然...作为伊莎说，它就像一颗[鬼]可以称为灵丹妙药的种子。

…

如果它来自副作用更少的天然植物呢？

如果研究取得进一步进展，黑种草种子将作为草药和药物派上用场的那一天可能很快就会到来。

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伊莎相信总有一天她会见到失踪的父[故]亲。

然后，他决定把据说是灵丹妙药的黑[事]种草种子，不仅要和他父亲分享，还[文]要和大家分享……

……

然而他自己・・・

我留下了无数生命等待拯救。

我要让全世界的人都看到这个不合理[章]的世界...

虽然我说了那么美好的话...

…

总有一天……我梦想获得皮利策奖……

……

守谷关掉平板电脑，静静地躺在床上[来]。

壁纸：4042

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[自]＊＊ ＊＊＊

早上守矢醒来的时候，伊莎已经起床[i]帮法蒂玛换衣服了。

“Isa！我饿了！”

当 Moriya 用蹩脚的阿拉伯语说话时，Isa 看了一眼姐姐的脸，点了点头。

“好！集市我要去购物了！

说着，守谷套上了挂在简陋木床栏杆[a]上的长裤，重新系好脚趾和鞋垫上都[m]装有钢板的皮靴。

……

做好准备后，三人便一同前往集市。

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wallpaper:4043

我们到达集市，发现 Isa 正盯着烤肉串看。

守谷问：“如果你想吃烤肉串，你想买一个吗？”>

我妈妈过去常常在集市上卖它们......”

伊莎喃喃自语的时候，她看着那些在那里工作的人的脸，而不是她在集市上卖的东西。

就好像在寻找那天失去的母亲一样......

“Fatima！你想要 tikka 吗？”

Fatima 微笑着点点头。

用大量的肉喂饱伊莎和法蒂玛后，守[k]矢去买米饭、面包和耐久的水果罐头[.]，伊莎他们则去集市，他说他想去，[c]所以看完之后，他就答应要来这个地[n]方。

……

伊莎拉着姐姐的手，跑进了人群。

追求一个不该出现的妈妈...

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重米加罐头饭晚点来 守谷转身买了面包，就去摘水果了。[恐]

然后是我联系店主付款的那一刻。

……

一声巨响在附近响起，将守矢的身体[怖]直接砸在了水果上。

...

市场上到处都是逃犯。

伊萨呢？

法蒂玛呢？

……

守矢顺着伊莎他们消失的方向，逆流[鬼]而上，穿过人群。

...

帐篷倒塌...

肉散成碎片...

有什么东西卡在我的身体里 人们在尝试逃避……

然后……

…………

“伊莎！！！！！！”

守矢喊道。

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……

Isa...

头和身体他拥抱他的妹妹，失去了半[故]个身体，连自己的下肢都没有了……[事]

蹲下……

守矢是伊莎的例如。

“MORIYA...帮助我姐姐.[文]..帮助 Fatima...

我口袋里有一粒黑种草种子...

p>

让法蒂玛吃吧......"

当你看伊莎时，你会发现伊莎的小腹[章]和小腿上都插着一根铁管一样的东西[来]。

说着说着嘴里就流血了……

守矢忘了拿出相机

p>

“没关系！法蒂玛会帮忙的！”

伊萨！？

伊莎笑着笑着

“MORIYA...shokra[自]n（谢谢你）...”

如此说道，静静抱着妹妹的手落在了[i]地上。

…………

“伊瑟！！！”

守矢提高嗓门哭了起来。

在回荡的人们的惨叫声和枪声中，我[a]抱着两具尸体走开了……

.. .

当他注意到的时候，身边围了一群黑[m]衣人……

……

莫里亚和伊莎、法蒂玛一起被抓了在[k]他的怀里。他们头上蒙着一块黑布，[.]手铐被铐在背后，他们被迫走向自己[c]的车，并被推了进去。

壁纸：4046

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

守谷被俘，成为战俘已经一年了。

你为什么还活着……？

...

那是因为我受命拍摄被伊黎伊斯兰国俘虏的摄影师和记者，他们也是守谷的战友...

我毫不犹豫地让森谷拍摄了将在全世[n]界发行的视频。

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作为回报，伊萨和法蒂玛被允许下葬[恐]并建造一座坟墓。

……

然后……求救的人惨遭处决……

……

我宁愿去疯了...

...

我宁愿死...

虽然他考虑带走自己的生活中，除了拍戏，他都被戴上手铐关进监狱，甚至连选择死亡的权利都没有。

...

透过铁栏杆窗户可以看到伊萨和法蒂[怖]玛的坟墓。

……

黑种草花现在在坟墓周围盛开。

壁纸：4047

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

一天晚上……

守矢被突如其来的爆炸惊醒。

基地走廊里传来人们奔跑的声音。

然后，在第一声爆炸后不久，又是一[鬼]声爆炸和大楼倒塌的声音。

和守矢一样，被禁锢的众人发出一声[故]惨叫。

可能是联军（多国部队）的空袭。

转眼间大楼倒塌，这牢狱中熊熊燃烧的火光四处升腾。

哭泣者。

向上帝祈祷的人。

站在原地的人都傻眼了。

那些想要撕下手铐，束缚他们的锁链的人。

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战斗人员离开这座大楼了吗？

你听到几辆汽车的轰鸣声，紧接着是愤怒的尖叫声，接着是一连串的巨大爆炸声。

…

然后，即使是在这牢狱之外，一道明[事]亮的闪光照亮了黑暗，我不由自主地[文]转身离开。

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wallpaper:4048

被倒塌的墙壁压垮的他。

那些被投下的炸弹炸飞的人。

从天花板和墙壁上戴着手铐和铁链一[章]直到火炉一个被烧毁的人。

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明明那么想死，守矢还是哭了。

...

“帮帮我！！！！！！

我们是盟友！！！”

.. .

但那些声音不应该传到天空中。

而当身后传来震耳欲聋的爆炸声时…[来]…

……

守矢的身体缓缓，缓缓一个动作，他[自]飞到了监狱的围栏上，然后围栏就好[i]像要接住守矢的身体一样，悄无声息[a]地落下。

……

他的头在流血，虽然他的身体疼痛得[m]仿佛要散架，但守矢还活着。

……

更何况，就在他被震波炸飞的时候，[k]连接着守矢和狱墙的锁链也被撕裂了[.]。

还有谁可以帮忙吗？

我环顾四周，可是……

那是一堆瓦砾，屋顶和墙壁都被炸飞[c]了。

原本是地板的地方，一大片血迹蔓延[n]开来。

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幸运的是锁着的门不见了，门本身被[恐]炸掉了。

...

尽管双手还戴着手铐，守矢还是迈出[怖]了监狱的步伐，想要出去...

...

“哇！！！”

当我后退一步时，火焰从我的后背袭[鬼]来，将我后脑勺的头发都烧焦了. .

炙热的风和火焰从四面八方无情的逼[故]近。

……

守矢无路可逃……

壁纸：4050

在那一次，我在过道的另一边看到了[事]一个小小的身影。

“Taara!!（这边）”

火焰尖端的人向守矢招手，但凶猛的[文]火焰挡住了守矢的去路。

“不行……我不能去那里……”

守矢喃喃自语，在地狱里活活燃烧…[章]…

这样我就可以安详的死去……

下一刻，我十指相扣，开始祈祷。

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摩西在埃及士兵的逼迫下前往应许之[来]地迦南，如同十诫一样，旋转的火焰[自]在莫里亚眼前裂开，开辟出一条道路[i]。

...

除此之外，更早的数字正在招手。

守矢开始奔跑。

我不知道发生了什么奇迹。

可是，为了活下去，我只好相信眼前的奇迹。

……

不仅是火光，连倒塌的瓦砾也像是有人避开了一样，连守矢要去的通道都没有滚下来。

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你已经成功逃离了着火的大楼。

……

光着脚走了几步，守矢转身的时候，[a]大楼轰然倒塌，变成了一大堆瓦砾。[m]

……

忽然，我又去找刚才那个人影了。

但是没有人在。

...

然后，我环顾四周，只见火焰对面的[k]黑藻花处，并排站着两个小小的身影[.]。

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wallpaper:4049

“我……是……？”

守矢盯着他看。

...

伊萨...

法蒂玛...

你们...

就在我喃喃自语的时候，伊莎和法蒂[c]玛熟悉的声音在耳边响起。

“MORIYA……Shokran[n] Rikkuri Shaiyin（谢谢你所做的一切[恐]）……”

“MORIYA……？Maassarama（再见）……”

转眼间，伊莎和法蒂玛的坟墓……

奈杰拉的花……被从瓦砾堆中蔓延出[怖]来的火焰吞没了。 .

……

守矢如同膝盖脱落一般坐在原地，面[鬼]向伊莎和法蒂玛双手合十。

壁纸r:4051

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[故]＊＊＊

“嗯……哈……”

守矢一直在没有阴影的沙漠中行走。

...

没有鞋子的沙漠，烧焦的沙子和干涸[事]的土地...

哪里都可以。

如果你能找到一个城镇......[文]

它不一定是一个城镇。

至少我想在一片绿洲里解渴。

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wallpaper:4052

Isa 和 Fatima 拯救的生命。

即便如此，它也可能即将消失。

…

沙漠昼夜温差极大。

由于辐射冷却，干燥的沙子很容易升温，当太阳下山时，它会迅速冷却下来。

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在温差中，他就好像被油锅烤过一样，被扔到冰原上。某天看过的天文馆般一望无际的星空，想起遥远的故乡，不禁落泪。

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朝霞照亮了这片区域。

守矢站起身，又开始往前走。

……

留下来的唯一选择就是【死亡】。

再累，脚上的皮都掉了……

我也得走路。

有人路过吗？

我要喝水……我要水……

当我拖着被沙漠的热气烤焦的双腿爬[章]上沙山时……

p> >

……

守矢面前，只有几十米的地方，粗糙[来]的地面上开满了淡色的花朵。

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守矢见状，想要冲过去，却双腿一绊[自]，从沙丘上摔了下去。

然后，在我面前盛开的花朵中，我寻[i]找像气球一样膨胀的果实。

……

“Nigella……”

成熟的果实是森谷它在他手中弹出，[a]释放出黑色的小颗粒。

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守谷连嚼都没嚼就吞了下去。

很多，很多，很多…… 守矢拿出一粒粒黑色的粒粒吞了下去。

……

每次种子卡在干涸的喉咙里，他都会[m]剧烈咳嗽，但为了稍微充饥，守矢还[k]是继续吃着黑种草种子。

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不知道他吃了多少…… 守谷想伸手去拿下一个水果，但他的[.]手却够不到面前的那个。

...

我的腿被缠住了，连站都站不稳。

……

当我注意到的时候，口水顺着黑色的[c]颗粒从嘴角流了出来。

……

在黑草花的簇拥下，守矢脸朝下倒下[n]了。

我嘴里火辣辣的。

剧烈的恶心。

我的心像早钟一样跳动，反复剧烈的心悸。

……

我的小腹疼痛难忍。

……

可是，他的身体却被钉在了地上，连一根手指都动弹不得。

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然后……我听到了有人的脚步声。

……

一个人……两个人……不，更多的脚[恐]步声朝着守矢而来。

...

(Help me...) 低声呼救。

……

身体仿佛在起伏一样反复抽搐。

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在我渐行渐远的意识中，我最后看到[怖]的是……

……

包围了我的脸。

...

这些是守矢用相机拍下的已经不存在[鬼]于这个世界上的人的脸。

……

守矢最终悄悄合上了眼皮，再也没有[故]睁开……

wallpaper:4058

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

当年的皮利策奖颁给了一位战地摄影[事]师，决定是他的作品

...

此人本人下落不明，生死未卜。曾是[文]

……

不过，一位摄影师同志在看到留在家[章]中个人电脑上的照片后，根据自己的[来]意愿发表了声明。

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wallpaper:4055

...

...

标题说“花儿与少年”So ...

...

...

...

壁纸： 4056

・・・

Nigella

・・・

花语：未来、不屈不挠的精神、梦想[自]、秘密的喜悦、梦想让我们见面，迷[i]茫，迷茫，迷茫

壁纸：4057

，有种子可以食用的【臭黑种草】和[a]含有生物碱的【黑种草】毒药，两者[m]都被称为“Nigella”。

靠种子和花很难区分。

而且如果大量摄入【黑种草】，会导致心力衰竭甚至死亡等严重症状，最好避免食用传承自……的食物。

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金色に光る蝶が、静かに黒煙の空を[k]飛んで行く。

…

まるで火の粉が舞い飛ぶように、ヒラヒラと、瓦礫の上を飛んで行く。

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そして、元は人々の営みが当たり前のように行われていたと思われる、崩れ果て、石の塊になった廃墟の真上に止まると、静かに羽を閉じた。

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wallpaper:4025

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[.]＊＊＊＊＊

守谷（もりや）は、戦場カメラマン[c]として、紛争の起こった地へ出向き[n]、数々の現実を世界各国に配信して[恐]来た。

…

危険な地へ行くと言う事は、誰も命[怖]の保障はしてくれない。

仲間の何人もの“死”を、何度も目[鬼]の当たりにして来た。

それも、全て【自己責任】だから誰を恨む事も憎む事も出来ない。

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内紛だと思われた紛争も、それが意[故]図的に仕組まれたものだと言う疑惑[事]も頭をよぎる・・・。

だが、唯のカメラマン如きの話す言[文]葉に、誰が耳を貸してくれるだろう[章]か？

…

大国を敵に回した戒めの様に、次々と弱い立場の者から命を落とす。

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wallpaper:4026

E国が独占していたIN国の石油を[来]、IN国が自国の物だと主張をした[自]事から、E国や大国A国が乗り出し[i]てくる。

そして、IN国を攻める為に抱き込[a]んだIK国に、大国は沢山の武器を[m]送り込んだ。

IK国は、大国を後ろ盾に紛争を繰[k]り返した。

しかし、裏を返せば・・・

IN国にも同じ様に、武器を横流ししていたA国・・・

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良いよう利用されたIK国も、大国たちの都合が悪くなった途端、捻じ曲げられた架空の既成事実を突き付けられ・・・時の大統領、その一族全てが惨殺される・・・

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己の利益だけを重視し、他国も自分[.]の領土とすべく大国たちに攻め入ら[c]れ、血塗られた、深い歴史を持つ地[n]方・・・

…

そして昨今では、中央政府（シーア[恐]派）、反対勢力（スンニ派）、過激[怖]派組織（ISIL）、クルド自治区[鬼]の４者に加え、外国政府の思惑も加[故]わり、先の見えない状況になってい[事]る・・・

…

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wallpaper:4027

そんな争いで犠牲になるのはいつも[文]女や子供・・・。

…

難民に

強制労働に

少年兵士に

性奴隷にされる女や子供たち

そして・・・

自爆テロで短い生涯を散らされる子供たち・・・

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坊主憎けりゃ袈裟まで憎い・・・

敵側の人間と言うだけで、情け容赦[章]なく、尊い命が日々奪われて行く・[来]・・。

…

それどころか、テロリズムにより無差別に人を殺傷する事件も世界各国で情け容赦なく起きている。

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守谷は、そんな理不尽な争いの中、弱者がどんな現実を目の当たりにするのか・・・世界中の人に知って欲しかった。

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目の前で息絶えて行く命・・・。

…

自身も砲撃から、命からがら逃げだ[自]した事も数知れず・・・。

…

命の重さに違いはない！！！

何も変わりはないのに・・・・・

…

守谷がイサと出会ったのは、そんな戦況の最中だった。

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＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[i]＊＊＊＊＊

父は戦闘兵として駆り出され、残さ[a]れたのは祖母と母、そしてイサの弟[m]や妹たち。

…

その日は、バザール（市場）に手伝[k]いに行った母の元へ、僅かばかりの[.]パンを届ける為に家を出た。

…

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末の妹の手を引き、市場へ向かう道[c]すがら・・・

まるで地響きの様に足元が激しく揺[n]れたかと思ったら・・・

イサ達が向かっている先の街並みが[恐]黒い煙で包まれる。

赤く長い火柱が、あちらこちらから天に向かい伸びていく。

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激しい砲撃の音。

イサは、妹の手を固く握り締めたま[怖]ま、黙って立ち上る黒煙を見つめて[鬼]いた。

…

やがて、乾いた大地を揺らし、何台もの戦車が砂埃を巻き上げ姿を現す。

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何台も・・・何台も・・・

イサと妹の横を滑り抜けて行く。

…

砲台をイサ達に向けて笑う兵士達。[故]

イサは、妹の手を固く固く握ったま[事]ま、横を通り過ぎる戦車を見送った[文]。

…そして、戦車が消えると、イサは妹の手を引きゆっくりとした足取りで、母のいる市場へ向かった。

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だが、そこは・・・・・

…

瓦礫と化したブロックやコンクリー[章]ト。

そして、行く手を阻む黒煙と熱風が[来]吹き荒れ、母のいる筈の場所へも行[自]けない。

…

余りの惨状に、妹は声を張り上げ泣いている。

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諦めた様に祖母と兄弟達の待つ家に[i]帰ろうと、来た道を歩き出したその[a]刹那・・・

…

今度はイサの家の方角から、又して[m]も地響きが起こり、辺りをつんざく[k]爆音が響き渡る。

…

イサは泣く妹を抱きかかえると、家に向かって走り出した。

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イサの住む集落は、バザールと同じ[.]様に・・・

瓦礫の山になっていた。

砂嵐の様に舞い上がる粉塵で視界は[c]遮られ、そこが道なのか建物なのか[n]も分からず、何も見えず、見慣れた[恐]筈の景色は一変していた。

ただ残して来た祖母を、弟や妹を・[怖]・・

姿を求め、イサは走った。

…

だが、すぐに息が出来なくなる。

目には容赦なく細かい塵となった瓦[鬼]礫の屑が突き刺さる。

妹の咳き込む声を聞いて、イサは進むことを諦め、瓦礫の山を後にした。

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wallpaper:4032

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[故]＊＊＊＊＊

守谷は、燃え盛るバザールだった場[事]所でシャッターを幾度となく切る。[文]

…

瓦礫の下に埋もれた人の、未だ動く[章]その腕を・・・

火だるまになりながら、両手両足を[来]ばたつかせ、死の舞を踊る人を・・[自]・

ファインダー越しに辺りかまわず、シャッターを切る。

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例え、未だ命が有ったとしても、自[i]分には今、目の前にある現実を世界[a]中の人に知らせる役目がある。

…

だから、無情と言われようと、人でなしと言われようと、助けると言う選択はなく、ただシャッターを切る事に全てを懸けていた。

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そして、バザールを抜け、次に被害[m]を受けた集落へ向かう道で守谷はイ[k]サと出会った。

…

イサは、未だ幼い妹にパンを与えて[.]いた。

乾いた大地に転がる大きな岩の影、寄りかかる様に二人は寄り添い座り、守谷のジープを冷めた目で見つめていた。

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その瞳を見た守谷は、イサの目の前[c]でジープを停めた。

…

名前を聞くと少年は

「イサ」と・・・

…

何故、その時ジープを停めたのか・[n]・・

何故、その子供達を連れて行ったの[恐]か・・・

…

守谷自身も、明確な答えは出ない。

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ただ・・・

...

全てを諦め、生きる事にも死ぬこと[怖]にも執着をしない、そんな瞳を見て[鬼]見ぬふりが出来なった・・・

…

それだけだった・・・

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ジープにイサ達を乗せると、すでに[故]瓦礫になった集落へ入る。

…

イサは幼い妹の身体を、その小さい[事]身体で抱き上げると、一目散に駆け[文]出す。

…

守谷は未だ粉塵の止まない瓦礫の中[章]を進む。

…

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幾筋もの戦車のキャタピラの跡が付[来]いた道とは呼べなくなった大地。

…

僅か数時間前には、人々の営みが当[自]たり前に行われていた大地。

…

片腕を失くした老人が、救いを求め[i]て来る。

しかし、守谷はファインダー越しにその老人を見ると、何度もシャッターを切る。

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何度も言うが、守谷にとって、目の[a]前の瀕死の人を救うよりも大きな使[m]命・・・

世界中の人々に、現状を知ってもら[k]う事の方が大切だ。

守谷は、弱々しく歩く老人に背を向けると、集落だったところの奥へ奥へと進んだ。

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そこにイサがいた。

崩れたコンクリートの塊を、その小[.]さな手で持ち上げようと、どこから[c]拾って来たのか・・・

直径で１０ｃｍほどの木の棒をテコ[n]の様に塊の下に差し込み、その棒の[恐]反対側で自分の体重をかけて力いっ[怖]ぱい持ち上げようとしている。

だが、未だ小さなイサの体重をいく[鬼]らかけたところで、塊はピクリとも[故]動かない。

額には大粒の汗を光らせ、瓦礫の下に僅かに見えるベージュの布を見詰め、イサは守谷の事など見向きもせず、何度も棒を差し直しては棒の反対に回り、瓦礫を持ち上げようと体重をかける。

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その姿は・・・

諦めた瞳ではなかった。

大切な者を助けたい。

生かしたい。

そんな必死な美しさがあった。

…

守谷は憑りつかれた様に何枚もカメラにイサの姿を収める。

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その時、何者かが守谷のズボンを引[事]っ張る。

守谷がそちらに目をむけると、イサ[文]の幼い妹が、何も言わずに守谷を見[章]上げていた。

…

守谷は、カメラをその場に置くと、[来]イサの元へ行き、イサを横に除ける[自]と代わりに木の棒を力いっぱい下方[i]へ押す。

すると、僅かばかり、塊が動く。

イサはその隙にベージュの布を引っ張る。

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だが・・・それは・・・もう、人と[a]しての原型を留めていない血まみれ[m]の肉塊だった。

イサは諦めた様に布を離すと、イサ[k]の横で様子を見ていた妹を強く抱き[.]締めた。

守谷はゆっくりと、瓦礫を下ろした・・・

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wallpaper:4037

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[c]＊＊＊＊＊

危険な場所へ未だ幼い兄妹を連れて[n]行く事に迷いはあったが、この近く[恐]で孤児を引き受けてくれるところは[怖]なかった。

…

せめて、この兄妹がこれから先、食[鬼]べる事・・・眠れる事・・・生きる[故]事の出来る、そんな施設に引き渡せ[事]るまで・・・

守谷はこの子達を連れて行こうと決めた。

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兄の名前はイサ。８歳の少年。

妹の名前はファティマ。未だ３歳だ[文]と言う。

…

その日はジープの中で、守谷は寝袋[章]に、イサ達兄妹は一枚の毛布に二人[来]包まって眠った。

乾パンと、日本から持ち込んだ牛肉[自]の大和煮の缶詰を二人に渡すと、イ[i]サは先ず妹に食べさせた。

そして、妹がお腹いっぱいになると、初めて自分も食べ出す。

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イサの父は、戦闘に駆り出されてか[a]らと言う物、生きているのか死んで[m]しまったのか行方が分からず、親戚[k]たちの殆どが同じ集落に住んで居た[.]為、生死も絶望的だと言う。

…

ジープは次の街を目指して走ってい[c]た。

…

すると、イサが突然大きな声を出し[n]た。

「止めて！！」

ジープは急ブレーキで止まった。

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イサはジープのドアを開け放ち、走[恐]り出した。

…

そこには、４～５０ｃｍほどの草丈の白や薄青色の花が咲き乱れていた。

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その花畑の中にイサは入り込むと、[怖]パンパンに膨らんだ果実に触れた。[鬼]

すると、その実はイサの手の中で弾[故]けるように割れ、中から黒胡麻より[事]も小粒の黒い種子が飛び出した。

…

イサは守谷と出会って初めて、子供[文]らしい笑顔を向けた。

…

守谷は、イサの笑顔にシャッターを切った。

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「これは、ニゲラの種なんだ。

これが有れば・・・お父さんが怪我[章]をしていても、お母さんやお祖母ち[来]ゃん、弟達の誰が怪我や火傷をして[自]いても助かるんだ！！」

守谷にそう言うと、ニゲラの果実か[i]ら種を取り出して行く。

そして、片手いっぱいに種を取ると、それを自分のズボンのポケットにしまう。

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「イサ？その種は、そんな凄い種な[a]の？」

守谷がイサに聞くと

「うん！そうだよ！

偉大な預言者ムハンマド様も仰って[m]いるんだ！

“ニゲラの種は、【死】を除くすべ[k]ての病気や怪我に効く”って！

だから・・・だから・・・

これから先、怪我をしている人や病[.]気になった人に会ったら、この種を[c]分けてあげるんだ・・・。

そしてもし、お父さんに会ったら・・・お父さんにもいっぱい・・・・・・」

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イサはそう言うと、声を詰まらせた[n]。

…

だが、兄であるイサは決して妹に弱[恐]い姿を見せない。

きっと、イサが付いている限り、ファティマはずっと優しい兄に守られて行くのだろう。

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＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[怖]＊＊＊

その日は、日が落ちる前に街に着き[鬼]、街の中にあるドミトリー（相部屋[故]）の簡易宿に泊まる事が出来た。

…

イサはファティマと二人で一つのベ[事]ッドに寝ると言う。

…

他には数名のアラブ系の宿泊客。

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皆が寝静まった頃、ベッドの上で守[文]谷は、カメラに貯まった画像をUS[章]Bを使い、いつも持ち歩いているタ[来]ブレット型メディアプレイヤーに保[自]存をするとそれを日本にある自宅の[i]パソコンへ飛ばした。

…

そして、ふと先程イサが言っていた【ニゲラ】の種を調べてみた。

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【ニオイクロタネソウ】、又は【ブ[a]ラッククミン】、【ローマンコリア[m]ンダー】、そして【ニゲラ・サティ[k]ヴァ】と呼ばれるキンポウゲ科クロ[.]タネソウ属の植物との事。

日本では【ブラックシード】名で知られているそうだ。

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効能は・・・

◎鎮痛

◎抗菌

◎抗炎症

◎抗潰瘍

◎抗真菌

◎抗高潔薬

◎抗酸化

◎鎮痙（痙攣をおさえる）

◎抗ウィルス

◎気管支拡張

◎抗糖尿薬

◎肝臓の保護

◎降血圧

◎インスリン抵抗改善

◎インターフェロン誘導剤

◎腎臓の保護

◎腫瘍壊死因子アルファ阻害剤

…

そればかりか・・・

癌、糖尿病、肝臓の活性化、ダイエ[c]ット、発毛から・・・

シミを作るメラニンの形成を抑える[n]効果に、MRSA感染予防にまで・[恐]・・

確かに・・・イサの言う様に、万能[怖]薬と言っても良い種子の様だ。

…

さらに副作用の少ない自然植物由来[鬼]と来たら・・・。

今以上に研究が進めば、生薬、治療薬として、ニゲラの種が重宝される日も近いのかもしれない。

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イサは、行方の知れない父にいつか[故]会えると信じている。

そして、万能薬だと言うニゲラの種[事]を、父だけではなく、皆に分け与え[文]ようと・・・

…

それなのに自分は・・・

助かる命を数知れず、見殺しにして[章]来た。

世界中の人々に、理不尽なこの世界[来]を見て欲しい・・・

そんな綺麗ごとを言ってはいるが・[自]・・

…

いつかは、と・・・ピーリッツァー[i]賞を取る事を夢見ている・・・

…

守谷は、タブレットの電源を切り、静かにベッドに横になった。

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＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[a]＊＊＊＊＊

朝になり、守谷が目覚めると、すで[m]にイサは起きていて、ファティマの[k]着替えを手伝っていた。

「イサ！腹が減ったな！」

守谷が片言のアラビア語で話しかけ[.]ると、イサはチラリと妹の顔を見て[c]から頷く。

「よし！バザールに買い出しに出る[n]ぞ！」

守谷はそう言うと、粗末な木のベッ[恐]ドの柵に掛けたズボンを履き、爪先[怖]と中底に鋼板が入った革のブーツの[鬼]紐を縛り直す。

…

支度が済むと、３人は連れ立ってバザールへ向かった。

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バザールに着くと、イサがケバブを[故]ジッと見詰めている。

守谷は「ケバブか・・・食べたいな[事]ら買おうか？」と聞くと

「違うよ。ここではケバブと呼ばな[文]い。ティッカだよ。

母さんがバザールで売ってたんだ・[章]・・」

イサはそう呟くと、バザールに売っ[来]ているものではなく、働く人々の顔[自]を、目を皿の様にしながら見つめる[i]・・・

あの日、失った母の姿を探すかの様[a]に・・・

守谷はイサの肩に手を置くと

「ファティマ！ティッカ食べるか？[m]」

と聞くと、ファティマは笑顔で頷く。

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イサとファティマにたらふく肉を食[k]べさせると、守谷は米やパン、そし[.]て日持ちのする果物や缶詰を買いに[c]行き、イサ達はバザールを見たいと[n]言うので、見終わったら、必ず此処[恐]に、この場所に来る事を約束させた[怖]。

…

イサは妹の手を握ると、人混みの中[鬼]へ走り出して行く。

いる筈のない母の姿を追って・・・

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重い米や缶詰は後に回し、パンを買[故]った後に守谷は果物を選んでいた。[事]

そして、金を支払おうと、店の主に[文]手を伸ばしたその瞬間。

…

近くで大きな爆音が響き、その衝撃[章]で守谷の身体は果物の上に投げ出さ[来]れた。

…

市場は逃げ惑う人でごった返す。

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イサは？

ファティマは？

…

守谷はイサ達が消えた方へ向かい、[自]流れに逆らい人混みをかき分け走る[i]。

…

倒れたテント・・・

粉々に飛び散った肉塊・・・

身体に何か突き刺さったまま、逃げようとする人々・・・

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そして・・・

………

「イサ！！！！！」

守谷は叫んだ。

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……

イサは・・・

頭と身体の半分を失った妹を抱き締[a]め、自らの下肢も失くし・・・

うずくまっていた・・・

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守谷がイサの元へ走り寄ると

「MORIYA・・・妹を・・・フ[m]ァティマを助けて・・・

ポケットに、ニゲラの種が入ってる[k]から・・・

それをファティマに食べさせて・・[.]・」

みると、イサは下肢だけではなく、[c]下腹に鉄パイプのような物が刺さっ[n]ている。

話をしながらも、口からは血が噴き出て来る・・・

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守谷はカメラを取り出す事も忘れ

「大丈夫だ！ファティマは助ける！[恐]

イサ！？お前も助かるんだ！！！」[怖]

そうイサに叫んだ。

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イサはニッコリ微笑むと

「MORIYA・・・ショクラン（[鬼]ありがとう）・・・」

そう告げると、静かに妹を抱き締め[故]る手をパタン・・・と、地面に落と[事]した。

………

「イサーーーーー！！！」

守谷は声を張り上げて泣いた。

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人々の悲鳴と幾つもの銃声がこだま[文]する中、二人の亡骸を両手で抱え歩[章]き出すと・・・

…

気付くと、周りには黒い服に身を包[来]んだ集団が・・・

…

守谷はイサとファティマを抱えたまま捕らえられ、頭から黒い布を被せられ、後ろ手に手錠をかけられ、彼等の車まで歩かされると、中に押し込まれた。

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＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[自]＊＊＊＊＊

守谷が捕えられ、捕虜の身となりも[i]う１年が過ぎていた。

何故、未だ生かされているのか・・[a]・？

…

それは、ISIL国に捕えられた守[m]谷の同志でもあるカメラマンやジャ[k]ーナリストの処刑の撮影を指名され[.]、行って来たから・・・

…

世界中に配信される動画を、守谷に有無を言わさず撮影させて来た。

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その代りに、イサとファティマの亡[c]骸を埋め、墓を作る事を許された。[n]

…

そして・・・助けを請う人々が無残[恐]に処刑される姿を、淡々と撮らされ[怖]る・・・

…

気が狂った方がマシだと・・・

…

死んだ方がマシだと・・・

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自ら命を絶とうと考えるが、撮影時[鬼]以外は手錠をかけられ牢屋に押し込[故]められ、死を選ぶ事さえ許されない[事]。

…

鉄柵の付いた窓からは、イサとファ[文]ティマの墓が見える。

…

その墓の辺りは、今はニゲラの花が満開だった。

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＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[章]＊＊＊＊＊

そんなある夜・・・

守谷は突然の爆音で目が覚めた。

基地の廊下を何人もの人が転がる様[来]に走り周る音が響く。

そして、最初の爆音から間髪入れず[自]、再びの爆音と建物が崩れる音。

守谷と同じ様に牢に繋がれた人々は悲鳴を上げる。

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恐らく、有志連合（多国籍軍）から[i]の空爆なのだろう。

見る見るうちに建物は崩れ、この牢[a]のあちらこちらから引火した炎が立[m]ち上る。

泣き叫ぶ者。

神に祈りを捧げる者。

なす術もなく呆けた様に立ち尽くす[k]者。

手錠を、繋がれた鎖を、引き千切ろうとする者。

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戦闘員達はこの建物から出たのだろ[.]うか？

何台もの車のエンジン音がし、その[c]すぐ後には怒声の様な悲鳴が聞こえ[n]たかと思ったら、大きな爆音が何回[恐]も響く。

…

そして、この牢からでも暗闇を眩しく照らす閃光が差し込んで来て、思わず顔を背ける。

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崩れて来た壁に押し潰される者。

投下された爆弾で吹き飛ばされる者[怖]。

両手を手錠と、天井や壁からの鎖で繋がれたまま火に焼かれる者。

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あんなに願った“死”だが、守谷は[鬼]いつしか泣き叫んでいた。

…

「助けてくれ！！！！！

俺達は、味方だ！！！！！」

…

だが、そんな声は空にいる者に届くはずはなかった。

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そして、耳をつんざく様な爆音が背[故]後でした時・・・

…

守谷の身体はゆっくりと、スローモ[事]ーションの様に牢屋の柵に飛ばされ[文]、そして、柵は守谷の身体を受け止[章]めるかの様に、静かに倒れた。

…

頭から血は流れ、身体はバラバラに[来]なりそうな痛みはあったが、守谷は[自]生きていた。

…

しかも、爆風に飛ばされた時、守谷と牢屋の壁を繋いでいた鎖が千切れていた。

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他に助かる者はいるか？

辺りを見回したが、そこは・・・

屋根も壁も吹き飛ばされた瓦礫の山[i]に成り果てていた。

床だった場所には、大きな血溜りが拡がって来る。

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運よく鍵のかかったドアが、扉自体[a]吹き飛ばされて無くなっている。

…

両手には手錠がかかったままだが、[m]守谷は外へ出ようと一歩、牢から外[k]へ踏み出した・・・

…

だが、眼前に迫る炎で行く手を遮られる。

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「うわあっ！！！」

一歩後ろに退いた所で、背中から襲[.]い来る炎に後頭部の髪を焼かれた。[c]

四方八方から熱風と炎が容赦なく迫[n]りくる。

…

守谷に逃げ道はなかった・・・

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その時、通路の向こう側に小さな人[恐]影が見えた。

「タアーラ！！（こっちだよ）」

その者は、炎の先で守谷に向かい手[怖]招きをするが、激しい炎が守谷の行[鬼]く手を遮る。

「ダメだ・・・。そっちには行けな[故]い・・・。」

守谷は呟き、生きたまま焼かれる地[事]獄を・・・

少しでも安らかに死ねるように・・[文]・

両指を絡ませ、祈り出したその次の瞬間。

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まるでエジプト兵に追い詰められ、[章]約束の地《カナン》に向かうモーゼ[来]が神に祈ると眼前の海が割れて道を[自]作った・・・あの十戒の様に、今、[i]守谷の眼前で渦を巻いた炎が割れ、[a]道を作っていく。

…

その先には、先程の人影が大きく手招きをしている。

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守谷は走り出した。

何の奇跡が起こったのか、まるで分[m]からない。

ただ、生きる為には今目の前の奇跡[k]を信じるしか道はなかった。

…

炎だけではなく、崩れ落ちた瓦礫も、何者かが避けてくれたかのように、守谷の進む通路には転がってもいなかった。

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炎に包まれた建物から無事に脱出出[.]来たのだ。

…

素足のまま数歩行き、守谷が建物を[c]振り返ったその時、建物が激しい音[n]を立てて崩れ落ち、大きな瓦礫の山[恐]となった。

…

ふと、先程の人影を探した。

だが、どこにも人の姿はない。

…

そして、グルリと辺りを見回すと、炎の向こうに見えるニゲラの花の咲く場所に、小さな人影が二つ、並んで立っていた。

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「イ・・・サ・・・？」

守谷は、その姿を見詰める。

…

「イサ・・・

ファティマ・・・

お前達が、俺を・・・

俺を助けてくれたのか・・・？」

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そう呟くと、耳元のすぐ近くでイサ[怖]とファティマの懐かしい声がした。[鬼]

「MORIYA・・・ショクラン・[故]リクッリ・シャイイン（色々、あり[事]がとう）・・・」

「MORIYA・・・？マアッサラーマ（さようなら）・・・」

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みるみるうちに、イサとファティマ[文]の墓が・・・

ニゲラの花が・・・瓦礫の山からの[章]延焼の炎に包まれて行く。

…

守谷は膝が抜けた様にその場で座り込むと、イサとファティマに向かい手を合わせた。

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＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[来]＊＊＊＊＊

「はぁ・・・はぁ・・・」

守谷は日陰のない砂漠をひたすら歩[自]き続けていた。

…

靴もなく、焼けた砂と乾いた大地が広がる砂漠・・・。

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どこでも良い。

街を見付けられたら・・・

街じゃなくても良い。

せめてオアシスで、張り付く喉を潤したい。

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イサとファティマに助けられた命。[i]

それさえも、もう・・・消えかかっ[a]ているのかもしれない。

…

砂漠の昼夜の寒暖差は激しい。

放射冷却の影響で、乾いた砂は熱を帯びやすく、又、日が暮れると一気に冷える。

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まるで、フライパンで炙られた後ツンドラの大地に放り出されたかの様な気温差に、薄着一枚、素足の守谷は手錠の付いた両手で自らの膝を包み、遮るもののない、いつか見たプラネタリウムの様な星空を見上げ、遠い祖国を想って泣いた。

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朝焼けが辺りを照らして行く。

守谷は立ち上がり、又歩き出す。

…

留まると言う事は、【死】と言う選[m]択しかない。

どんなに疲れ果て、足の皮が全て剥[k]がれ落ちようとも・・・

歩かなくてはいけなかった。

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誰か、通りかかる者はいないか？

飲み物を・・・水が欲しい・・・

そして、砂漠の熱で焼け爛れた両足[.]を引き摺り、砂の山を登りきると・[c]・・

…

守谷の眼前、僅か数十メートル先の荒れた大地一面に淡い色をした花が咲き乱れていた。

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それを見た守谷は、慌てて駆け寄ろ[n]うとするが足がもつれ、砂山から転[恐]げ落ちた。

そして、目の前に咲く花の中から風[怖]船の様に膨らんだ実を探す。

…

「ニゲラだ・・・」

熟した実は、守谷の手の中で弾け、黒い小さな粒をパラパラと放出させて行く。

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守谷はその粒を咀嚼もせず、飲み込[鬼]んで行く。

幾つも幾つも・・・守谷は黒い粒を[故]次々と取り出しては飲み込む。

…

乾いた喉に種が張り付く度に激しく咳き込むが、それでも少しでも空腹を癒す為に、守谷はニゲラの種を夢中で食べ続けた。

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どの位食べたのだろう・・・守谷が[事]次の実に手を伸ばそうとするが、そ[文]の手は目の前の実に届かない。

…

足も絡まり、立っている事も出来な[章]くなった。

…

気付くと口の端から黒い粒と共に涎[来]が流れて来る。

…

そして、ニゲラの花に囲まれ、守谷は俯せに倒れ込んだ。

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口腔内が焼ける様に熱い。

激しく込み上げて来る嘔吐感。

心臓は早鐘の如く、激しい動悸を繰[自]り返す。

…

やがて、堪え切れないほどの下腹部[i]の痛み。

…

だが、身体は地面に磔（はりつけ）にされた様に、一指も動かす事が出来ない。

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すると・・・誰かの足音が聞こえて[a]来た。

…

１人・・・２人・・・いや、もっと[m]沢山の足音が守谷の方へ向かって来[k]る。

…

（助けてくれ・・・）声にならない[.]声で助けを求める。

…

身体が波打つ様に痙攣を繰り返す。

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薄れ行く意識で、最後に見たものは[c]・・・

…

自分を囲む、沢山の顔。

…

それは、守谷がカメラに収めたすで[n]にこの世に居ない人々の顔だった。[恐]

…

守谷はやがて、静かに瞼を閉じ、そして二度とそれが開く事はなかった・・・

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＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊[怖]＊＊＊＊＊

その年のピーリッツァー賞は、ある[鬼]戦場カメラマンの作品に決まった。[故]

…

本人の行方は分からず、生死の情報[事]すらなかった。

…

だが、彼の自宅のパソコンに残された写真を見た同志のカメラマンが彼の遺志を汲み発表したものだった。

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…

…

『花と少年』と、言うタイトルで・[文]・・

…

…

…

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・・・

ニゲラ

・・・

花言葉：未来、不屈の精神、夢を抱く、ひそかな喜び、夢で逢いましょう、戸惑い、困惑、当惑

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※一般的に販売されているニゲラに[章]は、大まかに分けると、種を食用に[来]出来る【ニオイクロタネソウ】と、[自]アルカロイド系の毒を持つ【クロタ[i]ネソウ】があり、どちらも《ニゲラ[a]》と呼ばれる。

種や花でそれらを見分ける事は非常[m]に難しい。

そして【クロタネソウ】を大量摂取することにより、心臓麻痺などの重い症状を引き起こし、死に至る場合もあるので、専門知識のある方は別として、ホームセンターで購入したものや知り合いから譲り受けたものを食用として摂取する事は避けた方が良いでしょう・・・