[改名] 美杜莎

iamk 日本恐怖故事 2023-06-20 08:30:01 749 0

音乐:4

壁纸:224

声音:11

嘿,这门锁着为什么不?

游矢拉动把手,门吱呀一声打开了。[文]

然后,他竖起大拇指,指了指大楼内[章]部。

“可是……不好了,再怎么没人,也[来]可以随便进别人家……”

春奈双手捂住自己. 抱着游矢的身体对着游矢说道。

“可是春奈,情况就是这种情况。

我们三个人都湿透了,我们在一旁,你的嘴唇很苍白,是吗?很冷,不是吗?

p>

临时避难没有问题。

然后我们提着行李走进了漆黑的大楼。

到了山里一座黑色的老洋房。

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wallpaper:1046< /p>

我、游矢、春菜是大学里同一个社团的三位好友。

我们三个人是一个年级,刚进社团的时候,我们就相处得很好,所以经常出去玩。

甚至在Yuya和Haruna大约半年后开始约会之后,它还在继续。

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wallpaper:83

一个夏天的周末,我们在东京附近爬[自]山。

我们的计划是一早开始爬山,在山顶[i]吃午饭,下午一早下山,回到山脚下[a]的温泉设施。

但它按计划进行。一直到中午,正当[m]我以为下山的路上乌云越来越大的时[k]候,下起了倾盆大雨。

壁纸:150

声音:11

声音:9

雨和风越来越大,连雷声都开始隆隆作响。

我们慌忙跑到树荫下,却没有活下来的可能。

虽然是午后,天已经黑了,一阵凉风笼罩着我湿漉漉的身体。

我的脑海里闪过痛苦这个词。

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“咦,那不是你家吗?”我能看到黑[.]色的外墙,好像被树遮住了。

沿着一条形似野兽的狭窄小巷,便是[c]一栋西式外观的二层小楼。

考虑到像这样在山里,估计是别人家[n]的别墅吧。

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sound:11

暂且租住门口的屋檐避雨。

我的全身都湿透了,体温在无休止的被掠夺着。

这是我带着漫不经心的心情走近的登山。果然穿着登山鞋,背着的背包却没有合适的装备。

春奈脸色苍白,牙齿咯咯作响。 “它解锁了,”他说。

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wallpaper:1< /p>

进入房间前,我还在犹豫要不要把登山口拿掉,但犹豫很快就烟消云散了。

摇一摇

Paki, Peki, Jari——

我听到脚下有什么东西被踩碎的声音。

那是无数的镜子,从砂岩一直延伸到入口处的地板。

进门前的墙上,挂着一面略显残缺的[恐]镜框。

我不能赤脚走来走去。

一边为自己的失礼道歉,一边决定让她穿着我的鞋上楼。

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这座建筑就像一座私人住宅,比平时稍微大了一点。

宽敞的入口空间内,有通往二楼的楼梯,还有通往一楼后方的走廊。

在Yuya的带领下,我们举着手机当手电筒往大厅走去。

打开左边的门,是一间宽敞的西式房间。

虽然窗户上挂着厚厚的窗帘,但外面微弱的光线从微弱的缝隙中透进来,让房间显得有些模糊。

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桌子两边的大沙发。

古董架子上的餐具和茶杯。

门边的架子上挂着一只鸟标本和一只[怖]优雅的座钟。

“真有豪门别墅的感觉。”

游矢一边毫无保留地打量四周,一边发出赞叹的声音。

我和春菜把从背包里拿出的毛巾铺在入口附近,把行李和湿漉漉的外套放在上面。我不能让房间变得凌乱。

“喂,游矢,别穿着湿衣服到处走,[鬼]把你的行李放这边。” 当我找到桌钟旁边掉落的相框时,我[故]又开始兴奋起来。

“哦,这就是这房子的主人吗?爸爸[事],妈妈,中间还有一个女儿……那是[文]成年照吗?”穿着和服?

" p>

你看,这一家子长得真像他们对不对?都长着圆圆的脸,长得像浣熊。

基因好吓人。

偷看游矢递过来的相框。它们确实非常相似。

但第一眼打动我的是他的笑容反倒是[章]夹在父母中间的女儿,表情空洞阴沉[来]

而且照片本身就显得很旧了。颜色已[自]经褪去,变得发白,比如脚的部分。[i]

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我让疲惫不堪的春菜坐在沙发上,用[a]我手上的毛巾擦了擦头发和身体。

我的身体在颤抖。牙根不匹配。照这[m]样下去,我会感冒的。

空调有遥控器,我试着打开,当然没[k]用,因为没有电。

看看手机屏幕,已经是下午2点30[.]分了。

透过窗帘的缝隙窥视,外面被大雨染[c]成了白色。

我应该打电话到外面寻求帮助吗?

不过,天气预报并没有说今天会下雨[n]。这可能是暂时的阵雨。求救是不是[恐]太夸张了?

就是那个时候,我在和悠哉商量怎么[怖]办。

声音:26

砰!

敲门声很大。忽然从上方响起。

三人不由自主地抖了抖肩膀,弓起了腰。

“——咦,那是什么声音?”听起来[鬼]肯定是这样,但也有可能是什么东西[故]堆积起来掉落的声音——”

我们很自然地窃窃私语。

啧--

然后是有规律的声音,像是地板咯吱[事]咯吱作响。

好像有人在二楼走来走去。

在没有电的老房子里?

声音立刻停止了。

“不对!喂,怎么回事?这屋子里有[文]谁?”

春菜发出尖锐的声音。

“别担心!我不知道!”

“这是一座老建筑。

就这样——”

有没有房子的隆隆声是那样动的,好像有什么重物在走来走去?

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看看窗帘的缝隙。雨还没有小。

接下来,看看春奈的脸。心中必有惧[章]色,只是脸色大不如往日。

现在,你不能离开这所房子。

“——我会检查一下的”

说着,悠哉一把抓住了我的胳膊。

“等等!那我就走了,你是个胖子也[来]没关系。”

“不!如果你走吧,大家一起走吧![自]谁也别一个人去!”

春奈泪流满面地呼吁道。

我和游矢对视一眼,点了点头,站了起来。

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离开西式房间,前往入口处。

顺序是游矢在前,我在后,春菜在后[i]。春菜靠在我的背上,颤抖着。

爬楼梯到二楼。

shake

Jalili--

到了二楼,就听到了刚才在门口听到[a]的踩到硬物的声音。稻田。

“镜子又碎了。用坚定的声音说。”

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二楼的走廊比一楼还要黑。

正对着走廊的是三扇紧闭的门。

Yuya站在前门前,看了我一眼,把手机递给我。遇到事情要不要把手放开?

然后,他深吸了一口气,推开了门。

“哇!”

春菜在我身后举起爪子抓住了我的肩[m]膀。

“怎么了?”

我瞥了眼游矢的脸,看看他的前方是[k]什么。

类似西式房间,厚厚的窗帘呀。

然而,从缝隙射进来的外界光线却很[.]暗淡。

黑暗中站着一个长相奇怪的人影。

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music:3

昆虫般的长肢。

沙漏般的躯干。

虽然瘦长的有些奇怪,但只有右侧的脑袋笨拙地突出来。

脸上像是失败的笑声。

填充左眼。

右眼很大,好像有错的部位。

鼻子笨拙地转向了左边。

左唇上扬,右唇向下拉。

尴尬的数字。

但是这个身影看起来很眼熟。

虽然形状不同,但我穿的衣服颜色和图案--,

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music:4

“这是什么?是一面镜子。”

我松了口气,放松了肩膀。

站在我面前的是我自己在一面奇怪扭曲的镜子中的倒影。

当我对着镜子挥手的时候,镜子里的[c]我的形象也扭曲了,向后挥手。

“你在做什么?”

“但为什么这面镜子变形如此之大?[n]

我走进房间,靠近镜子,抚摸着它的[恐]表面。

--感觉很颠簸。有的地方凹陷,有[怖]的地方突出。

火——是吗?

我不太了解镜子的材质,但我可以想[鬼]象表面被热变形了。

“这是你女儿的房间吗?”

春奈环顾四周,喃喃自语。

宽大的衣橱,靠窗的书桌,放着小物件的架子,还有花样繁多的被子床,都有年轻女性喜欢的设计。

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房间本身布置得很好。

只有一个地方,书桌,堆满了东西。

一个透明的文件夹,里面装满了一捆捆厚纸,几包药丸,一捆捆绷带,一大块看起来是专业用途的消毒剂,还有一个小相框。

当我没有看到相框时,我看到了一个女人。

她是一个美丽的女人。

像模特一样的身材线条。

白皙的皮肤,长长的黑发。

微微上翘的眼睛,挺直的鼻子,还有花苞般的小嘴唇。

狐狸般的印象,可能是和刚才在西式房间里看到的浣熊脸女孩自然而然的联想了起来。

“可能是姐姐的房间。”我还以为她[故]们是姐妹呢。

相对于那个面色阴沉的驼背少女,这个女人的脸上充满了自信。

衣服也很暴露,纤细的身体线条中,只有胸口吸引了男人的目光,给人一种压倒性的存在感。

我要是有个这么漂亮的妹妹,我隐隐觉得她会不会对自己的容貌产生一种情结。

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“我不管,这里没人,我们继续,下[事]一个——”

sound:32

p>

shake

Jiririririririri[文]rili--

突然,一个旧电话铃响了。

"Kyaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!"

Haruna screams and runs out of the room.

游矢连忙追了上去。

两人急忙下楼的声音。

Zooooooooooooooo[章]oooooooooooooooo[来]oooooooooooooooo[自]oooooooooooooooo[i]o

“Aaaaaaaaaaaaaaa[a]aaaaaaaaaaaaaaaa[m]aaaaaaaaaaaaaaaa[k]aaaaaaaaaaaaaaaa[.]aaaaaaaaaaaaa!”

“Haruna—!”

A series of noises and screams came from downstairs.

我也跑出了房间。

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小心地走下楼梯,沿着墙壁摸索着。[c]

楼下,春奈蹲下身子,握着她的手腕[n],雄二在她身边摇晃着她的肩膀。还[恐]有一个人影。

“怎么了?”

“他脚下一滑,从楼梯上摔下来了!地上散落的碎片割伤了他的手腕——”

<当我看着她的时候,我看到她的右手腕上滴着大量的鲜血。

“――好疼。”

“喂,榛名!游矢摇了摇他的肩膀。[怖]不,我很难过。

“悠哉!​​带春奈去西式沙发!

用毛巾扎住手臂动脉止血!叫救护车!

< p> 我把之前房间找到的绷带和消毒液带来!”

当我抓起桌上的绷带和消毒剂瓶时,[鬼]透明的文件夹滑落到地上,仿佛瓶子[故]代替了重量。

Basaa--

夹在里面的那团纸散了一地。

每件大约有一张明信片那么大。 ——那是一张照片。

地板上有几十个。

桌子上只剩下两张照片。

一个朝上,一个朝下。

看前面的照片,和西式相框里的人是同一个人。

一张看起来像证件照,只露出上半身[事]的照片。

照片的下半部分已经破损,露出背面[文]

你可以看到背面的文字。

数字。

'1987/10/5'

当我说'87'时,正好是30年前。

我还以为那个相框也是一张很老的照[章]片呢。

在纸张的另一面是文字“1988/[来]5/3”。

翻阅照片。

那个女孩在那里。

不过,容貌却发生了微妙的变化。

原本下垂的细眼现在裂成了锐利的缝隙。

我的印象是第一个转弯更大。

我有预感蹲在球场上。

许多照片散落在地板上。

有的正面朝上,有的反面。

里里外外的一切都是手工标注日期的[自]

表中的照片展示了各种女性的上半身[i]

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多种多样——同一张女人的脸,变化之多如你所想。

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我被这些照片迷住了。

然后把它翻过来,对齐年份和日期。[a]

创建了一个厚包。

翻过来,把拇指放在底部,一下子翻过来。

是的——就像一本活页簿。

“你长得像只圆脸的貉。”

眼睛又宽又细,鼻梁挺直,嘴唇小,脸颊凹陷,下巴窄。

脸的轮廓就好像被拉长了一样变细了。

在某些时候,我觉得自己看起来像一只狐狸。

但变化还没有结束。

女人的眼睛越长越微妙,鼻子长高,嘴唇丰满,脸颊越下垂,下巴越尖。

女人的头发里开始混杂着白色的东西。

他的眼睛下方和嘴巴周围开始形成细小的皱纹。

但女性的变化并没有停止。

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不知何时,女人的头发忽然变得不自[m]然,又黑又长。遮住脸部轮廓的长发[k]

我的眼睛又大又斜,满脸的皱纹都消[.]失了。

你的脸颊白得像蜡像。

你的嘴唇是血红色的。

女人的脸是假的。

这是这个女人整容的记录。

它在脸上进行切割、加宽、刮擦、添[c]加、拉动和提升。

不再有任何未更改的部分。

起初并没有那个女孩的踪迹。

还是——。

下一个age

可以看到女人脸上尖叫的部分。

左眼松弛下垂。

肉下变小的右眼。

鼻子笨拙地向右转。

左唇下垂,右唇上勾似的上扬。

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女人的脸——破了。

就像一个失败的福瓦莱。

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我蹲在地板上多久了?

在后面——房间的入口处,门开着—[n]—地板吱吱作响。

我抬头看声音。

镜子就在我面前。

我可以看到我的脸,奇怪地拉长了。[恐]

在我身后。

一个女人站在那里。

黑色的长发和白色的皮肤。

她穿着一件像白色睡衣一样飘逸的裙[怖]子。

苗条、健康的四肢。

最重要的是,他的脸像一幅画一样精[鬼]心布置。

她很漂亮——她是个女人。

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镜子里,我们的目光交汇。

扭曲的镜子里倒映出的美女在我身后微笑。


作者:綿貫一
原文:【改題】メデューサ

music:4

wallpaper:224

sound:11

「おい、このドア、鍵がかかってな[故]いぜ?」

裕也(ゆうや)が取っ手を引くと、[事]ドアはきしんだ音をさせながら開い[文]た。

そして、親指を立てて、くいくいと[章]建物の内側を指し示す。

「でも……まずいよ。いくら誰もい[来]そうにないからって、他人の家に勝[自]手に入るなんて……」

春奈(はるな)が両手で自分の身体[i]を抱いたまま、裕也に向かって言う[a]

「でも春奈、状況が状況だ。

[改名] 美杜莎 日本恐怖故事

三人とも全身ずぶ濡れだし、俺たち[m]はともかく、お前、唇が真っ青じゃ[k]ないか。寒いんだろ?

一時的に避難させてもらう分には問[.]題ないさ」

俺の言葉に、「明(あきら)君がそ[c]う言うなら」と春奈も頷く。

そして、俺たちは各々の荷物を持っ[n]て真っ暗な建物の中へと足を踏み入[恐]れた。

山の中に建つ、洋風の古びた黒い家へと――。

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wallpaper:1046

俺と裕也と春奈の三人は、大学で同[怖]じサークルに所属する友人同士であ[鬼]る。

三人とも学年も同じだし、入部当初[故]から気が合ったのでよくつるんでい[事]た。

それは、半年ほどして裕也と春奈が付き合うようになってからも変わらず続いていた。

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wallpaper:83

ある夏の日の週末、俺たちは東京近[文]郊の山へと登山に来ていた。

予定では早朝から山へ登り始め、頂[章]上で昼食を食べ、午後早い時間に下[来]山、麓の温泉施設で汗を流して帰っ[自]てくるという流れになっていた。

ところが、予定通りに流れたのは昼までで、下山の途中雲行きが怪しくなってきたと思った矢先、大粒の雨が降りだした。

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wallpaper:150

sound:11

shake

sound:9

雨と風はみるみる強まり、雷まで鳴[i]りだした。

俺たちは慌てて木陰で逃げ込んだが[a]、まったくしのげそうになかった。[m]

午後も早い時間だというのに辺りは[k]暗くなり、ひやりとした冷気が濡れ[.]た身体を包み込んだ。

遭難の文字が頭を俺の脳裏をよぎった。

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「おい、あれ、家じゃねえか?」

裕也の声に振り返ると、登山道から[c]外れた山の中に、まるで木々に隠れ[n]るかのように黒い外壁が見えた。

けもの道のような細い小路を辿って[恐]近づくと、果たしてそれは洋風な外[怖]観をした二階建ての建物だった。

こんな山中にあることを考えると、誰かの別荘なのかもしれない。

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sound:11

ひとまず玄関の軒先を借りて雨を避[鬼]ける。

全身はぐっしょりと濡れ、体温が際[故]限なく奪われていく。

いい加減な気持ちで臨んだ登山だっ[事]た。さすがに登山靴は履いているが[文]背負ったリュックの中にはろくな装[章]備が入っていない。

春奈が青白い顔をして歯をカチカチ鳴らしていると、背後でドアをいじっていた裕也が声を上げた。「鍵が開いている」と。

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wallpaper:1

俺は、室内に上がり込むに当たって、登山口を脱ぐべきか否かを逡巡したが、その迷いはすぐさま消し飛ぶことになった。

shake

パキ、ペキ、ジャリ――

足元からなにかを踏み砕く音がした[来]

それは三和土(たたき)から玄関先[自]の床にまで、無数に広がった鏡の破[i]片であった。

見ると、玄関先の壁にわずかに残骸[a]を残した鏡の額が掛かっていた。

これでは素足で歩き回るわけにいか[m]ない。

胸の中で非礼を詫びながら、土足のまま上がらせてもらうことにする。

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建物は普通より少し大きめの民家と[k]いったところだった。

広めの玄関スペースには二階へと続[.]く階段と、一階の奥へ通じる廊下が[c]あった。

俺たちは裕也を先頭に、携帯電話を懐中電灯代わりにかざしながら、廊下を奥へと進んだ。

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左手のドアを開けると、広い洋間に[n]出た。

窓は厚いカーテンで覆われていたが、かすかな隙間から弱々しい外の光が差し込んで、室内をぼんやり浮かび上がらせている。

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テーブルを挟んで両側に置かれた大[恐]きなソファ。

アンティークな棚に納められた皿や[怖]ティーカップ。

ドア横の棚には鳥のはく製と、瀟洒(しょうしゃ)な置時計が飾られていた。

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「やっぱり金持ちの別荘って感じだ[鬼]な」

裕也が無遠慮に辺りを物色しながら[故]感嘆の声を上げる。

俺と春奈は入り口付近にリュックか[事]ら出したタオルを広げ、その上に荷[文]物や濡れた上着などを置いた。室内[章]を荒らすわけにはいかない。

「おい、裕也も濡れた格好のまま歩[来]き回るなよ。こっちに荷物置け」

へいへい、と軽口をたたきながら戻ってきた裕也だったが、棚の置時計の横に倒れた写真立てを見つけると、再びはしゃぎ始めた。

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「お、これがこの家の持ち主か?父[自]親と母親と真ん中に娘……、着物着[i]てるってことは成人式の写真かな?[a]

おい見ろよ、この家族全員そっくり[m]だぜ?みんな揃って丸顔で狸みたい[k]だな。

遺伝って恐ろしいな、ここまで似る[.]もんかよ」

裕也が差し出してきた写真立てを覗[c]きこむ。確かに皆よく似ている。

だが、俺が一目見て印象に残ったの[n]は、笑顔の両親に挟まれた娘の表情[恐]が、正反対に虚ろで暗かったこと。[怖]

それに写真自体が大層古いもののようだったことだ。足元の部分など、色が褪せて白っぽくなってしまっている。

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消耗が激しい春奈をソファに座らせ[鬼]て、持ち合わせのタオルで髪や身体[故]を拭かせる。

身体震えている。歯の根が合ってい[事]ない。このままでは風邪をひいてし[文]まう。

エアコンのリモコンがあったので電源を入れてみるが、当然ながら電気は通っていないようで作動しなかった。

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携帯の画面を見ると、時間は午後の[章]2時半。

カーテンの隙間から覗く屋外は、激[来]しい雨に白く染まっている。

電話で外に助けを呼ぶべきだろうか[自]

ただ、予報では今日雨が降るとは言[i]っていなかった。これは一時的な通[a]り雨かもしれない。それで救助を呼[m]ぶのは大げさが過ぎるか。

裕也と対応を話し合っている、その時だった。

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shake

sound:26

バタンッ――!

ドアを叩きつけるような大きな音。[k]それが突如頭上から響いた。

三人とも、思わず肩を震わせ身体を[.]縮こませる。

「――ねえ、今の音、なに?」

「知るかよ。ドアが閉まった音――[c]だろ?」

「わからない。確かにそんな風に聞[n]こえたけど、何か積んであったもの[恐]が落ちた音かもしれないし――」

俺たちは自然と小声になって囁きあう。

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shake

ギイ――、

ギッ――、

ギィ――、

ギッ――

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次いで、床が軋むような、規則的な[怖]音。

まるで誰かが二階を歩き回っている[鬼]ような――。

こんな電気も通っていない、古びた[故]家で?

音はすぐに止んだ。

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「やだっ!ねえ今のなに?この家、[事]誰かいるの?」

春奈が甲高い声を上げる。

「うるせえな!しらねえよ!」

「家鳴りかもしれない、古そうな建[文]物だし。

ただ、あんな風に――」

あんな風に、まるで重いものが歩き回るかのように、移動する家鳴りなどあるだろうか。

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カーテンの隙間を見る。雨は弱まっ[章]ていない。

次いで春奈の顔を見る。恐怖もある[来]だろうが、あいかわらず血色がよく[自]ない。

今、この家の外に出ることはできな[i]い。

「――確かめてくる」

俺が言うと、裕也が腕を掴んでくる。

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「待てよ!それなら俺が行く。お前[a]みたいなヒョロい奴が行ってもしょ[m]うがねえ」

「やだよ!行くなら皆で行こう!誰[k]か一人で行くなんてダメだよ!」

春奈が泣きそうな顔で訴える。

俺と裕也は顔を見合わせ、頷いてから立ち上がる。

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洋間を出て、玄関に向かう。

先頭に裕也、次いで俺、春奈という順番だ。春奈は震えながら、俺の背中にべったりと身体を寄せている。

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二階に向かう階段を登る。

shake

ジャリリ――

二階にたどり着いたところで、先ほ[.]ど玄関で聞いたのと同じ、固いもの[c]を踏んだ音が足元から響いた。

「――また、鏡が割れてる。足滑ら[n]せないように気をつけろ」

一度携帯の液晶で足元を照らした裕也が、前を向いたまま固い声で言う。

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二階の廊下は一階よりも一層暗かっ[恐]た。

廊下に面して閉じているドアが三つ[怖]ほどある。

裕也は一番手前のドアの前に立つと[鬼]、俺をちらりと振り返り自分の携帯[故]を手渡してきた。何かに遭遇した際[事]、両手を空けておきたいということ[文]か。

そして、小さく深呼吸をしてから、勢いよくドアを開け放った。

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「うわあっ――!!」

裕也が悲鳴を上げ、バランスを崩し[章]て尻餅をついた。

背後で春奈が爪を立てて肩を掴んでくる。

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「どうした!」

俺は裕也の顔をちらりと覗いて、そ[来]の視線の先を見る。

洋間と同じく、分厚いカーテンが閉[自]められた部屋。

ただ、隙間から射す外の光で、薄暗[i]い程度の光度。

その薄闇の中、奇妙な形の人影が立っていた。

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music:3

昆虫のように細長い手足。

砂時計のようにくびれた胴体。

奇妙に間延びし細くなっているのに[a]、右側だけ不格好に飛び出した頭部[m]

顔面に至っては失敗した福笑いのようである。

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釣りあがった左目。

パーツを間違えたかのような大きな[k]右目。

不格好に左に曲がった鼻。

唇は左が上に釣りあがり、反対に右は下に引っ張られている。

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厭な人影。

しかしどこか見覚えのある人影。

形は違えど、服の色と模様は俺が身に着けている――、

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music:4

「――なんだ、鏡じゃないか」

俺はほっと息を吐き出し、肩の力を[.]抜く。

俺の前に立つもの――それは奇妙に[c]歪んだ鏡に映し出された、俺自身の[n]姿だった。

俺が鏡に向かって手を振ると、鏡の中の俺もゆわんゆわんと像を歪ませながら、手を振り返す。

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「なんだよ、驚かせやがって!」

裕也は尻餅をついたまま悪態をつく[恐]

「しかし、なんだってこの鏡はこん[怖]なに歪んで映るんだ?」

俺は部屋の中に踏み込んで、鏡に近[鬼]づき表面を撫でる。

――デコボコした感触。ある場所は[故]へこみ、ある場所は張り出している[事]

火事――でもあったのだろうか?

鏡の素材はよくわからないが、熱によって表面が歪んでしまった様を想像する。

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「――ここ、娘さんの部屋だったの[文]かな?」

春奈が室内を見渡しながらつぶやく[章]

大きなクローゼット、窓際に置かれた机、小物が置かれた棚、洒落た柄の掛布団が掛かったベッドなど、それぞれに若い女性が好みそうなデザインが取り入れられたものばかりが揃えられていた。

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部屋自体はきれいに整理されていた[来]

ただ一か所、机の上だけは乱雑に物[自]が置かれて散らかっていた。

分厚い紙の束を無理やり詰め込んだ[i]クリアファイル、複数の錠剤のパッ[a]ケージ、包帯の束、業務用かと思わ[m]れる大きな消毒液、そして小さな写[k]真立て――。

見るともなしに覗きこむと、写真立てには一人の女性が映っていた。

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美しい女性だった。

モデルのように整った身体のライン[.]

白い肌に黒く長い髪。

ややつりあがった瞳と、すっと真っ[c]すぐに通った鼻すじ、小さな蕾のよ[n]うな唇。

狐のような――という感想は、先ほど洋間で見た狸顔の娘と対比して自然に連想されてものかもしれない。

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「さっきの子のお姉さんの部屋――[恐]なのかもしれないね」

春奈の言葉にうなづきながら、ずい[怖]ぶん対照的な姉妹だな、と思った。[鬼]

暗い表情で背を丸めていた先ほどの[故]娘に比べると、こちらの女性は自信[事]が顔にあふれていた。

服装も露出の高いもので、細い身体[文]のラインの中、胸だけが男の視線を[章]吸い寄せる圧倒的な存在感を出して[来]いる。

これだけ美しい姉がいたとしたら、その妹は容姿に大層コンプレックスを抱いただろうな、とぼんやり思った。

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「どうでもいいよ、ここには誰もいなかったんだし、次いこうぜ、次――」

sound:32

shake

ジリリリリリリリリリ――

突如、古い電話のベルが鳴り響いた[自]

「きゃあああああああああああッ![i]

春奈が悲鳴を上げて部屋を飛び出し[a]ていく。

慌てて裕也がその後を追う。

二人が慌ただしく階段を降りていく音。

shake

ズッ――ダダダダダ――バタン!

「あああああああああああッ!」

「春奈――!」

続けざまに階下から物音と悲鳴が聞[m]こえてきた。

俺も部屋を飛び出す。

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手探りで壁を伝いながら、慎重に階[k]段を降りる。

階下では手首を抑えてうずくまる春[.]奈と、その脇で彼女の肩をゆする裕[c]也の姿があった。

「どうした!」

「こいつが足を滑らせて階段から落[n]ちたんだ!それで床に散らばった破[恐]片で手首を――」

見ると、彼女の右手首からはドクドクとおびただしい量の血が流れていた。

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「――痛、い」

「おい、春奈!しっかりしろ、おい[怖]!」

ガクガクと春奈の肩をゆする裕也。[鬼]いけない、取り乱している。

「裕也!春奈を洋間のソファまで連[故]れていけ!

タオルで腕の動脈を縛って止血しろ[事]!救急に連絡を!

俺はさっきの部屋にあった、包帯と消毒液を持ってくる!」

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俺は急いで階段を駆け上がり、元い[文]た部屋に走り込む。

机の上の包帯と消毒液の瓶を掴み取[章]ると、瓶が重しの代わりになってい[来]たのか、クリアファイルが床に滑り[自]落ちた。

バサア――

中に挟まれていた大量の紙が床中に[i]広がる。

一枚一枚はポストカードくらいのサ[a]イズである。――写真だった。

それが何十枚も、床の上に。

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机の上に、二枚だけ写真が残ってい[m]た。

一枚は表を向いており、もう一枚は[k]裏を向いている。

表向きの写真を見ると、洋間の写真[.]立ての中の人物と同じ、あの娘だっ[c]た。

上半身だけが映った、証明写真のよ[n]うな写真。

写真の下半分が折れて、裏側が覗い[恐]ている。

裏側に文字が書かれているのが目に[怖]入る。

数字――。

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『1987/10/5』

87年というと、今からちょうど3[鬼]0年ほど前か。

あの写真立ても、ずいぶん古い写真[故]だと思ったのだ。

裏返ったもう一枚には、『1988[事]/5/3』の文字。

写真をめくる。

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そこにはあの娘が映っていた。

しかし、その面影は微妙に変化して[文]いた。

垂れて細かった目が、ぱっちりと切[章]れ長になっている。

ひと回り目が大きくなったような印象を受けた。

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俺は予感がしてその場にしゃがみこ[来]む。

床に散らばった写真の数々。

あるものは表になっていて、あるも[自]のは裏返っている。

裏返ってものには全て、手書きで日[i]付が記されている。

表の写真には――様々な女の上半身が映っている。

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様々な――そう思わせるほどに様変わりしていく、同一の女の顔が。

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俺はとり憑かれたように写真をかき[a]集めた。

そして裏返し、年代と日付を揃えて[m]いく。

一つの分厚い束が出来上がった。

表にして、下部分に親指を添え、一[k]気にめくる。

そう――パラパラ漫画のように。

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『丸顔で狸みたいだな――』

裕也がそう言った少女の顔が、みる[.]みる変わっていく。

目が大きく切れ長になり、鼻筋が通[c]り、唇が小さくなり、頬をこけ、顎[n]が細くなり――。

まるで引き伸ばされるように顔の輪[恐]郭が細くなっていく。

いつしか俺が狐みたいだと思った、あの机の写真立ての女に変わっている。

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だが、変化はまだ終わらない。

女の目はさらに微妙に大きさを増し[怖]、鼻は高くなり、唇はふくよかにな[鬼]り、頬はますますこけ、顎はとがっ[故]ていく――。

女の髪に、白いものが混じり始める[事]

目の下や口元にも、小さなしわが寄[文]り始めた。

それでも女の変化は止まらない。

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女の髪はある時から急に、不自然に[章]黒く、長くなった。顔の輪郭を隠す[来]かのような長髪。

目はさらに大きくなり、吊りあがり[自]、顔じゅうのしわは全く見えなくな[i]った。

頬が蝋人形のように白い。

唇が血のように赤い。

女の顔が作り物めいていく。

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これは、この女の整形の記録だ。

顔じゅうを切り裂き、拡げ、削り、[a]足し、引っ張り、吊り上げる。

変わっていない部分など、もはやど[m]こにもない。

はじめのあの少女の面影はどこにも[k]なかった。

それでも――。

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女の顔の部位が悲鳴を上げていくの[.]がわかる。

たるんで垂れ下がった左目。

肉に埋もれて小さくなった右目。

不格好に右に曲がった鼻。

唇は左が下に垂れ、反対に右は釣り針でもかかっているかのように上に引っ張られている。

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女の顔は――壊れてしまっていた。[c]

まるで失敗した福笑いのように。

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どれくらいの間、俺はそうして床に[n]しゃがみこんでいたのだろう。

背後――ドアを開け放った部屋の入[恐]口で、ギィ――と床が軋む音がした[怖]

その音に、はっとして顔を上げる。[鬼]

俺の目の前にはちょうどあの鏡が立[故]っていた。

奇妙に細長くなった俺の顔がそこに映る。

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その俺の背後。

女が立っていた。

長い黒髪に白い肌。

白いネグリジェのようなヒラヒラし[事]た服を着ている。

そこからすらりと伸びる、健康的な[文]細い手足。

そしてなによりその顔は、絵画のよ[章]うに整っている。

美しい――女だった。

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鏡の中で、視線が交差する。

歪んだ鏡に映ったその美しい女は、俺の背後でニコリと微笑んだ。

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