【夏日风声】清凉休息

〉之前，我们一直行驶在两边树木茂密的狭窄道路上，突然视野开阔，广阔的大海跃然眼前。海还是很美的。

“前面有个相亲斗篷，下次要不要和铃菜一起去看看？”想一想，我想我以前听过类似的话。

“嗯，看风景就好了。”

‖我苦笑道。坐在我旁边开车的女人[文]看到我的反应笑了起来。

“要不今天一起去吧？”

∀我不高兴，他还取笑我，真好笑。被狐狸附身的魔法师市松先生。是这样的人物吗？平时端庄优雅的她，却出奇的肉食……简直就像一只妖狐。话虽如此，零也曾说过「市松先生的标志是狐狸面具」之类的话，但自从夜祭之后就再也没见过他戴过狐狸面具了。相反，它今天在后座。它会用来做什么？

“喂，志咕君，你这个年纪，会不会[章]因为好奇去危险的地方？”

“咦，那里是危险的地方吗？”

“是的，例如一个通灵点”

我以前去过那里。这也是一个很糟糕的地方。

“有。有一次，同学让我陪他们一起去，因为我有很强的灵感感。”说着。

“就是这样~”

“那是一次糟糕的经历。”

“但是很有趣，不是吗？”

正如 Ichimatsu 先生所说，这很有趣。本来我就喜欢神秘恐怖的东西，有很强的灵感感。现在我什至可以使用我的精神力量。我敢肯定，现在我觉得我对精神的恐惧感比以前更加麻痹了。

“那时候挺好玩的，现在不知道怎么样了。”我现在和以前有点不同。想想看，直到最近，我都拼命想要变强，尝试过各种各样的事情，甚至尝试过驱魔。但是多亏了那个，我曾经害怕的事情的恐惧已经消失了。

“做这种工作的时候，是不会真正理解对灵体的恐惧的。志古君，你现在也在想这个吧？”

“没错……我觉得有点寂寞。”

‖我很寂寞。当您对事物的看法发生变化时，是否会产生孤独感？这是我第一次有这样的感觉。

“也许吧~，自从我出生以来，伊纲和妖怪就在我身边，所以我没有那种失落的感觉。但我认为志古君是对的。恐怖的志古君，喜欢鬼故事的人，总有一天会变成鬼故事的驱魔人。也许志古君现在的心情很复杂。 ，但想恢复正常...

“不过现在很有趣。我有像零这样的[来]驱魔师朋友，而且铃菜有能力，所以[自]和以前不一样了，但是很有趣。”

> “那就好。志古鲁-君，我以为你现在真的很担心。所以我邀请你去兜风，我很高兴你告诉我这件事。”

‖市松她看着我笑了。毕竟，她是一[i]个美丽的人。

谢谢。下楼梯时，就像一个小步行道。如果你走到后面，有一个古老的坟墓，但你会从那里出来。"

“你说的是通灵点吗？我本来想带你来的。”

“对了，关于大滨崎的传闻有哪些？”

〉我怯生生的问道。

“呼呼呼……武士的幽灵出现了。”[a]

〉市松先生笑着说道。

“武士...嗯，好像是个鬼地方。[m]”

“我去过一次，和前男友一起去的。[k]”

市松先生，你长得像你你才二十出头[.]，但你多大了？听说他是前男友的时[c]候我就这么想过，但现在我对大滨崎[n]的传闻更感兴趣了。

“当时有没有看到什么？”

“有，连我前男友都看到了，我边看[恐]星星边画画。仰望夜空的武士精神在[怖]想什么？

“你今天在吗？”

“如果你能出现就好了。” ，我看到了一个招牌，上面写着大滨[鬼]崎的字样。市松先生把车停在那里的[故]停车场，我们就下车了。

“对了，浦海中学？前几天你去了右[事]京同学，离这里很近吧？”

浦海中学是前天我和右京同学还有小[文]萤接到驱魔委托的初中。因为坐落在[章]山顶上，所以从学校里面望出去的海[来]景非常壮观。

“其实那天我也在附近打工，回家的[自]路上在伊纲帮忙。”

‖是的，那天我在驱魔中挣扎。然后[i]，在最后是市松先生的伊纲等人出手[a]相助。

“那段时间非常感谢你们。市松先生[m]的伊纲他们很坚强，不是吗？”多亏[k]了这些孩子，我的身体一直很好，我[.]能够做到我的工作是驱魔人。”

你是狐狸吗？市松先生称他为伊纲，[c]但我想他也有一个名字，如江一常。[n]

“闹鬼的家族很厉害吧？”

〉市松先生笑道。这是你习惯的东西吗？当然，我觉得我有点习惯了能够使用我的能力。.

‍‍‍○

‍我和市松先生走下通往下方的木楼[恐]梯，沿着人行道前行。路不算宽，两[怖]个大人并排走就够了。

“你很快就会看到的”

〉市松先生这样说着，咧嘴一笑。我跟在她后面走，不一会儿，我看到远处有一个像墓碑的东西。

“哦，是这样吗？”

『市松先生在我这么问的时候点了点头。

“是的，志咕君，你能看到什么吗？[鬼]”

‖我摇了摇头。此刻什么也看不见，[故]但感觉距离近了，气氛发生了些许变[事]化。摸上去凉凉的，还带着淡淡的气[文]场。

“看不见，但能感觉到，要不要再靠近一点？”

〉我们离墓碑近了一点。不过灵气并没有变强，最终还是来到了墓碑前。

“这里没有人”

“也许他现在正在睡觉”

‖他睡着了。我们不知道到底发生了[章]什么。不过，这里确实像是有什么东[来]西在沉睡。它只是现在没有出现，但[自]我确定它就在这个地方......[i]

“他一定是睡在这里了”

〉我和市松先生原路折返，回到了停[a]在停车场的车里。

“我在这里什么都看不到，但我开车[m]经过的地方也许能看到一些更有趣的[k]东西”

〉市松坐在驾驶座上并打开汽车的引[.]擎。说。

“这很好笑吗？”

“我相信你听说过，但是有一些非常丑陋和奇怪的恶魔。如果你幸运的话，你可能看到一个。

我听说过。或者说，我前几天刚从右京同学那里听说过。我当时就想看。话虽如此，你是说能看到邪灵就是幸运？

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‖ 离开尾波崎停车场后，茜草色的微型[c]车沿着一条稍微窄一些的路继续前行[n]。沿着弯道走了一段路，左边的地方[恐]出现了一个东西。

啊！

“我不由自主地提高了嗓门。”那里[怖]是地藏。但让我吃惊的不是地藏。地[鬼]藏上面有什么东西。它通体紫色，身[故]体呈栗子状，左右两侧生有类似乌鸦[事]的翅膀。脸中央有眼睛和嘴巴之类的[文]东西，真的很难看。

“哇，你真的在​​那里”

〉我转头对市松先生说道。

“几乎一直都有，不知道为什么”

“有点意思”

说着笑了起来。不知何故有趣。这么[章]一想，我好久没笑出声来了。最近很[来]忙，也有很多烦恼，可能是没时间好[自]好享受一下吧。如果它成为过去的事[i]件可能是一个美好的回忆，但如果它[a]正在进行中，那就很难了。

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‍‍‍○

‍看来时间已经过去了好久。下午3[m]:00，我和市松先生在偶然发现的[k]一家咖啡店喝咖啡休息。

“今天很开心~”

“嗯，非常感谢”

〉我笑着说。

“不好意思带你逛了逛，你肯定累了[.]吧。”

〉市松先生苦笑道。我的身体可能很[c]累，但我的心却感觉轻松多了。

“没有，真的很好玩”

说着我喝了一口咖啡。

“我只是在想很多事情，很多事情我并没有真正理解。像我的妹妹，神秘事物，我的精神力量等等。但是感谢市松——桑他们，所以，现在不用我一个人扛了。真的很感激。我想告诉你，我发自内心地感谢这种感觉。

“我很高兴。我没有做太多，但是零君，小铃菜和右京同学可能是志古君的情感支柱。如果你说出这样的话，它使我很高兴。”

‖市松先生笑着说。我真的很好我能[n]够见到人。如果有一天我能加倍感谢[恐]你就好了，但我相信你会比那更感激[怖]我。仅此一点就有点痒了。

“志咕君是个善良的孩子。也许这就[鬼]是小铃菜也喜欢咕噜君的原因吧。”[故]

“诶，是这样吗？”

“零君说。志古君和小铃菜虽然还没有开始交往，不过好像相处的时间还挺长的，说不定是认识了呢。有点浪漫呢。”她和铃奈的关系确实不错，但不知道她们会不会相处得那么融洽。感到高兴和尴尬，不知何故很热。

谢谢你。他帮助了我，给了我朋友，[事]给了我一个微笑。这就是为什么..[文]....嗯，就是这样的感觉。”市[章]松同学见我这样，笑了起来。

“我认为这是Guru君的优点之一[来]。祝你和铃菜一切顺利。”

“是”

∀我没有知道不，但我现在的脸一定是红的。不过，感觉还不错。不，我可能会很高兴。我一个人感受不到这种感觉。

「稍微有点喜欢夏天了」

』我一边想象铃菜的脸一边说道。然后我抓起手边的咖啡杯，喝掉了剩下的咖啡。

不要忘记这个夏天。

　先程まで左右に木々の生い茂った狭い道路を走っていたが、途端に視界が開けて目の前には広い海が飛び込んできた。相変わらず綺麗な海だ。

「この先に縁結びの岬があるの。今[自]度鈴那ちゃんと行ってみたら？」

　縁結びか。そういえば、そんな話を[i]聞いたことがある気がする。

「まあ、景色楽しむだけならいいか[a]もしれませんね」

　俺は苦笑した。隣で車を運転してい[m]る女性は、俺の反応を見るとクスッ[k]と笑った。

「なんなら、今日このまま二人で行[.]っちゃう？」

「え、いやぁ・・・」

「冗談よ冗談！浮気になっちゃうも[c]のね～」

　俺の動揺する様子が面白いのか、や[n]たらと茶化してくる。狐憑きの呪術[恐]師、市松さん。こんなキャラだった[怖]のか。普段は凛としていてお淑やか[鬼]に見えるが、意外と肉食系・・・ま[故]さに妖狐のような女性だ。それにし[事]ても、以前ゼロが「市松さんのトレ[文]ードマークは狐の面」みたいなこと[章]を言っていたが、夜祭りの時以来こ[来]の人が狐の面を着けているところを[自]見たことがない。その代わり、今日[i]は後部座席にそれが置いてあった。[a]何かに使うのだろうか？

「ねえしぐるくん、君ぐらいの年齢[m]だと、好奇心で危ない場所とか行っ[k]たりする？」

「え、危ない場所ですか？」

「うん、例えば心霊スポットとか」[.]

　行ったことがある。それもけっこう[c]ヤバい場所だ。

「あります。一度だけ、霊感が強い[n]からとクラスメイトたちに付き添い[恐]を頼まれました」

　俺は夏休み初日に行った山の廃屋で[怖]の出来事を話した。

「そんなことがあったのね～」

「まったく、ひどい目に遭いました[鬼]よ」

「でも、楽しかったんじゃない？」[故]

　市松さんの言う通り、楽しかった。[事]元々オカルトやホラーが好きで、そ[文]れに霊感も強い。今では霊能力だっ[章]て使えるのだ。今の俺はきっと、前[来]よりも霊に対する恐怖の感覚が麻痺[自]してしまっている気がする。

「楽しかったですよ、あの時は。で[i]も今は、どうなんでしょうね」

　俺は窓の向こうで移り変わる景色を[a]見ながら言った。今の俺は、以前の[m]俺とは少し違う。そういえば、この[k]前まで強くなりたいと必死で色々な[.]ことを頑張り、除霊だってしようと[c]した。でも、そのおかげで今まで怖[n]いと感じていたものへの恐怖感は薄[恐]れてしまっていた。

「こういう仕事をしているとね、霊[怖]の怖さとかよくわかんなくなっちゃ[鬼]うんだよね。しぐるくん、今そんな[故]こと考えてたでしょ」

「そうなんです・・・なんか、少し[事]寂しいかなって」

　寂しい。物事の捉え方が自分の中で[文]変わってしまうということに、寂し[章]いという感情は生まれるものなのか[来]。こんな風に感じたのは初めてだ。[自]

「そうかもね～、私は生まれたとき[i]からイズナや妖怪たちが傍にいたか[a]ら、そういう喪失感は無いけどね。[m]でも、しぐるくんの言う通りだと思[k]う。ホラーとか怪談とか大好きなし[.]ぐるくんは、ある日を境にそれらを[c]祓う側の人になっちゃった。今のし[n]ぐるくんの気持ちって、複雑なのか[恐]もね」

　今の俺の気持ち・・・寂しいような[怖]、虚しいような、物語の主人公にな[鬼]ったみたいで嬉しいような、でも、[故]普通に戻りたいような・・・。

「でも、今は楽しいです。ゼロみた[事]いな祓い屋仲間がいるし、鈴那も能[文]力者だし、なんか、今までとは違う[章]けど、楽しいです」

「それなら、よかった。しぐるくん[来]、今すごく悩んでるんじゃないかな[自]ーと思っててね。それでちょっとド[i]ライブに誘っちゃったんだけど、そ[a]のこともお話してくれてよかった」[m]

　市松さんは俺の顔を見て微笑んだ。[k]やっぱり、綺麗な人だ。

「ありがとうございます。嬉しいで[.]す」

「ま、そんな感じなんだけど～、最[c]初の目的地。この先にある大波崎っ[n]て場所なんだけど、そこにある階段[恐]を下りてくと、ちょっとしたお散歩[怖]コースみたいになっててね。奥まで[鬼]行くと古いお墓があるんだけど、そ[故]こ、出るのよ」

　俺は少し鳥肌が立ったと同時に、ワ[事]クワクした。

「心霊スポットってことですか！」[文]

「そうそう、たまには初心に帰って[章]、純粋にオカルトを楽しむのもいい[来]かなと思ってね。しぐるくんを連れ[自]てきたかったの」

　嬉しい、なんだか久しぶりにゾクゾ[i]クしてきた。

「ところで、その大波崎ってどんな[a]噂があるんですか？」

　俺は恐る恐る訊いてみた。

「フッフッ・・・武士の亡霊が出る[m]の」

　市松さんはニヤリと笑いながら言っ[k]た。

「武士の・・・なんか、すごく心霊[.]スポットっぽいですね」

「私は一度行ったことがある場所な[c]のよ。その時は元カレと一緒に行っ[n]たんだけどね」

　市松さん、20代前半のように見え[恐]るが、いくつなのだろう。元カレと[怖]聞いてそんなことを考えてしまった[鬼]が、今は大波崎の噂の方が興味ある[故]。

「その時は、何か見たんですか？」[事]

「見た、元カレくんにも見えてた。[文]夜だったんだけど、武士が墓石の前[章]で胡坐をかいて星を眺めてたの。私[来]達はそっとしておいてあげようって[自]、そのまま静かに帰ったんだけどね[i]」

　なんだか不思議だ。その武士の亡霊[a]は、夜空を眺めながらどんなことを[m]考えていたのだろうか。

「今日は、居ますかね？」

「どうかしら、姿を見せてくれると[k]いいわね」

　そんな会話をしていると、大波崎と[.]いう文字の書かれた看板が見えてき[c]た。市松さんはそこの駐車場へ車を[n]停め、俺たちは降車した。

「そういえば、裏海中学校だっけ？[恐]この前右京さんと行ってたの。ここ[怖]から近いわよね」

「ですね、眺めのいい学校でしたよ[鬼]」

　裏海中学校とは、一昨日右京さんと[故]俺と蛍ちゃんで除霊の依頼を受けて[事]行った中学校である。山の上にある[文]ため、校内から見渡せる海は絶景だ[章]。

「実は私も同じ日に近くで仕事があ[来]ったのよ。イズナで手を貸したのは[自]その帰り」

　そう、あの日は除霊に苦戦して、最[i]後は市松さんのイズナたちが手助け[a]してくれたのだ。

「あの時は、ありがとうございまし[m]た。市松さんのイズナたちって、強[k]いんですね」

「まあ、かーなーり食いしん坊で困[.]っちゃうけどね。でも可愛いよ。こ[c]の子たちのおかげで、いつも元気で[n]居られるし、祓い屋の仕事も出来て[恐]るからね」

　市松さんはそう言って右肩に乗って[怖]いるイズナを撫でた。狐憑きか。市[鬼]松さんはイズナと呼んでいるが、確[故]か管狐とかいう名称もあったような[事]気がする。

「憑き物の家系って、大変なんです[文]よね」

「んー、慣れちゃえばどうってこと[章]ないわよ。私なんて生まれた時から[来]この子達と居たから、もう完全に慣[自]れちゃった」

　市松さんはエヘヘと笑った。慣れるものなのか。確かに、俺も自分が能力を使えるということに少し慣れてきている気がする。

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　　　○

　俺と市松さんは下に続く木造の階段[i]を下り、遊歩道を進んで行った。道[a]はそんなに広くは無く、大人二人が[m]ギリギリ並んで歩けるほどの幅だ。[k]

「もうすぐ見えてくるわよ」

　市松さんはそう言ってニヤリと笑っ[.]た。俺は彼女の後について歩いて行[c]き、少しすると遠くに墓石のような[n]物が見えてきた。

「あ、あれですか？」

　俺が訊くと市松さんは頷いた。

「そう、しぐるくん何か見える？」[恐]

　俺は首を横に振った。今のところは[怖]何も見えないが、ここへ近くなって[鬼]から少し空気が変わった気がする。[故]ひんやりして、僅かな霊気を感じる[事]。

「見えないんですけど、やっぱり感[文]じますね。もう少し近くに行ってみ[章]ますか？」

「そうね、もしかしたらあの霊がど[来]こかにいるかも」

　俺たちはもう少しだけ墓石に近付い[自]た。しかし霊気が強くなることも無[i]く、結局墓石の目の前まで来てしま[a]った。

「誰も居ませんね」

「もしかしたら、今は眠ってるのか[m]もね」

　眠っている。本当はどうなのか俺達[k]にはわからない。けれど、確かにこ[.]の場所には何かが眠っているように[c]思えた。今はただ姿を見せないだけ[n]で、きっとこの場所には・・・。

「眠っているんでしょうね、ここに[恐]は」

　俺と市松さんは来た道を引き返し、[怖]駐車場に停めてある車の元へ戻った[鬼]。

「ここでは何も見れなかったけど、[故]今から車で通る場所でちょっと面白[事]いのが見れるかも」

　運転席に座り、車のエンジンをかけ[文]た市松さんが言った。

「面白いものですか？」

「たぶん聞いたことはあると思うん[章]だけど、すっごいブサイクでヘンテ[来]コな悪霊が出るのよ。運がよければ[自]見れるかも」

　聞いたことがある。というかこの前その話を右京さんから聞いたばかりだ。その時俺はそれを見てみたいと思った。それにしても、悪霊を見れるのは運がいいと言うのだろうか？

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　茜色の軽自動車は大波崎の駐車場を[i]出ると、また少し狭い道路を進んで[a]いった。暫く湾曲した道を進むと、[m]左側に何かが見えてきた。

「あっ！」

　俺は思わず声を上げた。そこにあっ[k]たのは、地蔵だった。しかし俺が驚[.]いたのは地蔵ではない。地蔵の上に[c]何かが居たのだ。そいつは紫色で毬[n]栗のような体をしており、左右には[恐]鴉のものに似た翼が生えていた。顔[怖]は目と口のようなものが中央に寄っ[鬼]ており、まさに不細工といったとこ[故]ろだ。

「すごい、ほんとに居たんですね」[事]

　俺は市松さんの方を向いて言った。[文]

「だいたいいつもあそこに居るのよ[章]。何でか分からないけどね」

「なんか、面白いですね」

　俺はそう言って笑った。何だか楽しい。そういえば、久々にちゃんと笑った気がする。最近、忙しいうえに色々と大変だったので、何かを楽しむ余裕が無かったのかもしれない。過去の出来事になってしまえばいい思い出になるのかもしれないが、やっぱり現在進行中だと大変に思えてしまうものなのだろう。

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　　　○

　気付けば結構な時間が経っていたよ[来]うだ。時刻は午後３時、俺と市松さ[自]んは偶然見つけた喫茶店でコーヒー[i]を飲みながら休憩していた。

「今日は楽しいね～」

「そうですねー、色々ありがとうご[a]ざいました」

　俺は笑顔で言った。

「こちらこそよ、連れまわしちゃっ[m]てごめんね。疲れたでしょ」

　市松さんは苦笑した。体は疲れたか[k]もしれないけど、心は少しリラック[.]スできた気がする。

「いえ、本当に楽しかったです」

　俺はそう言うとコーヒーを一口飲んだ。

「俺、考えてばかりで色々なことが[c]よく分からなくなってたんです。妹[n]のこととか、怪異のこととか、霊能[恐]力のこととか、色々。でも、市松さ[怖]んたちのおかげで、一人で抱え込ま[鬼]なくてもいいようになれました。本[故]当に、感謝してます」

　こんなことを言うのは照れくさいが[事]、それでも気持ちを伝えたかった。[文]心から思っているこの気持ちを、感[章]謝しているということを伝えたかっ[来]たのだ。

「よかったね。私はほとんど何もし[自]てないけど、ゼロくんとか鈴那ちゃ[i]ん、あと、右京さんは、しぐるくん[a]の心の支えになってるのかもしれな[m]いわね。なんだかそんなこと言って[k]もらえると、こっちまで嬉しくなっ[.]ちゃうなー」

　市松さんは笑いながら言った。本当[c]に俺はいい人たちと出会うことがで[n]きた。いつか倍ぐらいのお礼が出来[恐]たらいいのに、きっとそれ以上に、[怖]これからもっとお世話になるのだろ[鬼]う。それだけが、ほんの少しだけ歯[故]痒い。

「しぐるくんって、優しい子ね。だ[事]から鈴那ちゃんもしぐるくんのこと[文]が好きなのかもね」

「ええっ、そうですかね？」

「ゼロくんが言ってた。しぐるくん[章]と鈴那ちゃんはまだ付き合い始めて[来]そんな経ってないのに、もう結構長[自]く一緒にいるように見えるって。き[i]っと、出会うべくして出会えたのか[a]もしれないわね。なんかロマンチッ[m]ク」

　急にそんなことを言われると恥ずか[k]しい。確かに鈴那とは上手くいって[.]いるけれど、そんなに仲良く見える[c]だろうか。嬉しい気持ちと恥ずかし[n]い気持ちで、何だか熱い。

「ありがとうございます。鈴那は・[恐]・・鈴那は、俺に生きる意味をくれ[怖]ました。今まで変わりの無い日々を[鬼]朦朧と過ごしていただけの自分に、[故]恋をさせてくれて、仲間をくれて、[事]笑顔をくれました。だから・・・ま[文]ぁ、そんな感じですね」

　最後は恥ずかしくなってしっかり言[章]えなかった。そんな俺の様子を見て[来]、市松さんはクスッと笑った。

「そういうところもしぐるくんのい[自]い所だと思うよ。鈴那ちゃんとお幸[i]せにね」

「は、はい」

　自分では分からないが、きっと今俺[a]の顔は赤くなっているのだろう。そ[m]れでも、悪くない気分だ。いや、寧[k]ろ嬉しいかもしれない。こんな感情[.]も、俺一人だけで感じることはでき[c]なかった。

「少しだけ、夏が好きになりました[n]」

　俺は鈴那の顔を思い浮かべながら言[恐]った。それから手元にあるコーヒー[怖]カップを手に取り、残りのコーヒー[鬼]を全て飲み干した。

　この夏を忘れないように。