[江户切子的心理图表] 两张脸第 1 部分

iamk 日本恐怖故事 2023-06-25 08:30:02 772 0

“这是一张人脸。”

白大褂女子语气平静,却清晰无比。[文]

房间很暗。

空气中弥漫着消毒水的味道。

女人盘着修长而柔软的双腿,坐在一张摆满图表和医疗仪器的桌子前。

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在女子面前,坐着一名赤裸上身的年[章]轻男子。

女人的话让她的脸僵硬了。

另一张脸出现在男人的锁骨和左胸之间。

年轻--男人的脸。

“请千里先生拍张照片。”

你拉一下就可以看到它在你身上的位置了。

靠近一点,这样您就可以看到他的面部特征和表情。”

正如我所说,我拍下了这个男人的脸[来]

医生办公室的黑暗被一道道闪光反复[自]划破。

“这到底是一张脸吗?

不只是看起来像,是吗?”

江户老师——男人问道。

身穿白大褂的女人——女医生江户切子轻轻叹了口气。

这不是拟像现象吗?大脑在工作。

但是,室井康夫先生,您从一开始就[i]不确定——甚至在我给你检查之前—[a]—那是人面麻疹。是吗?

听到我的话,你的脸上既有恐惧,又有理解。”

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亚索的脸躺了下来。

桐子继续说道。

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我不知道你从哪里发现的,但我是专[m]家。他精通他不知道的事情,并以此[k]为生移除障碍。

这就是我这么说的原因。

被附身或被诅咒 据说相似的事物ーー”

如果接收方不具备接受的条件,则不成立――。

桐子小声但清晰的说道。

当时。

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shake

——嗯,让

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p> 从亚索胸口处,传出一声痛苦的低沉呻吟。

--呃,让

--呃,呃

众人都静了下来,只有他的声音在昏[.]暗中回荡诊室。

我不由自主地发出呜呜声。

突然,亚索用力的站了起来,满脸恐惧的惨叫起来。

“明人,别这样,走开——”

>

窃窃私语突然停止了。

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阿基拉和我是同乡的青梅竹马。

小学、初中、高中我们在同一所当地学校上学,虽然我们去了不同的学校,但我们都在东京上了大学。

作为另一所大学的学生,我参加了明[c]仁所在大学的登山俱乐部。

在那里我们遇到了她 - Yoko Morino。

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阳子和我们一样是一年级的学生。

在和我同班的其他人中,不知为什么我们相处得很好,经常一起出去玩。

社团活动之余,我们三人独自一人上山。很好玩。

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但就在前几天——就在我升入二年级[n]之前。

我们的关系变了。

明人向洋子告白。

那个害羞的家伙,从我做饿鬼的时候就一直跟着我。

我一直很喜欢洋子。

千载难逢的告白。

他给我看了一个男人,男人。

洋子回应。

阳子和明仁结婚了。

太棒了。这很好。我们的关系确实发[恐]生了变化,但我认为它仍然很好。

说实话,我也挺喜欢洋子的。

但如果你说你喜欢他,我就退缩。

因为明人给我看了一个男人。

童年最好的朋友就是这样做的。

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好吧,我想说很多事情,所以我和阿[怖]基拉一个人爬了一座山。

山是与下面的世界隔绝的地方。

这里是坦诚相待的绝佳场所。

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我和明仁都习惯了山上,所以天气有点不对,但我觉得我们还好。

那么,没办法,就是这样……

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明仁滑倒了。

我伸出手,却来不及。

他的身体坠下了悬崖。

那看起来真的很慢。

他和我保持眼神交流。

咦?为什么是我我在做鬼脸。

我不敢相信我正在坠落。

我连声音都提高不了。

就这样,明仁,黑暗的悬崖下——。

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他的尸体还没有找到。

我在悬崖下寻找随身物品和衣服,还[鬼]是找不到。

过了几天,我的身上出现了一张脸。[故]稻田。

这是他的脸。

它说回来。

我敢肯定他认为我是照顾洋子的人。[事]

洋子喜欢明人。

我不能带我最好朋友的女朋友。

请。

请让这家伙早点死吧。

这家伙也太可怜了吧。

我不能这样看我最好的朋友。

请。请。请 - 。

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我完成了桐子朝亚索点了点头。

“我明白当时的情况,毕竟人类的癫[文]痫是有原因的。”

所以,你的愿望是让你的朋友上天堂[章],而那个人类的癫痫.我想做点什么[来]

-不,有很多方法,别担心。

先试试这个-”

她从办公桌抽屉里拿出一个棕色信封[自],展开。

那是一张长长的纸条,上面写着字。[i]

“这是一位功德高尚的大祭司在山上[a]写下的强大法术。”

烧掉它,用它的灰烬继续喝一个星期[m]

它对生灵无害,但对世间没有肉身的人来说却是剧毒,因此附体会被破。”

亚索看起来有点困惑。

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嗯,有没有比较快的东西?

嗯,直接在脸上的这个部位涂点东西之类的吧?,剪掉吧离开 - ”

亚索话音一落,顿时脸色一惊,闭上了嘴巴。

桐子一脸平静的说道。

“没关系。

如果你的身体里有这样的东西——即[k]使它是你最好的朋友。”即使你有严[.]重的面子——想尽快做点什么是理所[c]当然的。谁也不能怪你。

不过,室井先生,你最后做的事被砍[n]了。意思是。试试这个

有个小窍门,现在就在这里喝一杯吧[恐]。”

还是不情愿。亚索,一脸嫌弃他的脸,被拿了卡片上的灰,并承诺一周后回来复诊,检查结束。

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「――现在

送亚索回家后,桐子翻看他的健康保险证复印件和初诊单,抬头时脸色苍白。我笑着说道。

亚索让我去他们所属的登山俱乐部拜[怖]访森野洋子。

“为什么又是?”

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第一个问题是做这样的事情有什么意[鬼]义。

我已经开了药——大祭司的标签。

既然你正在进行背景调查,你打算做什么?

第二个原因,就是桐子自己在抗议自己为什么不动。

“我来回答你的问题。

一,你会知道的。

二,我是忙——我要完成这幅画。”

说完,一如既往的敏锐的桐子回头看了看身后的油画。

是夕阳西下的场景吗?

天空和大地都是猩红色的。

在这一切之中,一个人是孤独的。

男人的脚下有一道长长的影子。

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不知为何,男人的身体轮廓变得模糊[故],仿佛融入了夕阳的猩红。

而脚下的影子,却是黑的诡异,给人一种存在感。

一幅有些失衡的画,让你感到不安。

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这就是你一直梦寐以求的画面吗?

当被问及时,Kiriko 表示同意。

Kiriko 爱好油画。

她画的画挂在这家医院的墙上。这是[事]私人诊所特有的私心。

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这幅画的主题是她在最后一个梦中看[文]到的场景。

有精心制作的人像风景画,也有抽象画。

不过,像这一张,大多都让人心神不宁,很难说适合挂在病人聚集的小镇医生的候诊室里。

还有她画的图……

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我是亚索 是的体检后的第二天,我们踏上了东京的一所大学,我们所在的山地俱乐部。

以我的年龄来说,我确实比桐子更熟悉大学环境。

说出这话的那一天,我就要被那个霸道的雇主惩罚了。

[江户切子的心理图表] 两张脸第 1 部分

一边看校园地图,一边寻找与教学楼分开的圈子活动楼,假装学生进入。

但是,由于其他大学的学生也来来去去,大学的官员将无法区分他们。

在三楼密室的门口,我发现了一个“登山会”的牌子。

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门半开着,我看到一个女人低着头坐[章]着。

我大声进入房间。

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看到我,女人抬起头来。

在它变得令人担忧之前把你的名字放[来]在线上。

我是女崎千里,突然很抱歉。 >下页

“亚索和明仁?”

那个女人,果然是森野洋子。

洋子听了我的话,给了我一把椅子。

我编造了这个故事——没有提到人类[自]的癫痫症——亚索对明人的垮台感到[i]痛苦,并咨询了他的朋友,我自己。[a]

“——原来如此,亚索毕竟也震惊了[m]

对了,我们是青梅竹马,从小就是兄弟。

比我——”

Yoko 的肩膀垮了下来。

话虽这么说,她也失去了爱人,难免[k]心灰意冷。

“——明人君的尸体还没找到吗?”[.]

一边感到抱歉,一边发问。

大部分时候,桐子并没有给我明确的说明要找什么,所以我不知道问什么样的东西才能确定是否有收获。

目前,我别无选择,只能以亚索言行的最新情报和确认为目标。

“是的,我就是这么听说的。

可怜的明人君,希望你能尽快找到他[c]。”

洋子我低着脸不说话了。

我犹豫着要不要继续谈话,于是环顾[n]了社团室。

与山有关的书籍和登山的照片都摆满[恐]了书架。有。

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在里面,你找到一张去年的照片。

10人左右的合影。登山记录。我看[怖]到了洋子的笑容。

亚索在他右边微笑。戴着登山帽。

然后,向左笑着,头上缠着毛巾——[鬼]一张人脸——明仁。

”-这是去年五月份我们一起爬长野[故]山的照片。

你们两个加入了这个圈子。我们从那[事]以后一直关系很好。”

洋子悲伤地笑了笑。

说起来,亚索不在。好吧,你甚至不[文]能带着那个身体来到圈子里。

据洋子说,出事后她曾在亚索筋疲力[章]尽时见过他一次面,但他已经半个月[来]没有见过他的脸,此后就再也联系不[自]上了,他很担心。

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“——果不其然,自从我拒绝了明人[i]的告白,不知道我们的情况是否发生[a]了变化。”

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< p>sound:18

――咦?

――阳子拒绝了明人的告白?

“阳子和明人结婚了-”

“我退出-”

如果是青梅竹马最好的朋友- --

--你为什么不同意?

――明人不是和洋子约会吗?

——为什么自己暗恋洋子的亚索会说出这样的感悟?

“——洋子先生,给您带来的不便,[m]我们深表歉意。”

这张照片中您最喜欢的人是谁?

登山图片,左右横跨洋子。

迷惑洋子点。

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“——当然,我把这条毛巾裹在头上了——”

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——是啊。是吗?

而且我知道桐子的真实意图和事情的真相。

[续]


作者:綿貫一
原文:【穢土切子の心霊カルテ】ふたつの顔 前編

「これは――人面疽(じんめんそ)[k]ですね」

白衣の女は静かな声で、しかしはっきりと言い切った。

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薄暗い部屋である。

消毒液の匂いが充満している。

女はカルテや医療器具が整然と並べられた机の前に、長くしなやかな足を組んで座っている。

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女の前には、服を脱ぎ、上半身をあ[.]らわにした若い男が座っていた。

女の言葉に、顔をこわばらせている[c]

その男の鎖骨と左胸の間には、もう[n]ひとつ別の顔が浮かび上がっていた[恐]

若い――男の顔だった。

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「千里(せんり)君、写真を撮って[怖]おいて。

引きで、身体のどの位置にあったか[鬼]、わかるように。

近付いて、顔の特徴と表情がわかる[故]ように」

僕は云われた通りに、男の身体に浮[事]かび上がった顔を撮影する。

診療室の薄闇を、フラッシュの光が何度も切り裂く。

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「これ――やっぱり顔なんですか?[文]

それらしく見えるってだけじゃ――[章]ないんですね?」

江戸先生――と男が問いを発する。[来]

白衣の女――江戸桐子(えどきりこ)女医は、小さくため息をついて応える。

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「シュミラクラ現象ではないかと?[自]

確かに人間には、三つの点が集まっ[i]ていれば、それを顔と認識する脳の[a]働きがある。

ですが室井康雄(やすお)さん、貴[m]方は初めから――私の診察を受ける[k]前から、それが人面疽だと云う確信[.]があったのではありませんか?

私の言葉に、貴方の顔には恐れと同時に納得の表情が浮かんでいましたよ」

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康雄は顔を伏せる。

桐子が言葉を続ける。

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「どこでお知りになったかは存じま[c]せんが、私は専門家です。

表向きはしがない町医者ですが、こ[n]の世ならぬモノに通じ、障(さわ)[恐]りを除くことを裏の生業(なりわい[怖])にしている。

そんな私だから云うのです。

憑依や呪いの類いと云うモノはーー」

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それを受ける側に、受け入れるだけ[鬼]の条件が整っていなければ成立しな[故]いのです――。

桐子は静かに、しかしはっきりと言[事]い切った。

その時だった。

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shake

――か、え、せ

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康雄の胸に生えた人面疽の口から、苦しげな、うめくような低い声が漏れた。

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――か、え、せ

――か、え、せ

皆が黙りこむ中、人面疽の声だけが[文]薄暗い診療室に響く。

僕は思わずごくりと喉を鳴らす。

不意に、康雄が勢いよく立ち上がり、顔面に恐怖を貼り付かせ絶叫した。

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shake

「明人(あきと)やめろ、もう消えてくれ――」

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つぶやく声は、いつの間にか止んでいた。

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明人と俺は、同郷の幼馴染みでした[章]

小、中、高と地元の同じ学校に通い、二人とも東京の大学――学校は違いますが――に進学しました。

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俺は明人の通う大学の、彼の所属す[来]る山岳部に、他大生として参加して[自]いました。

そこで俺たちは、彼女――森野曜子と出逢ったんです。

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曜子は俺たちと同じ1年生でした。[i]

他にも何人かいた同期の中でも、俺[a]たちは何故だか気が合って、よく一[m]緒につるんでいました。

サークルの活動以外でも、三人だけで山へ行ったりして。楽しかった。

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でも、つい先日――2年に進級する[k]直前のことです。

俺たちの関係は変わったんです。

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明人が陽子に――告白したんです。[.]

あの引っ込み思案で、餓鬼の頃から[c]俺の後ろを付いてくるだけだったあ[n]いつが。

ずっと好きだったんです、曜子のこ[恐]と。

一世一代の告白だったんです。

男見せたんです、あいつ。

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曜子はそれに応えました。

曜子と明人は結ばれた。

良かったですよ。良かった。俺たちの関係は確かに変わったけど、それでも良かったと思ってます。

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実を云うと――俺も陽子のこと、け[怖]っこう好きだったんです。

でも、あいつが好きって云うんなら[鬼]、俺は身を引きますよ。

明人が男見せたんだから。

幼馴染の親友ならそうします。

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それで、まあ、色々じっくり話した[故]くなって、明人と俺、二人だけで山[事]に登ったんです。

山ってこう、下界から隔絶された場[文]所ですからね。

腹を割って話すには、うってつけの場所なんですよね。

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俺も明人も、山にはだいぶ慣れてい[章]たから、多少天候は崩れてましたが[来]、大丈夫かなって思って――。

そうしたら、まさか、あんな――。

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明人の奴、足を滑らせたんです。

俺、手を伸ばしたんですけど、間に[自]合わなくて。

あいつの身体が、崖の下に堕ちてい[i]きました。

それが、いやにゆっくり思えたんで[a]す。

俺とあいつ、ずっと目があったまま[m]で。

え?なんで俺が?って顔してました[k]

堕ちていくのが信じられなくて。

声も上げられなかった。

そのまま、明人、昏い崖の下に――。

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あいつの身体、まだ見つかってませ[.]ん。

持ち物も、服とかも、崖下探したん[c]ですけど、まだ見つからないんです[n]

何日かして、身体に顔が浮かんでき[恐]ました。

あいつの顔です。

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かえせって云ってます。

きっとあいつ、俺が曜子のことをと[怖]るって考えてるんです。

曜子は明人が好きなのに。

俺が親友の彼女、とるわけないのに。

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お願いします。

こいつのこと、早く成仏させてやっ[鬼]てください。

このままじゃこいつ、あまりに不憫[故]すぎて。

親友のこんな姿、見てられないんで[事]す。

お願いします。お願いします。お願いします――。

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話を終えた康雄に、桐子はうなづい[文]た。

「事情はわかりました。やはり、人[章]面疽の生じる要因はあったわけです[来]ね。

それで、貴方のご希望は、お友達を[自]成仏させて、その人面疽をなんとか[i]したい、と。

――いえ、方法はいくらもあります[a]、ご安心を。

まずはこちらをお試しに――」

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彼女は机の引き出しから茶封筒を取[m]り出すと、中身を拡げて見せた。

筆で文字の書かれた、細長い紙片だった。

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「これはある山の、徳を積んだ高僧[k]が書いた力のある呪符です。

これを燃やし、その灰を一週間、飲[.]み続けてください。

生けるものにはなんの害もありませ[c]んが、この世に肉を持たぬモノにと[n]っては毒となり、結果、憑依は解け[恐]るでしょう」

康雄は少し戸惑った顔をした。

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「――あの、もっと早くに効果があ[怖]るものはないんですか?

その、直接この顔の部分になにか塗[鬼]るとか、切り取るとか――」

そう云った直後、康雄ははっとした[故]顔になり、口をつむぐ。

桐子は穏やかな表情のまま云った。

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「いいのですよ。

ご自分の身体にそのようなモノがで[事]きたとあっては――それがたとえ、[文]親友の顔であったとしても――一刻[章]も早くなんとかしたい思うのは無理[来]からぬのこと。誰も貴方を責められ[自]ません。

しかし室井さん、切った張ったは最[i]後の手段。まずはこちらをお試しを[a]

少々コツがありますので、今、この場で一度お飲みください」

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なおも渋った表情の康雄に札の灰を飲ませ、一週間後の再受診を約束させ、診察は終了した。

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「――さて、千里君。少々お使いを[m]頼もうかな」

康雄を帰した後、彼の健康保険証のコピーと初診記載用紙に目を通していた桐子だったが、顔を上げると薄い笑みを浮かべてそう云った。

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康雄の話に出てきた、二人の所属す[k]る山岳部に、森野曜子を訪ねろとい[.]うことだった。

「――なんでまた?」

僕はふたつの意味を持たせて言葉を吐いた。

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ひとつ目は、そんなことをして何の[c]意味があるのか、という疑問。

薬――高僧の札――はすでに処方し[n]てある。

今更身辺調査のような真似をして、[恐]どうしようというのか。

ふたつ目は、どうして桐子本人が動かないのかという抗議である。

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「君の問いに答えよう。

ひとつ、行けばわかる。

ふたつ、私は忙しい――この絵を完[怖]成させてしまいたいからね」

あいかわらず勘の良い桐子はそう云ってから、背後の油絵を振り返った。

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夕暮れの情景だろうか。

空も、大地も緋に染まっている。

そんな中、男がひとり、立っている[鬼]

男の足元には長く影が伸びている。

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男の身体はなぜか輪郭があやふやで[故]、夕焼けの緋に溶けていきそうであ[事]る。

対して足元の影は妙に黒々と、存在[文]感を感じさせていた。

どこかアンバランスで、胸の内から不安を湧きたたせる絵画――。

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「これ――いつもの夢の絵――です[章]か?」

そう問うと、桐子は首肯した。

桐子は趣味で油絵をたしなむ。

彼女の描いた絵は、この院内の壁に掛けて展示してある。個人医院ならではの勝手だ。

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絵のテーマになるのは、彼女が直前[来]に夢に視た光景である。

精緻な人物画や風景画もあれば、抽[自]象画もある。

しかし大抵が今度の絵のように、どこか不安を感じさせるもので、およそ患者が集まる町医者の待合室に飾るに、ふさわしいものとは云い難い。

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そして彼女の描く絵は――。

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僕が、康雄たちの所属する山岳部の[i]ある都内の大学に足を踏み入れたの[a]は、診察の翌日のことであった。

確かに僕の方が、桐子よりも――年[m]齢的に――大学という空間に馴染む[k]し、適任ではあっただろう。

こんなことを云った日は、あの横暴な雇い主から折檻(せっかん)をされてしまうだろうが。

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学内の地図を見ながら、講義棟とは[.]別の、サークル活動用の建物を探し[c]て、生徒を装い侵入する。

もっとも他大学の生徒も出入りして[n]いるため、大学の関係者も区別はつ[恐]かないであろう。

3階の奥まった部室の扉に、「山岳部」のプレートを発見した。

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扉は半開きになっており、ひとりの[怖]女性がうつむいたまま座っているの[鬼]が見えた。

僕は思い切って声をかけて入室する。

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僕の姿を認めて、女性が顔を上げる[故]

警戒の色が浮かぶ前に、名乗りを上[事]げる。

「――突然すみません、目崎(めざ[文]き)千里と云います。

室井康雄君、星明人君の知り合いで――」

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「――康雄と、明人君の?」

果たしてその女性は森野陽子だった[章]

僕の言葉に警戒を解いた曜子は、僕[来]に椅子を勧めた。

僕は――人面疽のことは云わぬまま――康雄が明人の転落に心を痛めて、友人である自分に相談してきた、と話を作って聞かせた。

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「――そっか。やっぱり、康雄もシ[自]ョックだったんだ。

そうだよね、兄弟みたいに育った幼[i]馴染みだもんね。

私なんかより、よっぽど――」

曜子は肩を落とす。

そうは云っても、彼女だって交際相手を亡くしているのだ、気を落とさないはずがない。

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「――あの、明人君の身体は、まだ[a]見つかっていないんですか?」

僕は申し訳ないと思いながら、問い[m]を口にする。

だいたい、桐子は僕に何を調べろと[k]明確に指示をしなかったので、どん[.]なことを聞き出せば収穫があったと[c]判断すればよいか、わからない。

とりあえず、最新の情報と康雄の言動の裏付けを目指すしかない。

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「ええ、そう聞いてます。

かわいそう明人君。早く見つかって[n]ほしいです」

曜子は表情を沈ませ、黙りこんでし[恐]まう。

無理に会話を続けるのもはばかられ[怖]て、部室の中を見渡す。

棚には山岳関連の本や、登山の写真などが置いてある。

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その中に、去年の日付の写真を見つ[鬼]ける。

10人ほどの集合写真だ。登山の記[故]録だろう。曜子の笑顔が目についた[事]

その右横で微笑む康雄。登山帽を被[文]っている。

そして、左横で笑う、タオルを頭に巻いている――人面疽の顔――明人。

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「――去年の5月に、皆で登った長[章]野の山の写真です。

二人とはサークルに入った当所から[来]仲良くて」

曜子がさびしげに微笑む。

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そういえば、康雄の姿はここにはな[自]い。まあ、あの身体でサークルにも[i]来られまいが。

曜子によると、事故があってから一度だけ、憔悴しきった康雄に会ったが、以来半月ほど顔も見せず、連絡もつかずに心配しているそうだ。

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「――やっぱり、明人君の告白を私が断ってから、おかしくなっちゃったのかな。私たち」

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――ん?

――明人の告白を、曜子が断った?

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『曜子と明人は結ばれたんですよ―[a]―』

『俺は身を引いて――』

『幼馴染みの親友なら――』

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――なぜ食い違う?

――明人は曜子と付き合っていなか[m]ったのか?

――なぜそんな認識を、自身も曜子に好意を持っていたという康雄が口にする?

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「――曜子さん、失礼を承知でお伺[k]いします。

貴女の好きな方は、この写真に映る[.]、どちらの男性ですか?」

登山の写真、曜子を挟んで右と左。[c]

困惑した曜子が指を指す。

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「――もちろん、こっちのタオルを頭に巻いた――」

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――そうだったのか。

そして僕は、桐子の真意と事の真相[n]を知る。

【続く】

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