【江户切子的通灵图】直到你变成石头(完)

iamk 日本恐怖故事 2024-01-12 09:00:01 391 0

江户切子 ... 一位年轻漂亮的女医生。他通常是一个不起眼的小镇医生,但他熟悉不属于这个世界的事件,并且有一个隐藏的一面可以消除障碍。拥有“江户切子”的隐名。

目崎千里:桐子的助手。大学生。

Mariko Higurashi...一位美丽的客户。某件事触发了她的身体石化。我在十七岁之前没有记忆。

日暮仁五郎:真理子的父亲。一些著名的艺术家。他心脏病发作,昏迷不醒,住进了医院。

Marina Higurashi...Jingoro 的妻子。十一年前去世。

宇野圭佑……静五郎的弟子。消失在一个风雨交加的夜晚。

佐野实:静五郎的弟子。在暴风雨的夜晚自杀。

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自我介绍一下

我是桐子。

我是应您的老师日暮静五郎的女儿日[文]暮真理子的委托而来的。

我通常是一名不起眼的镇医,但我有一项秘密业务可以解决这些异常情况。

我不知道你是从哪里知道的,但是麻理子来看我了。

她给我讲了这个故事。

静五郎先生心脏病发作倒下的那个晚上,佐野实先生自杀了,而你突然消失了。

当时你和麻理子、实和麻理子的对话。

还有你离开家后就不知道的真理子桑发生了什么事。

我有一个连接并解释它们的假设。

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去吧,坐在那个椅子上请放下。

首先,请简单介绍一下您自己。

最后一篇文章来支持我的理论。

关于你来到日暮家的那天,以及那天晚上实说的话。

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我叫真理子.

Keisuke Ura 先生和 Minoru Sano 先生。我从我父亲那里听说过。

非常感谢。

当我们第一次见到她时,我和 Minoru 都很惊讶。

因为直到那时都没有人知道静五郎老师有一个女儿。

那时圆子十八岁。

听说在我们拜师的前一年,老师失去了妻子,一度非常伤心。

女士——我记得玛丽娜是一个美丽的人。

在我跟你闹事之前,我在展览上见过你和你丈夫。

后来才知道她也是钢琴家。

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麻理子的五官让我强烈地想起了她的母亲玛丽娜。

他病了,不能离开府邸。

我们为她感到可惜,但她不仅没有让我们有那种感觉,她聪明善良,虽然比我们大,但她像家人一样爱我们。 .

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在某些时候,我们被她吸引了。

害怕把一个像哥哥一样爱她的女孩想成一个女人的罪恶感(更何况她是主人的女儿)。

随着年龄的增长,她越来越漂亮了。[章]

有一件事我觉得很奇怪。

她常说,她生下来妈妈就死了。

正如我之前所说,老师的妻子在十一年前去世了——在她从昏迷中醒来的前一年。

这是失忆导致的失忆吗?

在不提的老师面前,我们只是闭口不谈。

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故事跳到那天晚上的前一周——我离开那所房子的那天。

那天晚上,实君闯进了我的房间。

他异常疲倦。

'怎么了?

不管他是否听到我的声音,他都会喃[来]喃自语。

然后他缓缓抬头说道,

圭介君,我看到了一件离谱的事。

老师的——她的——哦,怎么会这样?

但是不,静五郎老师太棒了。

我们的老师是做这种离谱事情的高手[自]。'

我想知道他在说什么我什么都不知道[i],但我不知道'不敢问,平复一下激动的心情说,哦[a]对了,老师是大师。

那天晚上,过了一会儿,实君回过神来,回到了自己的房间。

那是一个下雨的晚上。

天气有种不祥的预感。

当我听到奇怪的缓慢敲门声时,我正在我的房间里。

打开门的时候,实君脸色惨白的快要哭出来,嘴巴却奇怪的松了口气。——他站着。

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'怎么回事,连续两个晚上?

……不,冷静点。我在场,扶着老师[m]的身体,才没有撞到头。

我已经叫了救护车,你能帮我把他放[k]在床上直到车来吗?

他的神态很奇怪。

不管你处理得多么好,你都出奇的冷[.]静。

我会更心烦意乱。

我的思绪好像在别处。

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我们赶到老师的工作室,把他抱上了[c]床。

中君,你跟真理子同学说了吗? '

他摇了摇头,然后阻止了我。

“等等。我有重要的事情要告诉你。[n]

这是关于我们心爱的圆子的。

我要你静下心来听。让我提前告诉你[恐],我既不困惑也不精神错乱。

“圆子同学被诅咒了。

那是实告诉我的。”

圭介对桐子说道。

那是一条直线。

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“他说老师的崩溃是其中的一部分,[怖]从现在开始,他的毒牙会来到真理子[鬼]同学的身边。”

> “你相信他说的话吗?”

圭介摇头。

起初,我说--我简直不敢相信这样[故]一个疯狂的故事。

在这个科学时代,什么是神秘学。< /p>

但是——”

心电图的周期性声音填补了空白。

“我很了解实君。”

他是一个很讲道理的人。我绝不会盲[事]目相信

然后他接着说神秘学是存在的。

我忍不住相信了。”

其实是他让圭介离开这个家——麻理[文]子。

因为有圭佑在,他无法应对针对真理子的诅咒。

前几天还只是学徒艺人,还对玄学深恶痛绝的圭介,不知道自己能不能对付诅咒。

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不管你什么时候开始相信圭佑的,其[章]实我说过对付诅咒就像开灯一样简单[来]

”——为了以防万一,我去大街上叫[自]救护车。

实有话要对真理子说。你能马上去工[i]作室给我做吗?

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跟真理子说了这么多之后,圭介离开了家。

让我对真理子的安全做出非常坚定的承诺。

即使你的爱没有实现,为了你所爱的人的生命。

“——明白了。谢谢你,Keisu[a]ke-san。

现在一切都连接起来了。

你离开了Mariko-san为了[m]她的安全。

但是 Keisuke——”

在说实话之前,先见见你所爱的人。

听到这句话,圭介抬起了头。

这里有姑娘吗?我在病床后面掀开盖[k]在床上的帘子。

有--。

摇晃

“嗯,圆子同学!”

那里还有一张床,躺在上面的是麻理[.]子自己,整个人都变成了坚硬冰冷的[c]石头。

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“圆子同学,好帅啊!

这是……这是诅咒吗?

他到底是个什么样的人? “对你!

我让你照顾好圆子同学,所以我——[n]

圭介大怒。

桐子平静的说道。

《佐野实先生去世了。》

麻理子不接受他的爱,失望而终。 " 我拒绝了。

我不认为他有意违背对他最好的朋友[恐]你的承诺。

因为他已经对你撒过一次谎了。

“骗——?”

是的,桐子回答道。

“实桑跟你说的谎话。

是第三者诅咒她变成这个样子的。”

那是什么,圭介喘着气说。

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一个男人的故事让.

他从小就得到美神的眷顾。

他的双手创造了各种美好的事物。

后来,他结了婚,但没有孩子。

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但他没有抱怨。

你爱的人会和你在一起。我对此感到[怖]满意。

对他来说,他创作的艺术作品就像孩[鬼]子一样。

要是他有老婆就好了——

然而,一场突如其来的分手对他打击[故]很大。

11年前醋。

我的妻子因病去世了。

他陷入了绝望的深渊。

在黑暗的深处挣扎、挣扎——

最终,他的双手,将奇迹握在手中。[事]

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初见时,他刻下了对年轻妻子难以忘怀的印象。

受到美神的宠爱,他一心雕刻的石像短暂地活了过来。

这个男人的名字叫日暮神五郎。

我妻子的名字叫玛丽娜。

居住在雕像中的生命被命名为——

圆子。

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只要静五郎不亲自和真理子说话,就[文]无法想象他的心情。

但是,他每天都在做一些事情,让麻[章]理子暂时的生命不会结束。

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真五郎终于有了两个徒弟,他们都被[来]美丽的圆子吸引了。

十年平安无事地过去了,但是一夜之[自]间,那种幸福的平衡被打破了——

圭介君,我看到了离谱的事情。

老师的——她的——哦,怎么会这样?

但是不,静五郎老师太棒了。

我们的老师是一位大师级人物,竟然[i]能做出这种离谱的事情。”你偷看了[a]一眼正在为真理子举行的仪式。

我也明白了她的道理。

第二天,不知是巧合,静五郎君倒下了,还是实五郎跟他对质时惊呆了。

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【江户切子的通灵图】直到你变成石头(完)

但是,在实的心目中,如果圭介同学[m]和你不在了,圆子同学就是她一个人[k]了。一定是过去了

魔鬼出手了。

所以他向你灌输了一个虚假的、被诅[.]咒的第三者的存在——

“圆子被诅咒了”

“有你在我救不了她”

但最后,她我救不了让我的感受被接[c]受,我说出的谎言背叛了我的朋友是[n]徒劳的。

他在绝望中结束了自己的生命。

从那时起,连接麻里子短暂生活的仪式就再也没有人进行过。并且——

“所以她回到了‘原始’的石头——[恐]

Kiriko 结束了她的长篇故事。

就在这时,静五郎一直有规律地响着的心电图停止了工作。

就好像它已经完成了它的部分一样。[怖]

“老师……”

圭介小声嘀咕道。

那声音吞噬了惊讶,悲伤,以及无数的疑问。

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“仪式是——我猜——对着她的石像[鬼]吹气。

呼吸就是生命。”这是

但不是每个人都能做到。

真五郎先生在黑暗中挣扎,最终得到[故]的奇迹。

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真正渴望她存在的人必须怀着献出生命的决心去做。

——浦圭介先生,你能做到吗?

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梦想图I正在画画——从天而降的绳[事]子和站在绳子下的女孩暗示了一个被[文]剪断了绳子的木偶。”

从医院回家的路上,问走路的桐子踢[章]

“一个有意志的自立生物。麻理子就[来]是这样的人。”是有联系的。

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不知道他们两个以后会不会好起来

圭介会告诉真理子吗?

>

真理子在圭介的吻中醒来,并不知道自己已经完全“变回”了石头。

看到父亲的死,我哭了,把脸埋在站[自]在我身边的圭介的胸口。

“那是他自己决定的。

不过好吧,别担心。

Mriko the石像。” 肯定是人手打造的——” 桐子笑道。


作者:綿貫一
原文:【穢土切子の心霊カルテ】貴女が石になるまで(完)

江戸桐子(えどきりこ)……若く美しい女医。普段はしがない町医者だが、この世ならぬ出来事に通じ、障りを祓う裏の顔を持つ。「穢土切子」の隠し名を持つ。

目崎千里(めざきせんり)……桐子[i]の助手。大学生。

日暮真理子(ひぐらしまりこ)……[a]美しい依頼人。ある出来事がきっか[m]けで、身体が石化しかけている。十[k]七歳より以前の記憶がない。

日暮甚五郎(ひぐらしじんごろう)[.]……麻里子の父。一部で著名な芸術[c]家。心臓発作で倒れ、意識不明にな[n]り入院している。

日暮麻里奈……甚五郎の妻。十一年[恐]前に死亡している。

右野圭介(うのけいすけ)……甚五[怖]郎の弟子。嵐の夜に失踪する。

左野実(さのみのる)……甚五郎の弟子。嵐の夜に自殺する。

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まずは自己紹介をいたしましょう。[鬼]

私は穢土切子。

貴方の師事する、日暮甚五郎氏のご[故]息女である、日暮麻里子さんから依[事]頼を受けてこの場におります。

私は普段はしがない町医者ですが、[文]この手の常ならぬ事態を解決する裏[章]の稼業を持っています。

どこでお知りになられたかは存じませんが、麻里子さんは私の許を訪れた。

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お話は彼女から聞かせていただきま[来]した。

甚五郎氏が心臓発作で倒れ、佐野実[自]さんが自殺し、貴方が突如失踪した[i]夜のこと。

その際に交わされた、貴方と麻里子[a]さん、実さんと麻里子さんの会話の[m]こと。

そして、あの家を離れた貴方が知ら[k]ないであろう、麻里子さんの身に起[.]こった事態。

それらを全て結び、説明する仮説を私は持っています。

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どうぞ、その椅子に腰を下ろしてく[c]ださい。

始めに、少しだけ、貴方の話を聞か[n]せてください。

私の説を補強する最後のピースを。[恐]

貴方が日暮家にやってきた日のこと、そして、あの晩、実さんに云われたことを――。

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『はじめまして、日暮麻里子と申し[怖]ます。

右良圭介さんと、左野実さんですね[鬼]。父から話は聞いております。

どうぞ、よろしくお願いいたします[故]

彼女と初めて顔を合わせたとき、僕[事]と実君は驚きました。

なぜって、甚五郎先生に娘さんがい[文]らっしゃったことなぞ、それまで誰[章]も知らなかったのですから。

麻里子さんはその時十八歳でした。

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僕らが弟子入りをする前年、先生は[来]奥様を亡くされ、一時期非常に傷心[自]なさっていたと伺っています。

奥様――麻里奈さんは美しい方だっ[i]たと記憶しています。

先生のところにご厄介になる以前、[a]展覧会にご夫婦でいらっしゃってい[m]るのをお見かけいたしました。

彼女はピアニストであるということも、後に知りました。

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麻里子さんは、母親である麻里奈さ[k]んの面影を強く感じさせる顔立ちを[.]していました。

病で屋敷から出ることもできず、そ[c]ればかりか、十七歳までの記憶すら[n]ないとの話でした。

僕らは彼女を不憫に思いましたが、聡明で心根の優しい彼女は、そんなことを感じさせないばかりか、年上である僕らを家族のように慕ってくれたのです。

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僕らはいつしか、彼女に惹かれてい[恐]ました。

兄のように慕ってくる少女を、女性として意識することの罪深さに怯えながら(まして彼女は、師匠の娘さんなのです)。

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彼女は年とともにさらに美しく成長[怖]しました。

ひとつ、奇妙に思っていたことがあ[鬼]ります。

彼女はよく、母親は自分が生まれる[故]際に亡くなった、と口にしていまし[事]た。

先ほど申し上げた通り、先生の奥様[文]が亡くなったのは、十一年前――彼[章]女が昏睡から目覚める一年前――で[来]す。

この記憶違いは、彼女の記憶喪失に[自]よるものだったのでしょうか。

そのことに触れない先生の手前、僕らは口をつむぐばかりだったのですが――。

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話はあの夜――私があの家を離れた[i]日――の一週間前に飛びます。

その夜、私の部屋に、実くんが飛び[a]込んできたのです(転がり込んでき[m]た、という云い方の方がいいかもし[k]れません)。

彼は普段と違い、たいそう憔悴していました。

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『どうしたんだい?』

尋ねる私の言葉が耳に届いているの[.]やらいないのやら、彼はブツブツと[c]何事か呟いています。

そしておもむろに顔を上げ、こう云いました。

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『圭介くん、僕はとんでもないもの[n]を見てしまった。

先生の――彼女の――ああ、こんな[恐]ことがあるものだろうか。

しかし、いや、やはり甚五郎先生は[怖]すごい。

あんなとんでもないことをやってのけるなんて、僕らの先生は名人だ』

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私は彼が何を云っているのか、まったくわかりませんでしたが、敢えて聞き出すことはせず、ああそうだな先生は名人だ、と調子を合わせて、彼の興奮を沈めようと努めました。

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その晩はしばらくして冷静を取り戻した実くんが自室に戻っていき、事は済んだのですが、再び翌日の晩、事件は起きたのです。

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激しい雨の晩でした。

なにか不吉な気配を感じる天候でし[鬼]た。

自室にいた私は、妙に間延びしてド[故]アを叩く音を聞きました。

扉を開けると、実くんがーー青白い顔をして、泣き出しそうな、しかし口許は奇妙に緩んだ形をさせてーー立っていました。

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『どうしたんだ、二晩続けてなんて[事]

『先生が……心臓の発作に倒れられ[文]たんだ。

……いや、安心したまえ。僕が居合[章]わせ、先生の身体を支えたので、頭[来]を打つようなことはしてない。

救急車も呼んだから、君、車が来るまで先生をベッドに寝かせて差し上げたいから、手伝ってはくれないか』

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彼の態度は妙でした。

いくら対応が適切に済んでいるから[自]といって、変に落ち着いています。[i]

私だったらもっと取り乱していたで[a]しょう。

心が、どこか別の場所にあるかのようでした。

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私たちは急いで先生がおられるアト[m]リエに駆けていき、先生の身体を支[k]えてベッドまで運びましました。

『実くん、麻里子さんには知らせた[.]のだろうね?』

彼は首を振って、それから私を立ち止まらせました。

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『待ってくれ。君に大事な話がある[c]のだ。

僕らの愛する麻里子さんのことなん[n]だ。

落ち着いて聞いてほしい。あらかじ[恐]め云っておくが、僕は混乱も錯乱も[怖]していない』

そう断ってから彼が告げたのは、信じられない言葉でした。

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「麻里子さんは呪われている。

実くんは私にそう云ったのです」

圭介は切子に向けてそう告げた。

まっすぐな視線だった。

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「彼は、先生が倒れられたのもその[鬼]一端であり、今後その牙は麻里子さ[故]んに及ぶ、と言い出したのです」

「貴方はその言葉を信じたのですか[事]?」

圭介はかぶりを振る。

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「はじめは――そんな突拍子もない[文]話、信じられるわけがないと云いま[章]した。

科学全盛のこのご時世に、なにをオ[来]カルトな、と。

ですが――」

言葉の切れ目を心電図の定期的な音が埋める。

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「私は実くんという人間をよく知っ[自]ています。

彼は非常な理屈家なのです。根拠が[i]ないものを盲目的に信じることは、[a]けしてしません。

その彼が、オカルトはある、と言葉[m]を続けたのです。

信じざるを――得ませんでした」

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実は圭介に、この家から――麻里子[k]から離れることを要求したという。[.]

圭介がいることで、麻里子に向けら[c]れた呪いに対処できなくなるから、[n]と。

一介の芸術家見習いで、つい何日か前までオカルトなど毛嫌いしていた実に、呪いの対処などできるものか、と反発した圭介だったが、ただ麻里子の身の安全は案じられた。

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そして、そんな圭介に、いつから信じたかは問題ではない、実際にそれを視て、それに触れて、道理を理解したなら、ライターで火を点けるくらい、呪いへの対処は造作もないことだ、と実は云った。

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『――僕は念のため、大通りまで救[恐]急車を迎えに行ってまいります。

実君が麻里子さんに話があるそうです。すぐにアトリエに行ってやってくれますか?』

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圭介は麻里子にそれだけ告げると、[怖]家を離れた。

麻里子の身の安全を、実に固く約束[鬼]させて。

たとえ、自らの恋心が叶わなかったとしても、愛する人の命のため――。

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「――わかりました。圭介さん、あ[故]りがとうございました。

これで、すべてが繋がりました。

貴方は麻里子さんの身の安全を慮ら[事]れて、彼女の許を離れられた。

しかし、圭介さん――」

真相をお話する前に、貴方の愛する[文]人にお会いいただきましょう。

その言葉に、圭介がはっと顔を上げる。

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「い、いるんですか?ここに、彼女[章]が」

「ええ――」

切子は甚五郎の病床の奥にある、ベ[来]ッド周りを覆うカーテンを開けた。[自]

そこには――。

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shake

「ま、麻里子さん――!」

そこにはもう一台ベッドが設えられており、その上に横たわっていたのは、全身が固く冷たい石と化した、麻里子その人だった。

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「麻里子さん、なんて姿に――!

これが……、これが呪いなのですか[i]

実君――、彼は一体なにを!

麻里子さんのことはまかせろと云う[a]から僕は――」

圭介は激しく取り乱した。

切子が落ち着いた調子で声をかける。

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「左野実さんは亡くなりました。

麻里子さんに愛を受け入れてもらえ[m]ず、その失意のために自ら命を断っ[k]たのです。

親友である貴方との約束を裏切るつ[.]もりはなかったと思いますよ。

なぜなら、彼はすでに一度、貴方に対して嘘をついていたのですから」

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「嘘――?」

はい、と切子は応える。

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「実さんが貴方についた嘘。

それは呪いを持って彼女をこのよう[c]な姿にした第三者など”はじめから[n]いなかった”ということです」

なにを――、と圭介は息を飲む。

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ある男の話をしましょう。

彼は若い頃から美の神の祝福を受け[恐]た人間でした。

彼の手はあらゆる美しいものを造り[怖]出しました。

やがて彼は伴侶を得ますが、ふたりの間に子供はありませんでした。

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しかし彼に不満はありませんでした[鬼]

愛する者がそばにいてくれる。それ[故]だけで満足だったのです。

彼にとって、自らが生み出した芸術[事]品は子供も同様。

ただ、妻さえいてくれたなら――

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しかし、そんな彼を突然の別れが襲[文]います。

十一年前のことです。

妻が病で帰らぬ人となったのです。[章]

彼は失意のどん底に落ちました。

どん底の闇の中をもがいて、もがい[来]て――

やがて、彼の手は奇跡を掴むことになります。

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彼は忘れ得ぬ、出逢った頃のうら若[自]い妻の姿を石像に刻みました。

美の神に愛された彼が、一心に彫りこんだその石像には、かりそめの命が宿ったのです。

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男の名は日暮甚五郎。

妻の名は真理奈。

石像に宿った命は――

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麻里子と名付けられました。

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甚五郎氏がどんな気持ちで麻里子さ[i]んと接していたかは、当人の口から[a]語られない限り、想像の域を出ませ[m]ん。

しかし、彼は麻里子さんのかりそめの命が途切れぬよう、日々、ある行為を施していたのです。

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甚五郎氏には、やがてふたりの弟子[k]が付き、彼らは美しい麻里子さんに[.]惹かれていきました。

十年は何事もなく過ぎましたが、ある夜、その幸せな均衡は綻んだ――

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『圭介くん、僕はとんでもないもの[c]を見てしまった。

先生の――彼女の――ああ、こんな[n]ことがあるものだろうか。

しかし、いや、やはり甚五郎先生は[恐]すごい。

あんなとんでもないことをやってのけるなんて、僕らの先生は名人だ』

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弟子の左野実さんは、甚五郎氏が麻[怖]里子さんに施していた儀式を覗き見[鬼]てしまったのですね。

彼女の真実にも気が付いた。

翌日、甚五郎氏が倒れたのは偶然か、はたまた実さんに真実を突き付けられてショックを受けたからか――これも定かにはわかりません。

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しかし、いずれ実さんにしてみれば[故]、あとは圭介さん、貴方さえいなく[事]なれば、麻里子さんは自分だけのも[文]のになると、そんな考えが頭を過っ[章]たのでしょう。

魔が射したのですね。

そこで彼は、偽りの、呪いの第三者の存在を貴方に吹き込んだ――

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『麻里子さんは呪われている』

『君が此処にいては、彼女を救えない』

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しかし結局、彼女に気持ちを受け入[来]れてもらえず、友を裏切ってまで吐[自]いた嘘も無駄になってしまった。

彼は失意の内に命を断った。

麻里子さんのかりそめの命を繋ぐ儀式は、以来誰からも施されることなく。そして――

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「彼女は″元の″石に戻った、とい[i]うわけです――」

切子は長い話を終えた。

ちょうどその時、規則正しく鳴って[a]いた甚五郎氏の心電図が動きを止め[m]た。

まるで自らの役目を果たしたかのように。

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「先生……」

圭介はぽつりと呟いた。

驚きと哀しみと、数々の問いを飲み込んだ声色だった。

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「儀式とは――これは私の推測です[k]が――石像である彼女に息を吹き込[.]むこと。

息吹は命。これは呪の基本です。

しかし誰にでも出来ることではない[c]

甚五郎氏が、暗闇の中をもがいてようやく手にした奇跡です。

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彼女の存在を真に切望した者が、自[n]らの命を分け与える決意のもとでそ[恐]れをしなければ。

――右良圭介さん、貴方にそれが、できますか?」

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圭介は眠れる麻里子の石像をじっと眺め、そして――。

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「桐子さんが描いていた夢の絵――[怖]天から垂れ下がる糸と、その下に立[鬼]つ少女は、糸の切れた操り人形を暗[故]示していたんですね」

病院からの帰り道、僕は前を歩く桐[事]子に問いかける。

「意思を持って自立した被造物。麻[文]里子さんはそういう存在だったんだ[章]

桐子の描く夢の絵は、この世界のどこかにある真実と繋がっている。

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「これから、あのふたりは大丈夫な[来]んでしょうか。

圭介さんは、麻里子さんに真実を伝[自]えるんでしょうか」

圭介の口づけに目覚めた麻里子は、[i]自身が完全に石に「戻っていた」こ[a]とを知らない。

息を引き取った父の姿を見て涙し、隣に立つ圭介の胸に顔をうずめていた。

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「それは彼が決めることさ。

でもまあ、案じることはないよ。

石像の麻里子さんは確かに人の手が造り上げたものだけれど――」

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人もまた、神の手による被造物には違いないのだから――そう云って桐子は微笑んだ。

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