【夏日风声】无形之刃

iamk 日本恐怖故事 2024-01-18 06:00:02 135 0

〉八月,酷暑难耐,来我家的姑娘双臂缠着绷带,脸色阴沉。

“很高兴认识你……”

〉少女不解的低下了头。她的名字叫[文]梦野,和初中一年级的小姑子月野同[章]班。

“欢迎光临,请进。”

说着就领着梦野酱去了客厅。

“对不起,我想Tsuyu很快就会[来]回来。”没有,完全没问题。

∀昨天晚上我接到梦野酱的电话.

‖接听电话的时候,听筒的另一边传[自]来了一个陌生的女孩子的声音。

“你好……Tsuyu酱在吗?”

“是的,我在。你能告诉我你的名字吗?啊,是梦野。”

‖当我让Tsuyu接过电话时,他们开始友好地交谈起来。接完电话后,Tsuyu用略带困扰的表情看着我。当我问“怎么了?”时,他用食指挠着脸颊开始说话。

“她是我同学的孩子,但是我听说我[i]老公要找我谈这件事,不好意思,你[a]明天有什么安排吗?”

“明天?点点头。你这样坐立不安的问我,我可没办法拒绝……

“是啊,就是这么回事,求教了半天,可不是我能做到的,小舅子说懂这种事,我”改天问问他。嗯,所以梦野酱今天才来我家,而露雨去买晚饭了,现在只有我一个人,所以暂时让她在客厅坐下,给她倒了一杯酒。

“谢谢”

“不不不,我觉得Tsuyu回来之[m]后再谈比较容易吧?”

Yumeno酱说,“是的”他点点[k]头。

...短暂的沉默继续。出了点问题[.]

‖突然,前门响起。

“我到家了~”

‖是Tsuyu的声音。

“欢迎回来,梦野酱来了。”

我这么说的时候,Tsuyu“嗯![c]”的冲向了客厅。

“欢迎光临!对不起~”

『梦野酱一边摇头一边说“没关系”[n],双手合十在脸前道歉.

∀ 不是梦野酱,而是Tsuyu最先提出了正题。

“我已经咨询了很长时间了。梦野酱,你自己说话吗?”

“嗯……”

‖他好像不太会和人说话,不和我有[恐]眼神交流,犹豫地低下头。

“慢慢来就好了,说话难吗?”

‖她摇摇头。

“不,我来谈谈”

说着,梦野酱开始一点一点地说话了。这是按时间顺序排列的样子。

‖她来自一个没有父亲的家庭,五年前父母离异,她被父亲收留。此外,他的母亲似乎有外遇而且发生了。梦野从小就被妈妈虐待,离婚后就跟着爸爸一起生活。不过,他爹也是他爹,对她很生硬,即便如此,心情不好或者工作不顺心的时候,他也会对她大吼大叫。虽然没有暴力,但精神上的痛苦会很大。

‹ 家庭环境并不是唯一复杂的事情。小学时一直被欺负,进入初中后虽然冷静了一些,但阴险的欺凌还在继续,现在几乎不去上学。结果,她开始自残。所谓,就是一种伤害自己身体的行为,比如割腕。我不能和任何人谈论痛苦的事情,伤口只会越来越多,但在某个时候,奇怪的事情开始发生了。

‖一个人在家的时候,突然觉得右臂一痛。甚至在那之后,有时候我的胳膊和手腕突然在不知不觉中被割伤,我被自己吓坏了,想知道这是怎么回事。.

一天放学回家的路上,我正走着平常的小路,突然右臂一痛。一看,那里好像多了一个新切口。伤口比平时更深,鲜血溢出。她不明白这是怎么回事,有人从背后喊她,说她正在努力止血。

“原来是我~”

茹说。

“一开始我很惊讶她是谁,但因为她[怖]是同班的Tsuyu酱……她对每个[鬼]人都很好,对Yumeno也很好。[故]对不起。 ..”

梦野又低下了头。

“没关系,我有点灵感,如果能帮到[事]你,我会很高兴。”

Tsuyu笑道。不知为何,气氛缓[文]和了一些。很长一段时间以来都是这[章]样。 Tsuyu的话似乎有些奇怪,我也[来]因此受到了帮助。

“谢谢你,Tsuyu-chan”[自]

‖Yumeno-chan不好意思地说。

“嗯……与其说是鬼,倒不如说是诅咒,暂时我一个人很难解决,还是去请教高手吧。”

>

专家是我亏欠的驱魔师神原零的办公室。神原零,俗称零,比我小一岁,是一名专攻幻影的侦探。

“如果你问零的话,或许会有解决办[i]法。梦野酱,你还好吗?”

梦野酱对我的问题点了点头。

‖○

‖自残。在去办公室的途中,我想了很多。当然,铃菜的手腕上也有伤痕。她没说什么,所以我也没提,但我不知道她怎么想的。我听说过铃奈的过去。她的家庭环境也很复杂,她一定感到孤独。我不能做一些不负责任的事情来认为我理解那种感觉。她的痛苦只有她自己知道。我正在考虑静静地等待,直到你告诉我这件事。

〉即便如此,切开皮肤的怪物也如同镰鼬。 Kamaitachi 是日本流传下来的谜团之一。长得像Tachi的妖怪应该很有名吧。但是,据说用镰刀割时,不会痛,也不会流血。梦野说她很痛,还在流血。换句话说,镰鼬是罪魁祸首的理论可能是错误的。

〉还有很多其他被看不见的东西伤害的案例。在我所知道的与这次事件有密切关系的事情中,有一件过去发生在海外的隐形怪物事件。

1951年,一名18岁的女孩向在菲律宾马尼拉一条后街巡逻的警察投诉说“有人在咬我”。民警见状,将女孩带到派出所询问情况。接着,在民警面前,他的肩膀和手臂上多处被咬伤,伤口渗出鲜血,粘稠如唾液。看到这一幕的警察采取了各种应对措施,但似乎对隐形怪物没有任何作用。顺带一提,在那之后,无形怪物的攻击平息了下来,但他们却连他们的真实身份都无法查明,事情就陷入了迷宫。

〉女孩说看不见的怪物是“黑色的东西”。不知道梦野酱被砍的时候是不是也看到了什么。

“梦野酱,你被砍的时候有什么感觉[a]吗?”我叫道梦野酱转向我,想了想[m]后,含糊地点了点头。

“偶尔,好像有什么东西在看着我​[k]​,还有,我好像看到了一个黑影,[.]可能是我的幻觉……”

那个黑影……它让我畏缩。我提到的[c]事件是咬了一口,但这次是割伤。但[n]如果你真的看到一个黑色的影子,这[恐]可能会重叠。如果是这样,我们可以[怖]处理吗?

“怎么了?”

Tsuyu一脸疑惑的看着我。

“不,没什么。谢谢你,Yumen[鬼]o-chan。”

就在我们谈话的时候,我们到了办公[故]室,当我们咯咯地打开大门时,我们[事]在里面。我们两个人一起看着我们。[文]

“志古怎么了?”

城崎铃菜,这里的兼职调查员,她是[章]我的女朋友。

“铃菜,你在吗?不对,我和零有关系……零呢?”

〉回答我问题的人是一个叫北上昴的男人.

“是吗?嗯,要是我们两个就好了。就是这个孩子……” 我看到梦野酱正偷看我。

之后我和铃菜还有昴说了到目前为止的事情,暂时想出了对策。

“梦野酱,能给我看看你的伤口是什[来]么样子的吗?”

铃菜一问,梦野酱点点头,双手抱住[自]她。我把绷带取下来.

“嗯……这可能很恶心,不是吗?”[i]

『梦野酱一边解开绷带,一边抱歉地[a]说。

“没事,其实我自己也割伤了。”

铃奈苦笑着说道。我也同意这一点。[m]

我没有包扎的手臂和手腕上有无数的[k]伤口。其中,他右臂上的一处伤口相[.]当深。

“我右臂上的这个很深的伤疤,是放[c]学回家的路上割的。”

说着,梦野酱伸出了右臂。

“原来如此……嗯嗯,从伤口来看,[n]不像是镰刀鼬,好像有流血。”

昴注视着伤口在他的右臂上按了一会[恐]儿。我叹了口气。

“据我所知,我也不知道是什么原因[怖]。”

“不会是诅咒什么的吧?”

当我斯巴鲁问道,摇了摇头。

``如果是诅咒的话,我的眼睛是可以看出来的。不过,这似乎是一种诅咒器具,而且似乎对灵体和诅咒表现出了极大的视野。既然看不见他,那应该不是诅咒吧。

「闹鬼……」

〉铃菜小声说道。看着她,她的脸上[鬼]带着淡淡的笑意。

“闹鬼是一种精神现象?”

“波尔Tergeist 通常被认为是一种由灵魂引起的神秘[故]现象,但实际上,人类往往是罪魁祸[事]首。对我来说也是如此,但似乎很多[文]精神不稳定的青春期女性都会在不知[章]不觉中造成这样的现象。我现在可以[来]控制自己的力量了。”

说着,她竖起右手食指。然后,放在她面前的那杯橙汁就飘在了空中。梦野酱看到后傻眼了。

“灵异通灵现象,这是念力。我的情况是,我的力量没有那么强,所以我专攻净化作为媒介。你是念能力者。

< p>『铃奈看着我说道。

“嗯,这是我从爷爷那里继承来的通[自]灵能力,我最近才能够使用它。”

“大家好厉害……!”

〉梦野酱睁大眼睛看着我们。念力…[i]…还是叫念力?任何人第一次看到这[a]样的东西都会是这样。就在我这么想[m]的时候,铃菜将漂浮的杯子放回面前[k]的桌子上,又开始说话了。

“也就是说,我还以为是梦野酱挠了[.]她的胳膊呢。”

∀我一时语塞。一个自作自受的闹鬼[c]……有这种事吗?不……我想是有的[n]。考虑到我迄今为止所见过的古怪世[恐]界,这可能是理所当然的事情。

“但是,我看到一个黑色的影子快速[怖]移动了几次。然后我的手臂被砍掉了[鬼]……”

‖当然,梦野酱他之前说过。

“如果是这样的话,那就是精灵的恶[故]作剧……”

“不”

〉我说的话被昴的话淹没了.

“无论何时何地被割伤都无关紧要,[事]然后附在你身上的精神,或者附在你[文]身上的精神,就会造成这种现象。”[章]它一定发生过,但到目前为止正如我[来]所见,我感觉不到任何似乎正在发生[自]的事情。如果你周围的人受到同样的[i]伤害,那就是另一回事了。”

昴说完了喝下了杯子里的大麦茶。我看到梦野酱了她有些低落,脸色也有些苍白。

“可是……可是……”

』 就在梦野酱这么嘀咕之后。突然,她的左手腕被划了一道口子。

“什么!?”

我立刻大叫。鲜血开始从伤口溢出。

「我们到外面去吧。在室内很危险。」

〉昴这么说。众人乖乖的离开了办公室。

“那边怎么会有东西……”

梦野酱含泪指着某个地方低声说道。[a]昴像是在寻找着什么似的注视着它,[m]过了一会儿才叹了口气。

我什么也看不见。如果那里有什么东[k]西,昴绝对能看出来。

“哒……sir”

突然,Tsuyu一边拉着我的衣角[.]一边喃喃自语。

“怎么了,Tsuyu?”

“……我看到了,是黑色的。”

一边说着,Tsuyu也去了同一个[c]地方梦野酱指的地方。好笑……怎么[n]回事?

“喂,Tsuyu,你看……”

“啊!很危险!”

〉Tsuyu打断我的声音大喊道。[恐]紧接着,梦野酱的脖子被割断了。

“Yumeno-chan!”

‖Tsuyu离开我,靠近Yume[怖]no-chan。露水让梦野酱瞪大[鬼]了眼睛。

“Tsuyu酱,你能看到吗!?”[故]我不知道我能不能做点什么。她没有[事]我们这样的能力……

“小月,现在是时候使用它了。”

‖铃菜突然说道。这是什么意思?

“可是……”

津佑一脸苦恼地交替看着我和铃菜。[文]

“没关系,相信我!”

“……好吧。?”

沮丧的。然后,铃菜把手放在我的肩膀上。

“好的如果是 Tsuyu-chan。”

“他能做点什么吗?”前几天,你才告诉我。”

心里有些紧张。

〉我看着露水。作为姐夫,我很担心[章],但如果发生这种情况,我会交给她[来]

“梦野酱,在我身后”

说着,Tsuyu左右张开双臂保护[自]着梦野酱,指着应该有什么东西的地[i]方。盯着他。

“梦野酱,我会和你在一起的。所以[a]我很好。我不害怕,我不孤单。”摸[m]了摸我的手就在这时,无数的植物开[k]始在被露水沾过的草地周围蠕动。

“你刚刚给工厂下了命令,以防万一[.]吗?”

昴惊讶的说道。我也是这种情况。想来苏宇有这样的本事,为什么要隐瞒到现在?

〉露下达命令的植物,一边前后摇摆,一边做出神秘的动作。这……有效果吗?

‖这种情况持续了一段时间,但最终植物还是回到了原来的位置,停止了移动。这只是我的想象吗?不知为何,我稍微松了口气。

“……嗯?不见了。”

〉躲在Tsuyu身后的梦野酱露出[c]如释重负的表情说道。好像看不见的[n]人安全地消失了。

“驱魔完毕”

‖ 露露笑着说道。驱魔……什么的,先不管它是什么,暂时是有好处的。

一切都做完后,我们都回到了办公室,讨论着刚刚发生的事情。

“咦,怎么回事?为什么梦野酱看到了,我们却什么都看不到?不会是梦野酱的幻觉吧?”

铃奈笑着对我一头雾水。

“哈哈,手势,你没事吧?”我没有[恐]被突如其来的问题弄得心烦意乱,语[怖]气平静地开口。

”结果也就是说,原因是梦野酱自己惹的闹鬼。那个我们看不见的透明怪物,也是她无意识制造的幻觉。如果我把它归类为某种东西,我不知道它是否类似于想象中的同伴。

一个想象中的伴侣,一个只存在于人的想象中的人。据说小时候很常见,不过听说大人也有,所以梦野酱应该是青春期吧。

“可是为什么Tsuyu看到了呢?”

“净化空气,安心之类的空气治疗能[鬼]力之类的?我还是用不好。”

〉Tsuyu这么说。我苦笑道。昴点点头继续说道。

“是吗?一定是那种抹杀无形怪物的能力吧。小露,你知道的吧?”

昴笑了笑。微笑在我的脸上。

“是的。有时候我和那个波长是一样的,虽然我不是精灵,但看到别人看不到的东西还是很可怕的。”

> p> 』 Tsuyu 再次苦笑。令我沮丧的是,我没有意识到她在我不知情的情况下经历了如此艰难的时期。不,也许他不想知道。我不想让你太担心。如果是 Ru,你可能会这么想。

「Tsuyu-chan……」

‖没想到,Yumeno-chan[故]开口了。苏优看着梦野酱,露出温柔[事]的笑容。

“什么?”

“对不起……我很痛,莉斯卡,我真的很想切得更深,流很多血,然后松一口气。但是,我害怕把自己伤得太深……我开始讨厌自己又变成了这样一个懦弱的人,所以也许这就是我这么做的原因……对不起,Tsuyu酱。谢谢你…… ”

梦野酱抽泣着说道。那一定很痛苦。那个看不见的怪物,或许就是她自我厌恶的化身。我们在一个只属于她的永远无法触及的世界里。想着想着,伴随着一种说不出的伤感,一股淡淡的空虚感袭上心头。

“梦野酱”

Tsuyu一边抚摸着梦野酱的头一[文]边说道。

“什么?Tsuyu-chan”

“再说了,有什么事尽管说,我们是[章]朋友。”

∀我'我还在哭泣 苏优对深夜的梦野酱轻声说道。

“是啊!我们在这里,所以随时都可[来]以来!”

‖铃菜这样说着,鼓励着梦野酱。

“Tsuyu-chan,大家..[自]....非常感谢你”

〇Yumeno说着又哭了起来。那个怪物,可能再也不会出现在她的世界里了。不确定,但可能没问题。我有这种感觉。


作者:mahiro
原文:【夏風ノイズ】見えない刃

 八月、茹だるような暑さの中、暗い顔で俺の家を訪れてきた少女の両腕には、包帯が巻かれていた。

「はじめまして・・・」

 少女は少し戸惑い気味に頭を下げて[i]そう言った。名前は夢乃といい、中[a]学一年生で俺の義妹である露と同じ[m]クラスなのだそうだ。

「いらっしゃい、どうぞ入って」

俺はそう言って、夢乃ちゃんを居間[k]へと案内した。

「ごめんね、露はもう少しで帰って[.]くると思うけど」

「いえ、大丈夫です。あの、すみま[c]せん突然・・・」

「いやぁ、全然いいんだよ」

 夢乃ちゃんから連絡があったのは、[n]つい昨夜のことだった。

 俺が電話に出ると、聞き慣れない少[恐]女の声が受話器の向こうから聞こえ[怖]てきた。

「もしもし・・・あの、露ちゃんは[鬼]いますか?」

「はい、居ますよー。名前を教えて[故]くれる?」

「あ、夢乃です」

 露に電話を代わってもらうと、少し[事]仲良さげに話し始めた。通話を終え[文]ると、露は俺の方を少し困ったよう[章]な顔で見た。「どうした?」と訊く[来]と、人差し指で頬を搔きながら話し[自]始めた。

「私のクラスメイトの子なんですけ[i]ど・・・旦那様に相談があるらしく[a]て、その・・・とても困っていたの[m]で勝手に引き受けちゃったんですけ[k]ど!あぁ・・・ごめんなさい。明日[.]って、ご予定お有りですか?」

「明日?うん、いいけど、おばけ関[c]連なのか?」

俺がそう訊き返すと、露はコクリと[n]頷いた。そんなモジモジしながら頼[恐]まれたら断れなくなるだろう・・・[怖]

「はい、そんな感じです。以前から[鬼]相談には乗ってはいたのですが、私[故]が出来ることではないので。義理の[事]兄さんがそういうのに詳しいと言っ[文]たら、いつか相談してもいいかと訊[章]かれたので、いいよって・・・」

 兄さん・・・外では俺のことをそう[来]呼んでいるのか。まぁ、そんなわけ[自]で今日、家に夢乃ちゃんがやってき[i]たのだが、露は夕飯の買い物に行っ[a]ていて今は俺一人なので、とりあえ[m]ず彼女を居間に座らせて飲み物を出[k]した。

「ありがとうございます」

「いやいや、相談は露が帰ってきて[.]からの方が話しやすいかな?」

 夢乃ちゃんは「はい」と頷いた。

 ・・・暫しの沈黙が続く。何か気ま[c]ずい。

 不意に、玄関の戸が開く音がした。[n]

「ただいま帰りました~」

 露の声だ。

「おかえりー、夢乃ちゃん来てるよ[恐]

俺がそう言うと、露は「えっ!」と[怖]言い、大急ぎで居間へとやってきた[鬼]

「いらっしゃい!ごめんね~」

 両手を顔の前で合わせながら謝罪す[故]る露に、夢乃ちゃんは首を横に振っ[事]て「大丈夫」と言った。

 最初に本題を切り出したのは、夢乃[文]ちゃんではなく露だった。

「以前から、相談を受けていたんで[章]す。夢乃ちゃん、自分で話す?」

 夢乃ちゃんは露の問いかけに少し戸[来]惑いながらも頷いた。

「えっと、その・・・」

 人と話すのが苦手なようで、俺とは[自]目を合わせずに俯きながらモジモジ[i]としている。

「ゆっくりでいいよ。話しにくいこ[a]となのかな?」

 彼女は頭を振った。

「いえ、話します」

 そう言って夢乃ちゃんはポツリポツ[m]リと話し始めた。その内容を時系列[k]に纏めるとこうだ。

 彼女の家は父子家庭で、両親が五年[.]前に離婚して、父親に引き取られた[c]のだそうだ。それも、母親が不倫を[n]してそのようなことになったらしい[恐]。夢乃ちゃんは幼い頃から母親の虐[怖]待を受けていたこともあり、離婚後[鬼]は父親と暮らすようになった。しか[故]し父親も父親で、彼女に対する態度[事]は素っ気なく、それでいて機嫌が悪[文]いときや仕事が上手くいかなかった[章]時には暴言を吐かれるらしい。暴力[来]は無いものの、精神的苦痛は大きい[自]だろう。

 複雑なのは家庭環境だけではなかっ[i]た。小学校ではずっといじめを受け[a]ており、中学に入ってから少しは落[m]ち着いたものの、やはり陰湿ないじ[k]めは続いており、今はほぼ不登校な[.]のだそうだ。そんなこともあってか[c]、彼女は自傷行為をするようになっ[n]た。所謂、リストカットなどの自ら[恐]自分の身体を傷付ける行為のことだ[怖]。辛いことを誰にも相談できずに傷[鬼]が増えていくばかりだったが、ある[故]ときから異変が起き始めた。

 家に一人でいるとき、突然右腕に痛[事]みを感じたので見てみると、見覚え[文]のない新しい傷が付いていたらしい[章]。それからも何もないところで突然[来]腕や手首が切れることが時々あり、[自]どういうことかと一人で怯えていた[i]

ある日の下校中、いつもと変わらな[a]い道を歩いていると、不意に右腕に[m]痛みが走った。見てみると、そこに[k]は新しい切り傷が出来ていたのだそ[.]うだ。その傷はいつもより深く、血[c]があふれ出していたらしい。彼女は[n]訳が分からなくなり、咄嗟に止血を[恐]試みていると背後から誰かに声を掛[怖]けられた。

「それが私だったんですよ~」

露が言った。

「最初は誰かとびっくりしたけど、[鬼]同じクラスの露ちゃんだったから・[故]・・誰に対しても優しくて、夢乃に[事]も優しくしてくれたから、こんなわ[文]けのわからないことだけど相談に乗[章]ってもらったんです。ごめんね・・[来]・」

夢乃ちゃんはまた、露に頭を下げた[自]

「いいんだよ~。私も少しは霊感あ[i]るし、何か力になってあげられたら[a]嬉しいよ」

露はそう言って微笑んだ。何故か少[m]しだけ場の空気が和む。以前からそ[k]うだった。露の言葉には不思議な何[.]かがあるようで、俺もそれに助けら[c]れたことがある。

「ありがとう、露ちゃん」

 夢乃ちゃんは照れくさそうに言った[n]

「うむ・・・霊の仕業というより、呪詛的なモノのように思えるなぁ。とりあえず、俺だけじゃ解決は難しいから専門家の所に行ってみようか」

【夏日风声】无形之刃 日本恐怖故事

専門家というのは、俺が世話になっ[恐]ている祓い屋の神原零というやつの[怖]事務所だ。神原零、通称ゼロは俺よ[鬼]り一つ年下で、怪異専門の探偵をや[故]っている。

「ゼロに頼めば、解決に繋がるかも[事]しれない。夢乃ちゃん、大丈夫そう[文]かな?」

俺の問いに夢乃ちゃんはコクリと頷[章]いた。

 

   ○

 自傷行為。事務所への移動中、俺は[来]それについて色々と考えていた。確[自]か、鈴那の手首にも傷の痕があった[i]。本人が何も言ってこないので特に[a]触れてはいないが、彼女自身はどう[m]思っているのだろう。鈴那の過去の[k]話を聞いたことがある。彼女の家庭[.]環境も複雑で、孤独を感じていたの[c]だろう。俺なんかがその気持ちをわ[n]かった気になろうなんて無責任なこ[恐]とは出来ない。彼女の苦しみは、彼[怖]女にしかわからないのだから。それ[鬼]を話してくれるまでは、そっと待っ[故]ていようと思っている。

 それにしても、皮膚を切り裂かれる[事]怪異とは鎌鼬のようだ。鎌鼬とは、[文]日本に伝えられる怪異の一つで、鎌[章]のような爪を持ったイタチの容姿を[来]している妖怪が有名だろう。しかし[自]鎌鼬に切られた場合、痛みを感じる[i]ことはなく出血も無いという。夢乃[a]ちゃんは痛みを感じており、出血も[m]したと言っていた。つまり、鎌鼬が[k]犯人であるという説は白かもしれな[.]い。

 他にも、見えない何かに傷を付けら[c]れたといった事例は複数ある。俺が[n]知っている中で今回の事件に近いも[恐]のを挙げると、過去に海外で起こっ[怖]た見えない怪物の事件がある。

 1951年、フィリピンのマニラで[鬼]裏通りのパトロールをしていた警官[故]に18歳の少女が「誰かが私に噛み[事]付いてくる」と訴えてきた。不審に[文]思った警官は少女を署まで連行し事[章]情を聞いていると「またあそこにい[来]るわ!」と叫び声をあげ、それを言[自]い終えた直後に少女は床の上に躓い[i]て倒れた。すると今度は警官の見て[a]いる前で、肩と腕に噛み傷がいくつ[m]も現れ、その傷からは血がにじみ出[k]て唾液のようなものがべっとりとつ[.]いていたという。その光景を見た警[c]察は様々な対処をとってはみたもの[n]の、見えない怪物に効果は無かった[恐]のだそうだ。因みに、その後見えな[怖]い怪物の攻撃はおさまったのだが、[鬼]それの正体を突き止めることすら出[故]来ず、事件は迷宮入りとなった。

 その少女は見えない怪物のことを「[事]黒い何か」と言っていたらしい。夢[文]乃ちゃんも切られた時に何かを見た[章]のだろうか。

「夢乃ちゃん、切られたときに何か[来]、気配とかを感じたりはしたかな?[自]

俺は露と二人で前を歩いている夢乃[i]ちゃんに声を掛けた。夢乃ちゃんは[a]俺の方を振り返り、少し考えた後、[m]曖昧に頷いた。

「たまに何かに見られてるようなこ[k]とはありました。あと、黒い影みた[.]いなのが見えた気がします。気のせ[c]いかもしれないんですけど・・・」[n]

黒い影・・・ゾクリとした。例に挙[恐]げた事件は噛み傷だったが、今回は[怖]切り傷だ。しかし本当に黒い影を見[鬼]たとなると、これは重なるかもしれ[故]ない。もしそうだとしたら、俺達の[事]手に負えるだろうか。

「どうかなさったのですか?」

露が怪訝そうな表情で俺を見た。

「いやぁ、なんでもない。ありがと[文]ね、夢乃ちゃん」

そんな会話をしているうちに事務所[章]へ着き、入り口の戸をガラガラと開[来]けると、中に居た二人が揃ってこち[自]らを見た。

「あれ、しぐ~どーしたの?」

 城崎鈴那、ここのアルバイト調査員[i]で、俺の彼女だ。

「鈴那、来てたのか。いや、ちょっ[a]とゼロに用があってな・・・ゼロは[m]?」

「ゼロくんなら、今日は支部長のと[k]ころに行ってて不在だよ」

 俺の問いに答えたのは、北上昴とい[.]う男だった。

「そうだったのか。まぁ、二人が居[c]ればいい。この子なんだけど・・・[n]

 俺はそう言って露の真後ろからひょ[恐]っこりと顔を覗かせている夢乃ちゃ[怖]んを見た。

それから、鈴那と昴にこれまでの経[鬼]緯を話し、とりあえず何かしらの対[故]策案を出してみることになった。

「夢乃ちゃん、傷がどんな感じか見[事]せてくれないかな?」

 鈴那がそう訊くと、夢乃ちゃんはコ[文]クリと頷き、腕に巻かれている包帯[章]を外し出した。

「あの・・・気持ち悪いかもしれま[来]せんよ?」

 包帯を外しながら、夢乃ちゃんは申[自]し訳なさそうに言った。

「大丈夫よ、実はあたしも切ったこ[i]とあるし」

鈴那が苦笑しながら言った。俺もそ[a]れに頷く。

包帯の外れた腕や手首には、無数の[m]切り傷があった。その中でも、右腕[k]にある傷の一つがけっこう深い。

「この、右腕の深い傷が、下校中に[.]切られたやつです」

そう言いながら夢乃ちゃんは右腕を[c]前に出した。

「なるほど・・・う~ん、傷口から[n]見て、鎌鼬では無さそうだね。出血[恐]もあるようだし」

昴は右腕の傷を暫く凝視すると、「[怖]はぁ・・・」とため息を吐いた。

「僕の知っている限りでは、原因が[鬼]分からないなぁ」

「呪詛とかではないのか?」

俺がそう訊くと、昴は頭を振った。[故]

「呪詛なら、目でそれが見えてる。[事]でも、それらしきものが見えないか[文]ら・・・」

 昴の左目は瑠璃色の義眼で、しかも[章]それが呪具の一種らしく霊や呪いの[来]類にはすごい視力を発揮するらしい[自]。その彼が見えないというのだから[i]、恐らく呪詛ではないのだろう。

「ポルターガイスト・・・」

 鈴那がボソリと呟いた。彼女の方を[a]見やると、微かに笑みを浮かべてい[m]た。

「ポルターガイストって、心霊現象[k]の?」

 俺がそう訊ねると、彼女は軽く頷い[.]てから話し出した。

「ポルターガイストって、一般的に[c]は霊によって起こされる怪現象って[n]感じで知られてるけど、実は人間が[恐]犯人ってことも多いのよ。あたし自[怖]身もそうなんだけど、そういう現象[鬼]を無意識に起こしてしまうのは、精[故]神的に不安定な思春期の女性に多い[事]らしいの。あたしはもう能力を制御[文]できるけどね」

彼女はそう言いながら右手の人差し[章]指を立てた。すると、彼女の前に置[来]かれていたオレンジジュースの入っ[自]たコップが宙へと浮いた。それを見[i]た夢乃ちゃんは啞然としている。

「精神的心霊現象、これは念動力ね[a]。あたしの場合、こっちの力はそん[m]なに強くないから、霊媒師として浄[k]霊をする方が専門だけど。しぐは典[.]型的な念能力者よね」

 鈴那が俺を見て言った。

「まぁ、祖父譲りの霊能力だからな[c]。最近使えるようになったばかりだ[n]けど」

 俺はそう言いながら苦笑した。

「皆さん、すごいんですね・・・![恐]

 夢乃ちゃんは目を丸くして俺達を見[怖]ている。霊能力・・・または、超能[鬼]力と呼ぶべきだろうか。そんなもの[故]を初めて目にしたら、誰だってそう[事]なるだろう。そんなことを考えてい[文]ると、鈴那は浮かせていたコップを[章]手前の台に戻し、また話を始めた。[来]

「つまり、その腕の傷を付けたのは[自]・・・夢乃ちゃん自身なんじゃない[i]かなと思ってね」

 俺は絶句した。自ら起こしたポルタ[a]ーガイストによって、自身を傷付け[m]ているなんて・・・そんなことがあ[k]るのだろうか?いや・・・あるのだ[.]ろう。これまで見てきた突飛な世界[c]からすれば、当然のように起こって[n]しまうことなのかもしれない。

「で、でも私、黒い影がサッと動く[恐]のを何度かみたんです。それで、腕[怖]が切られてて・・・」

 確かに、夢乃ちゃんはさっきもそう[鬼]言っていた。

「だとすれば、霊によるポルターガ[故]イスト・・・」

「違う」

 俺が言い掛けた言葉は、昴のその一[事]言でかき消された。

「切られるのに、場所や時間帯は関[文]係無いんだよね。それなら、君に憑[章]いている霊、或いは、君の持ってい[来]る何かに憑いている霊が現象を起こ[自]しているはずなんだ。けど、僕が見[i]る限りそれらしきモノの気配は感じ[a]られない。君の周囲にいる人も同じ[m]被害に遭っているというのなら、話[k]は別だけど」

 昴は話し終えるとコップに入った麦[.]茶を飲み干した。俺は夢乃ちゃんを[c]見た。彼女は軽く俯いており、少し[n]顔色が悪い。

「でも・・・でも・・・」

 夢乃ちゃんがそう呟いた直後だった[恐]。サッと、彼女の左手首に切り傷が[怖]付けられたのだ。

「なんだっ!?」

 俺は咄嗟に叫んだ。傷口からは鮮血[鬼]が溢れ始めている。

「外に出よう。室内だと危険だ」

 そう言ったのは昴だった。全員がそ[故]れに従い、事務所の外に出た。

「なんで、あそこ何かいる・・・」[事]

夢乃ちゃんが目に涙を浮かべながら[文]ある一点を指さし呟いた。昴は何か[章]を探すようにそこを凝視していたが[来]、少ししてからため息を吐いた。

「だめだ・・・何も見えない」

俺も見てみたが、そこにはそれらし[自]きものどころか気配すら感じられな[i]い。何か居るのなら、昴には確実に[a]見えているはずだ。

「だ・・・旦那様」

不意に、露が俺の服の裾を引っ張り[m]ながら呟いた。

「露、どうした?」

「・・・見えるんです。黒い、モノ[k]

露はそう言いながら夢乃ちゃんと同[.]じ場所を指さした。おかしい・・・[c]どういうことだ?

「おい露、見えるって・・・」

「あっ!危ないっ!」

 露が俺の声を遮って叫んだ。その直[n]後、夢乃ちゃんの首に切り傷が付け[恐]られた。

「夢乃ちゃんっ!」

 露は俺から離れて夢乃ちゃんへ近付[怖]いた。夢乃ちゃんは露を見て目を見[鬼]開いている。

「露ちゃん、見えてるの!?」

「うん、なんでかはわからないけど[故]・・・」

 だが、露に見えていたとしても何か[事]できるだろうか。俺達のように能力[文]を持たない彼女では・・・

「露ちゃん、今は使ってもいいとき[章]だよ」

 不意に鈴那が言った。どういうこと[来]だ?

「で、でも・・・」

露が困った顔で俺と鈴那を交互に見[自]やる。

「大丈夫、あたしを信じて!」

「・・・わかりました。やってみま[i]す」

「おい露、どういうことだ?」

 俺はもう何が何だかわからず動揺し[a]ながら訊ねる。すると、鈴那が俺の[m]肩に手を置いて行った。

「大丈夫、露ちゃんなら」

「あいつ・・・何か出来るのか?」[k]

「しぐ、知らないと思うけど、露ち[.]ゃんも超能力みたいなのが使えるら[c]しいの。この前、あたしにだけ教え[n]てくれた」

 鈴那はそう言いながら笑みを浮かべ[恐]ているが、どこか緊張しているのが[怖]見て取れた。

 俺は露の方を見た。義兄として心配[鬼]だが、こうなったら彼女に任せてみ[故]よう。

「夢乃ちゃん、私の後ろに」

そう言うと露は夢乃ちゃんを庇うよ[事]うに両腕を左右に広げ、何かが居る[文]であろう場所をじっと睨んだ。

「夢乃ちゃん、私が一緒にいるよ。[章]だから大丈夫。怖くない、寂しくな[来]い」

 露はそう言いながらゆっくりと屈み[自]、足元に生えている草に手を触れた[i]。その瞬間、露の触れた草を中心に[a]無数の植物たちがくねくねと動き始[m]めた。

「念で植物に命令を送ったのか!?[k]

 昴が驚嘆したように言った。俺もそ[.]んな状態だ。まさか露にあのような[c]能力があったなんて、何故今まで隠[n]していたのだろう。

 露が命令を送った植物たちはくねく[恐]ねと謎の動きをしながら右往左往し[怖]ている。これは・・・上手くいって[鬼]いるのか?

 少しの間そんな状態が続いたが、軈[故]て植物たちは元の位置へと戻り動き[事]を止めた。気のせいだろうか?何故[文]か少し癒されたような感覚になった[章]

「・・・あれ?消えてる」

 露の背後に隠れていた夢乃ちゃんが[来]安堵の表情を浮かべて言った。どう[自]やら見えない何者かは無事に消えて[i]くれたらしい。

「除霊、しました」

 露はそう言ってニコリと笑った。除[a]霊・・・というのか、どうなのかは[m]さて置き、とりあえずよかった。

 事が済んだので全員で事務所へ戻り[k]、先程の出来事について皆で話し合[.]った。

「なぁ、一体どういうことなんだ?[c]なんで、夢乃ちゃんと露には見えて[n]俺達には何も見えなかったのか。露[恐]にも見えてたってことは、夢乃ちゃ[怖]んの幻覚ではないんだろ?」

 困惑する俺を見て、鈴那がププッと[鬼]笑った。

「ハッハッ、しぐ、大丈夫?」

「だ、だって、なぁ・・・おい昴、[故]どういうことだ?」

 昴は俺の唐突な質問にも動揺するこ[事]となく、冷静に話し始めた。

「結果から言うと、原因は夢乃ちゃ[文]ん自身が起こしたポルターガイスト[章]だよ。僕らに見えなかったあの透明[来]な怪物も、彼女が無意識に作り出し[自]た幻覚。何かに分類させるならば、[i]イマジナリーコンパニオンに類似し[a]ているかもわからない。」

 イマジナリーコンパニオン、本人の[m]空想の中だけに存在する者のことだ[k]。幼少期に多いと言われているが、[.]大人でもあるという話を聞いたこと[c]があるので、思春期の夢乃ちゃんな[n]らそれを作り出してしまうのも有り[恐]得るだろう。

「でも、なんで露にもそれが見えた[怖]んだ?」

「露ちゃんは、たまたまそれとのチ[鬼]ャンネルが合ってしまったんだと思[故]う。露ちゃん、君の能力は植物を操[事]るだけではないよね?」

 昴の問いかけに露は「はい」と頷い[文]た。

「空気を澄ませるというか、安心さ[章]せるというか、エアーセラピー能力[来]とでもいうのでしょうか?まだ、上[自]手く使えませんけど」

 露はそう言って苦笑した。昴はそれ[i]に頷き、話を続けた。

「やっぱりそうだったか。見えない[a]怪物を消したのはその能力だろう。[m]露ちゃん、それを分かっていてした[k]ことだね?」

 昴が笑みを浮かべながら再び露に訊[.]ねた。

「はい。私、たまにそういうのと波[c]長が合っちゃって、霊じゃないけど[n]、やっぱり他の人には見えないもの[恐]が見えてしまうのは、怖いですね」[怖]

 露はまた苦笑した。彼女が俺の知ら[鬼]ないところでそんな苦労をしていた[故]なんて、気付いてやれなかった自分[事]が悔しい。いや、ひょっとしたら知[文]られたくなかったのかもしれない。[章]俺に余計な心配を掛けたくなかった[来]から。露なら、そう考えるかもしれ[自]ない。

「露ちゃん・・・」

 不意に夢乃ちゃんが口を開いた。露[i]は夢乃ちゃんを見ると、優しい笑み[a]を浮かべた。

「なぁに?」

「ごめんなさい・・・私、苦しくて[m]、リスカ、ほんとはもっと深く切っ[k]て、沢山血を流して安心したかった[.]。でも、自分で深く切るの怖くて・[c]・・そんな弱虫の自分がまた嫌いに[n]なっちゃって、だから、あんなこと[恐]しちゃったのかもしれない・・・ご[怖]めんね、露ちゃん。ありがとう・・[鬼]・」

 夢乃ちゃんは嗚咽しながら言った。[故]苦しかったのだろう。あの見えない[事]怪物は、彼女の自己嫌悪が具現化し[文]たものだったのかもしれない。俺達[章]が決して触れることの出来ない、彼[来]女だけの世界で。それを考えると、[自]言い知れぬ悲しみと共に、僅かな虚[i]無感が心を突いた。

「夢乃ちゃん」

露が夢乃ちゃんの頭を撫でながら言[a]った。

「なに?露ちゃん」

「また、何かあったらなんでも相談[m]してね。私たち、お友達だから」

 まだ泣いている夢乃ちゃんに、露は[k]優しく語り掛けるように言った。

「そうよ!あたしたちもいるから、[.]いつでもおいで!」

 鈴那もそう言って夢乃ちゃんを励ま[c]した。

「露ちゃん、皆さん・・・本当にあ[n]りがとうございます」

 夢乃ちゃんはそう言ってまた泣いた。彼女の世界に、もうあの怪物が現れることはないかもしれない。確証は無いが、たぶん大丈夫。そんな気がした。

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