咲夜公主漫步在盛开的樱花树下。
一阵异想天开的风拂过你的长发,散发出淡淡的甜香。
我告别了沉闷的初中生活,开启了青春的新篇章。
虽然离我家有点远,但是我能够进入我向往已久的新学校。
幸运的是,我很快就交到了朋友。
从现在开始,好好享受你的高中生活吧。
一大早就到学校,看到一班走廊上贴着一张成绩前50名的学生名单。
我疯狂地寻找我的名字。
“Nacchan”
听到远处有人叫我的名字,我转身。[文]
这是我的朋友风香。
风香跑到我身边,和我并肩窃窃私语[章]。
“这第一名是不是很厉害啊?满分5[来]00分”
“是啊是啊。”
我点点头。稻田。
第1名:不知火瞬
好像在哪里听过这个名字,但当时想[自]不起来了。
“说起来,我从来没见过她跟任何人[i]说话。”
风香抬头看着空中问道。
“优等生都是这样”
我立马回答。
“对了。对了,小奈你昨天看到新闻[a]了吗?河里发现了一个女孩的尸体。[m]”
“我没看到。”< /p>
>“凶手还没有抓到,凶手可能就在这附近,所以很可怕是吧?啊,第一节的铃声响了,回头见。”
> p>
我和风香冲向教室。溜进去。
一天平安无事地过去了。
钢琴演奏会马上就要开始了。
上钢琴课学习。
我有点忙。
最近有时候觉得很奇怪。
我感觉有人在背后看着我。
即使回头看,也没有人。
有一个地方我经常用来作为放松的地[k]方。
学校图书馆一角的“恐怖小说角”
>我是学校里唯一一个使用这种古怪角落的人,所以这是我的特殊座位。
又到了像往常一样从书架上拿一本小[.]说的时间了。
我注意到地板上有一本又旧又脏的笔[c]记本。
我偷偷把笔记本塞进水手服的胸袋里[n]带回家了。
笔记本上写了什么?
出于好奇偷看笔记本。
我翻了第一页。
这是一份被红色铅笔覆盖的文件,看[恐]起来很不正常。
右肩斜上扬的幼稚扭曲的角色。
像孩子的涂鸦...
----------------[怖]------------ --
在我的内心,还有另一个我。
BO9(B O 九)。
这就是我给它起的名字。
第一次见到他是在我还没有上小学的时候。
我坐在自家门廊上,发呆地看着外面。
一群小蚂蚁带着一条紫色的燕尾。 Papilio machaon 的一只翅膀被扯掉,可以看到几乎没有连接到另一只的身体在颤抖。
我出神地看着这一幕,乐此不疲。
我看到自己原本静静流淌的血液在荡[鬼]漾。
“怎么样?美不美?”美。
在那之后,有一段时间,他把自己关在我里面,再也没有出现过。我也不在乎。
时间让我忘记了它,我把它收进了我胸口最深处的抽屉里。
我上小学的时候,邻居春经常来看我。 Haru-chan 是一个小两岁的女孩。无论我走到哪里,他都跟着我。
离我家不远就有一条大河。抓鳉鱼时[故],我正泡在河水中,膝盖没及膝盖。[事]稻田。
当时应该和我们在一起的小春没有来[文]。
“不要去河里,妈妈总是这么说。”[章]
我听到小春在河岸边尖叫。
“没事的。看,不会沉的。小春,过来。” .
当小春走到我身边时,我用双手把它挖出来,给她看里面的青鳉。
小春的大眼睛瞪得更大了,一副幸福[来]的样子。
是时候将它转移到她的手掌上了。
“啊,鱼……”
鳉鱼从春酱的小手指间掉了下来。
小春急着去捡鳉鱼。
就在这时,小春的脚被一块表面光滑的圆形石头绊住了,她沉入了河里。
突如其来的事,我身体一僵,动弹不[自]得。
许多大大小小的泡泡从水面上浮起。
当我的身体终于开始移动时,我正在河里潜水。
从河底,我看到了用平假名写着“四[i]条春”的小春的名牌。
我看着春酱的脸。
Haru 的嘴里不再有泡沫。
小春用大大的眼睛看着我。
就像一个漂亮的洋娃娃。
“你看,是不是很漂亮?”
BO9...
我能感觉到我身体里的齿轮“咔哒”[a]一声。
“你不难过吗?”
他和蔼地说。
“不,我不难过。因为小春马上就开始动了。就像电动玩具一样,只要按一下她身上某个地方的开关就没事了。”
p>然而,小春没有动。
----------------------------------------< /p>
我发现自己身体前倾我在看书的内容。
文章到此结束。
我翻过几页,但除了空白什么也没有[m]。
过了一会儿,我停了下来。
又写了一封信。
笔迹变了。
与我之前写过的信相反,这些信工整[k]工整,就好像是用尺子画出来的一样[.]。
我又开始看书了,好像被什么东西吸[c]引了一样。
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现在的我就像蜕壳的蝉。
我的身体去了很远的地方,不在了。[n]
BO9…….
我永远不会忘记我遇见他的那些充实的日子。
我想找回身体细胞在运动的感觉。
放学回家的路上,我正走在一条狭窄[恐]的小巷里。
一个陌生的小女孩走到了我的面前。
这景象让我想起了鲜红夕阳下的一幅美丽的画。
我想把整件东西带回家。
我心里是这么想的。
“小姑娘,我给你一个好吃的草莓蛋[怖]糕,你要不要到我家来一趟?”
我对小姑娘说。
“我不需要,老师叫我不要跟不认识[鬼]的人。”,从我面前走过。
我不想失去我找到的‘宝藏’。
我的脑袋一片空白。
下一刻,我就在女孩的脖子上扎了起[故]来。
女孩顿时不动了。
“很好玩,不是吗?”
BO9...
我抑制不住胸中的激动。
我是天生的杀手吗?
当生物面临死亡时,你会被它迷人的[事]表情迷住片刻。
我背着姑娘回家了。就算是陌生人看[文]到他们,也只会把他们当成手足。在[章]那之后,我盼望着回家。
我和BO9,我们三个,聊了很多。然而,女孩虽然我专攻听力。
一周后,女孩美丽的秀发脱落,皮肤剥落,一股浓烈的恶臭扑鼻而来。
那是“宝物”变成“垃圾”的时刻。[来]
我把一个女孩扔进了河里。
我找到了下一个“宝藏”。
那是我很久以前失去的东西,一个有着春酱形象的女孩。
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笔记本上的笔记到此为止。
第二天,我去上学了。
到达学校,进入教室。
站在办公桌前,我在制服口袋里摸索[自]着。
哦,我忘记带笔记本了。
这时,我感觉到身后有一道目光,转[i]过身。
现在我在音乐室弹钢琴。
一个男孩进来叫我。
“嘿,你好吗?”
“哦,难得和我打招呼,不知火君。[a]”
“还真不是。”
“需要什么东西给我吗?”
“不需要,一点也不需要”
“如果是笔记本的话,这里没有。”[m]
p> >
“你到底在说什么?”
“切白了也没用,本不该对我感兴趣[k]的你,一转身,就服了我你是罪魁祸[.]首。” “你是来杀我的吗?”
“我知道你在做什么。我唯一的错误[c]是我的笔记本掉了。但如果我杀了你[n]之后把它拿回来。不问题。现在,你[恐]要给我什么样的表情?”
不知火的手掐住了我的脖子。
“Goho.Bee...”
“嗯?”
“哦...”
“最后的死亡cry Are you sure?”
有那么一刻,不知火的手放松了。
我尽量提高声音。
“BO9没了,BO9没了,BO9[怖]没了不存在。
BO9是幻觉,BO9是幻觉,BO[鬼]9是幻觉。”
不知火一听到我的声音,就低下了头[故]。我蹲了下来。
就好像是一个死气沉沉的疯子。
不知火被赶到我家的警察逮捕了。
逮捕的决定性因素是笔记本的内容和不知火衬衫上沾染的少量堪称被害少女怨气的口水。
据警方后来了解到,在整个审讯过程中,他口中念叨着“BO9,BO9”。
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钢琴演奏会的日子到了。
我目前正在弹钢琴,伴着“佳能”的轻快节奏。
他的余生都将继续面对BO9。
嗯....那很好。
突然想起了从前的日子。
请大家为演奏帕赫贝尔的《佳能》的[事]四条夏送上热烈的掌声。
钢琴演奏结束后,大厅内宣布。
全场爆发出雷鸣般的掌声。
就在这时。
不知道他什么时候进来的。
我不该到现在的。
一个和春年龄相仿的女孩鼓掌,仍然[文]不确定,但绝望。
时间仿佛静止了。
哦,哈鲁...
一滴眼泪顺着他的脸颊滚落。
那时,我无法控制自己的情绪。
作者:退会会員
原文:BO9
咲耶姫(サクヤヒメ)満開の桜並木をひたすら歩いて行く。
気紛れな一陣の風が長い髪に触れ、[章]ほんのりとした甘い香りを乗せてく[来]る。
地味だった中学生活に別れを告げ、[自]あたしの新しい青春一頁が今始まっ[i]た。
家から少し遠いけれど、念願の新設[a]校へ進学することができた。
幸い直ぐに気の合う友達もできた。[m]
これからは楽しい高校生活をエンジ[k]ョイしよう。
朝早く学校に登校すると、1年1組[.]の廊下に学年50位までの入試結果[c]順位表が貼り出されている。
あたしは自分の名前がないか必死に[n]目で追った。
「なっちゃん」
遠くから、あたしの名前を呼ぶ声が[恐]して振り向く。
友達の風花(ふうか)だ。
風花が走り寄ってきて、あたしと肩[怖]を並べて呟く。
「この1位の子、凄くない?500[鬼]点満点だなんて」
「う、うん。そうだね」
あたしは相槌を打った。
1位 不知火 駿(しらぬい・しゅん)
どこかで聞いた名前だったが、その[故]時はまだ思い出せなかった。
「そういえば、この子、人と話して[事]るところ見たことないんだけど」
風花が宙を仰ぎながら、あたしに問[文]いかけた。
「優等生なんて皆そういうものよ」[章]
咄嗟に、あたしはそう答えた。
「だよね。ところで、なっちゃん昨[来]日のニュース見た?川から女の子の[自]遺体が見つかったっていうの」
「見てないけど」
「犯人まだ捕まってないんだって。[i]犯人この辺に居るかもしれないから[a]怖いよね。あっ、1限目のチャイム[m]鳴った。じゃあ、またね」
風花とあたしは慌てて教室へ滑り込[k]む。
その日は授業を受け何事なく過ぎ去[.]った。
もうすぐピアノの発表会。
勉強にピアノのレッスン。
ちょっと忙しくなってきた。
最近変に感じることがある。
誰かに後ろから見られている、そん[c]な視線を感じてしまう。
実際後ろを振り返っても誰もいない[n]けれど。
あたしがよく息抜きとして使ってい[恐]る場所がある。
学校の図書室、一角にある『ホラー[怖]小説コーナー』
こんな風変わりなコーナーを利用す[鬼]るのは、学校中探してもあたししか[故]いないので、あたし専用の特等席に[事]なっている。
いつものように棚から小説を取ろう[文]とした時だ。
床に薄汚れた古い手帳が落ちている[章]のが目に入った。
あたしは、こっそりセーラー服の胸[来]ポケットに手帳を押し込み、家に持[自]ち帰った。
手帳には何が書いてあるのかしら。[i]
興味本位で手帳の中を覗き込む。
最初のページをめくった。
何か異常とも思えるほど、赤鉛筆の[a]赤で一面を埋めつくされた文書だ。[m]
斜め右肩上がりの幼稚で歪(いびつ[k])な字。
まるで子供が書いた落書きのように[.]……
----------------[c]----------------[n]----------
ぼくの中に、もう一人のぼくがいま[恐]す。
BO9(ビー・オー・ナイン)。
ぼくは、そう名付けました。
最初に彼と出会ったのは、ぼくがま[怖]だ小学校へ上がる前の子供だった時[鬼]の事で。
ぼくは家(うち)の縁側に腰掛け、[故]ぼんやり外を眺めていました。
小さなアリの大群がムラサキアゲハ[事]を運んで行きます。ムラサキアゲハ[文]の羽一枚はもぎ取られ、もう一枚の[章]羽には辛うじて繋がっている胴体が[来]小刻みに震えているのが見てとれま[自]した。
ぼくは飽きる事無く恍惚(こうこつ[i])と、この光景を見つめていました[a]。
静かに流れていたぼくの血潮が波打[m]っているのがわかりました。
「どうだ、美しいだろう?」
彼は、ぼくの耳元で身体中が蕩(と[k]ろ)けそうになるくらいの甘美な声[.]で、そう囁いたのです。
それから暫く、彼はぼくの奥に閉じ[c]籠ったまま姿を見せる事がありませ[n]んでした。ぼくも気に留める事があ[恐]りませんでした。
時間がその事を忘れさせ、心の奥深[怖]い箪笥(たんす)の引き出しの中に[鬼]しまい込んでいったのです。
小学校へ上がった頃、よく近所のは[故]るちゃんが家へ遊びに来ました。は[事]るちゃんは二つ年下の女の子です。[文]ぼくの行く場所ならどこでも後から[章]ついて来ました。
家のチョット離れた場所に大きな川[来]が流れています。ぼくは川の水に膝[自]まで浸かりながらメダカを獲ってい[i]ました。
その時いつもついてくるはずのはる[a]ちゃんが来ません。
「川へ入っちゃだめなんだよ。ママ[m]がいつも言ってたもん」
はるちゃんが川の土手で叫んでいる[k]のが聞こえてきました。
「大丈夫だよ。ほらね、沈まないよ[.]。はるちゃん、こっちへおいでよ」[c]
ぼくの声に誘われて、はるちゃんが[n]恐る恐る近づいてきました。
ぼくのすぐ横まではるちゃんが来た[恐]時、両手で掬(すく)った中のメダ[怖]カを見せてあげました。
はるちゃんは大きな目をさらに見開[鬼]いて、嬉しそうに見ていました。
その後、彼女の手のひらに移そうと[故]した時でした。
「あっ、お魚が……」
はるちゃんの小さな指の間からメダ[事]カが落ちて行きました。
はるちゃんは慌ててメダカを拾おう[文]としています。
その瞬間、表面がツルツルした丸い[章]石に足をとられてしまって、はるち[来]ゃんが川の中に沈んでゆきました。[自]
余りに急な出来事に、ぼくの身体は[i]硬直し身動きできません。
水面(みなも)からは大小たくさん[a]のあぶくが浮かんできます。
漸(ようや)く身体が動いた時、ぼ[m]くは川に潜っていました。
川底から『しじょう はる』と平仮名で書かれた、はるち[k]ゃんの名札が目に入りました。
ぼくは、はるちゃんの顔を覗きこみ[.]ました。
はるちゃんの口からは、もうあぶく[c]がでていません。
はるちゃんは大きな目でこっちを見[n]ています。
それがまるで美しいお人形のようで[恐]した。
「ほら、美しいだろう?」
BO9……。
ぼくの身体の中にある歯車が「カチ[怖]ッ」と音をたてたのがわかりました[鬼]。
「悲しくないかい?」
彼は、そう優しく語りかけてきまし[故]た。
「ううん、悲しくなんかないよ。だ[事]って、はるちゃんは直ぐに動きだす[文]んだ。電動仕掛けのオモチャのよう[章]に身体のどこかスイッチを押せば動[来]くからいいのさ」
ところが、はるちゃんはそれっきり[自]動くことがありませんでした。
----------------[i]----------------[a]----------
気がつくと、あたしは身を乗り出し[m]て手帳の中味を読んでいた。
文章は、そこで終わっている。
ページをめくったが空白が続くばか[k]り。
暫くして、あたしは手を止めた。
また文字が書いてあった。
筆跡が変わっている。
今までの文字とは裏腹に定規であて[.]たような几帳面で綺麗な字だった。[c]
何かに吸い寄せられるように、また[n]続きを読み始めた。
----------------[恐]----------------[怖]----------
今のぼくは、まるで蝉の脱殻のよう[鬼]です。
ぼくの本体は、どこか遠いところに[故]行ってしまって今ここには無い様な[事]状態なのです。
BO9……。
彼と出会った充実した日々が忘れら[文]れない。
身体中の細胞が躍動するような感覚[章]を取り戻したい。
学校の帰り道、狭い路地を歩いてい[来]る時でした。
目の前を見知らぬ小さな女の子が近[自]づいてきました。
真っ赤な夕陽を浴びて綺麗な絵画を[i]思わせる光景でした。
丸ごと持ち帰りたい。
内心ぼくは、そう思ったのです。
「お嬢ちゃん、美味しい苺ケーキあ[a]げるよ。ちょっと家へ寄って行かな[m]い?」
ぼくは女の子に声をかけました。
「いりません。知らない人には、つ[k]いて行っちゃだめだと先生が言って[.]た」
女の子は怪訝(けげん)そうな顔を[c]して足早に、ぼくの目の前を通り過[n]ぎて行きました。
せっかく見つけた『宝物』を失いた[恐]くはなかった。
頭の中が真っ白になりました。
次の瞬間、ぼくは女の子の首を締め[怖]ていました。
女の子は直ぐに動かなくなりました[鬼]。
「楽しいだろ?」
BO9……。
胸の昂(たか)まりを抑えることが[故]できません。
ぼくは生まれきっての殺人鬼なので[事]しょうか?
生き物が死に直面した時、一瞬魅せ[文]る表情に見惚れてしまうのです。
女の子をおんぶして家に持ち帰りま[章]した。誰か知らない人が見ても兄妹[来]としか見えないでしょう。それから[自]家へ帰るのが楽しみになりました。[i]
BO9とぼく、女の子の三人でよく[a]お喋りしました。もっとも、女の子[m]は専(もっぱ)ら聞き役専門でした[k]けれど。
一週間を過ぎた頃、女の子の綺麗な[.]髪の毛は抜け落ち皮膚が剥がれ、強[c]烈な異臭が鼻を突きました。
『宝物』が『ガラクタ』へと変貌し[n]た瞬間でした。
ぼくは女の子を川に捨ててきました[恐]。
ぼくは、次の『宝物』を見つけまし[怖]た。
それはぼくが遠い昔失ったもの、は[鬼]るちゃんの面影を持った少女でした[故]。
----------------[事]----------------[文]----------
手帳の手記(しゅき)は、そこで終[章]わっていた。
次の日、学校へ行った。
学校に到着し、教室へ入る。
自分の机の前に立ち、制服のポケッ[来]トを弄(まさぐ)る。
「あっ、手帳忘れた」
やばい、うっかり声を出してしまっ[自]た。
その時、背後から視線を感じ振り返[i]った。
今あたしは音楽室でピアノを弾いて[a]いる。
一人の男子生徒が入って来て、声を[m]かけてきた。
「やあ、元気かい?」
「あら、あたしに挨拶するなんて珍[k]しいわね、不知火君」
「そうでもないさ」
「あたしに何か、ご用かしら?」
「いや、別に」
「手帳なら、ここには無いわよ」
「いったい、何の事だい?」
「白(しら)を切っても無駄よ。さ[.]っき、あたしが“手帳忘れた”って[c]言った時、普段何にも興味を示さな[n]いはずのあなたが振り向いたでしょ[恐]。だから、あたしはあなたが犯人な[怖]んだと確信したわ」
「……」
「それとも、あたしを殺しに来たの[鬼]かしら?」
「君の行動は把握していたよ。ぼく[故]の唯一の失敗は、手帳を落としたこ[事]となんだ。しかし、それも君を殺し[文]た後取り戻せば何の問題もないよ。[章]さて、君はどんな表情を見せてくれ[来]るのかな?」
不知火の手があたしの首を締めあげ[自]た。
「ゴホッ。ビー……」
「ん?」
「オー……」
「最後の断末魔の叫びかい?」
一瞬、不知火の手が緩む。
あたしは、あらん限りの声を振り絞[i]った。
「BO9はもういない、BO9はも[a]ういない、BO9はもういない。
BO9は幻なんだ、BO9は幻なん[m]だ、BO9は幻なんだ」
不知火は、あたしの声を聞くや否や[k]大きく項垂(うなだ)れ蹲(うずく[.]ま)ってしまった。
あたかも、それは生気を失った腑抜[c]けのように。
あたしの通報によって駆けつけた警[n]官により、不知火は取り押さえられ[恐]た。
逮捕の決め手となったのは、手帳の[怖]内容と不知火のワイシャツに付着し[鬼]た被害者女の子の怨念とも言うべき[故]ほんの僅かな唾液だった。
後から聞いた警察官の話によれば、[事]取調べ中ずっと「BO9、BO9」[文]と呟いていたという。
----------------[章]----------------[来]----------
ピアノ発表会の日が訪れた。
あたしは今『カノン』の軽快なリズ[自]ムに乗せてピアノを弾いている。
彼は、この先も生涯BO9と向き合[i]ってゆくことでしょう。
はる……、これで良かったのね。
ふと昔を思い出した。
「皆様、パッヘルベル『カノン』を[a]演奏された四条 奈津(しじょう・なつ)さんに温か[m]い拍手をお願い致します」
ピアノの演奏を終えたところで、場[k]内にアナウンスが流れる。
会場の至るところから割れんばかり[.]の拍手が湧き起こった。
ちょうどその時だ。
いったい、いつ入ったのかしら。
今まで居なかったはずなのに。
はると同じくらいの年齢の女の子が[c]拍手している、まだ覚束(おぼつか[n])ない手つきで懸命に。
まるで時間が止まったようだった。[恐]
ああ、はる……。
一筋の涙が頬をつたう。
その時あたしは、こみあげてくる感情を抑えることができなかった。
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