Bon-no-bune(“故事”系列外传)

iamk 日本恐怖故事 2024-03-02 18:00:02 81 0

八月,我心潮澎湃。

因为在县外读大学的哥哥马上就要回[文]家了。

我是一个自称的bracon。

我哥不是特别聪明,也没有什么特异功能,当然也不帅。我觉得他是个善良的人,但我们并不害羞,我们年轻的时候也有过很多血腥的战斗。

不过,我还是很奇怪,我从小就喜欢我的弟弟,经常跟着他。

焦急地等待哥哥归来的不止我一个。只有今年,整个家庭也是如此。

再重复一遍,会伤到弟弟的,我不会,但他绝对不是我们家的偶像。

我的父母比较放任,所以我是那种只要知道他们过得好并且尽力而为就不会介意回家的人,但是今年很特别。

前年冬天,我哥出了一场大事故。

虽然生命垂危,但他恢复得很好,虽然留下了左眼近乎失明的后遗症,但他那几分豁达的风度,让家人望尘莫及。放心。

虽然伤病耽误了一年,弟弟高高兴兴考上了大学,但就在一个月后的五月,他突然回到了家乡,一脸难以形容的表情。

即使我问为什么,我也只是得到一个无意义的回答,“是的,它已经解决了......所以没关系。”虽然他解决了问题,但他憔悴的脸让我们很担心,但在家里放松了几天后,他又恢复了往常光鲜亮丽的样子,回到了大学。

正因为如此,我和爸爸妈妈都很担心弟弟,盼着他暑假回家。

哥哥终于回来了。

从我出生开始,我就当了17年的bracon。

·····

“哥!……?”

8月13日。我和爸爸去车站接刚坐[章]长途汽车回来的哥哥。

谢谢大家久违的欢迎。

>

她那熟悉的笑容的左半边被恼人的刘海遮住了。

“……哥,你开始组乐队了吗?还是[来]说你现在是怪兽动漫宅男?”

我不介意你是动漫宅男。

在回家路上的车上,哥哥给我讲了他刘海的来历。

“我左眼残存的一点点视力是个障碍,看东西的时候会忽明忽暗,所以我用刘海遮住了。”难道没有办法吗"

为我和父亲找借口的哥哥,就是我认识的那个哥哥。

回到家,弟弟第一个去的就是佛坛。

用手略显尴尬的点着香,双手合十,闭眼片刻。

我和爸爸又对视了一眼。

我哥在家的时候,也顾不上尊祖宗什么的了。

也许是被我们的目光所吸引,弟弟显得有些尴尬,借故说:“有人让我回家后做这个的。”

“哥,有什么变化吗?”

“好看不好看,不过你的发型有点怪[自]。”

“说的太多了。”

“这个人是不是真的是她吗?”

我希望是这样。不。这不是什么特殊[i]的能力,而是多年相处养成的直觉之[a]类的东西。

从哥哥的表情我就知道,她确实不在[m]

不过,她微蹙的眉心处,却道:“还[k]不止这些。”

・・・・

8月14日。

从早上开始我就准备和弟弟去海边玩。

我家离海边很近。从小到大,大海就是我们兄弟姐妹们熟悉的避暑去处。曾是。

我忍不住觉得自己“年纪大了”,但也许我想用怀旧的游戏让我的哥哥留在身边,当我的时候他改变了一点继续上大学。

“喂,弟弟,我们去海边吧。”

刚吃完早饭,我就对他说了这句话,[.]弟弟一脸嫌弃。

本以为会很麻烦,没想到目前的反应[c]。老实说,我很震惊。

“对不起,我做不到。”

“为什么?你以前经常下海玩!”

“没有,但是……”

“好吧,我们去海边吧。”

“嗯,你看……现在是盂兰盆节吧?[n] .

“那又怎样?”

“你听说过盂兰盆节期间不应该去海边,是吗?你明白了。”

当然,我以前听过这个故事。

在我们的地区,据说我们祖先的灵魂从海里回来了。据说在盂兰盆节期间,大海与另一个世界相连,灵魂乘船在这个世界和那个世界之间来回穿梭。

盂兰盆伊始去海边还是不错的。鬼魂[恐]只想回家,不在乎在海里嬉戏的生者[怖]

但是盂兰盆节结束时,即大栗盆季节,严禁靠近大海。

谁上船并不重要,只要来回的人数相同即可。

想要留在这个世界的精灵知道这一点,或者带来精灵的船夫想要早点完成他的工作回到另一个世界,拉着活人的腿来匹配数量人。据说会淹死。

这就是为什么我总是听说如果你在盂[鬼]兰盆节期间去海边,你会被拖下水。[故]

“但这不就是迷信吗?过了盂兰盆会[事]很危险,因为浪会很大,还会有水母[文]。一般过盂兰盆我都去海边好多次了[章],但是怎么办呢?” “我有?” 怎么突然这么说?

“反正我不去海边,你也不要去。”[来]

“哥!”

“不总是迷信,”弟弟一脸严肃的说道。

我很生气。不知道大哥什么意思。不想下海,明明说出原因,却以老生常谈的方式逃避。即便如此,也不像是在说谎。但是你有事瞒着我。

亲爱的弟弟,我不知道。这对我来说[自]是一个很大的冲击。

“够了!”

我曾经说过,我一生气就把自己关在房间里。

进房间之前,我一脸苦恼地想和哥哥说什么,但他不理我。

虽然因为哥哥的缘故决定待在自己的房间里,但也没有什么事可做。我还是个学生,但我不想学习。

我躺在床上翻着看腻了的漫画,困了[i]

然后我做了一个梦。

・・・・

我听到了海浪声。

我独自站在熟悉的海滩上。

天黑了,分不清是黎明还是黄昏。天空中看不见太阳和星星,东方和西方都没有亮光。

不知为何,我感到不安,仿佛在抽象画的世界里迷了路。

夹杂着海浪声,我隐隐约约听到水花拍击什么东西的声音。

我环顾四周,只见离海滩不远的海岸边,漂浮着一艘破旧的小船。这是一艘让人想起民间故事中出现的渡船的老式划艇。

船内,面无表情、面无表情的人挤在[a]一起,一副船要沉没的样子。

其中一人戴着一顶破帽子。他有桨之[m]类的东西,所以他一定是个船夫。

船夫用瘦骨嶙峋的手指依次指了指乘[k]客,点了点头。然后他慢慢地划着船[.]

当我一直注视着现场时,其中一名乘[c]客转向我。船上的最后一位乘客和最[n]后一位被计算在内的乘客。

看到那张血淋淋的脸,我倒吸一口冷[恐]气。

悲伤地凝视着我的乘客和我有着一样[怖]的脸。木板。

·····

“啊!”

我尖叫着跳了起来,环顾四周,顿时[鬼]松了口气意识到刚刚发生的事情是一[故]场梦。做几次深呼吸,让狂跳的心平[事]静下来。

“奇怪的梦……”

在我喃喃自语的时候,我的脑海里突[文]然想起了哥哥的话。

“盂兰盆节不要去海边”

“不是说了很久的都是迷信”

我哥可能是,我不知道我是否害怕梦[章]想不再是梦想。

就在这时,传来轻微的敲门声。接着,哥哥的声音说:“我们吃冰淇淋吧。”

想起来,我记得我们从小就是这样和好。不管我有多生气,过了一会儿,我的怒气就随着哥哥若无其事的态度烟消云散了。

我高兴得忘记了自己有多生气,大声[来]应了一声“好!”。

・・・・

8月16日。

不寻常的是,当我早上做作业时,紧急无线电响了。

这个防灾广播被分发到每家每户,不[自]仅有火灾和台风等防灾信息,还有镇[i]上的活动和节假日值班的医生。有时[a]他们会询问有关失踪人员的信息。

无线电里传来一个年轻人在海上失踪[m]了,正在打听消息。

一边专心听着广播,一边想起了前几天做的梦。

漆黑的海面上一艘破烂的船,很多苍白、毫无生气的乘客,船夫用枯树指头数着乘客的数量。

不该上船的人。

虽然我应该刚刚想起我的梦,但我还是感到上臂发麻。

当我感到寒意,抱住肩膀时,敲门声响起。

几乎在敲门声的同时,门砰的一声打[k]开了,孝义和他的弟弟出现了。长长[.]的刘海顺滑地摆动着。

“兄弟,你开得太早了……”

有些松了口气,这样的玩笑就这么开[c]了。

“嘿,你要喝点咖啡吗?”

“嗯?”

“好热”

“嗯?”

虽然热?正要说这话的时候,我看了看自己还在扭动的手臂。

虽然是夏天,但我现在有点冷。

“你不想保暖吗?”

“……也许你想保暖。”

我想知道为什么我的兄弟是寒冷的。[n]

可能是因为听到了那个广播吧。

不知道小弟对失踪人员的下落有没有[恐]想法。

我想问,但我放弃了。相反,我站在[怖]哥哥身边低声嘀咕道。

“谢谢你前天让我不要去海边。”

弟弟没有说话,抚摸着我的头发。

・・・・

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那天吃晚饭的时候,我们听父亲说,白天找到了一个失踪的人。

至于生死,听到父亲一声叹息,连问都不用问。

吃过晚饭,我们两个在客厅看电视,弟弟嘀咕着。

“不知道那些没上船的人会怎样?”[鬼]

“嗯?”

什么意思?我回头看了看身边的弟弟[故],长长的刘海遮住了左眼,正盯着电[事]视机上方。

“哥?”吞咽口水的声音响亮响起。[文]即便是在空调房里,弟弟的额头上也[章]渗出了汗水。

“哥哥⁈”

当我不自觉地抓住我的肩膀提高嗓门[来]时,哥哥突然拉下了他撩起的刘海。[自]

“怎么了?”

“……出了个大bug……”

弟弟大大的叹了一口气,看着有点累[i]了。转身对我微笑。

“你的声音让我跑到外面去。谢谢你[a]。”

你不可能是个虫子!我想这么说,但[m]看到哥哥的脸,我又问不出来了。

“……你不应该看”

我连你不想让我听的那个词的意思都[k]听不出来。

弟弟左眼看到了什么?

”好吧。”

“嗯?好吗?”

“嗯”

我鼓起脸颊,弟弟苦笑着。一如既往[.]的交流,自然让我脸上浮现出笑容。[c]

可能有些奇怪,但弟弟终归是弟弟。[n]

“你一点都没变。”

弟弟说这话的时候,脸上没有半点谎言。


作者:カイト
原文:盆の舟〈『話』シリーズ 外伝〉

八月に入り、私はウキウキしていた。

県外の大学に進学していた兄が、も[恐]うすぐ帰ってくるからだ。

私は、自他共に認めるブラコンだっ[怖]た。

兄は、特別頭がいいわけでも特殊能[鬼]力があるわけでもなく、もちろんイ[故]ケメンでもない。優しい方だとは思[事]うが、遠慮がない私たちは幼い頃に[文]はそれなりに血を見る喧嘩もしてき[章]た。

それでも自分でも不思議な程、私は[来]子供の頃から兄が大好きでしょっち[自]ゅう後をついて回ったし、喧嘩をし[i]てもその日の内に仲直りをしてきた[a]

兄の帰りを待ちわびていたのは、私[m]だけではなかった。今年に限っては[k]、家族全員がそうだった。

何度も繰り返すと兄が傷つくのでや[.]めておくが、兄は我が家のアイドル[c]というわけでは決してない。

両親はどちらかというと放任主義な[n]ので、元気で頑張っていることが分[恐]かれば別に帰省しなくても構わない[怖]、というタイプなのだが、今年は特[鬼]別だった。

兄は一昨年の冬、大きな事故にあっ[故]た。

命に関わるような大怪我だったにも[事]かかわらず順調に回復し、左目をほ[文]ぼ失明するという後遺症は残ったも[章]ののどこかあっけらかんとした兄の[来]態度は、私たち家族を安堵させた。[自]

怪我のため一年遅れたが意気揚々と[i]大学に進学した兄だったが、わずか[a]一ヶ月後の五月に、なんとも言えな[m]い表情で突然帰省してきた。

わけを問いただしても、「うん、も[k]う、解決…した?から、大丈夫」と[.]要領を得ない返事が返ってくるばか[c]り。解決したという割にはやつれた[n]その顔に、私たちは「失恋でもした[恐]のか」と心配したが、数日自宅でゆ[怖]っくりするうちに、兄はいつもの能[鬼]天気であっけらかんとした兄に戻り[故]、あっさり大学に戻っていった。

そんなことがあったので、私をはじ[事]め両親は兄の様子が気になって、夏[文]に入ってから帰省を心待ちにしてい[章]たのだ。

その兄が、ようやく帰ってくる。

生まれた時からのブラコン歴十七年[来]の私が、嬉しくないはずがなかった[自]

・・・・・

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「兄ちゃん! ……⁈」

八月十三日。長距離バスで帰ってき[i]た兄を駅まで迎えにいった私と父は[a]、一瞬言葉を失い互いに顔を見合わ[m]せた。

「久しぶり、迎えありがとう」

見慣れた笑顔は、その左半分が鬱陶[k]しく伸ばした前髪で隠されていた。[.]

「…兄ちゃん、バンドでもやりだし[c]たの? それか、今更妖怪アニメオタク?」[n]

兄は苦笑していた。

ブラコン的には、アニメオタクでも[恐]全然構わないけど。

家へと向かう車の中で、兄は前髪の[怖]経緯を話してくれた。

「左目に少しだけ残った視力が邪魔[鬼]でさ。ものを見る時チラチラするん[故]だよね。だから、前髪で隠したんだ[事]

「それ、前髪以外に方法はなかった[文]のか?」

「眼帯だと、中二病みたいじゃん?[章]

「いや、その髪型でも割とそんな感[来]じだけど」

私と父になんやかんやと言い訳をす[自]る兄は私の知るいつも通りの兄で、[i]見かけは少し変わっていたものの私[a]はホッとした。

家に着くと、玄関からまず兄が向か[m]ったのは仏壇だった。

少しぎこちない手つきで線香に火を[k]灯し、手を合わせてしばし目を閉じ[.]る。

私と父は、再度顔を見合わせた。

家にいた頃の兄は、先祖を敬うとか[c]そういったことには無頓着で、自分[n]から進んで仏壇に参るということは[恐]まずなかったのだ。

私たちの視線を受けてか、兄は少し[怖]照れくさそうな顔で「家に帰ったら[鬼]まずこうしろって、ある人に言われ[故]たんだよ」と弁解した。

「兄ちゃん、なんか変わったね?」[事]

私が言うと、兄は「そうかな」と苦[文]笑した。

「なんかいい感じじゃない? 髪型は微妙だけど」

「一言余計だな」

「ある人って、まさか彼女?」

「だとよかったんだけどなぁ。違う[章]よ」

私は小さい頃から、兄が嘘をついて[来]いるかそうでないかがなぜかわかる[自]。特殊能力とかではなく、長年一緒[i]にいて培われた勘のようなものだ。[a]

彼女がいないのは本当だと、兄の顔[m]を見ればすぐわかった。

でも、少し寄せられた眉のあたりが[k]「それだけじゃないんだけどね」と[.]語っていた。

・・・・・

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八月十四日。

私は朝から、兄と海に行く気満々だ[c]った。

我が家は海から徒歩十分の場所にあ[n]る。子供の頃から海は慣れ親しんだ[恐]場所で、私たちの兄妹の夏の遊びの[怖]定番だった。

我ながら「いい歳して」と思わなく[鬼]もないが、進学で少し変わってしま[故]った兄を、懐かしい遊びで手元に繋[事]ぎ止めておきたい気持ちがあったの[文]かもしれない。

「ねぇ兄ちゃん、海に行こうよ」

朝食後早速そう持ちかけると、兄は[章]あからさまに嫌な顔をした。

面倒臭がるかもとは思ったが、ここ[来]までの反応は想定外だ。私は正直シ[自]ョックだった。

「ん〜、ごめん。ちょっとムリ」

「なんで? 昔はよく海で遊んだじゃん!」

「いや、そうだけどさぁ」

「いいじゃん、海行こうよ」

「だってさぁ、ほら… 今お盆じゃん?」

明らかな苦し紛れのその言葉に、私[i]は眉を寄せた。

「だからなによ」

「お盆に海に行っちゃダメって、お[a]前も聞いたことあるだろ? 昔よく、子供会の肝試しで話しても[m]らったよな」

確かに、そんな話を聞いたことはあ[k]った。

私たちの住む地域では、先祖の御霊[.]たちは海から帰ってくるのだといわ[c]れていた。お盆になると海はあの世[n]と繋がって、御霊たちは舟に乗って[恐]あの世とこの世を行き来するのだと[怖]

お盆の初めに海に行くのはまだいい[鬼]。御霊たちは自分の家に帰りたいば[故]っかりで、海で遊ぶ生者のことなど[事]気にしないから。

でも、盆の終わり、送り盆の時期に[文]なると海に近づくのは厳禁だ。

御霊が乗ってきた舟は行きと帰りで[章]人数が揃っていれば良いので、誰が[来]乗るのかは構わないらしい。

それを知っているこの世に留まりた[自]い御霊が、あるいは御霊を乗せてき[i]た船頭が早く仕事を終えてあの世に[a]帰りたがって、人数合わせのために[m]生者の足を引っ張って溺れさせるの[k]だという。

だから、お盆に海に行くと足を引っ[.]張られるぞ、と昔からよく聞かされ[c]ていた。

「でも、それってただの迷信でしょ[n]?お盆過ぎたら波が高くなったりク[恐]ラゲが出て危ないからでしょ。大体[怖]、今まで何度もお盆に海に行ったけ[鬼]ど、何かあったことなんてなかった[故]じゃん。なんで急にそんなこと言う[事]の?」

そう詰め寄ると、兄は眉を八の字に[文]下げて「ごめんな」と呟いた。

「とにかく、海には行かない。お前[章]も絶対に行くなよ」

「兄ちゃん!」

「昔から言われてることが、全部迷[来]信とは限らないんだから」

兄は真剣な目でそう言った。

私は、猛烈に腹が立った。兄の意図[自]するところがわからない。海に行き[i]たくないならその理由をはっきり言[a]えばいいのに、昔話を出してはぐら[m]かす。そのくせ、嘘をついている様[k]子はない。でも、何か私に隠してい[.]る。

大好きな兄のことがわからない。そ[c]のことが私にとってはものすごくシ[n]ョックだった。

「もういい!」

昔から怒った時の口癖を口にして、[恐]私は自室に引きこもった。

部屋に入る直前、兄の困った顔でな[怖]にか言いかけたが、相手にしなかっ[鬼]た。

さて、兄への当て付けで部屋にこも[故]ることにしたはいいものの、特にす[事]ることはなかった。一応学生だが、[文]勉強なんてする気は起きない。

ベッドに寝転がって見飽きた漫画を[章]パラパラとめくっているうちに、な[来]んだか眠気が襲ってきた。

そして、夢を見た。

・・・・・

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波の音がする。

私は、慣れ親しんだ浜辺に一人佇ん[自]でいた。

辺りは薄暗く、明け方なのか夕方な[i]のかわからない。空には太陽も星も[a]見えず、東西のどちらかが明るんで[m]いるということもなかった。

なんとなく、抽象画の世界に迷い込[k]んでしまったような不安感。

すると波の音に混じって、パチャパ[.]チャとなにかに水が当たる音が聞こ[c]えてきた。

なにかと目をやると、波打ち際から[n]少し離れた沖にボロボロの小舟が浮[恐]かんでいた。昔話に出てくる渡し舟[怖]を思わせる手漕ぎの、古めかしい舟[鬼]だ。

中には、青白い顔をした無表情の人[故]々が、舟が沈まんばかりにひしめき[事]あっていた。

その中に一人、破れた笠をかぶった[文]人物がいた。櫂のようなものを持っ[章]ているので、船頭だろうか。

船頭は、骨のように細い指で乗客た[来]ちをを順番に指していき、数え終わ[自]ると一つ頷いた。そして、ゆっくり[i]舟を漕ぎだした。

その光景に目が離せずにいる私に、[a]一人の乗客が振り返った。舟の最後[m]尾に乗り、最後に数えられていた乗[k]客だ。

心なしか血の気の残ったその顔を見[.]て、私は息を飲んだ。

悲しげな顔で私を見つめる乗客は、[c]私と同じ顔をしていた。

・・・・・

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「あぁ!!」

悲鳴を上げて飛び起きた私は、周り[n]を見回し、先ほどのことが夢だとわ[恐]かって胸をなでおろした。激しい動[怖]悸をなだめるように深呼吸を数回す[鬼]る。

「へんな夢…」

呟いた時、ふと兄の言葉が頭に蘇っ[故]た。

『お盆には海に行っちゃダメ』

『昔から言われてることが全部迷信[事]とは限らない』

兄はもしかしたら、あの夢が夢じゃ[文]なくなることを恐れたのだろうか。[章]

その時、少し控えめなノックの音が[来]響いた。次いで「アイスでも食おう[自]よ」というあっけらかんとした兄の[i]声。

そういえば子供の頃から、こんな風[a]に仲直りをしてきたことを思い出し[m]た。どんなに怒っていても、少しす[k]れば何事もなかったような兄の態度[.]に怒りは溶けてしまうのだ。

なんだか嬉しくて、私は怒っていた[c]ことも忘れて「はーい!」と大きく[n]返事をした。

・・・・・

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八月十六日。

珍しく午前中から課題をこなしてい[恐]た私の耳に、防災無線が鳴り響いた[怖]

この防災無線は各家庭に配布されて[鬼]おり、火事や台風とといった防災情[故]報はもちろん、町内のイベントや休[事]日当番医までお知らせしてくれる。[文]そして時に、行方不明者の情報提供[章]を求めることもあった。

無線から流れてきたのは、海で若者[来]が行方不明になったことと、その情[自]報を求める内容だった。

放送に聞き入る内に、先日見た夢が[i]脳裏に浮かんできた。

暗い海に浮かぶボロボロの小舟、青[a]白く生気のないたくさんの乗客、乗[m]客の人数を数える枯れ木のような船[k]頭の指。

そんなはずではなかったのに、舟に[.]乗せられてしまった誰か。

ただ夢を思い出しただけのはずなの[c]に、私は二の腕がゾワリと粟立つの[n]を感じた。

寒気を感じて両肩を抱いた時、コン[恐]コン、と部屋のドアがノックされた[怖]

ノックとほぼ同時に扉がガチャリと[鬼]開き、ヒョイと兄が顔をのぞかせる[故]。長い前髪がサラリと揺れた。

「兄ちゃん、開けるの早すぎ…」

なんだかホッとして、そんな軽口が[事]漏れる。

「なぁ、コーヒー飲まない?」

「え?」

「ホットだけど」

「えぇ?」

この暑いのに? と言いかけて、私は依然粟立つ自分[文]の腕を見た。

夏だというのに、今の私はなんだか[章]寒い。

「なんかちょっとさ、あったまりたくない?」

Bon-no-bune(“故事”系列外传) 日本恐怖故事

「…あったまりたいかも」

兄は、どうして寒いのだろう。

もしかしてあの放送を聞いたからだ[来]ろうか。

兄も、行方不明者の行方について思[自]うところがあるのだろうか。

聞こうとして、やっぱりやめた。そ[i]の代わりに、兄の横に並んで小声で[a]呟く。

「一昨日、海行くなって言ってくれ[m]て、ありがと」

兄は何も言わず、私の髪をクシャリ[k]と撫でた。

・・・・・

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その日の夕食の席で、私たちは昼間[.]の行方不明者が見つかったと父から[c]聞いた。

生死については、父のため息を聞け[n]ば尋ねるまでもなかった。

夕食が済んで、リビングで観るとも[恐]ないテレビを二人で観ていると、兄[怖]がポツリと呟いた。

「舟に乗らずに残った奴って、どう[鬼]なるんだろうな」

「え?」

なんのこと? と隣の兄を振り返ると、兄は左目を[故]隠す長い前髪をかき上げ、テレビの[事]上の方をじっと見つめていた。

「兄ちゃん?」

一点をじっと見つめる兄の顔が、み[文]るみる青ざめていった。生唾を飲み[章]込む音が大きく響く。冷房が効いた[来]部屋の中だというのに、兄の額から[自]汗が一筋流れた。

「兄ちゃん⁈」

思わず肩を掴んで声を上げると、兄[i]はハッとした様子でかき上げていた[a]前髪をパサリと下ろした。

「どうしたの?」

「……でかい虫がいた…」

兄はそう言って大きなため息をつき[m]、少し疲れたような笑みを私に向け[k]た。

「お前の声で外に逃げちゃったよ。[.]ありがとな」

虫なわけないじゃん! と言いたかったが兄の顔を見ると詮[c]索できなかった。

「…やっぱ、見るもんじゃないな」[n]

私に聞かせるつもりはないであろう[恐]その言葉の意味も、聞けなかった。[怖]

兄は一体、その左目で何を見たのだ[鬼]ろう。

「…兄ちゃん、やっぱりなんか変わ[故]ったね」

「ん? いい感じに?」

「それはちょっとわかんなくなった[事]

「なんだよ、それ」

「イテッ」

苦笑した兄にデコピンされ、私は頬[文]を膨らます。昔と変わらぬやりとり[章]に、自然と笑みがこぼれた。

少し変わったところはあるかもしれ[来]ないが、やっぱり兄は兄だ。

「別に、変わってなんかないよ」

そう言う兄の顔には、嘘は浮かんでいなかった。

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