“宗介系列第 4 部分”

iamk 日本恐怖故事 2023-12-26 18:00:01 178 0

宗介系列①“足折川”

‹第一集某件轶事

‹第二集一个叫宗介的男人

‹第三话好事

< p>‖▷第4话女房东与监狱

‖第5话夜幕降临时

‖终章归来

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到目前为止的概要

这个故事的主人公松永宗介位于足折[文]川的下游。登陆城镇。在客栈与老板[章]娘会面,将行李寄存后,他来到了故[来]事发生地足折川的河床,捡到一个塑[自]料袋,里面装着一条小香鱼。在那之[i]后参观的博物馆里,我对这片土地的[a]新发现感到很高兴,我再次意识到了[m]这个轶事的严重性。

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那天晚上,在公共大浴场悠闲地泡了[k]热水的宗介回到自己的房间,惊讶地[.]发现办公桌上什么都没有。

他以前从未吃过怀石料理,但他认为[c]这正是他面前的。

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时令食材的烹调方式最大限度地提高[n]了食材的品质,做得更加奢华。

当摆桌的老板娘一脸愕然的看着站在[恐]那里的浴衣男人时,他微笑着对这道[怖]菜做了简单的解释。

虽然很简单,但宗介的肚子却像白天一样咕咕叫。底。当然,因为是当着老板娘的面,他才拼命不让自己的羞耻暴露出来。

中午吃了一大碗荞麦面,本该吃饱的,更别提吃饱了,不知为何晚上还是饿了,忍着。

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最后,当所有的解释都说完后,老板[鬼]娘说了声“慢慢来”就离开了房间。[故]

终于,他睁开了眼睛。我能够坐下来面对我面前的食物。

在众多菜品中,最引人注目的当属盐烤香鱼和炸竹荚鱼。

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他想起了白天在档案馆里得到的新鲜[事]资料。

看来盐烤鱼在这一带很常见。

盐烤的故事仅限于河鱼,可能与那个[文]轶事有关,但你可以在博物馆了解联[章]系。我没有。

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初尝盐焗时,就被上等食材和考究的调料所折服。

此外,炸竹荚鱼最适合搭配当地酒。

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当然,其他的菜品也很精致,我默默[来]的享受了一会儿美食,但是当我完全[自]醉了的时候,我突然和一个人说话了[i]。我被想要的冲动所驱使。

不过无忧无虑的一个人旅行的缺点是房间里没有其他人。

他的脑袋现在自由了,开始回忆那天的事情,不停地打转。

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……然后才发现原来足部川的原名是鲇川,这是一个可怕的事实。

发现上级官员将“他”当作假罪人处决时,采用了一种被比喻为“鲇鱼川”之名的处决方式。

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就像白天的宗介一样,“足斩”的行刑方式很成功,让这片土地变得更加有趣。

然而,现在我意识到它有多糟糕,我再也无法享受白天应该享受的河流美景和它名字的乐趣。

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我突然想到,今天交通不畅,是因为[a]其他人都知道这片土地的“真面目”[m]

我被骗了。这个地方从来都不是旅游[k]胜地。

旅游景点是给游客带来乐趣的地方佐[.]助是这么想的。

那样的话,这个地方在我看来只不过[c]是一个小小的避暑胜地,让来访者对[n]被揭露的事实感到不安。

虽然我很期待,但我感到很多失望和[恐]怨恨。

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正因为不完美,不完美的事物在成型[怖]的过程中会呈现意想不到的形式。

虽然这也是一种乐趣,但有时不了解[鬼]的遗憾会变成极大的失望。

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不知怎么的,连眼前的食物都显得老套来安慰自己,他也没有了想吃的欲望,我把手抽开了。

这时候房间的门被拉开了,老板娘端着托盘进来了。

“要不要再来一碗?”

“嗯,我已经吃饱了”

于是老板娘的目光快速跑过剩下的食[故]物,三分之一难吃,不是吗?缓缓问[事]道。

“原来不是这样的……” 宗介闭上了嘴。

我不知道如何继续。

“你一个人的时候总不能说观光吧?[文]

如果你不介意,我就陪你..

说完,老板娘优雅的在离宗介稍远,但离他不远的地方坐下。

站一牡丹,坐一牡丹,行一百合。

这话是说给她听的,她就是那一朵主宰庭院的曼妙之花。

有一件事,在这片土地上能够信任他的宗介,开始流露出想要告诉某人的心情,就好像他直到现在的压抑情绪都是谎言一样。

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真正看到的这条河,比想象中的还要[章]美。然后我去了博物馆。然后我了解[来]到一个有趣的事实。起初我很佩服它[自],但现在我很失望。

因为我没有意识到我午餐做了一大份[i]荞麦面。木板。

与此同时,老板娘不动声色地点了点头,但声音很清晰,侧耳倾听。

察觉到她的态度,宗介淡淡地为自己的多话道歉,然后试着和她说话,也想听听她的声音。

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对了,这条鱼你不是用撒网捕到的吗[a]?我想是的,但是停了下来。

我不希望人们认为我说这话是因为他[m]们希望我表扬他们的善行。

“是啊,河里的鱼都是渔民抓的。”稻田。

宗介以为她在读他的心思。或者它是从你的脸上出来的?

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一听到“钓鱼”二字,他立刻想到了“吊”,又是一阵苦涩。

另一方面,我觉得我终于明白为什么河鱼要加盐烤了,连博物馆都不明白。

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老板娘肯定猜到了,像老师批改一样[k]说道。

没错。

宗介想,如果今晚发生什么事,那肯定是因为那个塑料袋。

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然后老板娘拿下一些空盘子离开了房[.]间。

您真的很关心您的客户。或者也许是[c]我。

不,他讽刺地笑了。

不知有多少人入住此客栈,却从未见[n]自己孤身一人。

他也动起了筷子。

我感觉我们谈了大概20分钟,但我看了看手表,老板娘大概用了不到一半时间。

玩得开心原以为会过得太快,没想到[恐]时间在这片土地上过得很慢。

而当所有的食物都吃完的时候,正好[怖],后门被拉开了。

老板娘送来一盘蕨菜水饺当甜点。

宗介的心里,升起了一股说不出来的不适感。

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如果非要说的话,那就是第一次来到[鬼]这家客栈时的不协调感,以及看到这[故]家旅馆时的不协调感主页。稻田。

但是我不想再去想了。

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总之,多亏了她,我才能把这顿晚餐[事]收进旅行包里,作为美好的回忆。

宗介是这么想的。

是的,我决定了。

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今天第二次泡完热水回到房间已经是22:00左右了。。

房间里已经铺好了被褥,一躺上去,就感受到旅馆特有的胶水和滚烫的身体带来的凉意。

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然而,旅途的疲惫并不意味着我可以[文]马上睡觉。

相反,他认为这次旅行最精彩的部分是那天晚上。

从日常生活中解脱出来,一边喝着酒一边享受夜晚,一边欣赏旅行目的地的风景,一边反思这一天。

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这是他平时做的事,但宗介今天睡不着觉并不是因为他盼着喝酒。

他被赋予了“解开谜团”的任务。

我想彻底消化一整天的不适,然后去睡觉。

然而,答案出乎意料地令人望而生畏[章]

他摘下戴了一整天的手表,放在床边[来]

表演让我觉得自己远离了“时间”,[自]很容易逃离日常生活。做好了

因为您处于放松状态,您会注意到您[i]通常不会注意到的事情。这就像日常[a]生活中的水中,你几乎无法屏住呼吸[m],只有当你把头探出水面时,你才会[k]发现河流的美丽。

而如果在了解了河流之后再潜入水中[.],说不定会看到不一样的景色。

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旅行进行到一半,他觉得自己终于从[c]日常生活中解脱出来了。

而当我想到与日常生活同义的“平凡[n]”时,我逐渐开始看到平时看不到的[恐]东西。

以这家客栈的真身出现。

- 圆形监狱。

在他的脑海中,随着一声巨响,一座巨大的圆柱形建筑拔地而起。

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“Panopticon”简直就是[怖]一座“监狱”。

不过,与一般想象中的监狱单人牢房[鬼]不同的是,各个房间呈圆形排列,狱[故]警通过位于中央的瞭望塔监视着所有[事]囚犯,形态奇特能够

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正如功利主义的创始人和圆形监狱的发明者边沁所说,“让罪犯处于不断的监视之下对他们来说是富有成效的。”看来你可以学习工作习惯”,而世界各地其实也有监狱采用了这种设计。

宗介是在大学时一次刑法讲座的闲聊中了解到的,他才知道自己现在住的旅馆正是按照圆形监狱的构想建造的。是。

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这家客栈就像一个想象中的“圆形监[文]狱”,从未真正见过。

圆形监狱解释了为什么即使它是日式[章]旅馆、大堂在庭院中也感觉像宾馆,[来]以及建筑物首先是圆柱形的事实。

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此外,我经常感到不舒服的是我被监[自]视了。

那是一种不适合旅行者的不协调感。[i]

因为旅行是对日常生活的逃避,也是[a]对人眼的逃避。

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刚才说的那个蕨菜饺子,不知道老板[m]娘是怎么知道吃完的。

但既然她“看着”自己,自然觉得甜[k]点的时机是完美的。

当然,从这里我是看不到“守卫”的[.]

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我还以为宗介吃饭时对这个小镇的失[c]望其实是因为这个“监狱”的想法。[n]

这里肯定不是旅游景点。

如今,它作为一个旅游胜地得到了很好的维护,但也许这个地方作为一个“流放地”而繁荣起来,罪犯被送往那里。

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想想看,这片土地的负面记忆对于负罪感十足的罪犯来说是完美的。

这个本该是驿站的黑屋,不就是监狱吗?

宗介这样想着,同时,他也在下意识地思考着自己的罪行,就好像他自己就是一个囚犯一样。

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我再说一遍,旅行是逃离日常生活和人眼的一种方式。

这也是一个重新审视自己的眼睛的时候,你过去常常用这种眼睛看日常生活中的人,看向你自己,在一个非凡的空间里,你不是一个人。

不过,这个时候,宗介还有比自己更[恐]让他担心的人。

——如果这里也是监狱,“他”就得[怖]不到奖赏。

他当然是被吊死的“他”。

虽然他甚至不知道他的名字,但宗介不自觉地认同了他自己。

另一方面,他的待遇和我的差别太大,无法重叠。

甚至收到感谢信的人

另一个冒着生命危险维护民俗,却被诬陷罪名处死,最后,他要保护的土地变成了监狱。

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然后,我才真正来到这里才知道,这里是监狱的事实被巧妙地隐藏起来了。

目前看来,这不过是宗介的猜测,绝不是“真相”。

但至少在他看来,外界的环境根本就[鬼]没有真相。

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博物馆里没有资料,不是因为没有足够的资料发布,而是镇上不想发布,他说。

这和“他”对上级的厌恶没什么两样,隐瞒信息的事情估计和“他”一样,我还以为他是生我的气呢。

但即使发表了,也不代表就是真的。[故]

全靠身边的“眼睛”。

在相信自己愿意相信的东西的“眼睛”面前,既没有真理,也没有正义。

但即便如此,也并非完全没有真相。[事]

宗介终于重新审视自己。

毕竟,我很后悔在收到感谢信之前说[文]出了只有自己知道的“真相”。

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毕竟,真理只存在于人的心中。

虽然可能有些夸张,但我开始觉得自[章]己应该被称为罪人,因为我隐瞒了它[来],甚至还得到了一份特殊的薪水来享[自]受这次旅行。

“宗介系列第 4 部分” 日本恐怖故事

今天辛辛苦苦工作了一整天的同事会怎么看我?

首先,我加入这家公司是因为我帮助总裁摆脱了一个邪恶的想法。

当时,我救了小女孩,是因为我正处在正常人的生活中,并不是那种会被当成英雄的人。

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即使回到学生时代,我也是所谓的优[i]等生,但那是一种严格的纪律。因为[a]我曾经有过人的眼睛,现在摆脱了人[m]的眼睛,我真是一个无助的人。

社会绝对不甜。总有一天我的谎言会[k]被毫不犹豫地揭穿,当所有人编造的[.]英雄传奇破灭时,我必将被打败。

…………

宗介从旅行包里拿出了感谢信。

圆筒重重地落在了他的掌心。

他不知道这重量是他意识到的罪恶的重量,还是他曾经隐瞒真相直到坟墓的“责任”的重量。

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我把它放在包里,终于上床睡觉了。[c]

空旷的屋子里不时传来秋虫的声音。他们可能在院子里叽叽喳喳。

老板娘还在看自己吗?

老板娘眼中的自己是怎样的?

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甚至当我试图用遥控器关掉房间里的[n]灯时,大堂的灯光照到了我,我觉得[恐]夜晚并没有真正来。

而黑夜的失败,也是黎明的失败。

他的心,就如落日的天空一样昏暗,[怖]永远昏暗。

旅行的夜晚本来就不是这样的。

毕竟,我还以为这是监狱呢。

宗介蜷缩在一个对他来说有点小的蒲[鬼]团里闭上了眼睛。

除了在城里观光,他已经累得浑身不自觉,漫游了思想世界。

而随着秋天的声音依旧响起,我陷入沉沉的沉睡。

……大厅里的灯一直没有熄灭,里面[故]有两只眼睛在“注视”着他,正如宗[事]介所预料的那样,没有注意到。

・・・・・・

足折川第4集“女房东与监狱”完结


作者:退会会員
原文:「惣右介シリーズ その四」

惣右介シリーズ①「足吊川」

  第一話 とある逸話

  第二話 惣右介という男

  第三話 善行

  ▷第四話 女将と監獄

  第五話 夜の帳が上がれば

  最終話 帰路

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これまでのあらすじ

この物語の主人公、松永惣右介は、足吊川の下流に位置する糸丈町へと降り立った。女将と顔を合わせ、宿に荷物を預けた彼は、逸話の舞台である足吊川の河原に行き、そこで小鮎の入ったビニール袋を拾った。その後に訪ねた資料館では、土地についての新しい発見に喜ぶとともに、あらためてその逸話の酷さを思い知った。

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その夜、大浴場でゆっくりとお湯を[文]楽しんだ惣右介は、部屋に戻ってく[章]ると、机一面に用意されていたもの[来]に驚いた。

彼はこれまでに懐石料理というものを食べたことがなかったが、目の前にあるのはまさにそれなのだと思った。

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四季折々の食材はその素材の良さを[自]最大限に生かしたかたちで調理され[i]、あえて質素な器に盛る飾り気のな[a]さが、それぞれの料理をより高級な[m]ものに仕立て上げていた。

配膳を整えた女将は、唖然とした表情で立ち尽くす男の浴衣姿を見やると、優美な微笑みを浮かべて料理の説明を簡単にした。

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簡単とはいえ、慣れているであろう[k]に決して手を抜かない彼女の説明に[.]、惣右介の腹は昼と同じように鳴ろ[c]うとした。もちろん彼は女将の前だ[n]という理由で、必死にその恥をさら[恐]さないよう心がけた。

昼食の蕎麦は大盛にして、腹八分目どころか満腹になったはずなのに、夜になると元どおりの空腹であることがなぜかおかしくて、笑いそうになったがそれも堪えた。

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やがてすべての説明が終わると、「[怖]ごゆっくり」と言って女将は退室し[鬼]た。

そこでようやく、彼は目の前の料理[故]に腰を据えて向かい合うことができ[事]た。

数ある皿の中でも特に目を引いたのは、やはり鮎の塩焼きと、それから、鯵の素揚げであった。

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彼は昼間に資料館で仕入れてきた、[文]新鮮な情報を思い出した。

どうやらこの地域では、魚は塩焼き[章]にするのが一般的であるらしい。

もっとも塩焼きにするのは「川魚」に限定した話であり、それもやはり、あの逸話が関係しているのだろうが、そのつながりまでは資料館では知ることができなかった。

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まずは塩焼きを食べてみると、極上[来]な素材の味と絶妙な味つけに舌鼓を[自]打った。

また、鯵の素揚げの方も地酒のお供に最高の出来栄えで、まるで竹馬の歩行のように、酒と素揚げを入れ替わり口に運ぶ手がとまらなかった。

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もちろん他の皿も絶品揃いで、しば[i]らくは黙々と料理を堪能していたの[a]だが、酔いも完全に回り切った頃、[m]ふと誰かと話したい衝動に駆られた[k]

しかし、気ままな一人旅の難点とし[.]て、その部屋には彼以外誰もいなか[c]った。

暇になった彼の頭の中は、ぐるぐると鈍く回転しながら、昼間の振り返りをはじめた。

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…そして気づいたのは、足吊川の以[n]前の名が「鯵釣川」だったことによ[恐]る恐ろしい事実についてであった。[怖]

それは、「彼」を嘘の罪人として処刑した上の役人たちは、「鯵釣川」の名になぞらえた処刑方法を採用したという発見である。

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昼間の惣右介のように、この土地を[鬼]さらに興味深いものと思える点で、[故]"足吊"の処[事]刑方法は成功していた。

しかし、その酷さに気づいた今となっては、昼間楽しめていたはずの川の美しさやその名前の面白さを、純粋には楽しめなくなっていた。

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ふと、今日の人通りの少なさは、他[文]の人はこの土地の「本当の姿」に気[章]づいているからなのかと思った。

そして、自分はまんまと騙されたのだ。ここは、決して観光地などではなかった。

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観光地とは、訪れた者に何かしらの[来]楽しみを与える場所だと惣右介は考[自]えていた。

それならばこの場所は、訪れた者を[i]明るみになった事実によって不快に[a]する、ちょっとした避暑地に過ぎな[m]いように思った。

あれだけ楽しみにしていた分、失望と憤りは、大きかった。

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不完全なものはその不完全さゆえに[k]、形をなしていくうちに予想してい[.]なかった姿を見せることがある。

それもまた、楽しみの一つではあるが、いっそのこと知らなければよかったという後悔は、ときに大きな失望へと変わる。

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そう思うと、惣右介はなぜか目の前[c]の料理までもが、自分を慰めるだけ[n]の陳腐なものに見えて、食べる気が[恐]失せてすっと手を引いた。

そんな時、部屋の扉が引かれて、お[怖]盆を持った女将が入ってきた。

「おひつのおかわりはよろしいです[鬼]か」

「ええ、十分にごちそうになりました」

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そこで女将の視線は、三分の一は残[故]っている料理の上を素早く走り、お[事]口に合いませんでしたか?とゆっく[文]りした口調で尋ねた。

「そういうわけでは…」そう言って[章]惣右介は口をつぐんだ。

その先をどう続ければいいのか、わからなかった。

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「おひとりだと、観光のお話がした[来]くてもできないでしょう?」

よろしければ、私がお供いたします[自]わ。

女将はそう言うと、惣右介から少し離れた、しかし決して遠くない場所に、綺麗な動作で腰掛けた。

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立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は[i]百合の花。

この言葉はまさに彼女のためのもの[a]であり、中庭の草木を統べる優美な[m]花は、彼女で間違いなかったのだ。[k]

ひとつ、この土地で信用できることができた惣右介は、さっきまでの沈んだ気持ちが嘘のように、誰かに話したいと思っていたことをさらけはじめた。

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実際に見た川が、想像よりも綺麗だ[.]ったこと。それから資料館に赴いた[c]こと。そこで、興味深い事実を知っ[n]たこと。最初はそれに感嘆したが、[恐]今では失望していること。

なんなら、昼の蕎麦を大盛にしたことまで、気づかないうちに話してしまっていた。

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女将はその間、静かに、しかしたし[怖]かな声となった頷きを返し、ひたす[鬼]ら聞き役に徹していた。

そのような彼女の姿勢に気づいた惣右介は、自分の饒舌を軽く詫びた後、彼女の声も聞きたくて話を振ってみた。

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「ところで、この魚は投網で獲った[故]のではないのでしょう?」

ふと、昼間のビニール袋のことも話[事]そうかと思ったが、やめた。

自分の善行を褒めて欲しいから言ったのだと、思われたくなかった。

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「ええ、川魚はすべて、釣り師が釣[文]り上げております」

女将はそう言うと、不敵な笑みを浮[章]かべた。

惣右介は、彼女は自分の心を読んでいるのだと思った。あるいは、顔に出てしまっていたのか。

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彼は、「釣り上げる」と聞いた瞬間[来]に「吊り上げる」を連想してしまい[自]、また苦い思いが込み上げてくるの[i]を感じたのだ。

一方で、川魚を塩焼きにするという、資料館でもわからなかった理由が、ようやく腑に落ちた気がした。

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女将もそれを察してか、まるで答え[a]合わせをする先生のように、こう言[m]った。

「そうです。だからこその&quo[k]t;塩"焼きです」

だから、安心して食べてくださいね[.]

惣右介は、もし今晩何かあるとしたら、それは間違いなくビニール袋のせいなのだと思った。

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それから女将は、空いた皿のいくつ[c]かを下げて部屋から出ていった。

客のことをよく見てくれているのだ[n]な。あるいは、自分だからなのか。[恐]

それはないな、と彼は自虐的に笑っ[怖]た。

この宿に何人が泊まっているのか知らないが、自分だけを見ているなんてことは、決してない。

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彼はまた、箸を動かし始めた。

体感では20分ほど話し込んだ気が[鬼]したが、腕時計を見てみると、おそ[故]らく女将のいた時間はその半分にも[事]満たなかった。

楽しい時間というのは早く過ぎるものだと思っていたが、やはりこの土地では、時間の流れはゆっくり進むらしい。

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そしてすべての料理を食べ終えた時[文]、ちょうどいいタイミングで、後ろ[章]の扉は引かれた。

デザートです、と女将が差し出した[来]わらび餅の皿を、これはありがとう[自]ございます、と言って受け取る。

惣右介の胸の内では、言いようのない違和感が募る。

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それは強いて言えば、はじめてこの[i]宿にきた時に抱いた違和感であり、[a]ホームページを見た時の「何かに似[m]ている」という違和感でもあった。[k]

しかし、もうこれ以上深くは考えたくなかった。

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ともかく、彼女のおかげで、この晩[.]餐は楽しい思い出として旅行鞄に仕[c]舞い込むことができたのだ。

惣右介はそう思った。

そう、思うことにした。

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本日二度目のお湯を満喫して、部屋[n]に戻ったのは22時を回る頃であっ[恐]た。

部屋にはすでに布団が敷いてあって、寝転んでみると、旅館の寝具特有の"のり"のきいた肌触りと、湯で火照った体に沁みる冷たさが気持ちよかった。

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しかし、旅の疲れですぐにでも寝て[怖]しまえるというわけではなかった。[鬼]

むしろ、旅の醍醐味は、その晩にこ[故]そあるとさえ彼は思っていた。

日常から解放されて、旅先の景色を見ながら、今日一日を振り返る晩酌などで夜をもて遊ぶ。

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いつもならそうしていたのだが、今[事]日の惣右介が寝られないのは、晩酌[文]が楽しみなためではなかった。

彼には、「謎解き」という課題が出[章]されていたのだ。

今日一日抱いた違和感を、完全に消化してから眠りにつきたいと考えていた。

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しかしそれは、案外呆気なく答えを[来]表した。

彼は一日中つけていた腕時計を外し[自]て、枕元に置いた。

その行為はなんだか「時間」というものから離れた気がして、日常からの逃避を容易なものにした。

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リラックスした状態だからこそ、普[i]段は気づかないことに気づく。それ[a]はまるで日常という水中では息を止[m]めるのに精一杯で、水から顔を出し[k]てはじめて川の美しさに気づくよう[.]なものである。

そして、その川を知った上でもう一度潜ってみると、また違った景色が見えることもある。

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彼はこの旅行も半ばにして、ようや[c]く本当に日常から解き放たれたよう[n]に思った。

そして、日常と同義の「当たり前」[恐]について考えてみると、普段なら見[怖]えなかったものが次第に見えはじめ[鬼]た。

それは、この宿の、本当の姿となって現れた。

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-パノプティコン。

彼の頭の中に、ある巨大な円筒状の建物が、大きな音を立ててそびえ立った。

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「パノプティコン」とは、ひとこと[故]で言えば「監獄」である。

ただ、一般的な刑務所に想像される独房とは違って、個々の部屋は円状に配置され、その中央に位置する展望塔から看守はすべての収容者を監視することができるという奇妙な形式をとっていた。

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功利主義の創始者であり、パノプテ[事]ィコンの考案者でもあるベンサムが[文]言うには「犯罪者を恒常的な監視下[章]におけば彼らに生産的労働習慣を身[来]につけさせられる」らしく、実際に[自]その設計を採用している刑務所も世[i]界には存在する。

惣右介は大学時代、刑法の講義の雑談でそれについて知ったのだが、いま自分が泊まっているこの宿は、まさにパノプティコンの思想に則っていることに気づいたのであった。

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この宿が似ていたのは、実際には見[a]たことのなかった、空想上の「パノ[m]プティコン」であった。

旅館でありながら民宿のようなアットホームさを感じるのも、中庭にロビーがあるのも、そもそも建物が円筒状であるのも、すべてパノプティコンで説明がついた。

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また、たびたび感じた違和感は、ど[k]うも自分は「見られている」という[.]違和感であった。

それは、旅行者として抱くには決し[c]て相応しくない違和感だ。

というのも旅というのは日常からの逃避であり、それはまた、人の目からの逃避でもあるのだから。

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先程のわらび餅についても、どうし[n]て女将は自分が料理を食べ終えたこ[恐]とを把握できたのだろうと疑問に思[怖]っていた。

しかし今となっては、彼女は自分を[鬼]「見ていた」のだから、デザートを[故]出すタイミングがばっちりなのも当[事]然のことであった。

もちろん、こちらからは「看守」の姿は見えなかった。

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そして惣右介が食事中に気づいた、[文]この町への失望も、実はこの「監獄[章]」の発想に起因していたのだと思っ[来]た。

ここは、たしかに観光地ではなかっ[自]た。

今でこそ観光地として整備されているが、おそらくここは罪を背負った者が飛ばされる「受刑地」として栄えたのである。

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考えてみれば、この土地の負の記憶[i]は、犯罪者に罪を意識させ、改心さ[a]せるのに打ってつけではないか。

受刑者の心を清める大自然もあり、[m]宿場とされていた黒い家屋は、実は[k]牢屋だったのではないか?

惣右介はそのように考えると同時に、まるで自分も受刑者であるように、無意識のうちに、己の罪について考えてしまっていた。

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繰り返すが、旅は日常から、そして[.]人の目からの逃避である。

それは、日常の中で人に向いていた[c]己の目を、非日常的な空間において[n]、誰でもない自分に向けて見つめ直[恐]す時間でもあるのだ。

しかしこの時の惣右介は、自分のことよりも、もっと案ずるべき人がいた。

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-もしここが受刑地であるならば、[怖]あまりにも、「彼」が報われないで[鬼]はないか。

彼とはもちろん、吊るされた「彼」[故]である。

惣右介は、名前も知らない彼と、無[事]意識のうちに自分を重ね合わせて考[文]えてしまった。

一方で、彼と自分との待遇は、重ね合わせるにはあまりにも違いすぎていた。

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片方は、ちょっとした行動が人々の[章]想像によってみるみるうちに武勇伝[来]になり、小さな英雄として国からの[自]礼状まで受けとった者。

もう片方は、命を賭して民俗の保全を遂行したのにもかかわらず、嘘の罪によって処刑され、挙句の果てに守りたかった土地を、受刑地とされてしまった者。

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そして、ここが受刑地であることは[i]、実際に来てみるまで巧妙に隠され[a]ていたことを知った。

それは現時点ではあくまで惣右介の[m]憶測に過ぎず、決して「真実」では[k]ない。

しかし、少なくとも彼には、そもそも外の環境において、真実なんて存在しないように思われた。

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資料館に満足できる量の情報がなか[.]ったのも、公開できる情報がないの[c]ではなく、町がそれを公開したくな[n]いからなのだと、彼は思った。

それは、「彼」が憎んでいた上の役[恐]人のしていることと変わらず、自分[怖]はもしかしたら情報を隠されたこと[鬼]に対して、「彼」と同じ身になって[故]憤りを感じていたのだと思った。

しかし、もし公開されても、それが真実であるとは限らない。

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すべては、周りの「目」次第なので[事]ある。

信じたいものを信じるその「目」の[文]前では、真実も、正義も、存在しな[章]い。

しかし、それでも、真実は完全に存[来]在しないわけではなかった。

そこでやっと、惣右介は自分を見つ[自]め直した。

やはり、自分は礼状を受け取る前に、自分しか知らない「真実」を話すべきだったのだと後悔した。

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真実とはつまり、人の中にしかない[i]のだ。

そして、それを隠して特別な有給までもらって、のこのこと旅行を楽しんだ自分は、大袈裟ではあるが罪人というに相応しいような気がしてきた。

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今日一日、精一杯働いていた同僚は[a]、自分を見てどう思うだろうか。

そもそも、自分がこの会社に入った[m]のも、邪な考えから社長を助けたか[k]らであった。

自分はあの時、人の目がある日常の中だったからこそ幼女を助けたのであって、本来は英雄扱いされるような人間ではないじゃないか。

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学生時代に遡ってみても、自分は俗[.]にいう優等生であったが、それはが[c]んじがらめな規律と、人の目があっ[n]たからで、それらから解放されたい[恐]まの自分は、本当はどうしようもな[怖]い人間なのだ。

社会というのは、きっと甘くない。[鬼]いつか自分の嘘は呆気なくバレて、[故]みんなの作り上げた武勇伝が粉々に[事]なった時には、きっと自分は袋叩き[文]にされるに決まってる。

…………

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惣右介は、旅行鞄に入れて持ってき[章]た例の礼状を取り出してみた。

その筒はずっしりとした重さを伴っ[来]て、彼の手のひらに落ち着いた。

その重さは、自覚した罪の重さなのか、将又、一度隠してしまった真実を墓場まで隠し通すことの「責任」の重さなのか彼にはわからなかった。

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それを鞄にしまって、ようやく床に[自]つく。

あっぴろげな部屋には、時折秋の虫[i]の声が聴こえてきた。おそらく、中[a]庭で鳴いているのだろう。

いまも、女将は自分のことを見てい[m]るのだろうか。

女将の目には、自分はどのように映っているのだろうか。

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リモコンで部屋の電気を消してみて[k]も、ロビーの光が届くせいか、完全[.]な夜は訪れていないように感じた。[c]

そして夜の不着は、夜明けの不着で[n]もあった。

彼の心は夕焼け空のように薄暗く、[恐]それはいつまでも薄暗いままだった[怖]

旅の夜は、本来こうではない。

やはり、ここは受刑地であると思った。

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自分にはわずかに小さく感じる布団[鬼]の中で、惣右介は身を丸めて目を瞑[故]った。

町の観光に加えて、散々思考世界の[事]旅をした彼は、自分でも気づかない[文]ほどに疲れていた。

そして、相変わらず秋の声音が鳴り響く中、まるで沈むように、深い眠りに落ちていった。

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…ロビーの明かりは消えることなく[章]、その中で二つの目が惣右介の予想[来]通り自分を「見ている」ことに、も[自]ちろん彼は、気づいていなかった。[i]

・・・・・・

足吊川 第四話「女将と監獄」了

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