‖这是我的一个熟人,俗称太田君,写的关于他在学生时代的经历的故事,部分由我改编。很抱歉发了这么长的帖子,但请耐心等待。
顺便说一下,大田君是我高中一年级的时候得到的一个昵称,自称是工口情人,被学校的女生称为令人毛骨悚然的宅男.
之后,太田君说话了。
有一天,一位家庭教师来到我家。
在一个单身母亲的家庭里,除此之外,她独自留下儿子,外出打工。
我已故的外祖父留给我和我母亲的日本老房子,他们被我父亲遗弃了。
虽然为了方便居住,在一些地方进行了翻新,但是一个人住在这个大宅子里太不方便了,但是能够一个人住的舒服,我已经很满足了。 “但就在我这么想的时候,就是这样。”
虽然他打算在暑假里沉浸在情欲中度过一段幸福的时光,但他却很沮丧。
导师好像是熟人介绍的,是个漂亮的女大学生。
就算这是恶意钓鱼,我唯一想确认的[文]是一个男人。
这么想着,我就在二楼的一个房间里[章]等着即将自己来的导师,我就目中无[来]人,从早到晚玩情色。
── 丁- 咚,突然门铃响了。
谁?想到这里的同时,脑海里又浮现[自]出和妈妈的对话。
“女大学生……长得真漂亮。”
只从记忆中抽出方便的部分,一遍又[i]一遍的重复。由于不耐烦,他的心跳[a]开始加快。 “关掉电脑后,我把所有的色情游戏[m]都藏在桌子底下。”
当我把手放在隔扇上准备离开房间并[k]在糟糕的设置中挣扎时,我拉开了门[.]口。稻田。你的眼睛会立即跟随你穿[c]过的地方。
“咦……?”
太突然了。
从房间门口的空旷处,一双透明的白足,微微悬浮在空中,扭动而出。
我傻眼了,但很快就回过神来
摇
“哇!”
我双腿抽痛地原地移动,消失了。
我感觉自己快要窒息了,一边努力吐[n]出咽下去的气,
“呼,呼……”
低声说道声音
“又……”
是的,又来了。
其实这种事情在我身上发生过很多次[恐]。
一转身,一瞬间看到了一张人脸。一瞬间,我正在看的卫生间的墙上映出一张人的哭脸,等等。
嗯,说简单点,就是我的先入之见,一种错觉,说白了,就是天大的误会,到头来就是幻觉。
小学的时候,我曾经自豪地对同学说[怖]
“我看见鬼了”
。
这一定是典型的孩子想要脱颖而出、想要惊喜等等的愿望。
我看出来了,这么说吧,我觉得这只[鬼]是一种伪装,让自己显得特别。
通过告诉别人他们很特别并且与众不同来证明与他人隔绝的一种方式。
是的,当我进入高中,看到身边的同学,我痛苦地意识到自己错了。
总的来说,做个宅男,阴郁,还有无[故]线电波,你也无能为力了。
那还不如做个宅男,做个书呆子。
我是一个选择待在家里的人,一边享受我的爱好,一边保持最低限度的生活。
不得不和鬼这种不切实际的东西一一生活,让人难以忍受。
正当我在脑子里琢磨着这些事情的时[事]候,
──叮咚,门铃又响了。
我连连摇头,快步下楼。
当你偷偷走到前门时,你悄悄地从猫眼里窥视。
在玄关门前,可以看到一个女人站在[文]原地,手指按在门铃上的身影。
细长的黑发,慵懒的长眼,洁白如雪[章]的肌肤……我真是恶心死了,反正现[来]在,我就在我家门口. 我想告诉你,一个惊人的美女正在按[自]响门铃。
虽然我很迷茫,但还是在门前搓了搓[i]手,小声说:“冷静,冷静……”
稻田。
毕竟,我从来没有和班上的女孩进行过适当的交谈。.
突然,一阵金属缓缓啮合的咔哒声响[a]起,与此同时,我面前的门打开了。[m]
不由自主地退到了门外。
然后,门缝间,
“啊?开着。”
看着眼前的女人,我惊呆了。
女人对我说,
“啊,对不起,我擅自开了门,我是雅子阿姨介绍的,我叫○○千鹤。”< /p
,礼貌。
女士,老师自我介绍完后,向我鞠了一躬。
老师的黑色长发如波浪般摇曳。
反观我,张着一张傻脸。
“嗯……你怎么了?”
老师说。
我好不容易让自己冷静下来,暂时让老师到我家来,不知怎的用含糊不清的语气把我带到了自己的房间。
“厉害了……是房子啊……”
爬楼梯的时候,突然有人从后面叫我。
“听说爷爷的弟弟很久以前就住在那里,嗯,他去世了,我们就搬到了这里,我自己也没想过,这里那里重新装修过。 ..”
当我设法回答时,
“哦,不是那样的…………不,没什[k]么。”
老师似乎有些犹豫要不要说什么,最[.]终还是闭上了嘴,没有再说什么。我[c]没有问。
我很好奇老师的反应,但是接下来该[n]聊什么呢?我们应该谈论什么话题?[恐]
因为满脑子都是这种傻念头,所以就[怖]没有再问了。
终于,我爬上了楼梯,来到了我的房[鬼]间。
当老师走到楼梯口时,他焦躁地环顾[故]四周。
这房子有那么稀有吗?
虽然局部进行了翻新,看起来像是一座明治时代的老房子,但在我看来也只是一座老房子,一座尘土飞扬的大老宅子。
我一边在心里咒骂,一边把手放在房间入口的隔扇上。
这个拉丝相当不灵活,就算正常拉也拉不开。
可能是这座豪宅中最糟糕的设置。
“这个隔扇放的不好。”
我苦笑着打开吱吱作响的隔扇。
听到咯咯的声音。
老师说
是吗?
我开始对那个笑起来的老师产生了些[事]许兴趣。
我有一种简单的感觉,就是她很漂亮[文],但这还不是全部。
有点神秘的感觉。 “虽然才刚刚认识,但我却有种莫名[章]的熟悉感。”
当你们没有共同点时,这种感觉从何[来]而来?
“其实,我有话要跟你说……”
>而我正陷入沉思,老师突然在身后叫住了我。
我赶紧进了屋,拿出老师面前的一个[自]皱巴巴的靠垫,面对着他坐下。
“啊,怎么了?”
我问眼前的老师,想着以后有没有解[i]释。
然后,老师坐下,缓缓开口。
“实际上……我很抱歉,但我希望你[a]忽略这段对话。”
一会儿,什么?我正要说,但马上就[m]明白了意思,把要上喉咙的话咽了回[k]去。我进去了。
也就是说,老师今天不是来当我家教[.]的,而是来拒绝当我家教的。
我被一种我不太理解的湮灭感所征服。
好吧,说白了,也许我只是难过。
不用说,我再也见不到这么漂亮的女人了,但从我的人生来看,父亲抛弃了我,同学抛弃了我,人们讨厌我的生活。
这次也是,他可能是看到我了,不想[c]答应。
与其说是沮丧,不如说是一种无尽的[n]痛苦感攫住了我的胃。
胃里涌上来的东西在嘴里变成了苦涩的味道。
我低着头,努力做出微笑再抬起头,尽量不去了解自己现在的心情。
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但那是那时。一些不该映入我视野的东西,或者更准确地说,不该映入眼帘的不同事物跃入了我的视野。
我一下子从脚趾到手指都被冰覆盖了,我的心开始砰砰直跳,砰砰直跳,好像要冲破胸膛。
我无法集中注意力,不,我不想。然[恐]而,违背我的意愿,我的眼睛被异物[怖]吸引了。没过多久我的大脑就明白了[鬼]它是什么。
越过老师的肩膀,准确的说是房间的[故]入口,在半开的隔扇和柱子之间,
在黑暗中透过隔扇的缝隙窥视,能面[事]像,
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一个女人的断头...
脖子上好像压着一块冰块,我往后靠[文]在原地,
抖了抖
“哇!?”
p>,发出一声短促的尖叫。
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然后老师
“咦?”瞪了我一眼。
我忽然想,
“啊……不对,不冷吗?咦,我忘记[章]关隔热板了,可能是风吹进来了……[来] "
我从原地站起,走向房间门口。
我一边咽着喉咙,一边将目光转向了[自]眼前微微张开的隔扇。
我以为我所看到的一切都只是我的想象。
老师来之前我在教室前面看到的那个人,瞬间就消失了。
本来应该是这样的。
一个神秘的火球,倒映在水面上,像一个面带诡异笑容的老太婆,突然消失了,嘲笑着我。
是我像电波一样思考的妄想习惯的残余,比如误解,误会,还有灵感。
但是,眼前这个女人的脸和被砍下的脑袋……是不会消失的。女人的脸浮在空中,没有一丝表情。
就好像在那里很自然。
我觉得她大概20岁左右…… 我轻轻靠近一张还有些青涩的年轻女子的脸,一边准备移开视线,一边轻轻抬头凝视她。你可以看到他脖子的横截面。
我还以为是一团奇形怪状的肉,原来是黑的……到处都是黑的。漆黑的黑暗在他的脖子横截面蔓延开来。
我的心砰砰直跳。
呼吸被过度用力的心跳扰乱,气息从口中漏出。
我疯了吗...?
我用微微颤抖的手抓住了隔扇的把手[i]。
接着,隔扇轻轻的响了起来。
我用左手强行按住跳动的心脏,往下看。
冷静下来,这很正常,这是一种严重[a]的疾病,
记下您认为可能适用于您当前情况的任何内容。
这是错觉。
当我告诉自己要强迫自己回到现实时[m],我试图在不看头顶的情况下关闭隔[k]扇。
等等……
我突然想起隔壁的破烂建筑。
也许...
这就是施工不好的原因吗? ?
脑海中浮现出一个不愉快的画面。
我试图合上隔扇,但隔扇卡在女人的断头上,合不上。
这看起来超现实,但考虑到目前的情[.]况它看起来不时尚。
我条件反射地抽身离开,松开隔扇,[c]脚后跟一转,回到原来的位置。
然后告诉自己。
别看,不然会消失的。
当家教的奇怪情况,让我很头疼。
就在我脑子里拼命想找个借口的时候,一直默默注视着我的老师,像是要摆脱压抑的气氛一般,突然张开了嘴。
“为什么……为什么不关闭隔扇?”
这声音很是霸道,完全不像刚才那种安静礼貌的语气。
他的眼神也更加凌厉了,再回头看他,很可能会被击落。
我是说……刚才老师跟我说了什么…[n]…?
你为什么不关闭fusuma?
为什么要问这个?不对,我是去关隔[恐]扇了,不过应该是很奇怪吧。
女人的脸已经不在了。
我如释重负地拍了拍胸口。
幸好这只是我的想象。
我感觉肩膀放松了,全身的僵硬感都减弱了。
我深吸一口气,转身面对老师,看我[怖]能不能等会儿。”
我正要说这话,老师打断了我。
不是说有个女人吊在那里合不拢吗?抓住它不放手。
被那双妖娆绝美的眸子盯着,我感觉浑身汗毛都竖了起来。
“我借用一下。”
说完,老师突然站了起来,把手搭在[鬼]靠窗的椅子上,朝着隔扇挪了过去。[故]
然后我注意到一个奇怪的变化。老师[事]的神态就像是一个完全不同的人。
优雅的形象早已从我脑海中抹去,取[文]而代之的是,它被重新粉刷成一个有[章]点粗鲁和乐观的人的印象。
“嗯,突然发生什么事了?”
我把椅子挪到隔扇那里,老师没有回[来]答我的问题,转身对着我打开了他的[自]嘴。
别看我,我今天没穿。
然后瞬间,他的脸就被染红了,就像[i]是煮过的章鱼。
这家伙在说什么!? ?
“你在撒谎,别激动,色狼”
老师用冷漠轻蔑的眼神对我说道,转[a]身再次面对隔扇,抬头望去在天花板[m]的横梁上。我伸出手去
老师伸出手的梁的部分我也看了。
“是……”
先生。
然后,用拇指和食指捡起某样东西,[k]慢慢地从椅子上站起来。
“你知道这是什么东西吗?”
我把脸凑近,凝视着它。
它就像一根细小的纤维,夹杂着灰尘[.]。
它看起来像一捆细细的线,但它比那[c]更细。
“某种……纤维?好吧,它是一根绳子,它很旧。”
然后,那一团团纤维如同沙子般崩裂开来,落入了老师的手掌之中。
当然,它很旧。
老师默默的把它扔进了房间角落的垃[n]圾桶里。
看着隔扇,他说,
你是用这根绳子挂的吗?
挂了吗?
看一些梁柱。有纤维块的部分部分凹[恐]陷,好像施加了某种压力。
“你还看到什么了吗?”
老师突然问道。
有点像它是什么?然后白天...
我记得那么多。
“啊”,
他低声叫了一声。
因为在我开始回忆的时候,一个不愉[怖]快的画面出现在了我的脑海里。
下楼梯时看到的那一双清晰的细腿。[鬼]
它像挂在什么东西上一样迅速消失了[故]。
那是女人上吊时的腿吗?老师用手捂[事]着嘴看着上吊的我,微微一笑。
那是冷笑,或者说是干笑。
然而,被今天刚认识的人嘲笑和嘲笑,我无法理解,所以我忍不住又问了一遍。
关于那个笑容的身份。
“你怎么了?”
然后老师顿了顿,轻轻的撩起盖在耳[文]朵上的黑色长发。
当我再看她的时候,我发现她是一个非常漂亮的人。但现在,即使那样也显得很累。
如果您认为仅仅因为您很漂亮就可以做任何事情,那您就错了。
“对不起,我没有笑话你。”
“嗯?”
或者说,有点害羞地道歉的老师真的[章]很可爱。
“太开心了,没想到在这样的地方还[来]能找到这样的东西。”
“咦?我马上反问老师,可是老师没[自]有回答问题,而是说
“我会处理家教的事情。”
他给了我今天最甜美的笑容。
我想说万岁,但我忍了。
我不知道我是怎么改变主意的,但是当我的老师说他将接任导师时,我真的很感动。
抛开自己能和这么美的人在一起,我对眼前这个女人,有着莫名的好奇。
这么奇怪的东西,这么口头禅一种莫名其妙的感觉,这个人是谁,以及我至今感受到的神秘人物,刚刚看到的那个东西是什么,因为这个人似乎知道答案。……
< p>“但是,有两个条件”“条件……?”我又问。
“哦,有一件事,不要告诉任何人刚[i]刚发生的事情。”
也就是说,老师注意到了隔扇后面的[a]女人?在那之后你采取了什么行动?[m]
想到这里,老师不管不顾地张开了嘴[k]。
“其次,那边……嗯,办公桌底下不允许有淘气的家伙。如果你有钱买那种东西,就买一本参考书吧。”
< p> 说着,我的脑袋被轻轻敲了敲。我的脸颊顿时一热,低下了头。并且我在心里发誓,我一定会改变我的情色宝贝的藏身之处...
“嗯...我今天本来打算拒绝的,所以我什么都没带,所以我会“你愿意吗?”
老师说着缓缓站了起来。
当然,我回答
“是的!”然后,老师用手掌指着我[.]制止了他。
“不用了,送你也行,还剩一点点。[c]”
我被引诱进去了,无意中看了那部分[n]。 “这不是双关语。”
当我感到脊背发凉,全身僵硬时,老[恐]师背对着我低声说:
我这辈子都不会忘记这句话。
“咦……这屋子里死了多少人?”
一股压倒性的压力突然向你袭来,就像一股不安的浪潮无声无息地袭来。
寂静的房间里,我听到喉咙里发出一声响亮的喘息声。
紧握的拳头,渐渐渗出难闻的汗水。
“抱歉,先不说了,回头见。”他一[怖]脸悲伤,转身离开了房间,轻轻合上[鬼]了隔扇。
下楼梯的脚步声渐渐远去。
突然想起老师已经离开了这个房间,不由吃了一惊。
隔扇合上很顺畅,一点声音也没有,就跟新房里的隔扇一样。
不过,留个小缝隙,大概一根绳子串那么大……
作者:退会会員
原文:〔ヲタ君の家庭教師・襖〕
これは、私の知り合い通称ヲタ君が、学生時代に体験した話を一部私の脚色を用いて書いたお話です。 長文で申し訳ありませんが、良ければお付き合いください。
ちなみにヲタ君というのは、高校一[故]年生自称エロゲ大好きで、学校の女[事]子からキモヲタ呼ばわりされていた[文]頃のあだ名らしいです。
以後、ヲタ君の語り。
ある日、俺の家に家庭教師が来る事[章]になった。
母子家庭で、しかも息子を一人置い[来]て遠方に単身赴任中、ろくに俺の面[自]倒が見れていない事を危惧しての母[i]親の行動らしい。
母方の亡き祖父が、父親に捨てられ[a]た俺と母の為に残してくれた古い日[m]本家屋。
所々住みやすく改築はされているも[k]のの、この大きな屋敷に一人で住む[.]のは余りにも不便だが、悠々自適な[c]一人暮らしをおくれる事に関しては[n]大満足だった。 しかし、そう思った矢先がこれだ。[恐]
せっかく夏休みの間はエロゲ三昧と[怖]いう至福の時を送る予定だったのに[鬼]、と悔しさを滲ませる一方、母親か[故]ら仕入れた情報に気になる点が一つ[事]あった。
家庭教師は知人に紹介してもらった[文]らしく、かなり美人の女子大生との[章]事。
これが悪質な釣りだとしても確認だ[来]けはしておきたいのが男というもの[自]だ。
そう思い、もとい開き直った俺は、[i]朝から夕方までエロゲーをやりなが[a]ら、二階にある部屋で一人やがて来[m]るであろう家庭教師を待っていた
──ピンポーン、と、突如玄関の呼[k]び鈴が鳴った。
誰だ? と思ったと同時に、母親との会話が[.]脳裏に蘇る。
『女子大生……凄く美人らしいわよ[c]』
記憶から都合の良い部分だけが抜粋[n]され繰り返しリピートされた。 焦りのせいか鼓動が早まっていく。[恐] 俺はPCの電源を落としたのち、全[怖]てのエロゲーを机の下に隠す。
部屋を出ようと襖に手を掛け、立て[鬼]付けの悪さに苦戦しながら戸口を引[故]いたその時、
フッと、何かが俺の眼前を横切った[事]。 横切った先を瞬時に目で追う。
「えっ……?」
それは、余りにも突然の事だった。[文]
部屋の入り口、何もない空間からス[章]ーッと透き通るような白い足が、僅[来]かに宙に浮いた格好で、くねくねと[自]姿を現したのだ。
呆ける俺、だがすぐに我に返り
shake
「うわっ!」
と、短く驚きの声を上げた。
足はのた打ちながらその場で身動き[i]すると、スーッと消えてしまった。[a]
俺は息が詰まりそうになり、飲み込[m]んだ息を吐きだすようにしながら 、
「ふっ、ふうっ……」
小さく声を漏らす、だがすぐに苦笑[k]いを浮かべ、
「またか……」
と力無く呟く。
そう、またなのだ。
実はこういった事が俺には昔から多[.]々あった。
ふと振り向いた先に、一瞬だけ人の[c]顔が見えた。 何となく見ていた風呂場の壁に、泣[n]き叫ぶような人の顔が一瞬映った、[恐]などなど。
まあ簡単に言えば俺の思い込み、妄[怖]想の類い、もっと平たく言えば壮大[鬼]な勘違い、果ては幻覚というやつだ[故]。
小学生の頃、俺は同級生に対し、得[事]意げに、
『俺、幽霊みたぜ』
何て言ったりしていた。
子供特有の目立ちたい、驚かせたい[文]、などという、そういったありがち[章]な思いだったんだろうけど、我なが[来]ら痛い子だったんだなあと、今更な[自]がらにしみじみに思う。
見える、言わばこれは自分を特別に[i]見せたいがための偽装に過ぎない、[a] と俺は思っている。
自分は特別なんだと、周りとは違う[m]んだと言い聞かせ、周囲から切り離[k]された自分を正当化する手段。
そう、高校に入って周りの同級生を[.]みる度に、今までの自分が間違って[c]いたんだと痛いほど思い知った。
だいたい、オタクで根暗なうえに電[n]波とか、これ以上救いようがないじ[恐]ゃないか。
それならオタクで根暗の方がまだま[怖]しだ。
俺は人生の最低ラインを保ちつつ、[鬼]趣味を楽しみながら引きこもる事を[故]選んだ人間だ。
幽霊だのなんだのとそんな非現実的[事]な事に、一々囚われて生きていくな[文]んてたまったもんじゃない。
そんな事を頭の中で悶々と考えてい[章]ると、
──ピンポーン、と再び呼び鈴が鳴[来]った。
俺は振り払うように頭を二三度振り[自]、階段を足早に掛け降りた。
忍び足で玄関の扉に近づくと 、そっとのぞき穴から外の様子を伺[i]う。
玄関の扉の前で、呼び鈴に指を掛け[a]たまま立ち尽くす女性の姿が見て取[m]れる。
腰まであるきめ細やかな長い黒髪に[k]、切れ長で物憂げな大きな瞳、真っ[.]白な雪のような肌……と、キモさ全[c]開な俺だが、とにかく今、家の玄関[n]の前にスッゴい美人が呼び鈴を鳴ら[恐]しているって事を伝えたい 。
俺はどぎまぎしながらも、扉の前で[怖]手もみしつつ、
「落ち着け、落ち着け……」
と、念じるように呟いた。
何せクラスの女子とさえまともに会[鬼]話した事がない俺が、名実ともに美[故]人の女子大生と話をするなんて事は[事]、天地がひっくり返っても有り得な[文]い事だったからだ。
すると突然、ガチャリ、と金属がゆ[章]っくりと噛み合うような音が鳴り、[来]同時に目の前の扉が開かれた。
思わずドアから後ずさる。
するとドアの合間から、
「あ? 開いてる」
と、女性が顔を覗かせ一言呟いた。[自]
俺は余りの突然の事に頭の中が真っ[i]白になって、目の前の女性をガン見[a]したまま唖然。
そんな俺を余所に女性は、
「あ、すみません勝手にドア開けち[m]ゃって、失礼しました。 私、政子おば様の紹介で来ました、[k]○○千都(ちづる)と言います」
と、丁寧な挨拶。
女性、以後先生は自己紹介を終える[.]と、こちらに向かって頭を下げてき[c]た。
先生の長い黒髪が波打つようにサラ[n]サラと揺れる。
対する俺は口をポカンと開けてマヌ[恐]ケな顔のまま。
「あの、……どうかされましたか?[怖]」
と、先生。
俺は何とか自分を落ち着かせ、取り[鬼]あえず先生に家に上がってもらうと[故]、ろれつの上手く回らない口調でな[事]んとか自分の部屋へと案内した 。
「凄い……家ですね……」
階段を登る途中、不意に後ろから声[文]を掛けられた。
「じ、じいちゃんの弟さんが昔住ん[章]でたそうです。 そ、その弟さんが亡くなって僕達が[来]ここに引っ越してきたんですけど、[自]まさかこんなに広い日本家屋に住む[i]事になるなんて、僕自身思ってもい[a]ませんでした。所々改築はされてま[m]すけど……」
俺が何とかそう答えると、
「あ、そうではなくて……いえ、何[k]でもありません」
と、先生は何か言うのを躊躇うよう[.]な素振りを見せ、結局口を閉じ押し[c]黙ると、それ以上は何も聞いてこな[n]かった。
俺は先生のその反応が気になったが[恐]、次は何を話せばいい? どんな話題を振ればいい?
などというくだらない思考で頭の中[怖]がいっぱいだった為、それ以上はな[鬼]にも聞き返さなかった。
やがて階段を登りきり自分の部屋の[故]前までやってきた。
先生は階段を登りきった所でしきり[事]にキョロキョロと辺りを見渡してい[文]る。
そんなにこの家が珍しいのだろうか[章] ?
一部改装はされているものの、明治[来]の頃に建てられた歴史ある家らしい[自]のだが、俺からしてみればただの古[i]い家、だだっ広く埃まみれの古屋敷[a]だ。
胸のうちで悪態をつきつつ、部屋の[m]入り口である襖に手を掛ける 。
この襖がなかなか融通のきかないや[k]つで、普通に引いても開かないとい[.]う曲者。
おそらくこの屋敷で、ダントツの立[c]て付けの悪さ。
「こ、この襖立て付け悪くって、」[n]
俺はヘラヘラと苦笑いを浮かべなが[恐]ら、軋む襖を開けた。
ガタガタと耳障りな音が鳴る。
先生は、
「そうなんですか」
と、こちらを向いて軽く笑みを浮か[怖]べポツリと返す。
俺はそんな笑顔を向ける先生に、僅[鬼]かな興味を抱き始めていた。
美人だからという単純な気持ちもあ[故]るが、それだけじゃない。
どこか不思議な印象。 合ったばかりの人だというのに、訳[事]の分からない親しみを感じてしまう[文]。
共通点も何もないのに、一体この気[章]持ちはどこから来るのだろう、
「あの、実はお話がありまして……[来]」
俺が考え込んでいると 、不意に後ろから先生が声を掛けて[自]きた。
俺はハッとしながらも急いで部屋に[i]入ると、近くにあったしわくちゃの[a]座布団を先生の前に差し出し、正対[m]するようにして自分も座った。
「あ、はい、何でしょうか?」
今後の説明か何かかなと思い、目の[k]前の先生に聞き返す。
すると先生が腰を下ろしながら徐に[.]口を開いた。
「実は……大変申し訳ないのですが[c]、 今回のお話なかった事にして頂きた[n]いんです」
一瞬、えっ何で? と言いかけたが 、俺はすぐにその意味を理解し、思[恐]わず喉元まで出掛かっていた言葉を[怖]呑み込んだ。
つまり先生は今日、俺の家庭教師と[鬼]して来たのではなく、家庭教師を断[故]りに来たというわけなのだ。
俺は自分でもよく分からない、消失[事]感にも似た感情にかられた。
まあありきたりに言えば、ただ哀し[文]かったのかもしれない。
こんな美人と二度と会えなくなるっ[章]ていうのは勿論だけど、俺の人生か[来]らしてみれば、父親に見放され、ク[自]ラスメートからも見放され、人に嫌[i]われてばかりの人生だ。
今回だって、俺を見て引き受けたく[a]ないと思ったのかもしれない。
悔しさよりも、とめどなく惨めな思[m]いが胃の辺りをギュッと締め付けて[k]きた。
腹の内からこみ上げてくる何かが、[.]口の中で苦々しい味へと変わってい[c]く。
俺はうなだれるように俯き、今の心境を悟られまいと、なんとか必死に笑顔を作り再び顔を上げた。
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だが、その時だった。 俺の視界に、映りこんではいけない[n]もの、いや、正確には映ってはいけ[恐]ない異質なものが飛び込んできたの[怖]だ。
足先から手先までが一気に氷付き、[鬼]胸を突き破りそうなほど心臓が、ド[故]クンドクンと暴れだす。
焦点が合わない、いや、合わせたく[事]ない。 だが、意に反するように、俺の両目[文]はその異質な物体に吸い寄せられて[章]いく。 そしてそれが何なのか、脳が理解す[来]るのに、そう時間はかからなかった[自]。
先生の肩越し、正確に言うと部屋の[i]入り口、中途半端に開いた襖と柱の[a]間、
暗闇の中、襖の隙間からこちらを覗く、能面のような、
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女の生首……。
氷塊を首筋に押し付けられたかの様に、俺はその場で身体を仰け反らせ、
shake
「うわっ!?」
と、短い悲鳴を上げてしまった。
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すると先生は
「えっ?」
と言って小首を傾げながら俺に不振[m]そうな視線を送ってきた。
やばい、と思いとっさに、
「あ……いや、さ、寒くないですか[k]? ふ、襖閉め忘れてたから風が入って[.]きてるのかな……」
などと誤魔化し、俺はその場から立[c]ち上がって部屋の入り口へと向かっ[n]た。
俺は喉をゴクリと鳴らしながら、目[恐]の前のわずかに開いた襖に視線を向[怖]けた。
今まで見てきたこの類のやつは、全[鬼]て気のせいだと思ってきた。
さっきだって、先生が来る前に部屋[故]の前で見たやつは、一瞬で視界から[事]掻き消えた。
ずっとそうだったはずだ。
得体のしれない火の玉、水面に写る[文]、不気味な笑みを浮かべる老婆のよ[章]うな顔、それらは忽然と姿を消し、[来]俺を嘲笑ってきた。
見間違え、勘違い、自分には霊感が[自]ある、などといった電波な考え、そ[i]んな風に見えたらと思う、俺の妄想[a]癖の名残のはず……だった。
だが、今目の前にある女の顔、生首[m]は……消えない。 女の顔はその表情を一片たりとも崩[k]す事なく宙に浮いていた。
まるでそこにいるのが、さも当たり[.]前のように。
年は二十歳ぐらいといったところだ[c]ろうか……どこか幼さの残る女の顔[n]にそっと近づき 、目を背ける準備をしながら、見上[恐]げるようにしてそっと覗き込む。 首の断面がえる。
グロテスクな血肉の塊かと思いきや[怖] 、黒い……どこまでも黒い。 首の断面には真っ黒な闇が広がって[鬼]いた。
心臓はバクバクと激しい音を刻んで[故]いた。
余りの鼓動の激しさに呼吸が乱れ、[事]ひゅうひゅう、と、口から息が漏れ[文]た。
俺は頭がおかしくなったのか……?[章]
微かに震える手で襖の取っ手を掴む[来] 。
そのせいでカタカタと襖が小さく鳴[自]った。
俺は激しく鳴り続ける心臓を左手で[i]無理やり押さえつけながら俯く。
落ち着け、いつものあれだ、悪い病[a]気だ、
自分の今の状況に当てはまりそうな[m]事を何でもいいから心の内で呟く。[k]
幻だ……きっとそうだ、強く、もっ[.]と強く念じろ。
そうやって自分に言い聞かせ無理や[c]り現実へと引き戻すと、俺は頭上を[n]見ないようにして襖を閉めようとし[恐]た。
待て……
俺はふと襖の建て付けの悪さを思い[怖]だした。
もしかして……。
今までの建て付けの悪さはこれのせ[鬼]いか!?
頭の中で嫌な映像が浮かぶ。
襖を閉めようとする俺、女の生首に[故]襖が引っ掛かり閉まらない。
シュールにも見えるが、今の現状を[事]考えると洒落にならない。
俺はさっと反射的に身を引くと、襖[文]から手を離し、その場で踵を返して[章]元の場所へと戻った。
そして自分に言い聞かせる。
見るな、見なければ消える。
家庭教師なんていう妙なシチュエー[来] ションのせいで頭がテンパってるだ[自]けだ。
俺が必死に頭の中で何かしら言い訳[i]を考えていると、それまで黙ったま[a]まこちらを注視していた先生が、重[m]苦しい空気を振り払うように、突然[k]口を開いた。
「なぜ……なぜ襖を閉めないんだ?[.]」
瞬間、俺は両肩をビクりと震わせ先[c]生の顔を見た。
その声は、とても先程までの物静か[n]で丁寧な口調とは違い、威圧感漂う[恐]物言いだった。
目つきも精鋭さがまし、見つめ返す[怖]と射竦(いすく)められてしまいそ[鬼]うだ。
というか……先生は今、俺に何て言[故]った……?
襖をなぜ閉めない?
なぜそんな事を聴くんだ? いや、襖を閉めに行ったのに閉めな[事]ければ確かにおかしい、
そう思いながら恐る恐る襖をチラリ[文] と見やる。
女の顔はもうそこにはなかった。
俺はホッと胸をなで下ろす。
良かった、やっぱり気のせいだった[章]んだ。
肩の力が抜け全身の硬直が弱まって[来]いくのを感じる。
俺は軽く息を整えると、先生に向き[自]直って、
「あ、いえ、建て付け悪いってさっ[i] き言いましたよね? 閉めるのけっ こう面倒だし後でいいかなって、」[a]
と、俺がそこまで言いかけた時だ、[m] 先生は俺の話を遮るように切り出し[k]てきた。
「女がそこにぶら下がっていたから[.] 閉まらない、の間違いじゃないのか[c] ?」
射すような視線、吸い込まれそうな[n]程の先生の黒い瞳が、俺を捉えて離[恐]さない。
妖艶で綺麗なその瞳に見つめられ、[怖] 全身の毛が逆立つような感覚に襲わ[鬼]れる。
「それ借りるぞ」
先生はそう言うと急に立ち上がり、[故] 窓辺の机にある椅子に手を掛け 、襖の方へと持っていった。
そこで俺はある妙な変化に気が付い[事]た。 先生の雰囲気が、さっ きとはまるで別人のようだ。
おしとやかな、何て言うイメージは[文]既に俺の頭からは掻き消えていて、[章] 変わりに、どこか粗暴で強気な人と[来]いう印象へと塗り替えられていた。[自]
「あの、ど、どうしたんですか急に[i] ?」
椅子を襖に寄せ、先生は俺の問いに[a]は答えず、椅子の上に登り立ち上が[m]ろう としてこちらを向き口を開いた。
「覗くなよ? 今日穿いてないんだ 」
一瞬、俺の頭は真っ白になりかけた[k] 。
そして瞬時に顔面を茹で蛸のように[.]真っ赤に染め上げ、
「えっ……ええっ!?」
と一人喚き立てた。
何を言ってるんだこの人は!?
「嘘だよ、興奮するな変態」
先生は蔑むような冷たい眼差しで俺[c]に言うと、再び襖の方に向き直り、[n]天井の梁(はり)の部分に手を伸ば[恐]した。
先生が手を伸ばした梁の部分に俺も[怖]目をやる。
「あった……」
先生は梁の部分を弄(まさぐ)る手[鬼]をピタリと止めてそう呟いた。
そして親指と人差し指で何かを摘み[故] ながら、椅子からゆっくりと降りだ[事]す 。
「こいつが何か分かるか?」
先生はそう言うと、指で摘んでいた[文]ものを俺の前に差し出してきた。
俺は顔を近づけてそれを注視する。[章]
それは、薄汚れ埃が混じった、細い[来]小さな繊維のようなものだった。
細かく刻まれた小さな糸の束にも見[自] えるが、それよりも更に細い。
「何かの……繊維、ですか?」
俺が自信なさげにそう答えると、先[i]生は俺に、
「そう、まあ縄だな、けっこう古い[a] 」
と言ってから、指先で摘んだまま、[m] その繊維の塊をこすった。
すると繊維の塊はまるで砂のように[k]パラパラと分解され、先生の手の平[.]へとこぼれ落ちていく。
確かに、かなり古いものだったらし[c]い。
先生は黙ったままそれを部屋の隅に[n]おいてあるゴミ箱に捨てた。
そして襖を見ながらこう言った。
「この縄で吊ったのか……」
吊った?
梁の柱の一部に目をやる。 繊維の塊があった部分が、何かの圧[恐]力がが掛かったかのように一部凹ん[怖]でいる。
「他に何か見たりしたか?」
先生が突然聴いてきた。
何かとはつまり、さっきのようなや[鬼]つの事か? それなら昼間……
俺はそこまで思い出して。
「あっ、」
と小さく声を漏らした。
思い出し掛けた俺の脳裏に、嫌な映[故]像が浮かんだからだ。
階段を下る途中に見た、あの透き通[事]るような細い足。
まるで何かにぶら下がったように足[文]をぶらんとさせすぐに消えた。
あれはつまり、首を吊った時の女の[章]足だったのか ……
「ふふ、」
背筋が逆立ち、すっかり萎縮してし[来]まった俺を見ながら、先生が口元に[自]手を当て、微かに笑う。
冷笑というか、何というか乾いた笑[i]みだった。
だが、さすがの俺も今日会ったばか[a]りの人間に笑われ馬鹿にされるのは[m]納得がいかない、思わず聞き返した[k]。
その笑みの正体について。
「な、何がおかしいんですかいった[.]い」
すると先生は一瞬間を置いてから、[c] 耳元を覆い隠していた長い黒髪を緩[n]やかに掻き上げた。
改めてみると、やはり凄く美人な人[恐] だと思い知らされる。 だが今はそれすらも腹だたしく思え[怖]た。
美人だからといって何でも許される[鬼]なんて思ったら大間違いだ。
「すまん、お前の事を笑ったんじゃ[故]ないんだ」
「えっ?」
思いがけない言葉に、俺は思わず小[事] さく驚きの声を漏らした。
というか、少しはにかむように謝る[文]先生は何というか……マジで可愛い[章]。
「嬉しかったんだ、こんなとこでこ[来]んな拾いものができるなんて思って[自] もみなかったから」
「ひ、拾いもの?」
意味が分からず、俺はすぐに先生に[i]聞き返す、だが先生はその問には答[a]えてくれず、代わりに、
「家庭教師の件、やっぱり引き受け[m]るよ」
と、今日会った中で一番優しい笑み[k]で返してくれた。
思わず万歳をしたくなったが我慢す[.]る。
どういう心境の変わり方をしたのか[c]は分からないが、俺は先生が家庭教[n]師を引き受けてくれると言ってくれ[恐]た事に、素直に感激していた。
こんな綺麗な人と一緒に居られるな[怖]んていう現金な事は置いといて 、俺はこの目の前にいる女性に妙な[鬼]好奇心を覚えていたからだ。
何かこう不思議な、とても言葉に言[故]い表せられない奇妙な感覚、この人[事]が何者なのか、そして今まで感じて[文]きた得体の知れない者たち、さっき[章]見たあれが何なのか、その答えを、[来]こ の人は知っているように思えたから[自] ……
「ただし、条件が二つある」
「条件……ですか?」
俺は突然の先生の言葉に困惑しなが[i]らも聞き返す。
「ああ、一つはさっき起こった事を[a]誰にも話すな」
そう言って先生は襖の方を指差した[m] 。
さっきの事とは、先生が襖の女に気[k]付いていたということだろうか? そしてその後にとった行動の事?
俺が考え込むと、先生はそれに構わ[.]ず口を開く。
「二つめ、そこの……ええと何だ、[c]机の下のエッチなヤツは禁止だ、そ[n]んなの買う金があったら参考書の一[恐]つでも買え」
そう言って頭を軽く叩かれた。
俺は途端に頬が熱くなり顔を伏せた[怖]。 そして心に誓った、エロゲーの隠し[鬼]場所を変えようと……
「ふう……今日は断るつもりできた[故]から何も持ってきてないんだ、だか[事]ら勉強を見るのは次からになるがい[文]いか?」
先生は徐に立ち上がりながら言った[章] 。
もちろん俺は、
「はい!」
と、即答し、もう帰るであろう先生[来]を見送る為立ち上がる。 すると先生は手のひらをこちらに向[自]けながら制止した。
「いや、見送りはいい、まだ……ア[i]レが少し残っているから」
そう言いながら、先生は襖の梁の部[a]分に目をやった。
俺も釣られて思わずその部分に目を[m]やる。 洒落にならない。
背筋に寒気を感じ身を強張らせてい[k]ると、先生は俺に背を向けたまま呟[.]く ようにこう言った。
その言葉を、俺は生涯忘れることは[c]ないだろう。
「なあ……この家、一体何人死んだ[n]んだ?」
心臓が大きくドクン、と、俺の胸を[恐]ドラの様に叩いた。
押し潰されそうな圧迫感に不意に襲[怖]われる、不安という波が音もなく迫[鬼]ってくるような感覚。
静寂に包まれた部屋の中、俺の喉元[故]から息を呑む大きな音が鳴った。
握った拳には、じんわりと嫌な汗が[事]滲んでいる。
「すまん、今のは忘れてくれ、じゃ[文]あまたな」
唖然とする俺をよそに、先生はそう[章]言って、悲しげな表情のままその場[来]で踵を返し部屋から出ると、襖をそ[自]っと閉めた。
階段を降りる足音が、フェードアウ[i]トしていく。
俺はふと、先生がこの部屋から出て[a]いくのを思い返し、ハッとした。
襖はまるで新築の家の襖のように、[m] 音一つ立てず滑らかに閉まった。
ただし、僅かばかり、縄紐くらいの隙間を残して……
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