Gareki - gareki -

iamk 日本恐怖故事 2024-03-09 03:00:01 228 0

时隔10年第一次踏上的沙滩,美不胜收,景色美到让我觉得那天好像是个谎言。

耳边只有轻轻的海浪声和春风吹过的[文]声音。

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突然想起小时候,听名字就觉得春一番是欢快的暖风。

如今,一想到初春,脑海中总会浮现出寒风刺破衣衫的画面。

然而,无论是现在还是过去,我都莫名觉得风是白的,是透明的。

也许是因为对我来说,第一个春天让我想起了我的初恋。

在这个一切都变了的地方,我想着这[章]样的事情。

...这个地方曾经满是泥土和碎石[来]

我独自坐在宽阔的沙滩上,身边放着[自]我为她做的蛋糕。

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蛋糕是一个5号左右的整块蛋糕,是我这10年积累的技术成果。

浸泡在espresso里的手指饼干,马沙拉和marsala提拉米苏奶油,可可粉过筛做成的提拉米苏层,上面1cm左右的蔓越莓慕斯。

它的横截面看起来像冰糕,但它更柔软,更粘稠。

浸渍白巧克力的Crank cookie铺在bodom(底)上,提拉米苏层的成熟口感和酸甜的蔓越莓与白巧克力的沉稳口感相连。

它们被不太甜的糖霜巧克力包裹着,装饰是乍看凌乱的碎巧克力块、模仿树叶和树枝形状的巧克力、堆砌的果仁糖杏仁丁。曾是

果仁糖加了少许盐,咸焦糖细腻的咸味拉紧了巧克力的分量,吃到嘴里容易黏糊糊的。

除夕,白色情人节,用我对你的感情[i]

报答。

不知咲姐会不会幸福…………”

这声音比海浪声还要轻柔,被小小的[a]海风吹散了。

◯◯◯

10年前,那时我还在上小学初中. 我爱上了住在附近的表妹 Saki。

那时候咲希还是个高中生,在她眼里我不过是个比我大的弟弟,以前很讨厌被人对待。

那一年,手工情人节风靡全球,就这样互相传递是一种时尚。

像高中生一样,Saki-nee 也加入了潮流,制作了很多巧克力布朗尼送给她的朋友们。

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虽然我还是个孩子,但我知道这不是我最喜欢的,但我对我心爱的Saki-nee送的情人节巧克力感到非常满意。

而且,我收到的点心和咲姐送给她朋友的一样,包装得很好,我觉得她对待我就像对待她的高中朋友一样。,就好像他们兴高采烈。

照顾好自己!我记得当我对递给我的[m]Saki-nee说时,她笑着说:[k]“你应该好好吃饭。”

我的脸都被那笑容和尴尬烧得火辣辣的,就连她调皮地笑着说“白色情人节我三倍还你”的时候我都收下了。

疼我如弟的她,从不向我索取任何东西,我觉得她一点都不认真。

那时候的我,纯属老实像个孩子一样,我异常热情,认为这是一个被认可为成年人的测试。

白色情人节前三天,他还谎称感冒逃[.]学,我偷偷去百货公司买蛋糕的材料[c]

自从咲姐送给我手工制作的情人节礼[n]物后,我就很想做一份手工制作的礼[恐]物作为回报。

他一脸坏笑,犹豫了一下,还是把在市图书馆研究的资料买下来了。

我的零用钱买不到昂贵的食材,但我仍然可以做一个甜食。

百货公司的店员做了个鬼脸,“为什么工作日的下午这里有孩子?”是

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…但是是时候了。

突然间,一场前所未有的地震袭击了[怖]我们的小镇。

摇晃的厉害,根本站不住脚,百货公司的货架都倒塌了。

连身边的大人都惊慌失措,尖叫声不断。

第一种情况我不知道该怎么办,摇晃停止后,我还拼命死死地抱住旁边的一根柱子动弹不得。

然而,我又害怕又害怕,在店内灯都坏了的黑暗空间里,我听到一个大人尖叫着赶紧逃跑,还有一个人受伤不能的惨叫声'动弹不得,呼救。可是太可怕了。

可是一想到周围的人都疯狂的跑到楼[鬼]层出口,我就被丢在这么黑的地方,[故]我就害怕,我就跟着她跑,哭着说她[事]不会被留下来。

一段难忘而震撼的回忆。这是201[文]1年3月11日的大地震事件。

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在这次历史性的地震中,强烈的震动传播了数百公里。

自从我住的小镇靠海,真的什么都破了没了。

学校、房子、百货公司、家人、朋友[章],甚至咲希姐……

留下的只是泥泞的瓦砾......[来]

我的历史就此结束。

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◯◯◯

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这10年来束缚我的是,交出来就算了你想。不对,是白色情人节对咲姐的遗憾。

回到我心爱的女朋友,当时所有有形的东西都消失了,唯独对咲姐的感情一直留在心里。

地震后的第一年,小镇还是一团糟,而且不止于此。

本应返回的家乡,因受到放射性污染,已不再是人们可以进入的地方,寻找失踪者遗体的工作也毫无进展。

从那以后,重建工作一点点推进,世界慢慢开始缓和,我也终于可以努力报答咲希姐姐了。

然而,随着时间的流逝,我对她的感情越来越深,第一次做的笨手笨脚的手工糖,一点都不尽如人意。

那个时候,我不得不报答你这个白色情人节。已经过去了。

那时候我还在读中学,不知不觉就超过了读高中的咲姐。

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现在,我终于要将这个蛋糕送给我离[自]开的女朋友了。

孤独的海滩,这里是她的遗体曾被埋[i]在废墟中的地方。

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呜呜呜……春风凛冽,泛起涟漪。

我拿出一个保温瓶,里面装满了热咖[a]啡。

然后,热腾腾的咖啡缓缓浇在一旁的[m]蛋糕上。

这是最后的润色。

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就像十年前的海啸一样,精心制作的[k]蛋糕化为碎片。

上面的巧克力装饰,杂乱堆放的碎巧克力,还有裹在杏仁丁上的果仁糖还没有融化。变得溢出来。

覆盖在蛋糕上的糖霜巧克力融化碎裂,蔓越莓慕斯和提拉米苏奶油消失得无影无踪。

浸泡过浓缩咖啡的手指饼干很容易被咖啡稻田的涟漪力散落。

这个蛋糕也是我的人生,也是我对咲姐的思念史。

我对她的爱的信物。证明她和我在这里。

自那场灾难以来停止的时间现在终于开始融化。

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滴落在沙滩上的蛋糕,最终会像那些随碎石流淌的少女们一样,渗入这片土地,流入浩瀚的太平洋。

只见春风尽头,如摇曳的细浪般从原地消失。


作者:ふたば
原文:我歴 - gareki -

10年ぶりに歩く砂浜は、あの日の事がまるで嘘であったかのように見晴らしが良く、とても綺麗だった。

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聞こえて来るのは、静かな細波の音と、春風の音。

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ふと、子供の頃は名前から春一番は[.]陽気な暖かい風だと思い込んでいた[c]事を思い出す。

今では、春一番と言えば冷たくコー[n]トを突き抜ける程強い風のイメージ[恐]がある。

だけど、今も昔も、何となくその風[怖]は白く透明な色をしているように感[鬼]じてしまう。

それはきっと、僕にとっての春一番[故]は初恋の彼女を思わせるからなのか[事]も知れない。

何もかも変わってしまったこの場所で、そんな事を思う。

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……かつてここは、泥に塗れた瓦礫に埋め尽くされていた。

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僕はこの広い砂浜に1人座り、彼女の為にと作ったケーキを傍らに置いた。

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ケーキは5号ほどのホールケーキで[文]、僕がこの10年で積み重ねてきた[章]技術を結集させたものだ。

エスプレッソの染みたフィンガービ[来]スケットに、マスカルポーネとマル[自]サラ酒のティラミスクリーム、ココ[i]アをふるいかけて出来たティラミス[a]層に、その上1センチ程のクランベ[m]リームース。

その断面はアイスケーキのようだが[k]、それよりもずっと柔らかく、とろ[.]りとしている。

ボドム(土台)にはホワイトチョコ[c]を染み込ませたクランククッキーを[n]敷き、大人びた味のティラミス層と[恐]甘酸っぱいクランベリーをホワイト[怖]チョコの落ち着いた味で繋ぎ止めて[鬼]いる。

それらを甘すぎないグラサージュシ[故]ョコラで包み、飾りには一見乱雑に[事]みえる割れた板チョコや、葉っぱや[文]枝の形を模したチョコレート細工、[章]そしてプラリネされたアーモンドダ[来]イスが積み上げられていた。

プラリネにはひとつまみの塩が入れられており、塩キャラメルのような細やかな塩味が、口の中でねとわりがちなチョレートの重さをキッと引き締めていた。

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10年越しの、君への想いを込めた[自]ホワイトデーの

お返し。

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「サキ姉、喜んでくれるかな……」[i]

その呟きは波の音より小さくて、小さな潮風に攫われ、流された。

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◯◯◯

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10年前、その頃僕はまだ小学生の[a]中学年くらいで、生意気にも近所に[m]住む従姉妹のサキ姉に恋をしていた[k]

当時サキ姉は高校生で、そんな彼女からすれば、僕は年の離れた弟のような存在でしかなく、だから僕はサキ姉に対等に見て貰いたくて、子ども扱いされるのをよく嫌がっていた。

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その年、世間では手作りバレンタイ[.]ンが流行り出していて、クラスの女[c]性同士でも友チョコだと言って互い[n]にお菓子を作りあっては、交換する[恐]ように渡し合うのが流行していた。[怖]

サキ姉も高校生らしくその流行に乗り、友達に配るんだとチョコレートブラウニーを大量に作っていて、それを近所に住んでいた僕にもプレゼントしてくれた。

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僕はそれが本命じゃ無い事なんて子[鬼]供ながらに分かっていたが、ただた[故]だ単純に、大好きなサキ姉からのバ[事]レンタインチョコをもの凄く喜んだ[文]

しかも、貰ったお菓子は、サキ姉が[章]友達に渡していたのと同じようにち[来]ゃんとラッピングされていて、高校[自]生の友人達と変わらない扱いを僕に[i]してくれていたと思い、それはもう[a]天にも昇るはしゃぎようだった。

絶対大事にする!って渡してくれた[m]サキ姉に言っては、「ちゃんと食べ[k]てよね」と笑われてしまった事を、[.]よく覚えている。

僕はその笑顔と恥ずかしさに顔が熱[c]くなってしまって、「ホワイトデー[n]のお返しは3倍返しだからね」と悪[恐]戯っぽく微笑む彼女の冗談にさえ、[怖]元気な返事で真に受けてしまってい[鬼]た。

弟みたいに僕を可愛がる彼女が、僕[故]に何かをせびる事なんて一度も無か[事]ったし、全然本気で言った事じゃな[文]かったんだろうなと、今の僕なら分[章]かるけど、

子供らしく純粋に素直だった当時の僕は、これは大人だと認めて貰う為の試練なんだって、えらく張り切ってしまった。

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絶対にサキ姉を喜ばせてやるんだと[来]、ホワイトデーの3日前には、風邪[自]をひいたと嘘まで吐いて学校を休み[i]、共働きの両親が居ない隙にこっそ[a]り、デパートまでケーキの材料を買[m]いに出掛けた。

サキ姉から貰ったのが手作りのバレンタインだったから、どうしてもお返しは手作りにしたかった。

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思わずニヤニヤしてしまう表情をぶ[k]ら下げて、市の図書館で調べた材料[.]を、少し迷いながら買い集めていく[c]

手持ちのお小遣いでは高い食材は買[n]えないけれど、それでもなんとか一[恐]回だけお菓子を作る分は揃えられる[怖]

デパートの店員さんは「どうしてこんな平日の昼過ぎに子どもがいるんだ」って顔をしていたけど、それさえ気にならならいほど、ウキウキと僕は店内を闊歩していた。

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…しかし、その時だった。

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突如、それまで経験の無いもの凄い揺れが、僕らの町を襲った。

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グラグラと立っていられないほどの[鬼]激しい揺れで、デパートの商品棚が[故]、滅茶苦茶に崩れた。

周りにいた大人達でさえパニックに[事]なっていて、色んな人がひたすらに[文]叫ぶ声が飛び交っていた。

僕は初めての事態にどうすればいい[章]か分からなくて、暫くして揺れが収[来]まっても必死に近くの柱にしがみつ[自]いたまま動く事が出来なかった。

ただ、怖くて怖くて、店内の照明が[i]割れて暗い空間で、怒鳴るように早[a]く逃げるんだと叫ぶ大人の怒号や、[m]怪我をして動けない誰かの助けを呼[k]ぶ悲鳴が、地獄のように恐ろしかっ[.]た。

だけど、周りの人達が皆んな、必死になってフロアの出口へと走り出して、僕はこんな暗い場所に取り残されると思うと怖かったから、ぐちゃぐちゃになったデパートの中をとにかく置いていかれまいと泣きながら走って付いて行った。

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忘れられない、衝撃的な記憶。それは、2011年の3月11日の、あの大震災の出来事だった。

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歴史的なこの大地震は、大きな揺れ[c]が何百キロ先まで伝わり、震源地の[n]近くではその後発生した津波によっ[恐]て、生活の全てが崩れ去っていった[怖]

僕の住んでいる町は海の近くだった[鬼]から、本当に何もかも、全部壊れて[故]、無くなってしまった。

学校も、家も、デパートも、家族も、友達も、そして、サキ姉も……

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後に残ったのは、泥に塗れた瓦礫だ[事]け……

僕の歴史は、そこで終わった。

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◯◯◯

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この10年間の僕を縛り付けていた[文]のは、渡したくても渡せなかった、[章]サキ姉へのホワイトデーの未練だっ[来]た。

大好きだった彼女へのお返し、あの[自]時形のあるものは全て流れてしまっ[i]たけれど、サキ姉への想いだけは、[a]僕の心に、ずっと残っていた。

震災が明けて最初の年は、町中まだ[m]滅茶苦茶で、それどころじゃ無かっ[k]た。

帰るべき故郷は放射能汚染で人が入[.]れる場所では無くなっていたし、遺[c]体の見つからない行方不明者の捜索[n]も、全然進んではいなかった。

それから少しずつ復興が進んでいっ[恐]て、世間もゆっくりゆっくり余裕が[怖]出来はじめてきて、僕はようやく、[鬼]サキ姉へのお返しに取り組む事が出[故]来るようになった。

だけど、彼女への想いは時の流れの中で大きくなってしまっていて、初めて作る下手くそな手作りのお菓子では、全然納得のいく出来栄えにはならなかった。

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Gareki - gareki -

もうその頃の僕には、このホワイト[事]デーのお返ししか無かったから、何[文]度も何度も作り直して、考え直して[章]、気が付けばもう、今日で10年が[来]経過してしまっていた。

当時小学校中学年だった僕は、いつの間にか、高校生だったサキ姉を追い越してしまっていた。

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そして今、ようやく出来上がったこ[自]のケーキを、僕は、居なくなってし[i]まった彼女へ渡す。

波打ち際で1人、かつて瓦礫に埋もれた彼女の遺体が上がったというこの場所で。

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びゅおお…と、冷たい春風が、小波[a]を立てる。

僕は、高温の珈琲を入れた魔法瓶を[m]取り出した。

そして、その熱いままの珈琲を、傍[k]らのケーキにゆっくりと掛けていく[.]

これが、最後の仕上げだった。

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10年前、この町を津波が襲ったよ[c]うに、丁寧に作り上げられたケーキ[n]はぐちゃぐちゃに崩れていく。

上に飾られたチョコレート細工や乱[恐]雑に重ねられた割れた板チョコ、ア[怖]ーモンドダイスをコーティングする[鬼]プラリネも溶けてなくなり、バラバ[故]ラと溢れていく。

ケーキを覆うグラサージュショコラ[事]も溶けて崩れ、クランベリームース[文]も、ティラミスクリームも、跡形も[章]無く消えていく。

元々エスプレッソが染みたフィンガ[来]ービスケットも、波打つ珈琲の勢い[自]で簡単に散り散りになり、最後の最[i]後に残ったのは、ホワイトチョコが[a]染みた、白骨のようなクランククッ[m]キーのみだった。

このケーキは、サキ姉を想い続けた僕の人生、僕の歴史、そのものでもある。

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僕から彼女への、愛の証。僕と彼女[k]が、ここに居た証。

あの災害から止まってしまっていた時間は、今、ようやく溶け始めた。

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砂浜に滴るケーキは、やがてこの土[.]地へ染み込み、瓦礫と共に流れた彼[c]女達と同じく、広い太平洋へと流れ[n]るだろう。

僕はその最後を春風と共に見送り、ゆらりと揺れる細波ようにその場から消えた。

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