蛇沼泽

iamk 日本恐怖故事 2024-04-09 09:00:01 257 0

“谢谢你们的辛勤工作!”

40 岁的君岛早苗离开了她工作的疗养院[文],同时听到有人说:“谢谢你们的付[章]出辛苦了。”我加班到晚上八点。她[来]喜欢这份工作。当我让顾客微笑时,[自]我感到很满足。

现在才七月,却异常炎热。即使在夜[i]间,气温和湿度仍然很高。

我骑自行车去了车站前的永旺。短发[a]在风中飘扬。

“呃,我太粘了。我想快速洗个澡。[m]

她只是一个普通的家庭主妇,就像你[k]在任何地方都能找到的那样。她有一[.]张娃娃脸,所以穿休闲装的时候,看[c]起来比同龄人要年轻很多。她的家人[n]包括她的丈夫和两个上小学的孩子。[恐]因为今天我会迟到,所以我准备了咖[怖]喱和沙拉作为晚餐。

早苗对目前的生活相当满意。它与精[鬼]神事物无关。事实上,我远离恐怖故[故]事、恐怖故事、闹鬼的地方等等。

但是今晚,可怕的事情将会发生。

火车在高架线上驶过。

早苗正沿着立交桥下的小路骑行,自[事]行车的前后筐里都装满了行李。路灯[文]每隔30m亮起,但天还是黑的。我[章]住的地方距离上班的地方骑车40分[来]钟,由于才九点多,路过的人就很少[自]了。上下线从头顶穿过。由于道路宽[i]度不足5米,为防止发生事故,交通[a]被封锁,只允许行人和自行车通行。[m]

高架轨道下方有空地,空地沿着辅路[k]继续延伸。杂草自由生长。该地区周[.]围拉满了铁丝网,以防止无家可归者[c]进入和非法倾倒垃圾。这是一家铁路[n]公司拥有的土地,大约有10个东京[恐]巨蛋那么大。

这里自古就有一个湖。它在地图上的[怖]出现似乎可以追溯到江户时代。据说[鬼],这是一片沼泽,当人们试图开垦它[故]时,总会引发事故。这导致了开发的[事]延迟。

不仅如此,这条路还流传着令人毛骨[文]悚然的传闻。

早苗飞行得很顺利。

到处张贴着反猥亵的海报。这是一张[章]被无数双手包围的害怕的女人的照片[来]

“我很抱歉骚扰你……嗯?”

远处传来了令人震惊的公告。

``这是警察局。我现年80岁,有[自]痴呆症症状。一名麻风病妇女失踪。[i]他穿着一件白衬衫,戴着一顶黑色棒[a]球帽……”

我听到了他的声音。

“哦,这可是大事。”

这不是别人的问题,因为我在疗养院[m]工作。

“我很担心。”

前轮突然感觉沉重。

“啊?!”

Bokobokobokoboko[k]boko

“嘿,不!”

这是一个朋克。

“说真的?!”

当他被这个公告分散注意力时,他一[.]定是穿过了碎玻璃。当我下车一看时[c],轮胎和内胎都被撕成了碎片。

“Takumoo!”

前后的篮子里装满了大米、酒和洗涤[n]剂等重物。我开始推,但很难增加距[恐]离。

“哦,它不在那里。”

我已经读到一半了。道路正在交叉。[怖]这也是汽车可以行驶的道路。

“修一个漏气的轮胎要多少钱?”

她穿过马路继续前行。前面的,后面[鬼]的,分成左右两部分。

像早苗那样勇往直前的人很少。这是[故]因为前方1公里内没有私人住宅。路[事]灯之间的距离越来越远,黑暗也越来[文]越深。早苗一个人推着自行车走着。[章]

我突然感觉呼吸急促,胸口发闷。

我有一种不好的预感。

一阵奇怪的叫声传入我的耳中。 、哞、哞……

“……哦,这是一只牛蛙?”

响起了哞、哞、哞的大声合唱。

不知不觉间,已经到了牛蛙的季节。[来]杂草丛中可以听到哭声。是从沼泽里[自]来的。它位于后方约100米处,大[i]小相当于一个东京巨蛋。

从这个区域可以看到撕裂的铁丝网。[a]渔民剪断了铁丝网并侵入。指出发生[m]了水事故,但没有采取对策。

牛蛙很可能是一次性孵化出来的,所[k]以肯定有数百只。

其中一个跳到我面前。

“哎呀”

我正要后退,又急忙停了下来。

``⁈''

一条黑色的绳子跟在她身后。

“Kya?!”

这是一条蛇。它大约有1米长,当我[.]追上它时,它咬了我一口。就这样,[c]消失在了草丛中。

``……”

早苗目瞪口呆,目送他离开。就好像[n]我正在见证适者生存或自然法则。

“一点也不......”

我决定休息一下。给你老公排队。

``我轮胎漏气了,我要迟到了。你[恐]可以来接我吗♡''

当我抬头看夜空时,云朵的方向变得[怖]可疑了。还有很长的路要走。我设立[鬼]了一个自行车停放处。我的背已经被[故]汗湿透了。

我能闻到他腋窝的味道。

“……天啊!”

他们来到了地藏堂。我早上和晚上都[事]会看到它,因为我经过它。供奉的地[文]藏菩萨高约1米,雕刻栩栩如生。早[章]苗想,以前肯定发生过不幸,死了很[来]多人。

有这样的事情。如果你看到无头的地[自]藏菩萨,你就会受到诅咒。

我几乎每天都能看到它,但当然头顶[i]从来没有消失过。突然她抬起头来。[a]脖子呢?

“就在那里。”

他的脖子以上都很好。他有着一张温[m]柔的脸,带着温柔的笑容。

没错,我一边点头一边说道。

“是这样吗?”

神社旁边有东西在动。

``⁈''

那是一位穿着白色衣服的老妇人。

“啊”

早苗忍不住叫了一声。我靠着墙坐着[k]。我弯下腰,看着他的眼睛。

“哦,呃,如果呢?”

“...”

“嗯,奶奶?”

“嗯?”

老妇人视力不好,听力似乎也不好。[.]

“你是谁?”

“不,不,我只是路过。嗯,你没有遇到麻烦吗?”

“嗯,我有点迷茫。”

我想一定是那个老太婆宣布的。

“那我们一起回家吧,也许我应该报[c]警。”

装手机的包和行李一起放在自行车上[n]。我站起来把它拿出来。老妪也站了[恐]起来。

“哦,我记得了。”

“ㇵ,嗨?”

“这是我的房子。”

p>

我的手腕被紧紧抓住塔。

“嗯?”

他试图把它拉进铁丝网断裂处的空地[怖]上。除此之外,杂草齐腰高。

“啊,那个?”

她瑟缩了一下,向后退了几步,扭动[鬼]着身体。那一刻,我的目光落入了神[故]殿。

「⁈」

我简直不敢相信我所看到的。

“……!”

地藏菩萨的脖子不见了。

“谎言?!”

这当然发生得更早。然而它却没有头[事],就像被切成了碎片。那个一脸温柔[文]的脑袋去哪儿了?早苗被无头地藏吓[章]坏了,地藏全身似乎都散发着怨恨的[来]气息。

“原来如此……”

我一愣,主动出手。这样,这样,这[自]样,我被拖向草地。

——被诅咒了?!

老妇人把早苗拉得越来越深,无视了[i]杂草。对于一个老人来说,他的力量[a]是难以置信的。

“喂,奶奶,奶奶,嗯,有一辆自行[m]车……”

立交桥下的马路上,路灯的光还亮着[k]。但前方是黑暗。

“奶奶,你要走多远?”

你听到附近有牛蛙的叫声。

“奶奶?!”

很难相信她是一个老人。你真的是人[.]类吗?难道是怪物?一股不寻常的气[c]息从背后飘来,不知不觉间,握住早[n]苗手腕的手上已经出现了鳞片。

“嗨!?”

我浑身发冷,起鸡皮疙瘩。

轰的一声,一只脚掉进了水里。

“!”

在水边。杂草停止了,黑暗在我面前[恐]蔓延。光线微弱,无法看出这是一片[怖]沼泽。空气中弥漫着腐烂植物的气味[鬼]

——到了这个地步。

老妇人的脚步没有停止。

哞,哞。

“奶奶?!”

再这样下去,我就要被拖进去了,我[故]想坚持,但脚陷在泥里,根本停不下[事]来。我试图用空着的左手把老妇人的[文]手扯下来,但我的手指被卡住了,一[章]动不动,就像被机器卡住了一样。

“请停下来,放手!”

如果你不迈出一步,你就会向前摔倒[来]。。水已经齐腰深了。

“救——救救我!”

你要么绊倒,要么掉进深渊。

——被杀了!

早苗绝望地喊道,溺水者要抓住救命[自]稻草。

“我不喜欢!!救救我,救救我,停[i]下来,放开我。”

已经距离岸边5米了。

“你是谁?为什么要这么做?”

他的左手猛烈地拍在水面上,激起水[a]花,泛起涟漪。

“我讨厌它!救救我!!”

老妇人停了下来。

他转过身来,看到了……

“嗨!”

那是一个蛇人。

覆盖着灰白鳞片的皮肤黏糊糊的,闪[m]闪发亮,露出锋利獠牙的表情透露着[k]凶猛残忍的性格。它的暗红色眼睛就[.]像玻璃珠一样。轰的一声,一条巨蛇[c]的尾巴击中了水面。

“Kyaaaaaaaaaaaaa[n]aaa!!”

早苗是一只被蛇瞪着的青蛙。分叉的[恐]舌头进进出出,足以让你晕倒。如果[怖]我失去知觉,我就死了。

“Hiiii”

“嘿,你看到地藏菩萨了,对吧?”[鬼]

“地藏菩萨……?”

``这片沼泽里住着因无辜犯罪而被[故]斩首的人。”

漆黑的水面一片寂静,仿佛在倾听。[事]

“……”

“那个地藏菩萨是为了安息这些人而[文]建的,但是,恩怨还没有消除,直到[章]现在,他们还在心底痛苦地翻滚。沼[来]泽。

“...”

“牺牲残酷的死亡会安慰这些家伙。[自]

“...”

p>

“你是一个牺牲品。”

“不!不,请帮助我。”

更甚的是,他的手指深深地陷进了她[i]的身体,她试图不问就把他拉了进去[a]

“咔啊!!”

就在这时,我听到了水花四溅的声音[m]

``⁈''

当我向岸边望去时,我看到一位老妇[k]人一只脚踩在沼泽里。她是一位80[.]岁左右的女性,穿着白色毛衣,戴着[c]棒球帽。

“救、救救我,救救我!!”

通常情况下,她会注意到早苗的尖叫[n]声和沼泽地里的人影,但她仍然茫然[恐]。我慢慢地把腿抬起来。这名女子被[怖]宣布患有痴呆症。

``我不需要两个人来牺牲。''

``!''

蛇人脸上露出了令人毛骨悚然的笑容[鬼]

“你想被拯救吗?”

“⁈”

“如果你想被拯救,就应该牺牲那个老太婆。”< /p>

“噢,原来如此。”

老妇人正要原路返回。

“我们该怎么办?我要走了。”

火车驶过高架轨道。

“咕咕ㇰ”

“不不!”

牛蛙呜呜呜地叫着,像是在激怒早苗。

蛇人说道。

``我该怎么办?''

生还是死,

别人还是你自己......

“……”

早苗想起了丈夫的脸。

“啊……”

两个孩子也笑了。

“……”

老妇人的背影向后退去。我咬着嘴唇[故]

“那个老太太……”

蛇人在听。

``...''

``...''

``...请牺牲。''

``好吧,我明白了。

突然,手腕上的束缚断裂了,早苗失[事]去平衡,脸朝下掉进了水里。

“Geho”

水面剧烈晃动。

``⁈''

溅起了很大的水花,早苗的头被水淹[文]没了。

“佩佩佩”

“Hihieeeeeeeeee?[章]!”

“!”

当我转身时,我看到了一个蛇人。他[来]正在捆绑一个老妇人。一条大约有1[自]0米长的大蛇的身体暴露在地面上。[i]

“怪物……”

他向后退了一步,同时仍然抱着他。[a]

“怪物!”

我直接把他拉进了沼泽。

“喂、喂!!”

或许是恐惧让他回过神来,他猛烈反[m]抗。然而他根本无法抵挡蛇人,一身[k]水花从早苗身边掠过。老妇人注意到[.]了她,大声叫道。

“救救我!”

他的眼睛因恐惧而睁得大大的,绝望[c]地请求帮助。

就在这时,无数白皙的双手如蒸汽般[n]从水面升起。那是一双白皙的手,就[恐]像几十上百具水尸一样。手腕上下移[怖]动。胸部摇晃着,仿佛在说“来吧,[鬼]来吧!”。

“Kyaaaaaaah!”

我因难以形容的恐惧而低下了脸。

水声特别大。

“……!”

海浪冲击着我的身体。

抬头一看,蛇人和老太婆都不见了。[故]那只白色的手也消失了,只剩下涟漪[事]和牛蛙的声音。

哞,哞,哞。伙计,伙计。

我听到的其中夹杂着嘲笑……

一片嘲讽……

沼泽里布满了成千上万的细小涟漪,[文]是雨。

章,章。

“哈哈哈哈哈哈……”

它终于从沼泽地里升了起来,倒在了[章]草丛里。我大声哭了。

…………

远处传来Line的铃声。

早苗不记得自己是怎么回家的,并向[来]家人坚称自己是从自行车上摔下来的[自]

...呃...呜呜...

几天后,在沼泽岸边发现了一具溺水[i]的女性尸体。据说上面有无数的手印[a]

“我为什么要这么做……”

我是靠抛弃别人才活下来的。即使他[m]是一位患有痴呆症的老人,也不能让[k]他等死。更何况,他还为了自己而牺[.]牲了。她感到懊悔。

-请帮助我!!

老妇人的尖叫声一直萦绕在我的脑海[c]中。

“你这个伪君子!”

早苗在笑,尽管在变成沼泽地的蒲团[n]里一点都不好笑。

咯咯咯咯咯咯笑……


作者:小笠原玄乃
原文:蛇怨沼

「お疲れ様でしたー」

お疲れさまでーす、という声を聞き[恐]ながら君島早苗、40歳は職場の介[怖]護施設を後にした。残業で夜の8時[鬼]を回っている。彼女はこの仕事が好[故]きだった。利用者を笑顔にする時や[事]りがいを感じるからだ。

まだ7月に入ったばかりだが酷い暑[文]さだ。夜になっても気温と湿度が高[章]かった。

駅前のイオンに自転車を走らせた。[来]ショートヘアが風になびく。

「う~、ベタベタする~。早くシャ[自]ワーを浴びたい」

彼女はどこにでもいるような普通の[i]主婦だ。童顔なのでラフな服装をす[a]ると年よりもずっと若く見えた。家[m]族は旦那と小学生の子供が2人いる[k]。今日は遅くなるからと夕飯にはカ[.]レーとサラダを用意しておいた。

早苗は今の生活にはそれなりに満足[c]している。スピリチュアルな事とは[n]無縁だ。怖話、ホラー、心霊スポッ[恐]トなど、むしろ遠ざけていた。

だが今夜は恐ろしい事態に陥る事に[怖]なる。

ゴーッと高架線を列車が通り過ぎた[鬼]

早苗は自転車の前後のカゴに目一杯[故]荷物を乗せ、高架下の側道を走って[事]いた。街路灯は30m間隔で点いて[文]いるがやはり暗い。住まいは職場か[章]ら自転車で40分、まだ9時を過ぎ[来]たばかりなのでわずかながら人通り[自]はあった。上下線がゴーッと頭上を[i]通り過ぎてゆく。幅員が5mに満た[a]ない道路のため事故防止の観点から[m]車止めが施され、歩行者と自転車し[k]か通れなかった。

高架下は更地で、側道に沿って空き[.]地が続いている。雑草が伸び放題だ[c]。ホームレスが入れないように、ま[n]た不法投棄をされないように有刺鉄[恐]線が延々と張り巡らしてあった。東[怖]京ドーム10個分くらいの鉄道会社[鬼]の土地だった。

ここには昔からの湖沼もあった。地[故]図に現れたのは江戸時代にまで遡る[事]らしい。埋め立てようとすると必ず[文]事故が起こる曰くつきの沼だ。それ[章]が開発の遅れをもたらしていた。

それだけでなくこの道にも不気味な[来]噂があった。

早苗は快調に飛ばしていた。

所々に痴漢対策ポスターが貼ってあ[自]る。女性が無数の手に囲まれ怖がっ[i]ている絵だ。

「痴漢なんてごめんだわ………ん?[a]

遠くから音が割れたアナウンスが流[m]れてきた。

『こちらは警察署です。現在、認知[k]症の症状がある80歳くらいの婦人[.]が行方不明となっています。白いシ[c]ャツに黒い野球帽を被り……』

と耳に届いた。

「あら、大変」

介護施設に勤めているだけに他人事[n]ではなかった。

「心配だわ」

急に前輪が重くなった。

「あ⁈」

ボコボコボコボコ

「ちょっとヤダ!」

パンクだ。

「マジ⁈」

アナウンスに気を取られていた時、[恐]割れたガラスを踏み抜いたのだろう[怖]。降りて見てみるとタイヤとチュー[鬼]ブがズタズタだった。

「たくもお!」

前後のカゴには米やワイン、洗剤な[故]ど重量物が詰まっている。押し歩き[事]を始めたが距離はなかなかはかどら[文]なかった。

「ああ、ついていない」

中間あたりまで来た。道路が横切っ[章]ている。車も走れる道だ。

「パンク修理いくらかしら?」

彼女は横断して進んだ。先にいた人[来]、後ろから来ていた人、彼らは左右[自]へと分かれていく。

早苗のように前へ行く人はほとんど[i]いない。何故ならこの先1キロは民[a]家がないからだ。街路灯の間隔も長[m]くなり暗さが増した。早苗は1人自[k]転車を押し歩いた。

不意に息苦しさを覚え、胸がざわつ[.]く。

不吉な予感がした。

奇妙な鳴き声が耳に届いた。、モォ[c]ウ、モォウ……。

「……ああ、ウシガエルか」

モォウ、モォウ、モォウと大合唱だ[n]

いつの間にかウシガエルの季節だっ[恐]た。鳴き声は雑草の向こうから聞こ[怖]えてくる。例の沼からだ。100m[鬼]ほど奥にあり、東京ドーム1個分の[故]広さがある。

この辺から有刺鉄線の破れが目立つ[事]。釣り人が鉄条網を切って不法侵入[文]するのだ。水難事故が指摘されたが[章]対策は施されていなかった。

ウシガエルはおそらく一斉に孵化し[来]たのだろう、何百匹といるに違いな[自]い。

その一匹が目の前に飛び出した。

「げ」

引きそうになって慌てて止まる。

「⁈」

その後を黒い紐がスルスルと追って[i]きた。

「キャ⁈」

蛇だ。1メートルくらいの大きさだ[a] 追いつきばくりと噛みついた。その[m]ままスルリと草むらに消えて行った[k]

「……」

早苗は唖然として見送った。弱肉強[.]食、あるいは大自然の摂理を見るか[c]のようだった。

「まったく……」

一息入れる事にした。旦那にライン[n]をする。

『パンクしちゃったわ、遅くなる。[恐]迎えに来てもいいわよ♡』

夜空を見上げると雲行きが怪しくな[怖]ってきた。先はまだ長い。自転車の[鬼]スタンドを立てた。背中が汗びっし[故]ょりだ。

わきの下の匂いを嗅いだりした。

「………やれやれ」

地蔵堂まで来た。通り道だから朝に[事]夕に見かけている。祀られている地[文]蔵は背が1mくらいあり細部まで彫[章]り込んだリアルな物だ。昔ここで多[来]くの人が亡くなる不幸があったのだ[自]ろうと早苗は思った。

こんな曰くがあった。もし首のない[i]地蔵を見たら、

「呪われる………」

毎日のように見かけるがむろん首か[a]ら上が消えた事はない。ふと彼女は[m]目を向けた。果たして首は?

「あるじゃン」

首から上はちゃんとあった。穏やか[k]な笑みをたたえている優しい顔だ。[.]

そりゃそうよね〜と一人うなずいた[c]

「アレ?」

祠の横で何かが動いた。

「⁈」

白装束を着たお婆さんだった。

「あ」

早苗は声をかけずにはいられなかっ[n]た。壁によりかかり座っている。し[恐]ゃがんで目線を合わせた。

「あ、あの、もし、もし?」

「……」

「あの、お婆ちゃん?」

「はぃ?」

老婦人は目が悪く耳が遠いようだっ[怖]た。

「どなたさんじゃったかのぉ?」

「い、いえ、近くを通りかかった者[鬼]です。あの、お困りじゃないですか[故]?」

「ぅんむ、ちと迷おてしもぉてのぉ[事]

やはりアナウンスされていたお婆さ[文]んに違いないと思った。

「じゃあ、私として一緒に帰りまし[章]ょう。あいえ警察に通報した方がい[来]いかな」

携帯の入ったバックは荷物と一緒に[自]自転車にある。取り出そうと立ち上[i]がった。老婦人も続いて立つ。

「おー思い出したわい」

「ㇵ、ハイ?」

「こっちじゃ、こっちにあたしの家[a]があるんじゃった」

ガシッと手首を掴まれた。

「え⁈」

有刺鉄線が切れたところから空き地[m]の中へ引っ張って行こうとする。そ[k]の先は雑草が腰の高さまで伸びてい[.]た。

「ああのえっそっち?」

尻込みして2,3歩後ずさりし、逆[c]らい身体を捻った。その時、祠の中[n]に目が行った。

「⁈」

見た物が信じられなかった。

「……!」

地蔵の首から上がなかったのだ。

「嘘⁈」

さっきは確かにあった。だが今スパ[恐]ッと切られたように頭がないのだ。[怖]あの優しい顔をした頭部はどこへい[鬼]った? 全身から恨みのオーラを噴き出して[故]いるような首無し地蔵、早苗は恐怖[事]した。

「そんな………」

唖然とした隙に主導権を取られた。[文]こっちじゃこっちじゃとグイグイと[章]草むらへ引っぱられて行く。

―呪われる⁈

老婆は雑草をものともせずに早苗を[来]奥へ奥へと引いていく。老人とは思[自]えない力だ。

「ちょっとお婆ちゃん、お婆ちゃん[i]。あの、自転車が……」

高架下の道から街路灯の光はまだ届[a]いていた。しかしこの先は闇だ。

「お婆ちゃん、どこまで行くの!」[m]

モォウ、モォウとウシガエルの鳴き[k]声がすぐそばで聞こえてくる。

「お婆ちゃん⁈」

老人とは思えない力だ。本当に人間[.]か? もしや物の怪では⁈ 後ろ姿から尋常でない気配が漂い、[c]早苗の手首を掴んでいる手にはいつ[n]の間にか鱗が浮いていた。

「ひ⁈」

ゾッとして鳥肌がたった。

じゃぶん、と片足が水に落ちた。

「!」

水辺だ。雑草が途切れ目の前には暗[恐]黒が広がっていた。かろうじて明か[怖]りが届き、沼だと分かる。植物の腐[鬼]敗臭が漂った。

―そんな、こんなところまで。

老婆の足は止まらない。

モォウ、モォウ。

「お婆ちゃん⁈」

このままじゃ引きずり込まれる、踏[故]ん張ったがぬかるみに足を取られ踏[事]みとどまることができない。自由の[文]利く左手で老婆の手をはがそうとし[章]たが、指ががっしりと食い込み機械[来]に挟まれたようにビクともしない。[自]

「止めてください、離して!」

足を踏み出さなければ前のめりに倒[i]れてしまう。すでに腰の高さまで水[a]に浸かっていた。

「た、助けて!」

つんのめって転ぶか、深みで溺れる[m]か。

ー殺される!

溺れる者は藁をもつかむという、早[k]苗は必死に呼びかけた。

「嫌!! 助けて、助けて止めて離して」

岸からすでに5mは離れていた。

「あなたは誰なの⁈ 何故こんなことをするの?」

左手で水面を激しく叩き水しぶきが[.]上がり波紋が広がった。

「嫌ーっ! 助けてー!!」

老婆が止まった。

クルリと振り向いたその顔は……、[c]

「ひい!」

蛇人だ。

灰色の鱗に覆われた皮膚はヌメりと[n]光り、鋭く尖った牙をむき出しにし[恐]た表情は凶暴な性格と残忍な性格が[怖]伺えた。赤黒い目はガラス玉のよう[鬼]だ。バシャっと巨大な蛇の尻尾が水[故]面を叩いた。

「キャアァァーー!!」

早苗は蛇に睨まれた蛙だった。チョ[事]ロチョロと出し入れする二股の舌、[文]それだけでも卒倒しそうだ。気を失[章]っていたら死んでいただろう。

「ひいぃぃ」

「おむえ、地蔵を見ただろう」

「じぞ……?」

「この沼には無実の罪で斬首された[来]者達が沈んでいるのだ」

暗黒の水面は聞き耳を立てるように[自]静まり返っていた。

「……」

「あの地蔵はこいつらを鎮魂するた[i]めに建てられた。しかし恨みが晴れ[a]たわけではない。沼の底で今でも苦[m]しみ悶えている」

「……」

「贄の無残な死がこいつらの慰めに[k]なるのだ」

「……い」

「おむえは贄だ」

「いやっ! いやよ、助けて」

更に指が食い込み有無を言わさず引[.]きずりこもうとした。

「キャアー!!」

その時、バシャっと水音がした。

「⁈」

岸を見ると老婦人が片足を沼に落と[c]していた。白いセーターを着て野球[n]帽を被った80歳くらいの婦人だ。[恐]

「た、助けて、助けて!!」

早苗の悲鳴と沼の中の人影に普通は[怖]気がつくはずなのだが、彼女はボッ[鬼]ーとしたままだ。ゆっくりと足を引[故]き上げた。認知症とアナウンスがあ[事]ったのはこの婦人だった。

「贄は2人もいらない」

「!」

蛇人に薄気味悪い笑みが広がった。[文]

「助かりたいか?」

「⁈」

「助かりたければおむえはあのばば[章]あを贄にするがいい」

「そ、そんな」

老婦人は来た道を戻ろうとしていた[来]

「どうする? 行ってしまうぞ」

高架の上を列車が走って行った。

「ククㇰ」

「い、いやあぁぁー!!」

モォウ、モォウとウシガエルが早苗[自]を煽るように鳴く

蛇人は言った。

「ククㇰッどうする?」

生きるか死ぬか、

他人か己か……。

「……」

早苗は旦那の顔を思い出した。

「あ……」

二人の子供の笑顔も浮かんだ。

「……」

老婦人の背中が遠ざかっていく。唇[i]を噛んだ。

「あのお婆さんを……」

蛇人は聞いていた。

「……に」

「……」

「……贄にしてください」

「よおし分かった」

不意に手首の戒めが解け早苗はバラ[a]ンスを崩して、顔から水に突っ込ん[m]だ。

「げほ」

水面が激しく揺れた。

「⁈」

大きな水しぶきが上がり早苗は水を[k]頭から被った。

「ぺっぺっぺ」

「ひっひええええぇぇぇー⁈」

「!」

振り返ると蛇人が老婦人を羽交い締[.]めにしていた。10mはあろうかと[c]いう大蛇の胴体を地上にさらけ出し[n]ている。

「化け物……」

抱きかかえたまま後ずさりをしてく[恐]る。

「化け物!」

蛇沼泽 日本恐怖故事

じゃぶんっと沼に引っ張り込んだ。[怖]

「ひ、ひいいぃぃー!!」

恐怖で正気に戻ったのか、激しく抵[鬼]抗した。だが蛇人に抗えるはずもな[故]く早苗の横を水しぶきを上げて通り[事]過ぎて行く。老婦人は彼女に気付き[文]声を上げた。

「たっ助けてええぇぇぇ!」

恐怖に見開かれた眼は必死に助けて[章]を求めていた。

その時、水面から湯気のように白い[来]手が無数に立ち上った。何十、何百[自]という水死体のような白い手だ。手[i]首が上下にゆっくりと『おいでおい[a]で』をするようにとユラユラ揺れて[m]いる。

「キャァアアアーー!」

名状しがたい恐怖に顔を伏せた。

ドボン、とひときわ大きな水音がし[k]た。

「……!」

チャプチャプと波が身体に当たる。[.]

顔を上げるとそこには蛇人も老婦人[c]もいなかった。白い手も消え、波紋[n]とウシガエルの鳴き声だけが残った[恐]

モォウ、モォウ、モォウ。チャプ、[怖]チャプ。

それに混じり聞こえてきたのは嘲笑[鬼]……。

渦を巻くような嘲笑……。

幾千もの小さな波紋が沼に満ちた、[故]雨だ。

チャプ、チャプ。

「ハアハアハア……」

ようやく沼から上がり草むらに崩れ[事]落ちた。さめざめと泣いた。

…………

遠くでラインの着信音が鳴っていた[文]

早苗はどうやって帰ったのか覚えて[章]おらず、家族には自転車で転んだと[来]言い張った。

……うっ……ぅぅ……

数日後、沼のほとりで女性の溺死体[自]が発見された。無数の手の跡がつい[i]ていたという。

「なんで私があんな目に……」

人を見捨てて自分は生き残った。認[a]知症の老人とはいえ見殺しにしてい[m]いはずはない。ましてや自分のため[k]に生贄にしたのだ。彼女は自責の念[.]に駆られた。

ーたっ助けてえぇぇぇー!!

老婦人の絶叫が頭から離れなかった[c]

「この偽善者め」

沼のようになった布団の中でおかし[n]くもないのに早苗は笑っていた。

クスクス、クスクスクス……。

日本日文kowabana
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