【第七大奇迹】猫

iamk 日本恐怖故事 2024-01-10 21:00:01 350 0

那是一个春天的一天,我刚加入文学社,也就是七大奇迹社。

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我有慢性鼻炎和花粉症,然后我尽职[文]尽责地去了俱乐部。

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推开社团室的门,我看到学长——文[章]艺社社长——脸朝下趴在靠窗的一张[来]旧桌子上。

她所在的地方,正好是昏暗的会所里[自]唯一的阳光,经理那披散在办公桌上[i]的黑色长发,在午后温柔的阳光下闪[a]闪发亮,仿佛在发光。

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会所里睡美人的脑袋旁边,有一个小[m]小的黑影。

头部有两个与众不同的三角形。

由柔和的曲线组成的形式。

终于,两只眼睛从阴影中浮现。我睁[k]开眼睛。

是一只黑猫。

我站在社团门口,盯着猫看了一会儿。

两只琥珀色的眼睛,在夜色中飘荡。

不知为什么,我的视线无法从那双仿佛要吸进我的眼睛上移开。

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我这样做多久了?

看似很长一段时间,却可能是一瞬间[.]

一阵大风从窗外吹过,吹得窗帘飘动[c]

被风吹醒,导演伸了个懒腰,然后起[n]身。

“呼……乌鸦,你来了吗?”

注意到坐在办公桌上的黑猫,小声开口。

然后他看到我站在社团门口,打了个哈欠,“哦,你也来了。”

说起猫的时候感觉就像被人说了一样[恐],百感交集。

“老大,我觉得那只猫是从窗户进来[怖]的,要不要我把它踢出去?”他说,[鬼]从旁边站起来他的座位,开始在架子[故]后面翻找。

转身的时候,她抱着我发现的是一盒[事]猫粮和一个塑料喂食盘。

他在脚边放了一个盘子,里面装满了[文]粗糙的干猫粮。

猫听到声音,悄无声息地从书桌上滑[章]落下来,靠在了她的腿上。

“请吃饭。”

不等导演这么说,黑猫缓缓把头伸进[来]盘子里,上菜了。我开始吃鱼饵了。[自]

不执着。乖乖的。

“老大,这是什么猫?老大有一只吗[i]?”

学校社团?我也是这么想的,但我会[a]问。

“不是,这小子时不时就这样出现,[m]基本上应该是流浪狗。”你看起来营[k]养很好。

我恨死他了,打了他一巴掌,说:“但是做黑猫很容易,不是吗?>

”不不不,不是Kuro,是Crow,取自英文单词“crow”,“稻田”。

乌鸦终于把盘子倒空了,跳到导演腿上,蜷缩在椅子上。

羡慕你能独占美女的膝盖。我不知道[.]他是男的还是女的。

“那是一只厚颜无耻的猫……”

反映内心扭曲的话语让我的嘴巴跟着[c]我。

“不能这么说,就算你是猫,这小子[n]在这个社团里也比你我大。”

尤其是在七大奇迹里。导演一边抚摸[恐]着Crow的肚子,一边喃喃自语。[怖]它看起来很柔软。

突然,他一脸若有所思地看着我。

“是的,你今天晚些时候有空吗?”[鬼]

“嗯?嗯,是的……”

我勉强同意了突如其来的问题。

“好的,指挥官。

今天,跟着Crow在镇上转转吧。[故]

这里。说到这里的时候,指挥官叫醒[事]他腿上的猫。

乌鸦一脸不悦的看着那只手。伸个懒[文]腰,起身。

“咦?追他?怎么又来了?

还有你要追我多久?”

”你问了很多问题,即使你是男孩。[章]这样,你会更好地了解他。

多久?--直到你看到他身体的明显变化。" < /p>

导演哼了一声,拿起乌鸦,走到打开[来]的窗前。

把猫放在窗台上,把它的屁股往外推[自]

最后,猫跳到外面的树枝上不见了。[i]

是的,欢迎回来。

嘿,Crow走了吗?

顺便说一句,如果我找不到乌鸦,我[a]会被判半夜睡墓地。”

我冲出了社团室。

我被他漂亮的外表骗了,但他可能出奇的虐待狂。

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我慌忙换了鞋就往外冲,没想到一下子就发现了乌鸦。

我坐在校门的门柱旁,抬头望着回家的同学们。

然后,当他看到我时,他转过身,慢[m]慢地走了起来。

不知你是否在等我。

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当我听说猫尾随我时,我准备做出一[k]些不可理喻的事情。

毕竟是动物。

我以为可以来一场拼死追逐的戏,比[.]如被强行踩在栅栏上,或者未经允许[c]穿过私家花园。

然而,乌鸦却意外地在人行道上缓慢[n]前行,时不时停下来。

他似乎并不介意我跟着他。

不过,从外面看,这张照片一定很可疑,因为那是一个戴着面具的男学生,他在跟踪猫。

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乌鸦最终在一个小商业区的鱼贩面前停了下来。

坐在店后用脑袋划船的老掌柜,听到乌鸦的叫声,干巴巴的说道:“啊,元太!你来了!”我打电话给

然后端出满满一盘生鱼片,放在店门[恐]口。

乌鸦吃个精光,被主人抚了一阵后背[怖],突然离开了鱼贩。

伴随着掌柜一句“再来一次”的声音[鬼],你开始走路了。

为了避免被鱼贩起疑,我假装路人继[故]续追击。

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穿过商圈,走上居民区的斜坡,来到[事]了一处风景不错的地方。

那是一个很大的墓地。

无数大大小小的墓碑和佛塔。

狭窄的鹅卵石通道在它们之间像迷宫[文]一样运行。

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墓地里,弥漫着午后的阳光,看上去[章]一点也不可怕。

四周香火缭绕。

乌鸦滑过墓碑。

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我在黑猫的带领下继续前行,在墓地的一角有一处地方,长着一棵高大的老樱桃树。花儿已经完全落尽,只剩下落叶的樱花。

老树脚下,阳光明媚,有5-6只猫穿着它们最喜欢的衣服。众所周知,我想知道这是不是猫的聚集地。

乌鸦也加入了圆圈,蜷缩起来。我从[来]远处的墓碑后面看着它。

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猫不是在玩耍,它们在做自己的事情。

我闭上眼睛,想打哈欠,然后用后背在地上蹭来蹭去。

偶尔有人会说“nah”,有人会回说“knee”。

光是看着就想睡觉的景象。

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我在那里呆了十五分钟吗?

就在我蹲下来咬着哈欠的时候,乌鸦[自]突然站了起来,慢慢的走了起来。

把你的脚步声调小,跟着他们走,以免惊吓到猫。

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然后乌鸦我瞎逛周围各个地方。

古老的神社、镇上最大的医院、派出所、隔壁镇新开的弹珠机店、养老院等等。

猫在那些地方停了下来,盯着什么东西或蜷缩起来。

各种人都叫他不同于乌鸦的名字,他甚至还喂他吃东西。

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太阳越来越低。

虽然在不同寻常的向导的带领下在小镇里转转很有趣,但我还是没能完成导演最初说的命令。

不知道我的身体会不会有明显的变化[i]

你能看到哪些变化?我没有被教过。

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分叉的尾巴?

突然后腿站立你想开始用脚走路吗?[a]

你开始说人类语言了吗?

或者变身成猫耳少女——

……我没有那样的爱好,也不知道C[m]row是男是女. 不。

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当我们接近我们最初离开的高中附近[k]的铁路道口时,夜幕已经降临。

最后竟然是一个圆圈,包括邻近的小[.]镇。

当时我都快要放弃了,想着会不会被[c]处罚。

“喵呜呜呜呜”

长长的沙哑声音在四周响起。

“——乌鸦?”

黑猫一转身

“啊……”

我忍不住提高了声音。

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两只眼睛如夜色中的明珠。

右眼是琥珀般的清澈黄色。

还有她的左眼——

它变成了清澈的蓝色,像靛蓝色。

今天看了一整天。的确,直到刚才,[n]双眼都是黄色的。

这是一个可见的变化吗?

但这到底是怎么回事?那位科长特意[恐]吩咐我跟在他后面,让我看看。

这还不是全部。前面一定有东西。

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乌鸦开始在铁路道口下疯狂地移动。[怖]

原地画圈走走,或者盯着大门。

突然,他一脚离地开始奔跑。

我争先恐后的跟上。

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一轮朦胧的月亮挂在天空。

白天的暖和似乎已经完全逸散到天空中,夜底凉凉的。

一只黑猫在奔跑。自己追。

我奔跑时眼睛盯着黑猫,这样我就不[鬼]会在黑暗中看不到它。

穿过鱼贩林立的商业街,沿着通往白[故]天没有停留的居民区的道路前行。

运行。

运行。

运行。

运行。

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乌鸦在一栋民宅前停了下来。

稍后我会赶上。

那是一栋很普通的二层小房子。

在门柱上,有一个铭牌,上面写着“斋藤”。

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乌鸦盯着窗外透进来的光。

仿佛在那道光的另一边等待着什么人[事]

然后,黑猫

“唔……”

很快。

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不知道为什么,这个声音让我胸口一[文]紧,不自觉地叫出了Crow的名字[章]

那只猫跳上门柱,看了我们一眼,消[来]失在小巷的另一边。

他转身的时候,双眼都是琥珀色的。

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在回家的路上,我慢慢走到了铁路道口的前面。

当我正要穿过铁路道口时,道闸机随着康康康的警告声降了下来。

正当我站定不动的时候,一列火车呼啸着从我面前驶过。

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我在火车内看到了灯光。

栅栏旁边放着一束新鲜的鲜花。

还有一块牌子告诉我们这里发生了事[自]故。

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XX年4月,住在附近的Chiho[i] Saito(8岁)在铁路道口发生[a]事故身亡。

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说猫有九条命,对吧?

长期以来,人们都说猫有很多灵魂。[m]

我不知道这是不是真的--但是。

也许猫的身体比人类和其他生物具有[k]更大的灵魂容量。

这意味着它的宽度足以同时容纳其他[.]灵魂。

我想知道人类是否是通灵媒介。

有时猫会盯着空旷的地方或仔细听,[c]不是吗?

那时,他们可能会感觉到一些我们看[n]不到或听不到的东西。

乌鸦比普通的猫强多了。

我也是跟前辈学的。

那位学长也听了早先的一位学长说。

“尊重前辈?”

主任笑道。

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那是黄金周后的一天,我患有慢性鼻炎和花粉症的脸上大面膜消失了。

放学后,我尽职尽责地去了社团活动室。

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当我打开社团室的门时,发现那张洒[恐]满阳光的旧办公桌上,本该在的地方[怖]并没有经理。

既然窗户是开着的,他现在应该是刚刚来到社团室,才离开座位的。

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代替主任的地方,桌子上站着一个小[鬼]小的黑影。

是乌鸦。

它是背光的,我分不清我是面向后还[故]是面向前。

「――乌鸦」

我一叫,他就转过身来。看来他是背对着的。

两只如宝石一般的眼睛,在夜色中飘荡。

右眼是清澈的琥珀色。

还有她的左眼——

是靛蓝。

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我深吸了一口气。

还有喃喃自语。

“乌鸦,你现在是谁——?”稻田。


作者:綿貫一
原文:【セブンスワンダー】猫

これは、俺が文芸部――またの名を七不思議部――に入部したばかりの、ある春の日のことである。

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慢性鼻炎にして花粉症体質の俺は、その日、顔が半分すっぽり隠れるマスクをして、鼻をグスグス言わせながらも、放課後になると律儀に部室へと足を運んだ。

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部室のドアを開けると、窓際の古ぼ[事]けた机に突っ伏して眠る先輩――文[文]芸部の部長――の姿があった。

彼女のいるその場所はちょうど、薄暗い部室の中で唯一の陽だまりになっていて、机の上に広がった部長の長い黒髪は、午後の穏やかな陽射しを受けてキラキラと光って見えた。

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そんな部室の眠り姫の頭の横に、ち[章]ょこんと立つ黒い小さな影があった[来]

頭には特徴的な二つの三角型。

なだらかな曲線で構成されたフォル[自]ム。

やがて影の中から二つの目が現れた[i]。目を開いたのだ。

黒猫だった。

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俺は部室の入口に立ったまま、しば[a]し猫と見つめあった。

夜に浮かぶ、琥珀のような黄色い二[m]つの目。

吸い込まれそうなその瞳に、なぜか視線がそらせなかった。

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どれくらいの時間そうしていただろ[k]うか。

長いようで、実際は一瞬のことだっ[.]たのかもしれない。

窓から少し強い風が吹いてきて、カ[c]ーテンをふわりと大きくなびかせた[n]

その風に目を覚ました部長が小さく伸びをしてから体を起こす。

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「ん......クロウ。来てたん[恐]だ?」

机の上に座る黒猫に気づいて、部長[怖]が優しげに声をかける。

それから部室の入口に立ったままの[鬼]俺に気づいて、「ああ、君も来てた[故]んだ」とあくび混じりに言う。

なんだか猫のついでに言われたようで複雑な気分になった。

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「部長、その猫、窓から入って来ち[事]ゃったんだと思うんですけど、追い[文]出しますか?」と俺が尋ねると、部[章]長は「ううん、大丈夫」と言って席[来]を立ち、棚の後ろをゴソゴソ探り始[自]めた。

振り返った彼女が手にしていたのは[i]、キャットフードの箱と、プラスチ[a]ックのエサ皿だった。

そして皿を足元に置いて、その中に[m]ザラザラと乾燥したキャットフード[k]を入れていく。

猫はその音を聞くと、机の上から音もなくするりと降りて、彼女の足に身体をすり寄せた。

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「どうぞ。お食べ」

部長のその言葉を待ってから、黒猫[.]はゆっくり皿に頭をつき入れ、振舞[c]われたエサをカツカツやり始めた。[n]

がっついていない。行儀がよい。

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「部長、この猫はなんなんです?部[恐]長が飼ってるんですか?」

学校の部室で?とも思ったが、一応[怖]訊いてみる。

「ううん。この子はたまにこうして[鬼]フラリと現れるの。基本は野良のは[故]ずだよ」

それにしては毛並みが良い。栄養が足りているようだ。

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「でも、黒猫でクロってのは安直で[事]すね。文芸部なら一捻りほしかった[文]な」と俺が憎まれ口を叩くと、

「違う違う、クロじゃなくてクロウ[章]、英語の『crow』【 カラス】から取ってるんだよ」文芸[来]部ならちゃんと聞き分けて気づいて[自]ほしかったな、と逆に一捻りにされ[i]てしまった。

やがて皿を空にしたクロウは、椅子[a]に座った部長の膝の上に飛び乗り丸[m]くなった。

美人の膝を独占できるとはうらやましい。奴がオスかメスか知らないが。

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「図々しい猫ですね……」

心の中のひがみが反映されたような[k]セリフが、俺の口をついて出る。

「だめだよ?そんなこと言っちゃ。[.]いくら猫でも、この子はこの部では[c]君や私より古株なんだから」

特に七不思議の方で、とクロウのお[n]腹を撫でながら部長がつぶやく。柔[恐]らかそうだ。

そして不意に、何か思いついた顔でこちらを見た。

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「そうだ。君、今日この後時間ある[怖]?」

「え?まあ、はい……」

唐突な問いかけに思わず首肯する。

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「じゃあ、部長命令。

今日、これからクロウの後をついて[鬼]町を歩いていらっしゃい」

ほれほれ、と言いながら、部長は膝[故]の上に乗った猫をゆり起こす。

クロウは不機嫌そうな顔でその手を見た。大きく伸びをして起き上がる。

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「ええ?そいつの後をですか?なん[事]でまた?

それに、いつまで追っかけろってい[文]うんですか?」

「男の子なのに質問が多いなあ。そ[章]うすれば、この子のことがよくわか[来]るからだよ。

いつまでって?――この子の身体に見てわかる変化が起きるまで、かな」

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部長は意味不明なことを言いながら[自]、クロウを持ち上げ、開け放たれた[i]窓辺へと歩いて行く。

窓の桟(さん)のところに猫を置く[a]と、ぐいぐいとお尻を押すように外[m]へと促す。

やがて猫は外の木の枝へと飛び移り、姿を消した。

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「はい、いってらっしゃーい。

ほらほら、クロウ行っちゃったよ?[k]君もすぐに昇降口から追いかけない[.]と見失っちゃうよ?

ちなみに、もしクロウを追跡できな[c]かったら、深夜墓地野宿の刑(連泊[n])だからね」

俺は慌てて部室を飛び出した。

綺麗な見た目に騙されていたが、あの人は意外とドSなのかもしれない。

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大慌てで靴を履き替え、外へと飛び[恐]出した俺だったが、意外にもクロウ[怖]はすぐに見つかった。

校門の門柱の脇に、ちょこんと座っ[鬼]て下校する生徒たちの姿を見上げて[故]いたのだ。

そして、俺の姿を認めると、背を向[事]けてゆっくり歩きはじめた。

俺のことを待っていてくれたのだろうか。

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猫の尾行と聞いて、俺はさぞかし無[文]茶なことをやらされるものと身構え[章]ていた。

なにせ相手は動物なのだ。

塀の上を歩かされたりとか、民家の庭を無断で通り抜けたりとか、そんな決死の追跡劇もあり得る、と思っていた。

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だが、意外にもクロウは時々立ち止[来]まりながら、歩道をゆっくりと進ん[自]でいく。

俺が後ろをついて歩くことも、気に[i]している様子はない。

しかしはたから見たら、マスクで顔を隠した男子学生が猫を尾行しているわけで、怪しい絵面ではあっただろう。

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やがてクロウは、小さな商店街の魚[a]屋の前で足を止めた。

店の奥で座って、頭で船を漕いでい[m]た初老の店主は、クロウの鳴声に気[k]付くと「おお、ゲンタ!来たのか」[.]と枯れてドスの効いた声で呼びかけ[c]た。

そして刺身の切れ端を盛った皿を持ってきて、店先に置いた。

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クロウはそれをペロリと平らげると[n]、しばらく店主に背中を撫でられて[恐]いたが、やがてふいと魚屋を離れた[怖]

店主の「また来いよ」という声を背[鬼]に歩き出す。

俺も魚屋に怪しまれないよう、ただの通行人のふりをして追跡を再開する。

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商店街を抜け、住宅街の坂を上ると[故]、見晴らしのよい場所に出た。

そこは広い霊園になっていた。

無数に立ち並ぶ、大小様々な墓石と[事]卒塔婆の群れ。

その間を細い石畳の通路が迷路のように走っている。

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午後の光に満ちた墓地は、おどろお[文]どろしい気配など全くなく、ヒラヒ[章]ラとモンシロチョウが飛び交う様子[来]は、実にのんびりとしたものだった[自]

線香の香りが辺りを包んでいる。

クロウは墓石の間をスイスイと進んでいく。

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黒猫に導かれるままに進んでいくと[i]、霊園の片隅に大きな桜の老木が生[a]えている場所があった。花はすっか[m]り散って、葉桜になっている。

老木の足元は陽だまりになっており[k]、そこには5~6匹の猫たちが思い[.]思いの格好で群れていた。俗に言う[c]、猫の集会場という奴だろうか。

クロウはその輪の中に加わると、丸くなった。俺は少し離れた墓石の陰からそれを眺めた。

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猫たちはじゃれあうわけでもなく、[n]各々気ままに振る舞っている。

目をつぶっていたり、あくびしてみ[恐]たり、背中を地面にこすりつけてい[怖]たり。

たまに誰かが「ナー」と鳴き、誰か[鬼]がそれに「ニー」と返す。

見ているだけで眠気を誘われる光景だった。

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15分ほどその場にいただろうか。[故]

しゃがみこんであくびをかみ殺して[事]いると、クロウはおもむろに起き上[文]がり、ゆっくりと歩き始めた。

猫たちを驚かさないよう、足音を殺してその後を追う。

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その後クロウは、様々な場所を歩き[章]回った。

古い神社、町一番の大病院、交番、[来]隣町に最近開店したパチンコ屋、老[自]人ホームなどなど。

猫はそれらの場所で立ち止まってじ[i]っと何かを見ていたり、丸くなった[a]りした。

色々な人間にクロウとは違う名前で呼ばれ、エサをもらったりもしていた。

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日はどんどん傾いていく。

一風変わった道案内にまかせて町を巡るのもそれはそれで面白かったが、当初部長が言っていた指令をまだ完遂できていない。

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『身体に見てわかる変化が出るまで[m]かな――』

だいたい見てわかる変化ってなんなんだ?俺はそれを教えてもらっていない。

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尻尾が二股に裂ける、とか?

急に後ろ足で立って、二足歩行を始[k]めるとか?

人語を話し始めるとか?

はたまた、猫耳の少女に変身すると[.]か――

......俺にそんな趣味はないし、クロウがオスかメスかも俺は知らないのだ。

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はじめに出発した高校近くの踏切に[c]差し掛かった頃には、辺りは宵闇に[n]包まれていた。

結局、隣町まで含めてぐるりと一周[恐]してきた形になる。

罰ゲームを受けるハメになるんだろうかと、半ばあきらめかけていた、その時だった。

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shake

「ニャーーーーオウゥゥゥーーーー[怖]ーーー」

長い、しわがれた声が辺りに響いた。

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「――クロウ?」

踏切の遮断機の脇、街頭の明かりの[鬼]下に佇む小さな影。

黒猫がこちらを振り返ったとき、

「あっ……」

俺は思わず声をあげた。

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夜に浮かんだ宝石のような二つの目[故]

右目は琥珀のような澄んだ黄色。

そして左目は――、

藍玉(らんぎょく)のように、澄んだブルーに変わっていた。

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今日一日、ずっと見てきたのだ。確[事]かについさっきまで両目とも黄色だ[文]った。

これが見てわかる変化、なのだろう[章]か。

だが、これが一体なんだと言うのだ[来]ろう?あの部長が、俺にこれを見せ[自]るために、わざわざ尾行を命じたの[i]だ。

これだけじゃない。この先がなにかがあるはずだ。

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クロウは踏切の下で、慌ただしく動[a]き始めた。

その場でクルクル円を描いて歩いて[m]みたり、遮断機をじっと眺めてみた[k]り。

そして突然、地面を蹴って走り出し[.]た。

俺は慌ててその後を追う。

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空にはおぼろな月が浮かんでいる。[c]

暖かかった昼間の熱は、すっかり空[n]に逃げたようで、夜の底はひやりと[恐]冷たかった。

駆けていく黒猫。追いかける自分。

【第七大奇迹】猫

黒猫が闇に溶けて見失なってしまわ[怖]ぬよう、俺は目をこらして走る。

魚屋のある商店街を抜け、昼間立ち寄らなかった住宅街へ続く道を行く。

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走る。

走る。

走る。

走って――。

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やがてクロウはとある民家の前で立[鬼]ち止まった。

少し遅れて俺も追いつく。

それはごく一般的な二階建て家だっ[故]た。

門柱には「斎藤」という表札がかかっていた。

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クロウは窓から漏れる明かりをじっ[事]と見つめていた。

その明かりの向こうにいる誰かを、[文]待っているかのように。

そして、黒猫は、

「ナゥーー……」

小さく、ひとつ鳴いた。

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俺はその声に、なぜか胸を締め付け[章]られる想いがして、思わずクロウの[来]名を呼んだ。

猫は門柱へ飛び上がり、ちらりとこ[自]ちらを見てから路地の向こうへ消え[i]た。

振り返ったその目は、両目とも琥珀色だった。

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帰路についた俺は、トボトボと歩い[a]て先ほどの踏切の前までやってきた[m]

踏切を渡ろうとしていたところで、[k]カン・カン・カンという警戒音とと[.]もに、遮断機が降りる。

ぼんやりと立ち止まっていると、やがて轟音とともに列車が目の前を通過した。

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列車の車内から洩れる明かりの中、[c]俺は見た。

踏切の遮断機の脇に置かれた、真新[n]しい花束。

そして、ここで事故があったことを伝える立て看板。

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『4月○日、近所に住む斎藤千穂ちゃん(8歳)が、踏切で事故に遭い亡くなりました――』

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猫に九生あり、って言ってね?

猫はたくさんの魂があるって、昔か[恐]ら言われているの。

それが本当かどうかはわからないけれど――、でもね。

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もしかしたら、猫の身体って、人間[怖]や他の生き物よりも、魂に対する容[鬼]量が大きいんじゃないかなって思う[故]んだ。

それはつまり、自分以外の魂を同時[事]に入れられるくらい、広いってこと[文]

人間で言ったら、霊媒体質ってことになるのかしら。

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猫がたまに、なにもない空間をじっ[章]と見ていたり、耳を澄ましていると[来]きがあるじゃない?

そんな時、彼らは私たちには視えない、聴こえない、なにかを感じ取っているのかもしれない。

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クロウはね、普通の猫よりも、もっ[自]ともっとその能力が強いんだ。

私も先輩から教えてもらったの。

その先輩も、もっと前の先輩から聞いたって――。

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「先輩は敬いなさい?」

部長はそう言って微笑んだ。

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慢性鼻炎にして花粉症体質の俺の顔[i]から、大きなマスクが消えた、ゴー[a]ルデンウィーク過ぎのある日のこと[m]だった。

放課後になり、俺は律儀に部室へと足を運んだ。

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部室のドアを開けると、定位置であ[k]る日当たりの良い古びた机に、部長[.]の姿はなかった。

窓が開いているので、一度部室に来て、今は席をはずしているだけかもしれない。

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部長の代わりに、机の上にちょこん[c]と立つ、小さな黒い影があった。

クロウだった。

逆光になっていて、後ろを向いているのか、前を向いているのかわからない。

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「――クロウ」

俺が呼びかけると、くるりと振り向[n]いた。どうやら後ろを向いていたら[恐]しい。

夜に浮かぶ、宝石のような二つの瞳[怖]

右目は澄んだ琥珀色。

そして左目は――

藍玉のように澄んだブルーだった。

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俺は小さく息を飲む。

そしてつぶやく。

「クロウ、お前、今、誰なんだ――[鬼]?」

俺の問いかけに、黒猫の姿をしたソイツは「ニアァ」と低い声で短く応えた。

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